資金繰りにも悪影響!請求漏れを防ぐ効率的なやり方とは?

請求業務

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請求漏れは、企業経営において資金繰りを悪化させる要因の1つです。また、未回収の代金は商事債権として一定期間が経過すると消滅時効が成立するので、資金調達が困難になる原因となってしまいます。その他にも、取引先企業と長年築いてきた信頼関係を失うなど、経営上でさまざまな損害を招く原因となります。

そんな請求漏れ防止に効果を発揮する施策が、請求管理業務をサポートするシステムの導入・運用です。この記事では、請求漏れを防ぐ効率的な方法について、発生の原因から防止まで詳しくご紹介します。

請求漏れがあるとどうなるか


BtoBでは、取引した製品やサービスの代金を後払いする掛取引が基本です。このとき、請求書の発行や送付の漏れによって、代金を回収できていない状態のことを「請求漏れ」といいます。

請求漏れとは

売掛金とは、商取引で製品やサービスの提供が先に行われ、その代金の支払いを後で受け取れる権利のことです。一般的なBtoBでは、月末締め翌月指定日払いで掛取引を行い、過去に納品した分の売掛金は翌月にまとめて支払われます。しかし、支払われる予定の売掛金が期日を過ぎても支払われないことがあります。その際、売掛金が支払われない原因の1つとして挙げられるのが、請求側の書類の送り忘れによる請求漏れです。

請求側が請求書を送り忘れている場合、代金を支払う側からすれば製品やサービスの提供に対する対価をいつまでにいくら入金すればいいのかが不明な状態、ということです。なお、多くの企業は請求書を受理しなければ支払いを行わない規定としています。そのため、発行し忘れている請求書の代金が勝手に入金されることはほぼありません。

請求漏れが起きる原因

請求漏れが起こるケースには、以下のようなものがあります。

・請求書を作成し忘れていた
・作成した請求書の送付を忘れていた
・請求管理している帳簿などの見落とし
・他部署から会計担当者への伝達漏れ

こうした原因があったとしても「取引の事実があるのだから債権債務が発生していて代金はいずれ支払われる」と考える方もいるでしょう。しかし、先に説明したとおりほとんどの企業は請求書を受理しなければ入金処理を行いません。疑問に思った取引先が連絡をくれれば請求漏れが発覚し、即座に対応することができますが、どちらも請求漏れに気が付かない場合、売掛金が時効を迎えて消滅する可能性もあります。

発行するのを忘れている請求書があるのであれば、取引先の担当者に送付が漏れていた旨を謝罪のうえ送付する旨を伝え、早急に送付するようにしましょう。

請求漏れは資金繰りの悪化を招く

健全な経営において、売上の確保や適正な利益獲得と同等に、確実な債権管理が資金繰りの面では重要な意味を持ちます。掛取引では仕入れが販売よりも先に行われます。お金の流れで見ると、商品を作るための材料など、仕入れに対する支払いが売掛金の入金よりも先行して行われます。このとき、販売で得た売掛金の入金と、仕入れの支払いの間が長くなるほど資金繰りの悪化を招きます。

そのため、請求漏れは資金の流れを滞らせたり、枯渇させたりといった経営リスクを引き起こす恐れがあるのです。

請求漏れは取引先との信頼関係に響きかねない

請求漏れは自社の資金の流れに悪影響を及ぼすだけではなく、取引先の資金管理を滞らせてしまうなど、さまざまなトラブルの原因となります。そして、期日までに取引先に請求書を届けられない企業は、管理が杜撰な会社と思われてしまい、取引先との信頼関係を著しく損なう恐れがあります。

取引先との関係継続を維持し、事業をスムーズに遂行するためにも、請求漏れの防止策を施すことは重要なのです。

売掛金の消滅時効との関係

売掛債権は商事債権として扱われ、2017年の民法改正により5年経過すると消滅時効が成立することとなりました。ただし、5年の時効が適用されるのは2020年4月以降に発生した債権のみです。2020年3月以前に発生した債権は、飲食代金や入場料は1年、医師の診察や助産などに関する債権は3年など、職種によって時効が異なる旧民法の時効が適用されます。

