NPOの資金調達の種類は?一般的な方法からマンスリーサポーター制度まで解説

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NPOとして活動するにあたって、資金調達は欠かせない要素です。NPOは非営利組織ですが、特定非営利活動促進法で定められた条件に沿って収入を得る方法は複数存在します。この記事では、NPOの資金調達の種類と概要について具体的に解説します。継続的な資金調達が見込めるマンスリーサポーター制度や、サブスクリプションのシステムについても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

そもそも「資金調達」ってどんなもの?

NPOにおける資金調達とは、活動に関わる人件費や広告宣伝費などに必要な資金を確保することです。ビジネス用語として使われる場合もあり、事業資金の確保を目的としているという点についてはNPOと共通しています。

NPOの資金調達の種類は?

認定NPOとして法人格を有する団体である場合、主な資金源は「会費」「寄付金」「本来事業からの対価収入」「非本来事業からの対価収入」「助成金」「補助金」「借入金」「金利」の8種類に分類できます。本来事業とは「特定非営利活動に係る事業」、非本来事業は「その他の事業」を意味するものです。NPO法人は、本業である特定非営利活動に支障がない範囲でその他の事業を行うことが認められていますが、収益は全て特定非営利活動に関わる事業の運営資金に充てる必要があります。

NPOの資金調達方法1:寄付・会費

不特定多数から寄付金を募集していたり、団体に所属する人から会費の支払いを受けていたりするNPO法人は多数存在します。まず、寄付と会費による資金調達方法の特徴やメリットについて見ていきましょう。

特徴

「寄付」は金額や頻度などが決まっておらず、NPO法人の方針・事業内容などを支持する外部の個人または企業から支出される金銭・物資を指します。NPO法人に対する寄付は、現金やクレジットカード払いによるクラウドファンディング、個人や企業による物資の寄付など、さまざまな種類があるのが特徴です。
反対に「会費」は、NPOによって金額が設定されており、正会員や賛助会員などから継続的に一定の金額を徴収する仕組みとなっています。どちらも大切にしたい資金源のひとつです。

メリット

NPOに対する寄付・会費は基本的に使途が自由であることから、資金調達の一環としてその仕組みを取り入れているNPOは多数存在します。特に会費は定期的に資金が得られる点と、NPO法人として認定を受けた団体は会費や入会金などが課税対象に含まれない点から、安定した収入源になります。

デメリット

NPO法人として継続的に認定を受けるには、事業収支書、収支計算書などの各種書類を毎年作成し、所轄庁へ提出する必要があります。なお、所轄庁への報告を3年間怠ると、NPO法人の認定取り消し対象になるため注意が必要です。このことから、寄付・会費に関する税制上の優遇を適用するには、書類作成に関わる管理事務や報告事務などが定期的に必要となる点がデメリットといえるでしょう。

NPOの資金調達方法2:事業収入・借入金

NPOは事業運営の過程で収入を得ている場合があり、事業資金を借入金で補っていることもあります。ここでは、NPOが事業収入・借入金を活用する仕組みとメリット・デメリットについて解説します。

特徴

NPOにおける「事業収入」とは、非営利活動に関わる事業やその他の事業によって得られる収入を指します。企業や自治体などから収益事業を受注して収益を得るなど、NPO法人の主要な活動を達成するための資金源になる場合が多く、独立したNPO法人を目指す上で重要な活動・収入源になります。
「借入金」は、金融機関による融資や会員・支援者を対象とした私募債など、返済を前提とする収入のことです。近年ではNPO向けの融資制度が整えられており、事業の初期費用を借入金で補うといった利用方法があります。

メリット

事業収入は基本的に使途の制限がなく、NPO法人の自主財源として確保できる収入になります。NPO法人は事業運営に必要な職員を雇用できるため、職員の雇用を増やすことで法人として組織的な活動が行いやすくなるというメリットがあります。
また、借入金利用の利点として、資金繰りを一時的に安定させるのに適しているというのがあります。一般的には新規立ち上げや事業開始時など、一定のコストが発生する時に借入金を利用します。

