債務超過で融資を受けるには? 債務超過を解消する5つの方法を解説

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2022年3月28日に株式会社東京商工リサーチから発表された記事をご存じでしょうか。『「稼ぐ力」を失い、過剰債務と返済能力が悪化 倒産企業の財務データ分析(2021年)』と題打たれたこの記事において、2021年に倒産した企業308社の有利子負債構成比率は70.5%であったことが判明しています。

つまり、調査対象である倒産企業の借入金依存度が非常に高かった、という結果になりました。また、倒産していない企業37万1,476社の比率が29.58%であったことと比較すると、その重大さが理解できるでしょう。

継続的な赤字経営などを理由に過剰債務に陥り、債務超過を経て倒産に至ったことが想定されますが、債務超過状態になってしまったら倒産を待つしかないのでしょうか。方法はひとつではないものの、債務超過という財務状況が倒産につながり得ることは事実です。

こうした状況を打開するための対策として「融資」が挙げられますが、債務超過状態の企業に対して融資が認められることは難しいのが実情といえます。そのため、「債務超過の状態を解消すること」を優先するべきでしょう。

この記事では、債務超過を解消するために実行できる5つの方法について紹介しています。債務超過そのものについての解説や、資金繰りの手段として融資以外に利用できる、当社が提供する「1click後払い」についても併せて記載しているので、ぜひ最後までご覧ください。

債務超過とは

まず「債務超過」は「債務額が資産の総額を上回っている状態」を指します。また、債務超過に似ている単語として「過剰債務」がありますが、これは「債務が適正水準を超えている状態」を指します。そのため、「債務超過」とは意味が異なるため、注意しましょう。

債務超過の具体的な状態

「債務額が資産の総額を上回っている状態」とは、給付や行為を提供する義務を、負債が増えすぎて実行できない常態のことをいいます。負債は買掛金や借入金などが含まれ、資産には売掛金や現預金、不動産などが含まれます。

ある時点において、資産の全てを合わせた金額よりも全ての負債を合わせた金額の方が大きい場合のことを「債務超過」状態というのです。

例1)債務超過状態を示す貸借対照表

総資産額1,000 総負債額1,200
資本▼200

債務超過になってもすぐには倒産しない

債務超過の状態では倒産のおそれがあるものの、必ずしも倒産に直結するとは限りません。企業が抱えている負債の中には、「支払い期限に余裕がある負債」や「利益剰余金で賄える負債」なども含まれるため、細かく見ていくと「緊急で返済すべき負債」と「緊急性のない負債」に区別できます。緊急性の高い負債を現預金で支払える状態にあれば、債務超過状態とはいえ、すぐに倒産するとは限らないのです。

しかし、債務超過の状態が長引くようであれば企業経営を圧迫し続けることになるため、常に倒産の危険性を帯びていると捉えて間違いありません。

債務超過の主な原因

債務超過がどのような状態を指すのか、ご理解いただけたでしょうか。続いては、企業が債務超過に陥る主な原因として、下記の2点を紹介します。

赤字の常態化

債務超過の要因として大きいのが赤字経営の常態化です。つまり、企業の売上よりも支出の方が大きい状態のことを指します。また、資産と負債の関係性とはまた異なるため、赤字経営だからといって債務超過に陥るわけではありません。

問題は、赤字経営の状態が継続してしまう点にあります。一時的に赤字経営に陥ったとしても翌年度で持ち直すことができればよいのですが、常態化してしまうと毎年資産が減少し、ついにはマイナスになってしまうおそれがあるでしょう。資産がマイナスになることはすなわち、負債が資産を上回る状態=債務超過状態を指します。

会社設立後の損益が安定しない

2006年5月に施行された「新会社法 第2-2-(1)設立関係(第1章)」に記載があるように、会社の設立に際しては出資額が1円でも可能となっています。これにより、起業における敷居は非常に低くなった背景がありますが、会社の設立後に事業がうまくいく保証はありません。事業が軌道に乗らなければ、会社組織としての経営はとても苦しいものになることが想定されます。用意できる資本金が少なければなおのこと、赤字経営にもつながりやすく、結果として債務超過に陥るおそれは大いにあるでしょう。

また、会社の設立後に限りませんが、設備投資に多額の費用をかけた場合、費用対効果が想定以下になることもあり得ます。設備投資に際して多くの借入金を投入しても、リターンが少なければ返済が滞り、債務超過に陥るかもしれません。

