ファンドレイジングを利用して活動を円滑に!メリットや種類を解説

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NPOの活動を円滑にする上で、もはや欠かせないといっても過言ではない「ファンドレイジング」。この記事では、そもそもファンドレイジングとは何か、メリットや種類、始め方から実例まで詳しく解説いたします。

ファンドレイジングとはどんな行為?

クラウドファンディングは聞いたことがあっても、ファンドレイジングはあまり耳馴染みがない方も多いのではないでしょうか。実はNPOやNGOにとって、とても重要な仕事のひとつなのです。ここではファンドレイジングとはどのような行為なのか、また、クラウドファンディングとどのように異なるのかを詳しく解説します。

資金調達のことを指す

ファンドレイジングは、Fund(資金・蓄え)とRaising(引き上げる・調達する)をつなげた造語で、直訳すると「資金調達」を指します。非営利団体が活動のための資金を、個人や法人、助成金などで政府から集める行為のことです。NPO・NGOのほか、学校法人や研究機関、美術館や博物館、福祉施設やスポーツチームなど、さまざまな非営利団体で有用とされています。狭義ではNPOの寄付金集めを指す意味で使われることもあります。
また、広義では融資を受けることや助成金(補助金)を団体外から受け取ること、資金調達や商品・サービスの販売により事業収入を得ることも含みます。
ちなみに、ファンドレイジングの「ファン」を「支持者」「応援者」と捉える考え方もあり、その場合は資金調達を行う前段階にある、団体のファンを集める行為を指します。団体の活動に共感を示した方が支援、いわゆる見返りを求めずに資金提供をするという考え方です。

クラウドファンディングと異なる点

クラウドファンディングは、Cloud(群衆)とFunding(資金調達)をつなげた造語で、インターネットを通じて個人や団体、企業が不特定多数の人から資金を募ることをいいます。資金集めの手法であり、ファンドレイジングの具体的手法のひとつにもなります。

クラウドファンディングには、購入者に対し金額に応じた「お返し」を提供する「購入型」と、純粋な応援やサポートをするという意味合いの「支援型」があります。主に後者の支援型がファンドレイジングの手法として使われており、新しいアイデアや事業の立ち上げに活用されるケースが中心です。

ファンドレイジングの行い方や種類

ここまでファンドレイジングの概要に関して解説してきました。では、ファンドレイジングの行い方や種類には具体的にどのようなものがあるでしょうか。ここからはファンドレイジングの大まかな種類や、実際の始め方について解説いたします。

ファンドレイジングの大まかな種類について

ファンドレイジングには主に「寄付金」「会員費」「補助金・助成金」「自主事業収入・委託事業収入」の4つの種類があります。

・寄付金
「寄付金」と聞くと街頭などで行う募金活動を連想するかと思いますが、現在ではそれ以外にもマンスリーサポーター(毎月定額の寄付で継続的な活動を応援する制度)といった形態や、書き損じの未投かん葉書などの物品寄付、クレジットカードなどのポイント寄付などさまざまな形式があります。

・会員費
「会員費」はNPOの活動や理念に賛同する方々からの会費で、最も典型的なファンドレイジングのひとつです。会費は定額制なので、安定した資金調達になるというメリットがある一方、会員集めやその継続に労力がかかるといったデメリットもあります。

・補助金、助成金
「補助金・助成金」ですが、NPOといった社会をよりよくするという目的で設立された非営利団体には、その活動を支援するために国や地方自治体、民間の基金などによる補助金・助成金などが与えられます。こういった支援は第三者に団体理念や活動意義を知ってもらうきっかけになる上、新たな活動をはじめる際の大きな資金源となるメリットがあります。一方で、活動内容や資金の使用方法には制限があるため、自由度が低いなどのデメリットもあります。

・自主事業収入、委託事業収入
自主事業収入は企業がサービスを提供し、対価を得るという仕組みと同じで、純粋に団体が社会に貢献して得た収入を意味します。また、委託事業収入は国や地方自治体などが実施する事業をNPOに委託し、NPOが運営するという仕組みです。このように、NPOといった非営利団体でも活動によって収入が得られる場合があり、それらも活動資金となるためファンドレイジングになります。活動の独立性が高まったり、物品やサービスを通して認知度を上げて支援者を増やせるといったメリットがありますが、先行投資が必要なことや、非営利目的とした活動から離れてしまう恐れがあるといったデメリットもあります。