デメリット

事業収入は時期によって金額が安定しない場合があるため、事業収入をメインとしているNPOは活動資金が不足するリスクがあります。また、収益事業に集中しすぎることでNPOとしての活動が滞ってしまうといった事案が発生すると、会員や寄付者からの印象が悪化することも考えられるでしょう。
借入金は返済を前提とした資金であり、借入する際は収入の見通しや返済予定を立てる必要があります。返済開始後に収入が減少した場合は、早急に返済予定の見直しが必要です。

NPOの資金調達方法3:助成金・補助金

事業運営を支援する目的で助成金・補助金を提供する団体や自治体は多数存在しており、近年では申請を行うNPOの数も増えています。ここでは、助成金・補助金を申請する上でのメリット・デメリットについて解説します。

特徴

助成金・補助金は、他の資金調達と同じくNPO法人を対象とする支援ですが、支援を実施している団体の種別が異なります。
「助成金」は、民間団体が提供する制度で、NPO法人の活動資金を補助する目的で与えられるものです。「補助金」は、国もしくは地方自治体によって提供されており、審査後に予算として採択されてから支給されます。

メリット

新規設立や事業立ち上げなどで資金調達を必要とする際、助成金・補助金の申請は有効な資金調達方法です。審査に無事通過した場合、NPOとしての信用性を客観的に証明できるという点もメリットでしょう。

デメリット

助成金・補助金は提供元の方針変更によって打ち切られる場合があり、安定した資金調達にはならないケースが多い傾向にあります。支給される時期や使途があらかじめ指定されている場合もあり、必要に応じて活用できるとは限らないのもデメリットです。また、申請に関わる手続きや、書類作成の業務による負担が重くなることも考慮する必要があります。

NPO法人として正式に認められるためには?

NPO法人として正式に認定されるには、特定非営利活動促進法で定められた要件を満たす必要があります。なお、NPOとして法人格を取得することで、補助金・助成金の申請、寄付金収入に対する税制上の優遇などを受けられるようになります。
NPO法人として認定を受けるには、所轄庁への申請書類提出と、審査を経た上で法人設立の手続きが必要となり、書類作成から登記手続き完了までに3~4か月ほどの期間を要するのが一般的です。活動内容についても制限が設けられており、NPO法人は以下の20種類に該当する「特定非営利活動に係る事業」を行う団体として定款を作成、運営することが求められます。

●保健、医療又は福祉の増進を図る活動
●社会教育の推進を図る活動
●まちづくりの推進を図る活動
●観光の振興を図る活動
●農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
●学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
●環境の保全を図る活動
●災害救援活動
●地域安全活動
●人権の擁護又は平和の推進を図る活動
●国際協力の活動
●男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
●子どもの健全育成を図る活動
●情報化社会の発展を図る活動
●科学技術の振興を図る活動
●経済活動の活性化を図る活動
●職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
●消費者の保護を図る活動
●前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
●前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

NPOに関するよくある誤解

地域振興や医療福祉などを主に行い、なおかつ「非営利組織」という名称であることから、NPO法人は利益の上げ方や使途などについて誤解を与える場合があります。ここでは非営利組織の定義と、営利組織である株式会社との違いについて紹介します。

ボランティアではない

「非営利」とは、「利益の分配を行わない」という意味です。利益を上げずに無償で活動を行うボランティアとは異なり、NPO法人は利益を上げても問題はありません。しかし、利益の使途が決められており、一般企業における給与のような扱いで分配して使用してはいけないのです。

株式会社とも異なる

法人格を持つ点は共通していますが、株式会社は営利組織である点がNPO法人と異なります。株式会社は株主が事業資金を負担し、利益が配当として分配される営利組織であることが特徴です。一方で、NPO法人は会員や寄付者などが事業資金を負担し、利益は非営利活動に関わる項目に再投資する非営利組織であることが特徴といえます。

●課税の方法
NPO法人は寄付金が課税対象外になっており、事業収入に対しては法人税が課税されます。消費税や固定資産税などの納税は営利法人と同様に義務です。寄付・会費や事業収入など複数の方法で資金調達を行うNPO法人である場合、事業収入に分類される金額に対して法人税が課税されます。

●株主と配当のルール
事業によって利益が得られた場合、株式会社は出資者へ利益を分配しますが、NPO法人は利益の分配ができません。NPO法人は非営利活動を主な目的とする組織であり、事業による利益は事業活動へ投資または繰り越しを行うのが一般的です。

NPOの資金調達を成功させるには?

