電子マネーの経費の処理方法を解説!注意点や効率的な方法も!

経理

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電子マネーで支払った経費はどのように経理処理する?

電子マネーとは、「オンラインで行う決済サービス」の一種です。現金をデジタル化しているため、専用の決済端末にカード・スマホをかざすだけで支払いが可能です。電子マネーには、手軽にスピーディーな決済が行えるメリットのほか、ポイント還元などの特典があるサービスも多いため、現金での買い物よりもお得になる利点もあります。

そのため、近年では電子マネー決済を利用する人は増加しており、総務省の家計消費状況調査によると、2019年4月〜6月における全国10,000世帯のうち、電子マネーを持っている世帯員がいる割合は58.3%にも及び、すでに半数以上もの人が電子マネーを所有していることがわかります。

それに伴い、電子マネー決済を導入する店舗も増加することが考えられるため、今後さらに普及していくでしょう。この記事では、電子マネーの定義や経理処理方法、経理処理の注意点などについて解説します。

電子マネーとは


電子マネー決済とは、情報通信技術を活用して、電子データのやり取りで決済を行うサービスを指します。ここでは、電子マネーの種類、クレジットカードとの違い、利用するメリットについて解説します。

電子マネーの種類

電子マネーの種類はさまざまですが、主だったものとしては以下の4種類が挙げられます。

・交通系ICカード
SuicaやICOCAなどが代表的な交通系電子マネーです。電車やバスなどの交通機関の利用をスムーズにするだけではなく、自動販売機や店舗の支払いにも利用することが可能です。

・流通系電子マネー
スーパーやコンビニエンスストアなどの店舗で利用することができます。nanacoや楽天Edyなどが広く使われており、サービスによって決済によるポイント付与や、還元の特典があります。

・クレジットカード系電子マネー
NTTドコモが運営するiDや、QUICPayなどのように、クレジットカードやデビットカードで決済されるものです。決済すると、後日クレジットカードの利用額として支払うことになります。

・QRコード決済系電子マネー
スマートフォンとクレジットカードを連携させ、QRコード決済を行う電子マネーです。スマートフォンにインストールされたアプリとクレジットカードを連携させているため、スマートフォンだけで決済が完結します。

クレジットカードとの違い

まず、基本的な仕組みに違いがあります。電子マネーでは、ICカードやスマートフォンのアプリにチャージしたお金を使うプリペイド型と、使った金額を後で決済するポストペイ型などがあります。一方、クレジットカードでは、利用者が決済した金額をクレジットカード会社が代行して支払いを行い、後日利用者がまとめて支払う仕組みです。

ほかにも、電子マネーは本人認証が不要であることに対して、クレジットカードではサインや暗証番号で本人認証を行う必要があります。また、電子マネーの利用を開始するのに審査はなく、手続きは会員登録のみですが、クレジットカードでは利用開始前に審査を受ける必要があり、信用状況によっては必ずしも審査が通るものではありません。

電子マネーを利用するユーザー側のメリット

ユーザー側のメリットは、なんといっても支払いの簡単さや、現金を持ち歩かなくていいという点でしょう。電子マネーは、カードやスマートフォンを読み取り用の端末にかざすだけで決済が完了するため、支払い額を間違えることもありません。

また、2020年に蔓延した新型コロナウイルス感染症の影響で、不特定多数の人が触れる現金は衛生的ではない点が指摘されています。電子マネーであれば、現金に直接触れる必要はありません。

紛失したり盗難に遭ったりしても補償されるものも多く、QRコード決済系の場合はアプリやスマートフォンに暗証番号などの本人認証のロックをかけておけば、紛失時や盗難時でも不正利用を防ぐことができます。

電子マネーを利用する企業側のメリット

電子マネーというと、支払いが楽で簡単というユーザー視点のメリットが注目されがちですが、企業側にも便利な点が多くあります。

まず、ユーザー側のメリットと同様に、現金管理の負担を軽減できます。現金決済の場合、お釣りの準備やレジ締め作業などは大きな手間となります。また、店内に多額の現金を置いておくことは防犯上良いとはいえません。

一方、電子マネーは、お釣りの計算が不要なだけでなく、売上管理システムとの連携も容易であるため、本業以外の業務負担を減らすことで、経営にも良い影響を及ぼすでしょう。また、昨今では電子決済が可能な店舗を積極的に選ぶ人も増えており、そのような顧客層の獲得に繋がる可能性もあります。

ほかにも、飲食店などでは、現金に触った手で食物に触れる可能性を減らしたい場合にも有効といえるでしょう。

電子マネーの経費の処理方法

電子マネーの普及とともに、企業が経営活動において発生する経費を電子マネーで支払う状況も増えてきました。企業が電子マネーで支払いをした場合、どのような経理処理を行えば良いのでしょうか?

電子マネーには、決済の方法によって、プリペイド(前払い)方式とポストペイ(後払い)方式の2つの種類があり、それぞれ経理処理方法が違います。ここでは、プリペイド方式とポストペイ方式それぞれの場合について、経理処理方法を解説していきます。

プリペイド方式の場合

プリペイド方式の電子マネーの場合、ICカードに現金をチャージしただけでは、物品を購入したことにはなりません。チャージした金額は「仮払金」としたうえで、実際に使用した金額分のみを経費として計上しましょう。仕訳で表すと下記とおりになります。なお、消費税は無視します。

➀Suicaに現金を1万円チャージしたとき
(借方)仮払金10,000円(貸方)10,000円

②実際にJRを利用し1,000円分利用したとき
(借方)旅費交通費1,000円(貸方)仮払金1,000円

ポストペイ方式の場合

ポストペイ(後払い)方式の経費の処理方法は、QUICPayなど電子マネーで購入した段階では、「未払金等」で処理し、預金口座で決済した段階で支払処理しましょう。仕訳で表すと下記とおりになります。なお、消費税は無視します。

