PDF形式の請求は有効?保存方法やメリット、注意点なども解説

請求業務

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企業活動のなかでは、必ずといって良いほど「請求書」を取り扱う場面が発生します。これまで請求書の送付といえば、印刷したものを郵便で送る方法が主流でしたが、近年ではPDF請求書を、メールなどで送る方法が台頭してきました。

この記事では、請求書の送付方法や、PDF形式の請求書の有効性、PDF形式の請求書の保存方法、メリット、注意点について解説します。

請求書の送付方法


請求書を取引先に送る場合、長い間主流となっていたのは郵送での送付です。ほかにも、企業によってはFAXで送ったり、利便性を重視してメールやチャットで送ったりする企業も増えています。それぞれどのような特徴があるのか、以下で解説していきます。

郵送で送る

印刷した請求書を封筒に入れて郵送で送るという、最もポピュラーな方法です。現在でも、請求書は必ず郵送で送るようにルールが定められている企業は少なくありません。
請求書は、企業活動を行うなかで、商品やサービスのやり取りがあったことを示すものであり、取引の事実を証明するものです。「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、または事実を通知する文書」のことを信書といい、請求書は信書に該当する重要な書類です。そのため郵送にあたっては、原則として普通郵便、定形外郵便、レターパック、スマートレターで送付する必要があります。宅配便やゆうメール、ゆうパックで信書は送付できないので注意しましょう。

一部の運送業者が提供している、信書にも適用されるサービスを利用する場合を除き、不適切な方法で信書を送付した場合は、郵便法第76条違反によって「三年以下の懲役または三百万円以下の罰金」に処されると定められています。

郵送による送付は、紙に印刷された請求書の原本と控えを保管することができるので改ざんのリスクが低いというメリットがあります。一方で、投函に手間と時間がかかり、また天候や交通状況などによって相手側に届くまで時間がかかる可能性があることがデメリットといえるでしょう。

FAXで送る

請求書を送る際にFAXを利用するケースもありますが、あまり一般的な送付方法ではないようです。請求書の送付にFAXを用いるのは、郵送では間に合わない急ぎの状況下などで、相手側の了承を得て行う場合が多いでしょう。そのため、相手の了承なく、いきなりFAXで請求書を送信すると、失礼にあたる可能性があるため注意が必要です。また、相手側のFAX機器の状況では、鮮明に印字されない、印刷に失敗するなどの可能性もあるため、FAX送信は臨時の方法と考えたほうが無難です。

FAXでは請求書単体をいきなり送るのではなく、必ず送付状を1ページ目に送信するようにしましょう。送付状には送付日次、送付先、差出人氏名・会社名、件名、送付枚数などを記載することで、紛失や抜け・漏れが発生したときに相手方がすぐにわかるようにする効果があります。

メールやチャットで送る

最近では、メールやチャットに請求書を添付して送るという方法も増えているようです。とくに、ベンチャー企業など、新しい価値観や利便性を重視した企業で多く取り入れられています。メールやチャットで請求書を送った場合も、取引の事実の証明ができるのであれば、全く問題はないとされています。そもそも、請求書の発行自体は、法律で義務付けられている訳ではないため、請求書を発行しなくても問題はありません。

しかし、多くの企業では支払いが発生した場合、その根拠として請求書が必要になるため、請求書のやり取りが行われているのです。そのため、請求書がメールに添付されたファイルであっても、実質的な問題はないと考えられています。

ただし、企業によっては、請求書の原本を送ることを取引の条件としている場合もあります。また、重要書類を紙で保管している企業も多く、印刷の手間を減らすため、最初から紙でのやり取りを望む企業も多いでしょう。したがって、請求書をメールやチャットで送る場合は、取引先と合意の下で行うようにしましょう。また、送信ミスには十分な注意が必要です。

PDF形式の請求書は有効なのか?


