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サブスクリプションビジネスで変わるビジネスの常識

あるビジネスモデルが他のビジネスモデルを駆逐していく構図は、インターネットの世界では特によく見受けられるもの。
にも関わらず、新たなビジネスの変化に上手く適応できる企業はそう多くないのが実情です。

市場を席巻し、既に一般的となった感のあるサブスクリプションビジネスの場合も同じ。
従来の売り切り型ビジネスを捨て、サブスクリプションモデルに乗り換えようとする動きが今も活発です。

今回は、従来型のビジネスからサブスクリプションビジネスにチャレンジしている方が取り残されがちな、
ビジネスの変化についてお話します。

乗り換えがすすむサブスクリプションモデル

現代では、音楽ストリーミングサービスから会計業務システムまで、多くの企業が売り切り型のビジネスモデルを捨て、サブスクリプションモデルへの移行をはじめています。

サブスクリプション業界MAP

しかし、このビジネスの潮流に乗ることはそう簡単ではありません。サブスクリプションビジネス事業者は、今まで持っていた売り切り型価値観を大きく変革する必要があります。

売り切り型のビジネスは一人の顧客がどの程度「消費」するかによって主に収益が決まり、リピーターとして同じ顧客に何度も自社のサービスを利用してもらうことは難しい場合が多いでしょう。

しかし、サブスクリプションビジネスの場合は継続したサービスの提供が前提となります。
如何に長い期間にわたってサービス利用を続けてもらうことが出来るかが、サブスクリプションビジネスの成功を大きく左右することになります。

そのため、サブスクリプション事業者はいかに長くサービスを使ってもらえるかを考えなくてはなりません。サブスクリプションビジネスでは。、サービスの提供やその後のプロセスを含めて、顧客との信頼関係を築いていくことが求められます。いつ解約されるかわからないというスリルの中で顧客との関係を維持して毎月料金を請求していかなければならないからです。

サブスクリプションビジネスで変わる顧客との向き合い方

サブスクリプションビジネスでは、初期費用を無料にするなどのキャンペーンを行うことでサービス導入のハードルを下げることで新規顧客数を増やすことが用意になります。
しかし、毎月の支払いの度に顧客にサービス離れの機会を与えてしまう可能性を含んでいますので要注意です。

今後、無数のサブスクリプションサービスが流通していき、ユーザーにとってはサービスの選択肢が増え、毎月の支払う固定費が増えていくこととなります。そして、ユーザーは次第にサービスの選定や継続によりシビアな目を持つことになるでしょう。
サービス導入が簡単になる分、事業者側の新たな課題として、ユーザーの移り気な乗り換えを防ぐことに精力を注がなくてはならないのです。

ユーザーとの継続的な付き合いを前提にするビジネスであるサブスクリプションビジネスでは、価格に見合った価値を顧客に対してきちんと価値提供できているかだけではなく、サービスブランディングや一人ひとりの顧客との向き合い方に重点が置かれます。ユーザーの顧客満足度を高める方法として、3つのアプローチが考えられます。

納得感のある価格設定

サブスクリプションビジネスにおいては、顧客のニーズに合わせて柔軟な料金体型を用意し、ユーザーにとって納得感のある料金を徴収することが顧客満足度を高める戦略の一つです。
多くのサブスクリプションビジネス事業者が、毎月の顧客の利用料に応じて請求金額を変動させる従量課金制をとっており、従量課金のパターンは多岐に渡ります。

図1-2:プライシングプラン一覧

顧客の細かいニーズに答えられる料金プランをどれくらい用意できるか、他社に先駆けて顧客にお得感を与える料金プランを設定することで、競争優位を築くことができます。例えば、「来月はあまりサービスを使わないので、別のプランに変えておこう」などユーザーの選択肢を増やしておくことが重要となります。

顧客にストレスを与えない課金・請求管理

どんなに綿密に顧客との関係を築いたとしても、課金・請求はたった1つのミスですべての努力を台無しにしてしまう危険性を孕んでいます。ユーザーは請求金額がたった100円間違っていただけで、事業者に対して大きな不信感を募らせることとなります。
そのため、きちんと顧客ごとの売掛状況を把握し、請求を行うことは、顧客と継続的に付き合うサブスクリプションビジネスにとって最低限守らなければならない前提とされています。

全ての利用者に喜びを!

サブスクリプションビジネスでは、無料プランで多くのユーザを囲い込むため、多くの顧客のデータを溜め込むことが出来ます。データを分析してみれば、どういった属性の顧客が積極的にサービスを利用し、どの顧客が利用に至るまで苦労し、どの顧客が途中で利用をあきらめてしまうのか、明らかになることでしょう。
その原因をスピーディーに究明し、ユーザーにとってより便利なサービスへの改善へとつなげることができるかどうかが収益を伸ばすうえで大きな分かれ目です。

まとめ

サブスクリプションビジネスは一度契約すると、ストック型の収益を安定的に確保できる「美味しい」ビジネスであると言われています。しかし、その安定した収益を確保するには顧客満足度を高める、ありとあらゆる努力を積み重ねていかなければならないことがお分かりになったことでしょう。
次回からは、サブスクリプションビジネスに必須の顧客満足度をどのように高めていくのか、価格設定、課金・請求、カスタマーサクセスの観点からお伝えして参ります。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
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