➀QUICPayで消耗品を1,000円購入したとき
(借方)消耗品費1,000円(貸方)未払金1,000円

②預金口座で1,000円分決済したとき
(借方)未払金1,000円(貸方)普通預金1,000円

電子マネーの経理処理の注意点

電子マネーの経理処理を行う際にはいくつか注意すべき点があります。以下にそれぞれについて解説します。

利用履歴を印字する

電子マネーを経理処理する時には、必ず利用履歴を印刷するなどして、誰もが確認できる状態にしましょう。印刷することは、適切な経理処理をするためだけでなく、税務調査時の資料としても役立ちます。

Suica、PASMOなどの利用履歴は、券売機や駅窓口などで印字できるので便利です。また、電子マネーによっては、管理ページで履歴を確認・印刷することも可能です。

都度計上かまとめて計上かを統一する

経費の支払いに電子マネーを利用する機会が少ない場合は、利用の都度、経費処理を行えば良いものの、電子マネーの利用頻度が多い場合は、毎回経費処理をしていると手間と時間がかかってしまいます。そのような場合、決算時にまとめて計上するのもおすすめです。

この方法なら電子マネーのチャージ金額と実際に利用した金額をまとめて計上できるため、経費処理の手間を大きく省けるでしょう。

ただし、ここで注意しなければならないのは、上記のように、決算時にまとめて計上できるのは、プリペイド方式の電子マネーだけです。ポストペイ方式の電子マネーは、一定の期間内に利用した金額が後日まとめて銀行口座から引き落とされるので、利用したタイミングと銀行口座から引き落とされるタイミングの両方の時点で、経費処理を行う必要があります。

なお、プリペイド方式の電子マネーにチャージされているお金は、金額が大きくなければ流動資産科目として管理して差し支えないでしょう。

個人用とビジネス用で分けておく

電子マネーは、気軽に使用できることから、経費で使う場合とプライベートの支払いが一緒になってしまう状況が考えられます。このように、ビジネスとプライベート両方に同じ電子マネーを使用していると、経費の支払い履歴を帳簿に記帳する際に、手間が増えてしまいます。

帳簿付けの際に無駄な手間を増やさないためにも、ビジネス利用目的の電子マネーとプライベート利用目的の電子マネーを使い分け、お金の用途が明確になるようにしましょう。個人事業主のように、ビジネスとプライベートの境界が曖昧になってしまいがちな場合は、電子マネーの公私混同には特に要注意が必要です。

効率的な経費処理は経費精算システムを導入しよう!

経費処理を効率的にしたいなら経費精算システムを導入するという手もあります。以下に経費精算システムについて解説します。

経費精算システムとは

経費精算システムとは、事務所備品の購入に関する経費精算や交通費精算、それに出張費精算など、さまざまな精算をシステム化するものです。

経費申請者による申請書の作成や、それを承認する際の承認作業、経理担当者による確認作業をシステム上で行い、経費データを一元管理して担当者間で共有し、差し戻しの手間や無駄のない経費精算業務を実現します。

近年では機能が向上し、SaaS(Software as a Service)型の経費精算システムが普及しています。

たとえば、スマートフォンを用いて、いつでもどこからでも経費の申請と承認ができる機能や、領収書をスマートフォンのカメラで撮影した画像をOCR解析して取り込む機能、交通系ICカードのデータを取り込む機能、仕訳を自動的に行う機能、FB(Firm Banking)データを自動的に作成する機能など、経費精算業務を効率化するためのさまざまな機能を備えたものが開発されています。

経費精算システムのメリット

経費精算システムの導入によって得られる最大のメリットは、経費精算申請者、所属長などの承認者、経理担当者間における、一連の経費精算業務の効率化が実現することです。申請者はパソコンやスマートフォン上で画面に従って入力していけば申請書作成が完了するので、申請のための作業時間を大幅に削減できるでしょう。

作成後の承認依頼もシステム上で行えるため、紙に出力して承認者の机に提出する必要もありません。ICカードの読み取り機能が付いているものであれば、交通費を自動的に計算してくれるので、後から交通費を調べ直す手間も省けます。

承認者にとっても、紙に印刷された経費精算申請書に1枚1枚ハンコを押す作業がなくなり、クリックするだけで承認・否認作業が完了するため、業務軽減に繋がります。入力ミスや不正申請を防ぐことにも繋がるでしょう。

経費精算システムのデメリット

経費精算システムは、業務効率化には力を発揮するものの、システムそのものが利益を生む訳ではありません。昨今では、経理回りの業務はデジタル化が進められており、経費精算システムは導入しやすいものであるといえるでしょう。しかし、導入による費用対効果が説明しにくい場合もあるため、企業側の理解によっては導入まで時間がかかるかもしれません。

また、顧客との飲食代を接待交際費として精算申請する場合には、接待の目的、接待の相手、接待場所などの申請が必要であるため、結局は手入力が必要になり、システムの恩恵を受けられないケースもあります。

ほかにも、旧来の経費申請に慣れているため、新しいシステムがなかなか覚えられないという従業員がいたり、自社には不要な機能が付いていたりする場合は、導入してもうまく活用できないというケースもあるでしょう。システム導入の際にはコスト面、操作面、セキュリティ面などにおける不安要素をよく確かめ、社内に浸透しやすいものを選ぶと良いでしょう。

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まとめ

本記事では近年普及が進む、電子マネーについて解説しました。電子マネーは、その手軽さから、企業の経費を支払う場面での利用機会も増えていくことが考えられます。しかし、電子マネーは種類によって、チャージをしたり後払いしたりするものがあるため、経理処理方法についてよく確認しておきましょう。

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監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
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