請求書をメールやチャットで送る場合は、請求書をPDF形式に変換して送付するのが一般的です。PDF形式の履歴書は改ざんのリスクも少なく、送信履歴が残るため、今後一般的になっていくでしょう。ここでは、PDFをはじめとした、電子データの保存に関して定めている法律をご紹介します。

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法は、書類について紙の状態での保存義務を緩和することで、業務の効率化や保存場所の確保や印刷にかかるコストの削減などを実現するため、1998年7月に制定された法律です。この法律では、国税関係帳簿書類の全部または一部について電子データによる保存を認めているほか、2005年3月の改正では、紙媒体の書類をスキャンして電子保存することも認められるようになりました。

電子帳簿保存法でデータ保存できると規定されている帳簿・書類は、帳簿としては、総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金・買掛金元帳固定資産台帳などが対象になり、決算に関係する書類としては、棚卸表、貸借対照表、損益計算書などが対象になります。そのほかの証憑類では、見積書、請求書、契約の申込書、注文書、納品書、検収書などが対象になっています。

e-文書法

前述の通り、電子帳簿保存法は国税関係の帳簿・書類の電子データ保存を認める法律です。一方、e-文書法では適用範囲をさらに広げ、法人税法や会社法などに基づいて保管が義務付けられている文書全般の電子化が容認されています。e-文書法は2005年、書類の電子データ保存の必要性に応えるために、いくつもの法律を横断する内容で制定されました。

対象としている文書は、財務・税務関係書類、会社関係書類、企業決算に関わる書類など、多岐にわたります。e-文書法で求められている電子データ保存には、常に明瞭な状態で見られる見読性や、滅失や毀損を抑止する完全性、不正アクセスを防ぐ機密性、体系的に検索できる検索性など、4つの要件が定められています。

PDF形式の請求書の保存方法


電子帳簿保存法やe-文書法の成立により、どの企業でも一律に請求書が電子データとして保存することが可能になったかというと、そうではありません。電子データとして保存するためには、保存要件を満たしたうえで、税務署長の許可をもらわなければならないため、基本的には依然として紙での保存義務があることに注意しましょう。ここでは、PDF形式の請求書の保存期間や要件について解説します。

保存期間

電子データ保存の許可を受けるまでは、PDF形式で受け取った請求書も、印刷したうえで保存するようにしましょう。保存期間については、所得税法、消費税法、法人税法などでそれぞれ定められており、法人、個人事業主で保存期間が異なります。

・法人:税法では7年、欠損金の繰越控除適用の場合は10年
・個人事業主:所得税法では5年、消費税納税業者の場合は7年

保存要件

請求書を電子データとして保存する場合には、以下のような保存要件を満たす必要があります。

・税務署長の承認
請求書の保存を紙媒体から電子データ保存に変更する場合、変更する3ヶ月前までに申請書を提出して税務署長の承認を得なければなりません。また、この変更は会計年度の途中で行うことはできません。

・真実性の確保
真実性の確保をするためには、改ざん防止のための電子署名もしくはタイムスタンプを付記するとともに、内容がはっきりと読み取れる解像度が求められます。電子署名は誰が書類を電子データ化したかを明確にし、タイムスタンプは作成日時を担保します。解像度は200DPI以上の解像度が求められ、また白黒ではなくカラーであることが条件です。

・可視性の確保
可視性の確保とは、保存された電子データが整然とした形式及び明瞭な状態で、ディスプレイやプリンタを用いて速やかに出力できるようにしておくことです。また、電子データは、日付やタイトルなどによって容易に検索できる状態にすることも必要です。

PDF形式の請求書のメリット


ここからは、請求する側と受領する側双方について解説します。

請求側のメリット

PDF形式の請求書をメールに添付して送信する一番のメリットは、なんといっても「即時性」でしょう。急ぎの場合にも、メールならばスピーディーな請求書送付が可能です。また、請求書を再発行・再送付をする必要がある場合にも、該当のファイルを検索して見つけ出すことができる点もメリットといえるでしょう。

さらに、メールでの請求書送付は、請求書の印刷から捺印、封筒への封入、宛名の記入、印刷、郵送手配、投函という一連の作業を省き、人件費、印刷費、郵送費の大幅な削減に繋がります。手作業の多くを排除することで、ヒューマンミスを防ぐことも可能です。送信した請求書は全て送信履歴に残るので、請求書の未発送を防ぐこともできます。ほかにも、社印などの捺印の必要がなくなるので、在宅勤務やリモートワークとも親和性が高い方法といえるでしょう。

受領側のメリット

請求書をメールでやり取りすることができれば、即日に受け取ることができるため、受領側にとっても大きなメリットになります。受け取った請求書は電子データとして保存されるため、紛失の恐れがなく、必要なときはいつでも閲覧が可能です。さらに、受領側で電子帳簿保存法の保存要件を満たしていれば、印刷して保存する必要はなく、保存のための手間や保存場所の確保に煩わされることがありません。