債務超過のリスク

続いては、債務超過に陥った際に発生が想定される5つのリスクについて解説します。いずれも、会社組織を継続して運営していくにあたって非常に致命的なものです。

銀行から融資を受けられなくなる

「負債が資産を上回っている状態」にあるということは、会社が保有する全ての資産を売却したとしても、売却金で負債の全額を賄えないことを指します。このような状態にある会社へ融資したとしても、貸したお金が返ってくる見込みは非常に低いといわざるを得ません。融資したお金を返済できる見込みのない会社にお金を貸すことは、銀行にとって単なるリスクです。債務超過状態で銀行から融資を受けることは極めて難しいことを覚えておきましょう。

なお、数年以内に債務超過の状態から脱却できる見込みがある場合、この限りではありません。例えば、直近で大きな利益が発生している場合などはこれに該当します。しかし、ただ利益が発生しているからといって、債務超過を解消できるかどうかの保証はできません。そのため、詳細かつ明瞭な「経営改善計画書」を作成の上、銀行に提示することが必要になります。

取引先との信頼関係に影響がある

債務超過に陥ることは、会社としての「信用」を低下させることとほぼ同義です。銀行からは融資を受けられなくなるのと同様に、あらゆる取引先からの信頼が失墜することも想定しておくべきでしょう。取引先からの信頼が失墜すれば、「既存顧客との取引規模の縮小、または取引停止」「新規の取引先との契約不可」といった事態が考えられます。

会社が倒産しやすくなる

債務超過に陥ってもすぐに倒産するとは限りませんが、将来的に債務超過の状態を解消できる見込みがなく、何年も継続してしまうようであればほぼ確実に倒産してしまうでしょう。債務超過の状態は資産が少なく、融資を受けづらいため資金繰りも難しいことがほとんどです。債務超過の状態から倒産してしまう危険性を回避するのであれば、「債務超過を解消して融資を受ける」「銀行から融資を受ける以外の方法で資金繰りを行う」などの手段が挙げられます。

経営者の自己破産につながるおそれがある

債務超過を理由に会社が倒産し、破産することになっても、経営者も連帯的に破産するとは限りません。会社が受けていた融資の連帯保証人として経営者が名を連ねていた場合は、会社が返済できなかった債務を経営者が支払うことになります。そうでない場合は、経営者に対して責任が問われることはないのです。

しかし、会社の破産に際して選任される破産管財人は、全社的に「財産や債権者の隠匿がないか」を調査します。もし隠された財産や債権者が明らかになった場合は、たとえ連帯保証人でなくても経営者に対して責任が問われることになり、債務を返済できなければ経営者まで自己破産をする事態につながりかねません。

なお、会社が銀行など金融機関から融資を受ける際に経営者が連帯保証人となることを「経営者保証」と呼称しますが、前述したように、このシステムによる弊害も存在します。このような問題から経営者を保護するためのガイドラインである「経営者保証に関するガイドライン」が制定されているので、あらかじめ目を通しておくとよいでしょう。
>>中小企業庁:経営者保証のガイドライン

上場企業は上場廃止になる

日本取引所グループによれば、上場企業における「上場維持基準」の1項目として、「純資産の額が正であること」と定められています。これは、プライム市場、スタンダード市場、およびグロース市場全てに共通している項目です。また、「上場維持基準」について不適合である場合、「適合しない状態となった時から原則として1年内に上場維持基準に適合しなかったときは、上場廃止」になるとされています。

つまり、上場企業が債務超過状態に陥って1年を超えた場合は、上場廃止になるのです。上場廃止になれば株式の一斉売却によって株価の暴落が発生し、株式市場で利益を得ることは不可能となるでしょう。また、企業としての社会的地位や魅力も大幅に低下することが予想され、会社組織の存続そのものが危うい状態に陥るおそれがあります。
>>上場基準廃止の概要|日本取引所グループ

債務超過と赤字は別物

次に、債務超過について語られる際に誤解されがちな「赤字」との違いについて解説していきます。会社組織として経営状況が悪化している点では似たような状況といえるものの、厳密には異なる状態であるため、確実に把握しておきましょう。

赤字とは利益よりも費用が多い状態

赤字は「月ごとや年ごとなど、一定の期間における費用が利益よりも多い状態」です。それに対し債務超過とは、「累計した負債の額が総資産額よりも多い状態」となります。規模の小さい家計を例にして、少し簡易的に考えてみましょう。