また、時効は時効の期間を過ぎて自動的に成立するものではありません。債務者が時効であることを主張する、時効の援用を行うことではじめて成立するものです。そのため、時効が過ぎている売掛金であっても、債務を承認してもらえば支払いを求めることは問題ありません。

いかにして請求漏れを防いでいくのか


請求漏れによって資金の流れを停滞させたり、消滅時効を迎えたりしないためにも、請求漏れを未然に防ぐ取り組みが必要です。ここでは、5つの施策をご紹介します。

得意先別に売掛金を管理する

発生主義に基づいて売上計上を実施するとともに、納品書などの売上に関わる各種伝票を用いて得意先元帳や売掛台帳などの補助簿へ記帳を行います。補助簿は作成が義務付けられているものではないため、企業によっては作成していない場合もあるでしょう。

しかし、細かく記録しておくことで、時間が経過したのちの確認作業を行いやすくしたり、どの時点でミスが発生しているのか見分けやすくしたりといった効果が期待できます。ミスや漏れが発覚した場合の手戻りにかかる工数を削減できることから、補助簿は作成しておくことをおすすめします。

ナンバリングを行う

ナンバリングによって請求書に固有の番号を割り当てることも、請求漏れ防止に効果を発揮します。取引に際して発行する見積書や納品書などの各種書類を同一のナンバリングで管理することによって、売上計上から請求管理までの処理を一気通貫で対応できるようになります。これにより、抜け漏れを未然に防ぎ、該当の納品書から請求が漏れている内容をすぐに割り出すことが可能となるのです。

また、ナンバリングされた請求書は、取引先にとってもメリットがあります。たとえば、請求内容にミスがあった場合、請求書の番号を共有するだけでスムーズに確認と再発行を行うことができます。ナンバリングに法的な決まりはありません。一般的には、取引先コードや請求月を組み合わせたり、桁数を決めて順番にナンバリングしたりする方法が採られます。

チェックリストを作り、複数人で請求情報を管理する

請求漏れを防ぐには、請求管理業務における請求書発行送付代金回収・入金確認・入金消込の4つのステップをチェックリストとして設定し、複数人で業務にあたることがポイントです。複数人で手分けして管理することで、請求先ごとの入金期日や売掛金残高が現在どのくらいあるのかなど、多くの情報をミスなく管理することができます。また、作業工程やポイントとなる項目をチェックリスト化しておくことによって、経理部門内で業務が属人化してしまうのを防げます。

さらに、作業の進捗状況を経理部門のみならず、営業部門と共有しておくのもおすすめです。営業マンが担当する取引先への請求漏れ、あるいは先方の入金漏れが発生していないか確認でき、大きなトラブルに発展することを未然に防げます。

あらかじめ請求のスケジュールを決めておく

請求漏れを防いでいくには、徹底したスケジュール管理が欠かせません。受領書を確認して請求書を発行・送付するまでのスケジュールを設定するのはもちろん、入金期間を過ぎたものは経過日数ごとにどのような対応を行うか明確にしておきましょう。

発行済み請求書のステータス管理を行う

多くの企業では、請求書控えを「未入金請求書控え」などと分類したファイルに保管し、支払い期限を迎えたものから入金の有無を確認して「入金済み」の印を押して「入金済み請求書控え」などのファイルに移し替えていく管理方法が用いられています。

しかし、この管理方法は取引先や請求書の枚数が増えるほど管理は煩雑になるうえに、複数人で管理を行う場合は自分の担当した請求書以外の進捗が見えにくいという問題があります。そこで、売掛金および請求管理のフローは、「入金済み」「未入金」「発行済み」「送付済み」といったステータスを1つの表で取引先、または案件ごとに管理するのがおすすめです。

また、どの時点で誰がステータスを変更したのか記入できるようにしておくと、詳しい状況を確認しやすくなります。

請求漏れ防止する方法とは?