PDFファイルであれば保管や管理は容易となり、過去に遡って請求書を探す際も、検索機能を使えば、見つけ出すのも容易です。また、最近では電子データの読み込み機能が搭載された会計ソフトもあるため、手動で入力する手間をかけずに済みます。請求側と同様、オフィスに出社しなくても請求書を受け取ることができるため、在宅勤務やリモートワーク中の不便を軽減できます。

PDF形式の請求書の注意点


上記のように、PDF形式の請求書にはメリットが多く、今後も取り入れる企業は増えていくと考えられます。しかし、PDF形式の請求書には、紙媒体とは違ったポイントに注意する必要があります。以下に事例を示して解説していきます。

PDF形式の請求書に難色を示す企業もある

PDF形式で請求書をやり取りする場合、事前に取引先の了承を得たほうが安心です。一部の企業では、請求書は紙媒体でやり取りすると社内規定で決まっていたり、パソコンを常時使う環境が整っていなかったり、独自の請求書の書式が決まっていたりするなど、各社にさまざまな事情があります。
主要な取引先の状況を調査し、電子データのやり取りに応じられるかを把握しておきましょう。

情報漏洩のリスクの可能性がある

紙媒体での請求書は原本としての唯一性があるため、社内でファイリング管理をきちんとしていれば、外部に流出する恐れはほとんどないといって良いでしょう。しかし、電子データ化されている請求書では、セキュリティシステムやアクセス権限の体制が脆弱な場合、企業内部から情報が流出する恐れがあります。
また、企業外部からのサイバー攻撃に対しても、本腰を入れた対策が必要です。請求書には機密性の高い情報も含まれるため、情報漏洩に対する高いセキュリティ意識が求められます。

このような問題に対しては、社内ではデータにアクセスできる権限を必要最小限に制限したり、アクセス状態を常時監視できる体制を整備したりすることで対策が可能です。社外に関しても、データを保存しているパソコンやサーバーを外部のネットワークから切り離すなどの対策を講じましょう。メールで請求書を送信するのではなく、クラウドサービスの電子請求書発行システムを利用するのも有効な手段です。

ID・パスワードや利用履歴の管理の手間がかかる

電子データ化した請求書を管理するには、個々の従業員や取引先ごとに異なるIDやパスワードを設定し、アクセスや利用履歴を管理・監視しなければなりません。このような管理体制は、電子データで重要書類を取り扱ううえでは必要不可欠です。

取引先にIDとパスワードを伝える際は、請求書の電子データを送るメールとは別のメールで送信することが原則です。メールの誤送信を防ぐために、送信ボタンを押す前に、別のスタッフや管理者に宛先を確認してもらうと安心です。
また、データファイルへのアクセス権限を持つスタッフの人数を限定することで、IDやパスワードを管理する手間や、アクセス履歴の管理の手間を軽減することができます。

請求管理ロボを導入してPDFの請求書管理を効率化しよう!

ここまで見てきた通り、請求書を電子データ化すれば、送付や保管にまつわるコストや手間を大きく削減することが可能です。ただし、電子データ化には気を付けなければならない点も多く、とくにセキュリティ面や保存要件をきちんと守るために、かえって別の業務が増えてしまうといった事態も発生することもあるでしょう。電子データ化による業務効率化の恩恵を最大限享受するためには、信頼できるシステムを導入するのがおすすめです。

請求書の発行・管理には、「請求管理ロボ」が適しています。クラウド上で電子データ化された請求書を保存するため、インターネットに接続できる環境ならいつでもどこでも作成や送付作業をすることが可能です。

さらに、取引先への請求書の送付から入金まで、全てのプロセスを一元管理し、送付ステータスや開封状況をワンストップで確認できます。請求管理ロボはPCI DSSシステムに準拠しており、プライバシーマークも取得しているため、安心してご利用いただけます。

まとめ

請求業務は毎月発生するものであり、取引先が増えればそれに伴って手間やコストも増え、経理担当者の負荷は大きくなります。
今後は、働き方改革を推進するための施策の一つとしても、請求書の電子データ化は普及していくでしょう。請求書の電子データ化で業務効率が向上した結果、さまざまな経済効果を生み出すことも期待されています。この機会に請求管理ロボを導入し、スムーズな請求書管理をご体感ください。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。