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失敗しないサブスクとは?失敗事例から読み取る成功ポイント

サブスクリプション型のサービスは近年増加傾向にあります。NetflixやAmazonPrimeといった有名なサービスから、一部のユーザー向けのニッチなものまで様々です。
その一方で、失敗に終わったサービスがあることをご存知でしょうか。

今回は失敗事例を参考に、サブスクリプション成功のポイントを探していきます。

1.サブスクリプションの市場規模

矢野経済研究所が2020年にサブスクリプション市場の将来展望を発表しました。

これらは衣料品・ファッションレンタル、外食サービス、生活関連サービス、多拠点居住サービス、デジタルコンテンツ、定期配達サービス、語学教育サービスの7市場の合計です。
2019年度は消費者支払額ベースで6835億円超えで、2020年度は7973億円と予測されています。
ファッションレンタル分野では、時計やバック等高額なリユース品を取り扱う二次流通事業者の参入が見られました。サブスクリプションビジネスは引き続き参入が見込まれる状況と言えます。
 

2.サブスクリプションの失敗例

サブスクリプションを始めたものの失敗してしまった事例を紹介していきます。

①自動車業界

◆アメリカのGM【ブック・バイ・キャデラック】
月額1800ドル(約20万3千円)で年間18回を上限に、高級車キャデラックの複数の車両から色、グレードに乗り換えられるというサブスクリプションサービスがありました。上質なサービスもついており一時的に利用者は増えましたが、コストがかさんでいたようで、一時休止することとなってしまいました。

②アパレル業界

◆AOKI【Suitsbox】
有名スーツメーカーのAOKIですが、こちらも以前スーツのサブスクリプションサービスがありました。月額7800円からで、好みやサイズに合わせスタイリストが選定したスーツ一式を借りることが出来ました。借りたものを返すことで月に1度まで他のスーツに交換できるという仕組みです。
こちらはAOKI側がバリエーション豊かな商品構成が出来ずに、顧客満足度が低くなってしまった事と、運用コストが想定外だった事が原因でサービス終了となってしまいました。

③映画業界

◆MOVIE PASS【ムービーパス】
アメリカの映画のサブスクリプションサービスを展開する会社で、「1日1本の映画が見放題で月額9ドル95セント(約1100円)」をウリに会員数200万人以上となった映画館利用サービスでした。毎日通う映画ファンを獲得できた一方、利用頻度が少なく解約していく会員も多かったようです。その一方で映画館に支払うチケット代が膨らみ会社は資金不足となった結果、当初の「1日1本」から「月3本」に変更されました。その後会員数は減少する一方で、結果サービスは中止となってしまいました。
 

3.サブスクリプションの失敗の原因

上記のように失敗してしまった事には原因があります。ここでは失敗してしまった事例を踏まえ解説していきます。

①顧客のニーズにこたえることが出来なかった

定額制の方が単発で購入するよりお得感を出すことは重要です。しかしコストを誤算するあまりサービスの内容が充実していない場合顧客の継続率が下がる可能性が高くなります。ニーズを捉えられなかった場合、特にレンタル系のサブスクリプションでは、「確かに料金はお得かもしれないが、そもそも欲しいデザインがない」等一度契約してもらえたのはいいものの、すぐに解約されてしまう事態になりかねません。

②価格設定を誤った

月額制を取り入れる以上、単発で購入するよりも安くしなければ利用者にメリットがありません。かといって安くしすぎると利用者は増えますがその分資金が追い付かなくなってしまう可能性も上がります。

③新規顧客獲得を重視してしまう

新規顧客獲得にフォーカスしすぎると、既存顧客のニーズを考えることが疎かになってしまいます。
飲食店で月額10000円で1カ月何度も通い放題のようなサブスクリプションサービスがあった場合、初めのうちはお店に通えお得だったもののどんどん新規顧客が増え、なかなかお店に入れない。何てことも起こりかねません。
初回のみ安くすることは新規顧客にとっては魅力的で顧客を取り込むチャンスになる事でしょう。しかしその後の内容やアフターフォローが充実していないと、顧客が離れて行ってしまう事も多いです。
 

4.サブスクリプションにおいて成功する為のポイント

失敗の原因が分かったところで失敗を避ける為に重要となるポイントを見ていきましょう。

①「価値・体験」を提供する

サブスクリプションビジネスで大事なことは顧客にファンになってもらうことです。
安さだけで勝負するのではなく、その他の価値・体験を提供することで、他社と差別化に繋がりファン獲得の一歩となります。
提供するものの価値だけでなく、それを取り巻くサービスの環境、顧客がその商品を単発で購入した場合以上のメリットを作ることが重要となるでしょう。

②顧客視点に立ち、良好な関係を気付く

サブスクリプションビジネスでは新規顧客獲得ではなく、既存顧客を維持することが重要となってきます。その際顧客満足度は高水準で維持しなければなりません。
言い換えれば解約率を下げることになります。
一般的には解約率が10%以下の状態を維持し続けることが理想だといわれています。
サブスクリプションビジネスでは月額制のプランに追加して有料オプションがあることがあります。これは顧客視点であり、利用者は自分の好みでサービスをカスタマイズできるという点こそ顧客満足度の向上に繋がるのではないでしょうか。

③顧客の多様性を理解する

長期的な継続を獲得するために顧客一人一人に無駄のないサービスを提供する事が重要となってきます。顧客の中には毎月少し高額を払ってでもより完璧なサービスを求める方から、必要最低限のサービスだけ享受したいから極力安い方が良いとされる方まで多種多様です。そんなニーズに応える為、「ベーシックプラン」安い「プレミアムプラン」等段階を分けることがポイントです。
 

5.まとめ

失敗した企業がよく聞く有名な所で驚いた方もいらっしゃるかもしれません。ですがそれほどにサブスクリプションビジネスを管理する事は難しいともいえるでしょう。
サブスクリプションビジネスをはじめようか迷っている方に参考になれば幸いです。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
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