請求漏れを防止するには、アナログによる管理では限界があります。そこで有効なのが、請求情報をデータで管理して極力人為的なミスを排除することです。

ここからは、エクセルでの請求書管理からクラウド型請求代行サービスまで詳しくご紹介します。

エクセルで管理する

エクセルに代表される表計算ソフトは、多くの経理部門で採用されている請求書管理方法のひとつです。案件管理・請求スケジュール管理・請求ステータス管理など、管理内容ごとにシート作成すれば、一覧で管理することが可能です。

エクセルには、日頃から使用するソフトであることから誰もが扱いやすく、自社の管理方法に合ったカスタマイズが行いやすいというメリットがあります。また、カスタマイズが難しい場合でも、Web上にはさまざまなテンプレートが公開されていることから、初心者でも容易に導入できます。

しかし、デスクトップ版のエクセルは複数人で同時に編集することができず、誰かが編集している場合は編集ができない「読み取り専用」でしか開くことができません。リアルタイムで同時編集を可能にしたい場合は、「Microsoft 365 サブスクリプション」にメンバー全員が加入している必要があります。Microsoft 365 サブスクリプションは、サブスクリプションサービスのため買い切り型ではなく、月額で費用が発生します。

請求書作成ツールを導入する

請求書作成ツールは、管理画面やテンプレートに取引先情報などの必要項目を入力するだけで請求書の発行を自動化できるツールです。ツールで作成した請求書は印刷での発行のみならず、PDF化してメール添付も可能です。

ただし、オンプレミス型の請求書作成ツールは、ソフトウェアをインストールして使用するため、特定のパソコンからしか操作ができない、アップデート作業を自社で行う必要がある、サーバーの用意やシステム構築に初期費用がかかるといったデメリットがあります。

クラウド型の請求管理システムを活用する

クラウド型請求管理システムは、請求情報をクラウドにアップロードするだけで、取引先への請求書の発行・送付を代行するシステムです。オンプレミス型とは異なり、ソフトウェアをインストールする必要がなく、インターネットに接続できる環境であれば社外からでも利用できます。そのため、在宅勤務を経理部門で取り入れたい場合にもおすすめのシステムです。

また、銀行の口座情報と連携できるため、入金の確認や消込作業も自動化できます。サービスによっては督促業務まで自動的に行えるものもあるため、請求管理業務の完全自動化も可能です。

請求漏れ防止対策は「請求管理ロボ」におまかせ!

請求管理ロボ」は、請求書の作成・送付・管理から未入金の督促業務までをすべて自動化するクラウド型請求管理システムです。スケジュールや必要な情報を入力するだけで、翌月以降は設定したスケジュールに基づいて自動的に請求書の作成から入金管理まで実施いたします。

決済にエラーが発生した場合も、次回請求に繰越したり、他決済への切り替えたりと、柔軟な対応が可能です。また、入金名義や金額が請求管理ロボの登録と異なる場合も、未消込の請求情報として一覧で表示され、手動で消込が行えます。

請求管理ロボは、人為的な要因で発生していた請求漏れの防止を実現いたします。請求に関する情報はすべて見える化されるため、部門をまたいだコミュニケーションも必要最小限に抑えることができます。

まとめ

請求漏れは、キャッシュフローの悪化を招くだけでなく、売掛金が時効を迎えてしまうと回収できないといったリスクを招きます。請求漏れを発生させないための施策にはさまざまなものがありますが、最も効果的なのがクラウド型請求管理システムです。

今回ご紹介した「請求管理ロボ」は、請求書作成・送付から督促業務の自動化を実現できるクラウド型請求管理システムです。請求漏れが頻繁に発生してしまう、請求管理業務の負担が大きいなど、課題を抱えておられる企業は、ぜひ請求管理ロボの導入をご検討ください。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。