以上4つがファンドレイジングにおける主要な種別です。ただ、紹介したもの以外にも相続による寄付や、チャリティ・イベントを通した寄付などもあります。

ファンドレイジングの始め方1.決済方法を決める

前述したようにファンドレイジングにはいくつか種類がありますが、ここでは主に寄付金についての解説をします。

単発の寄付に適した郵便振替、銀行振込、コンビニ決済などをはじめ、継続的な寄付に便利なクレジットカード決済、銀行振替などがあります。支援者がキャッシュレスを希望する場合には、Tポイントで寄付が可能な「Yahoo!ネット募金」や、Amazonに登録しているクレジットカード情報を引用し、入力要らずで寄付ができる「AmazonPay」などもあります。
どのような決済方法にせよ、支援者が寄付をしたいと思った際に利用しやすい窓口をいくつか設けておくことが大切です。

ファンドレイジングの始め方2.寄付を募る理由を明示する

千葉県による平成29年度の「寄附に関する意識調査」では、寄付をするにあたって妨げとなる理由について調査が行われました。そこで寄付をしない理由として、「寄付をしても役に立っているかわからない」が57.2%、「寄付を行う先の十分な情報がなかった」が36.2%と最も多く、寄付を募る理由を明らかにすることの大切さがわかるアンケート結果となりました。

このことから、ファンドレイジングにおいて寄付を募る理由や目標金額を明示すること、集まった寄付のその後に関する情報を公開することは、とても重要な行為だということが分かります。では、どのようにしてこれらの情報を開示していけばいいのでしょうか。

ファンドレイジングの始め方3.SNSで活動を拡散する

前述のように、寄付をしても役に立っているかわからないと感じる人は半数以上となっています。ファンドレイジングは、決して寄付をされて終わりなのではなく、寄付されてから寄付者との関係が始まるのです。

寄付金を活用して事業や活動を実施する場合、その使途や得た成果をSNSで発信し、活動を拡散しましょう。ファンドレイジングの開始や終了、目的達成の告知はもちろん、寄付を使った活動に進展があった場合も告知を行うことが、信頼性を高める上でとても大切です。その際、文章のみでなく写真なども盛り込むと、寄付者に伝わりやすくなります。
SNSでの発信は見過ごされがちですが、継続的に情報を発信していくことで多くの人へ情報を届けることが可能になり、非常に有効な手段です。

ファンドレイジングを行うメリット3選

では、ファンドレイジングを行うメリットにはどのようなものがあるでしょうか。
ここでは金銭面以外のメリットを3つご紹介いたします。

サービス内容を伝えやすい

ファンドレイジングは単なる資金調達ではありません。非営利団体が解決したい社会問題や理想的な社会を目指す活動に共感してもらい、一般の方の参加を促し、社会をより良くしていくための手段のひとつです。ファンドレイジングはサービス内容を伝えやすく、支援者を募りやすいことがメリットですが、支援者を得られれば寄付金も必然的に増えるため、より一層活動の活性化が期待できるでしょう。

寄付で社会貢献意識を持ってもらえる

寄付をきっかけに社会的な課題への理解を深め、自分自身でボランティアや本業を通じて社会貢献を始める方もいます。単なる資金調達に留まらず、寄付者に社会貢献意識を持ってもらえることも、ファンドレイジングの大きなメリットといえます。

精神的なリターンで善意の輪が広がる

ファンドレイジングは投資のように金銭的リターンが期待できるものではありませんが、寄付を通した社会参画と、自らの善意が社会に役立つ喜びはほかに代えられないものがあります。この精神的なリターンにより、金銭的な損得だけのつながりではないコミュニティに発展することも利点といえるでしょう。

実例紹介|ファンドレイジングを効果的に利用できたケース

ファンドレイジングを効果的に活用できたケースにはどのようなものがあるでしょうか。「国境なき医師団」と「NPO法人エイズ孤児支援NGO・PLAS」のケースについてご紹介します。

