一円玉の流通量が減少 決済手段の多様化が背景に

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一円玉の流通量が減少 決済手段の多様化が背景に

一円玉の流通量が減少 決済手段の多様化が背景に

2014年4月、消費税率が5%から8%に引き上げられるのに伴い「一円玉」の需要が高まると見込まれていました。これに合わせ政府は一円玉の製造枚数を増やしましたが、意外にも増税後、一円玉流通量は減って現在は供給がダブついているようです。
どうして一円玉の流通量は減ったのでしょうか?
その背景を見ていきましょう。

4年ぶりに一円玉製造を再開するも……

実は、一般流通向けの一円玉は、2011年から2013年の間製造されていませんでした。消費税率がキリの良い5%から8%に変わることで、釣り銭用に一円玉の需要が高まるとの見込みから、4年ぶりに一円玉の製造を再開したのです。

この判断には、1989年に消費税が導入された際に深刻な一円玉不足が生じたという過去が背景にあったと考えられます。当時、税率3%の消費税導入によって多くの店舗や金融機関で一円玉が足りなくなったのです。

しかし今回は22年前とは異なりました。2014年の消費税率引き上げ後、一円玉の流通量は増税前の389億枚から減少し、半年後には386億枚に。3億枚も流通が減ったことになります。

幅広い世代で「小銭を避ける」傾向

一円玉の流通量が減少 決済手段の多様化が背景に

なぜ、予想に反して一円玉の流通量は減ったのでしょうか?
その理由として、幅広い世代の消費者に「小銭での支払いを避ける」という傾向が見られるようになったことがあると考えられます。

若い世代では、細身のパンツなど身体にフィットする服装の流行などにより、財布をかさばらせる原因となる小銭を敬遠する人が増えています。

また、中高年ではレジでの支払い時にもたつきたくないと考える人も多いようです。

決済手段の多様化が背景に

こうした消費者の意識の変化と合わせ、決済手段の多様化が貨幣需要に大きく影響していることも見逃せません。

クレジットカード決済や電子マネー決済が広く普及し、その利用が拡大しています。少額決済にもこれらの「小銭いらず」な決済手段を利用する人が増えたため、1円単位のお釣りが生じるケースが少なくなったと考えられます。

こうした動きは、これから先ますます顕著に見られるようになってくるでしょう。販売などを行う事業者は、今後より多様な決済手段に対応することが求められると言えそうです。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。