融資の手続きや気を付けるポイントは?

経理

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融資の手続きや気を付けるポイントは?

会社にとって非常に重要な資金。通常は、金融機関からの借り入れを行うことすなわち「融資」により、資金を得ることになります。
融資には大きく分けて、「設備購入のための資金」と、「経営をしていくための資金(運転資金)」があります。

設備資金と融資の際のポイント

設備のための融資では、その設備を使ってなんらかの新規事業を立ち上げなど、新たな収入が得られるものが多くあります。

設備のための融資では、融資を受けるべき金額がある程度はっきりします。
また、融資を受けるための理由についても、「融資を受ける設備がどの程度経営に良い影響を及ぼすのか」あるいは「どの程度会社の営業利益を改善することができるのか」などを明確に説明することで、銀行としても前向きに融資を検討することができます。

運転資金と融資の際のポイント

融資の手続きや気を付けるポイントは?

運転資金については、給与の支払いや仕入れ代金の支払いを売り上げ代金の入金前に行うことになる場合、融資により資金調達します。
主に以下のようなケースが該当します。

・売掛金などの回収サイトが長期間である場合
・在庫として商品や製品を抱える期間が長い場合

「黒字倒産」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
これは、利益は出ているが運転資金の融資を受けることができず、結果として倒産してしまうことを言います。中小企業で運転資金の管理を十分に行っていない場合などに起こってしまいます。

運転資金の借入を行う際には、いったいいくらの金額を借入れるべきなのか、自社内で把握することが必要になります。この点が設備資金とは大きく異なると言えます。
 
運転資金を把握するには、以下のような資金繰り表で日々の資金の入金と出金を管理することが必要になります。これは、どんな大企業でも行っていることで、中小企業の場合は、絶対に必要なことになります。

9月
項目 前月末 1日 2日 10日 25日 30日
入金予定
1.売上代金の入金 1200
2.その他の入金 10
入金計 0 0 10 0 0 0 1,200
出金予定
1.商品代金の支払い 300
2.家賃の支払い 30
3.給与の支払い 400
4.外注先への支払い 300
5.水道光熱費の支払い 20
6.金利の支払い 10
7.借入金の返済 100
出金計 0 0 330 20 700 0 110
収支 -330 -20 -700 0 1,090
銀行残高 800 800 800 480 460 -240 -240 850

上記のような表を数ヵ月先まで作成し、わかるところだけでも入力しながら資金の不足が発生しないかを日頃からよく見ておくことが必要です。
 
運転資金は、会社が生きていくための血液のように必要不可欠なものです。しかし、運転資金の融資では、いくら必要なのかということを銀行に対して説明する必要があります。そのため融資の際には、上記の資金繰り表・月別の試算表・今後の入金予定などを銀行から要求され、必要額と返済が可能であることを説明していくことが重要です。

運転資金については、創業から間もない場合には長期運転資金として長期借入金として申請することもあります。創業からある程度の期間を経て、利益が出てくる状況になっている場合では、短期借入金として、一年以内の借入金で手当するケースが多くなります。

借入金の契約内容について

借入金の契約内容には、大きく分けて「証書貸付」と「当座貸し越し・手形貸付」の2つがあります。

長期借入金は「証書貸付」と言います。
証書貸付は、5年などの融資期間において、各月ごとに均等に支払を行い、返済していく方法です。

これに対して、短期借入金は、「当座貸越・手形貸付」による方法になります。
手形貸付は、近年ではすくなくなりつつありますが、会社が借入期間後(借入期間によりますが、3ヵ月~1年までが通常です)に借入額を支払う支払手形を、銀行に対して降り出して、それを元に銀行から資金を得る方法です。
当座貸越は、当座預金口座を利用して、不足額を一時的に借り入れて、必要がなくなった場合は、すぐに返済する方法になります。

上記以外にも、コミットメントラインやシンジケートローンなどの方法もありますが、中小企業の場合は、上記の方法で十分対応できます。

保証協会とは?

融資に対して、各都道府県にある保証協会による貸付に対する保証を得ることができる場合と、保証協会を使わない方法(プロパー融資などと言います)があります。

保証協会とは、企業が銀行から資金を借りやすくするために、各都道府県の保証協会が、銀行融資の支払を保証する制度です。これにより、中小企業に対して金融機関が貸し付けた場合に、貸付先が倒産したときにも、金融機関には、保証協会から資金が返済されることになります(=保証協会で損失が発生します)。

上記のような制度ですので、特にメガバンクや地銀・信金などの民間金融機関で、業績が不安定な会社への貸付では、保証協会を利用した貸付を行うケースが多くなります。
さらにこれらの借入は、金融機関への金利の支払い以外に、保証協会への保証料の支払いが発生するため、これを合計したものが、実際の金利支払い額になります。

借入に必要な資料

以上のような段階を経て、融資を受けるべき資金や借入方法、保証協会の利用の有無などを考慮して、実際の申請に移ります。
借り入れ申請時の必要資料は、下記の通りです。

(1)借入申込書
(2)会社概要書
(3)会社登記簿謄本
(4)事業計画(必要な場合)
(5)直近の決算書(2期分?3期分)
(6)月次試算表(直前月まで)

これらのうち、(3)は、全部履歴事項証明が正式名称ですが、各地域の管轄の法務局にて取得することができます。また、通常は、発行した日付が提出日の3ヵ月前や6ヵ月前までに限定されているので、念のため確認した方が良いと思います。

上記のような書類を持って、最終的な借入の申請を行い、最終的には金融機関担当者よる経営者との面談があり、最終的な借入の実行になります。

資金は、会社にとっては、血液と一緒です。この資金をうまくコントロールするためには、融資が必要であり、資金の必要な性質や期間、返済額などを考慮して、適切な借入方法を選択することが重要です。

この記事の著者紹介

kimoto
木本 恭次(きもと きょうじ)
公認会計士・税理士
木本公認会計士・税理士事務所代表

平成11年公認会計士登録。監査法人にて6年間会計監査・上場準備支援・中小企業向けコンサルティングを実施。2001年より2013年までデロイトトーマツコーポレートファイナンス(株)(現デロイトトーマツFAS(株))、ドイツ証券株式会社、PwC株式会社にて、M&Aアドバイザリーサービス・資金調達業務・資産運用業務等に従事。2013年より株式会社KLASおよび木本公認会計士税理士事務所を開業し、税務会計顧問のみならず、中堅・中小企業向けの事業計画を利用した経営、資金調達、M&A、補助金獲得などの支援業務を総合的にサービス展開。販売先の開拓などの支援も行い、具体的で結果を出すサービスに定評がある。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
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