「国境なき医師団」

国境なき医師団は、緊急医療・人道援助団体です。自然災害や紛争、貧困などにより人命が脅かされる緊急事態が発生した際に、48時間以内に現場へ駆けつけます。その機動力を支えるのが、ファンドレイジングによって集まった資金です。
1992年に日本事務局を設立し、日本での資金調達を開始しました。2021年度の寄付金額は111億円にのぼります。テレビや新聞および雑誌への広告掲載、ダイレクトメールや会報誌の郵送、デジタルマーケティング、SNSなどあらゆる手段を駆使し、主に個人から寄付を募っています。ファンドレイジングにも財源をあてることで、広告やキャンペーンなど多額の費用がかかる手段も取り入れ、継続的な成長のために投資することを重視しているようです。

「NPO法人エイズ孤児支援NGO・PLAS」

PLASはエイズで親をなくし取り残された孤児や貧困に苦しむ子供を支援するための法人で、2005年に日本で設立されました。アフリカで取り残された孤児や貧困家庭の子供たちが前向きに生きられるように地域社会とともに課題解決に取り組んでいます。
年間予算である約3500万円を集めるために、主にインターネットを活用してファンドレイジングを行っています。特徴的なものとして、NFTチャリティオークションがあります。NFTとは偽造や改ざんが難しいブロックチェーン技術を使い、デジタルデータに固有の価値を付加したものです。著名人のデジタルアート作品をNFT化してチャリティオークションを行ったのがPLASで、日本では新しい取り組みでした。1作目発表から1ヶ月足らずで取引額は約4086万円を超え、これらは支援活動に全額寄付されました。

ファンドレイジングで失敗しないためのポイント

続いて、資金を集めるためのコストへの理解や心構えなど、ファンドレイジングで失敗しないためのポイントを3つご紹介します。

寄付を集めるためにかかるコストを概算する

寄付集めや会員拡大、宣伝などには、パンフレット作成からウェブサイト・SNSでの広報、ダイレクトメールの発送やイベント開催、さらにはそれらにまつわる人件費などさまざまなコストがかかります。いくら集めるためにどれだけ使ったか、コストを概算することがとても重要です。そうすることで、来年度の活動を予算化する際に目標設定ができるようになります。それにより、より戦略的なファンドレイジングの計画策定が可能です。

寄付金だけで活動を存続させようとしない

通常のNPO活動にプラスして寄付金が加わり、より円滑な活動ができるようになることが理想です。事業収入だけに頼ることはおすすめできませんが、かといって会費や助成金、寄付だけに依存してしまうと、活動に独立性が持てなくなる可能性があります。
多様な財源を確保し、基本的な活動は自分たちの力・資金でまかなえるのが理想的です。

寄付してもらったら何度もお礼を重ねる

人は感謝されると「自分が誰かのために行動できた」という成功体験になります。寄付に関しても同様で、寄付者に対し感謝の気持ちを伝えることが社会貢献を実感してもらう上でとても大切です。では、どのタイミングで感謝を伝えるとよいのでしょうか。
日本ファンドレイジング協会によるファンドレイジング7つのステップには、「感謝・報告・評価」というものがあり、その中で「一度支援してもらったら7回感謝しよう」と提示されています。寄付を受けたときのお礼の挨拶や会報への氏名掲載、暑中見舞いや年賀状、ニュースレターの送付、イベントへの招待、事業報告書の送付時などにお礼を伝えていくのがよいでしょう。

ファンドレイジング決済に「サブスクペイ」を活用しよう

ファンドレイジングのスムーズな決済管理をしたい方はサブスクペイの導入をご検討ください。ROBOT PAYMENTはオンライン決済業界をリードしてきた知見を生かし、「Fintech×Robot」の技術で企業のお金まわりの業務を自動化する仕組みを開発、提供しています。「お金をつなぐクラウドで世の中を笑顔に」という標語の下で、企業のお金をテクノロジーでつなぐサービスでお客様を成功に導き、皆を笑顔にすることを目指しています。

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まとめ

ファンドレイジングはNPO法人などが継続的に活動するための重要な仕事のひとつです。資金の調達のみならず、団体のファンを集め、社会問題に目を向けてもらう大切な仕事と言えます。しかしそれらの活動をするのに際しても、コストがつきものです。また、誰がいつ、どれだけの金額を寄付したのかの管理も重要となります。ファンドレイジングのスムーズな決済管理をされたい方は、是非サブスクペイの導入をご検討ください。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。