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サブスクビジネス特有の業務負担について

従来、商取引といえば、商品を販売するたびに代金を回収する「都度課金モデル」が主流でした。しかし昨今では、サービスを提供し、その利用期間や利用状況に応じて定期的に料金を回収する「継続課金モデル」つまり「サブスクリプションモデル」が注目を集めています。

サブスクリプションビジネスを行う事業者の中には、顧客の獲得やサービス内容に注力するばかりに、バックオフィスの疲弊を後回しにしているしているなんてことはないでしょうか。その考えを改めるべく、今回は見落としがちなサブスクリプションモデルにおける特有の業務負担について見ていきたいと思います。

サブスクリプションとは

サブスクリプションとは「利用者がものを買い取るのではなく、利用権を利用期間に応じて支払う方式」を指します。みなさんも日頃から耳にする機会が増えてきたと思います。

例を挙げれば携帯電話キャリアやインターネットサービスプロバイダ、ソーシャルゲーム、クラウドサービスなど、いまや継続課金モデルのビジネスは広く一般的に普及しており、今後もさらにこの傾向は顕著になっていくと考えられます。以下のようなユニークなサービスも出てきており、市場としても拡大の一途にあります。

・超進化型コインランドリー
定額料金を支払えば、24時間365日いつでも指定のコインランドリーで自由に洗濯・乾燥ができるサービスです。「洗濯・乾燥・畳む」までを行ってくれる“預け放題プラン”もあるそうです。ファッション・アパレル業界でもクリーニングや服のレンタル、デザイナーによるコーディネートだったりとあらゆるものがサブスクリプション化していますね。

・非常食の定期配達サービス
非常食でありがちな「賞味期限切れ」という課題を助けてくれるのがこのサービス。非常食なので出番がないに越したことはないですが、いざという時に頼りになりますね。また、食事といった分野ではカレーやラーメンといった分野でもサブスクリプションが続々と広がっています。

・医師への相談
お医者さんへの相談となると病院に行かないとできなかったり、時間に気を使ったりしてしまうという方が多いのではないでしょうか。このサービスを利用することでPC・スマホからいつでもお医者さんが相談に乗ってくれます。些細な質問に対しても解答してもらえる上に利用料金もリーズナブルな金額で非常に心強いです。

サブスクリプションは売上を下支えする

多くの企業がサブスクリプションサービスに展開するのにはいくつか理由がありますが、安定化した売上構造で将来収益が予測しやすいというメリットが一番大きいのではないでしょうか。

継続課金モデルと都度課金モデルにおいて、それぞれの販売管理費と売り上げとの関係を見た場合、売り上げに対してかかる販売管理費が同じであれば、時間が経過するにつれ、継続課金モデルの獲得収益が大きくなりその差が広がっていく傾向があります。

すなわち、サブスクリプションは売上のベースを下支えし、時間が経つにつれてその収益が大きくなっていくのです。半年、1年、2年と時間が経過した後には、継続課金モデルと都度課金モデルでの収益格差はかなり大きくなります。一度獲得した顧客が毎月の売上を保証してくれるので、極端にいうと、一定の顧客がすでに存在する場合は、新規獲得が例えゼロでも、大きなダメージにはならないというわけです。月単位で上下する都度課金モデルの不安定な収益よりも、経営的にも戦略が立てやすく、こうした特性に注目して、サブスクリプションサビ―スを展開する企業が多いのです。

サブスクリプションサービスの成長とバックオフィス負担

しかし、サブスクリプションは何もかもいいことばかりではありません。特に事業者側で侮れないのが、顧客の増加に比例するバックオフィスの業務負担です。実際にユーザー数・売上は好調で伸びていても、思わぬバックオフィス業務の人件費コスト増により、計画通りの利益が出ないといったサービス業者もいらっしゃいます。具体的にどのような業務が発生するのか見ていきます。

「契約管理」
例えば、お客様がどのプラン(価格)をどれくらい契約(期間)しているのか、更新月の案内など、顧客ごとに全て管理する必要があります。さらに配達が必要なサービスであれば郵送先の管理や、不達時の必要な対応などの工数がかかります。

「請求業務」
サブスクリプションモデルなので、全契約者に対して毎月繰り返し利用料を請求する必要があります。新規無料キャンペーンや解約受付などにより日割りの計算が発生する場合もあるでしょう。また利用頻度等に応じた従量制課金モデルであれば、各顧客のサービス利用状況の管理および請求費の計算も必要です。さらに未収が発生した場合などはその催促などにも対応に追われます。

「カスタマーサポート」
上記に対応するための問い合わせ窓口の設置も必要になります。顧客が確実にサービスを利用してもらうことが解約阻止の条件になりますので、初期設定をはじめとした利用に関するサポートから、契約情報の変更などに都度対応する環境を構築する必要があります。

以上のように、サービス提供の場合、商品売り切りとは異なり「時間の概念」「顧客に合わせた変動条件」などを管理する必要があると言えます。どの業務に対して何人割くのか、業務に必要な人数をしっかりと揃え、顧客満足度の向上に結び付けるのであればしっかりとした教育環境も必要でしょう。

まとめ

魅力的なサブスクリプションサービスが世の中に増えている反面、その裏側のバックオフィス業務で苦労されている事業者が増えているのも事実です。バックオフィスへの適切な人数配置や業務効率化への投資は常に頭にとどめておく必要はあるでしょう。

またサブスクリプションサービスはいかにエンドユーザーに継続していただけるかが重要な指標となります。バックオフィス業務において二重請求や請求漏れ、金額の誤請求などが起きてしまうと信頼を失いたちまち解約へとなりかねません。サービスの強みも重要ですが、同時にバックオフィスの充実が売上に貢献するという視点が必要でしょう。

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監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
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