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製造業で求められるサブスクモデルへの転換

最近注目のサブスクリプションのサービス。よく耳にするのは音楽や動画配信といったデジタルコンテンツですが、家電・家具や車など製造業においてもサブスクリプションのビジネスモデルを導入する企業が増えてきました。

消費者の意識はモノやサービスを「所有するもの」から「利用するもの」へと考え方が変わり始め、必要なモノを必要な時にだけ利用することを望む消費者が増えています。

そこで、今回は製造業のサブスクリプションのビジネスモデルについて解説していきます。

製造業がサブスクリプションビジネスをはじめた理由

現代はモノが売れない時代と言われていますが、その背景には二つの理由があります。
・情報の流通
・消費者のニーズの多様化

情報が少ない時代では、事業者が一方的に発信する情報をもとに、消費者が商品を選択するという流れでした。また、多くの市場は寡占状態であった為に消費者にとって選択肢も少ないものでした。ところがパソコンが普及し個人がインターネットで情報を調べられるようになったことで、消費者各々が情報を集めて商品を選択できるようになりました。

また、技術の進歩により、クオリティを維持したまま低価格の商品を製造することや、模倣が容易になり、商品のコモディティ化が起きました。

この結果、商品の差別化が難しくなる一方で、消費者のニーズは多様化していった為、ただ良い物を作るだけでは製造業は生き残ることが出来ず、従来の売り切りモデルから新たなモデルへの転換が迫られました。それが「サブスクリプションビジネス」通称サブスクです。

「製品志向」でから「顧客志向」へ

サブスクモデルでは、顧客に新たなた価値を提供して(CX)継続的に対価を得る「コト」売りを中心としたビジネスモデルへの転換が必要です。製品を製造・販売して終わりではなく、それに付随するサービスを提供し続けることで継続的な収益を見込めるようになるのがサブスクリプションの大きな特徴であります。

製造業では性能やコストで競いあっても優位性が生まれにくくなり、「モノ」売りから「コト」売りへのビジネスモデル転換が求められています。良い製品を作ることに重点を置くのではなく顧客にどのような価値提供ができるのかが重要で、生産者は「製品志向」ではなく「顧客志向」に立ち、顧客の本質的なニーズを満たしていく必要があります。

カスタマーエクスペリエンスとは

顧客志向に立つにあたり重要となるのが、「カスタマーエクスペリエンス(Customer Experience)」です。顧客(カスタマー)のあらゆる体験(エクスペリエンス)の事を指し、それぞれの頭文字をとりCXと略します。
サブスクリプションビジネスは従来の売り切り型ではなく、契約してからが始まりなので顧客との関係性構築が重要になるため、ユーザーからフィードバックをもらい顧客のニーズを常に汲み取って、変化に対応していく必要があります。サブスクリプションビジネスにおいて継続して利益を得る為には、常に顧客満足度を高い水準で維持することが重要です。

製造業におけるサブスクリプションビジネス事例

■パナソニック「安心バリュープラン」

最新テレビを定額制で提供するサービスです。3年若しくは5年後に安心バリュープランを利用して新商品に買い替えることを条件に商品毎に決まっている買替保証金額を差し引いた金額を分割するクレジットプランです。

■トヨタ「KINTO」

クルマのサブスクです。サブスクにすることでマイカーを保有することなく、またその時々で乗りたい車の乗り換えすることが可能です。頭金や登録費用などの初期費用が不要、メンテナンスや任意保険の手続きなども定額サービスに含まれているため、契約者は車に乗るだけ。契約は店頭またはネットのみで完結し、メンテナンスや修理はトヨタ・レクサスの正規販売店で実施します。

■ガリバー「NOREL」

中古車販売大手のガリバーが運営する「NOREL」は、新車・中古車の中から乗りたい車をネット予約、店頭で受け取り、一定期間車を利用することができるサービスです。選べる車種は、軽自動車からSUV、BMW、ベンツまでバラエティ豊かなラインナップ。新車は走行距離が5,000kmに到達した翌月から、中古車は最短90日で他の車に乗り換えることが可能です。月々の利用料金は、新車79,800円(税抜)〜、中古車:59,800円(税抜)〜となっており、対人・対物・人身傷害保険、自動車税、重量税、車検代などが含まれています。 車の例をあげると定額制サービスを利用することにより、新しい車に乗り続けられる・ローンや保険に加入する煩わしさが解消される・初期費用が不要になるといったメリットを得られます。

■コマツ「スマートコンストラクション」

建設生産プロセス全体のあらゆる「モノ」のデータを有機的につなぐことで測量から検査まで現場全てを「見える化」し安全で生産性の高いスマートな「未来の現場」を想像していくソリューションです。建設機械や車両を製造する企業ですが、製品そのもののサブスクではなく、ドローン、測量機、建機、車両などから得られる建設現場に関する情報を一元管理するクラウドサービスも併せて展開しており、顧客との関係性構築をよくあらわしたものではないでしょうか。

サブスクリプションビジネスに役立つクレジットカードの継続課金

サブスクビジネス=顧客数増加のため、顧客数の増加に比例して管理業務の量も増えていきます。特に重要なのが、売り上げに関わる決済・請求業務です。顧客管理が煩雑になってくるなか、継続的な支払いに対応していくバックオフィス業務のオペレーション構築が重要になってきます。

「ミライスピーカー」という、音のバリアフリースピーカーを定額サービスとして個人向けに提供している株式会社サウンドファン様が目を付けたのがクラジットカードの継続課金でした。サブスクモデルならではの課題、そして解決策が述べられた事例になっていますので是非ご覧ください。

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監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
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