NPOとしての非営利活動を安定させるには、継続的な資金調達を確保することが重要です。
ここでは、資金調達を安定化させるための方法について解説します。

財政が安定する黄金比を知る

NPO法人が財政を安定させるには、活動資金の3分の1ずつに分け、それぞれ「寄付・会費」「事業収入」「助成金・補助金」で構成するのがおすすめです。資金調達の方法にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、特定の方法に偏っていると収入が不安定になるリスクが増します。また、寄付・会費や助成金・補助金は資金の使途が限られているケースもあり、活動内容が制限されやすくなる点に注意が必要です。

自由と安定が両立する「マンスリーサポーター制度」を活用する

マンスリーサポーター制度とは、毎月定額の寄付を行うことによって、NPOなどに継続的な支援ができる制度です。この制度を通じて、寄付するメリットを明確化し、団体へのファン意識の向上を図ります。なお、金額や決済手段は各団体で異なっており、NPO法人にとっては毎月定額の支援を受けられる仕組みとなります。使途の制限がない収入のため、NPO法人として自由に扱える資金が得られます。ちなみに、NGO・NPOによっては、マンスリーサポーター制度の加入者に独自の呼び名を付けているところもあります。

マンスリーサポーター制度のメリット

毎月一定額の支援が行える方法として、近年ではマンスリーサポーター制度を導入するNPOが増えています。1か月単位で寄付できる仕組みで、寄付者にとってもメリットがある制度です。以下、詳しく解説していきましょう。

導入時のメリット

マンスリーサポーター制度を取り入れている団体では、クレジットカード決済が主な決済手段となるため、資金調達に伴う事務作業の負担が軽減できるのがポイントです。
また、会費や助成金・補助金などと比較すると、マンスリーサポーター制度による収入のほうが安定性に長けているのも大きなメリットでしょう。

その他にも、NPO法人活動においてのボランティア募集や職員募集など、寄付者に向けて情報が発信しやすくなる利点もあります。
このように、継続的な出資方法を用意することで事務作業の効率化を図るだけでなく、寄付者とNPO法人の接点を増やし、結果的にNPO法人の運営に関わる人員を増やすことも可能になります。

寄付者のメリット

個人が認定NPOや特例認定NPOなどに寄付を実施した場合、寄付金額に応じた税額控除を受けられます。所得控除・税額控除の適用に関しては、確定申告の際にいずれか一方のみが選択できます。また、寄付金額を1か月ごとに設定できるため、寄付者側の心理的負担も減り、非営利団体の活動に目が向きやすくなるのもメリットでしょう。

NPOの資金調達の問題を解決してくれる「サブスクペイ」とは?

マンスリーサポーター制度の導入を検討する際は、高い需要があるクレジットカード決済を手段として設けることをおすすめします。毎月決済のサブスクリプションを導入するにあたっては、株式会社ROBOT PAYMENTが提供している決済代行サービス「サブスクペイ」の導入をぜひご検討ください。
サブスクペイは累計12,000社以上の導入実績を誇るサービスです。サブスクペイを経由して取得された顧客情報や決済状況は単一のデータベースで管理されるため、管理業務の手間を削減し、あらゆるコストカットを実現します。決済時期や金額なども個別に設定できるため、決済手続きが自動化できるのも大きなメリットのひとつです。

まとめ

NPOは所定の条件を満たして法人格を得ることで、事業収入や助成金・補助金など複数の方法で資金調達を行えるようになります。NPO法人としての審査手続きには3~4か月程度を要しますが、審査に通過した場合には社会的信用の向上をはじめ、寄付金収入が課税対象外になるなどのさまざまなメリットがあります。
資金調達を目的としたマンスリーサポーター制度の導入を検討しているNPO法人の方は、株式会社ROBOT PAYMENTの決済代行サービス「サブスクペイ」の導入をぜひご検討ください。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。