1月の家計総収入が30万円で、総支出が35万円の場合は「赤字」です。一方で、貯金や不動産の総額が2000万円あったとして、世帯の借金が4000万円あれば2000万円の「債務超過」ということになります。

つまり赤字とは、月次や年度など単期における収支のアンバランスを示す概念なのです。また、赤字の場合は「損益計算書」に記載し、債務超過については「貸借対照表」に記載するという違いもあります。

赤字でなくても黒字倒産することもある

「赤字」は単期における支出の多さを示す数値です。そのため、一時的に赤字になったからといって、その会社が債務超過の状態にあるとは限りません。

例えば、高額な設備投資を行った影響で、ある月の支出が会社の利益を大幅に超えることはあるかもしれません。しかし、「それに見合うだけのリターンが得られる」「高額な支出を補えるだけの余裕がある」といった条件がそろっていれば、その会社が債務超過に陥ることは考えにくいでしょう。

一方で、恒常的に現預金や売掛金などの資産が不足しているが、ある月次、ある年度だけ会社の利益が支出を超過した場合はどうでしょうか。該当の月次、年度においては黒字ですが「恒常的な資産の不足=債務超過」状態にあるため、一時的な黒字では賄いきれない財務状況下にあるといえます。そのため、「黒字なのに倒産」という状況が成立してしまうのです。

融資を受けるには債務超過を解消する必要がある

債務超過の状態では、銀行などの金融機関から融資を受けることは非常に難しいといえます。そのため、何よりも優先して行うべきなのは「債務超過状態の解消」です。解消方法については次項で詳しく解説しますが、解消の見込みがある場合は、融資を依頼する金融機関に「経営改善計画書」を提出して「債務超過の原因」「解消の見込みとその根拠」を明示しましょう。

現状としては債務超過の状態にあっても、将来的には返済してくれるだろうと判断されれば、融資を受けることができるかもしれません。

また、必ずしも金融機関からの融資のみにこだわる必要はないでしょう。以下に挙げる融資制度を利用すれば、債務超過状態でも融資が受けられる可能性はあります。

・地方自治体による「制度融資」
・中小企業庁による「金融サポート」
・「中小企業新事業活動促進法による経営革新支援」
・各種「経済安定対策」
・各都道府県における「中小企業活性化協議会」への相談

上記、各制度の詳細については、公式HPや該当の窓口にてご確認ください。

債務超過を解消するためには?

それでは、債務超過に陥った際の解消方法について、5つに分けて解説します。各社の財務状況により適切な方法が異なるため、自社に合った方法で債務超過の解消に臨むとよいでしょう。

利益を上げ黒字化を目指す

1つ目の方法は、3つの視点から会社の利益を上げていくことです。3つの視点とは、「支出を減らす」「利益を上げる」「経営状況を見直す」の3点となります。

自社の経営状況を徹底的に洗い出し、無駄な点があれば都度、対策を講じていきましょう。人件費の削減や資産の売却、人員配置を変えることで生産性を上げるなど、できることはあるはずです。ポイントは、急に収益を増やそうとするのではなく、「無駄な点を排除していく」ことになります。

地道なやり方ではありますが、最も現実的で効果的なやり方です。この手法で利益を上げ続けていけば、黒字経営の継続、そして債務超過からの脱却につながるでしょう。

増資する

経営者本人による出資や新株の発行、会社役員からの借入金を資本金に切り替えるなどの方法を取れば、資本金を増やし、債務超過の状態を解消することが可能です。以下の表で確認してみましょう。

例2)債務超過状態を示す貸借対照表

総資産額1,000 総負債額1,200
資本▼200

          ↓
例3)債務超過から脱却した状態を示す貸借対照表

資産額1,000 総負債額1,200
増資額500 資本▲300

総資産額が1,500に増加したため、総負債額よりも資本が300増えています。このように、増資することで債務超過状態を抜け出すことが可能なのです。

しかし、課税額や、新株の発行による株主権限の変動が発生するかもしれない点には注意が必要でしょう。また、経営者に出資する余裕があるのかという点にも懸念が残ります。

何より注意すべきなのは、増資による債務超過からの脱却は一時的なものである点です。黒字経営を継続して順調に利益を上げていかない限りは、再び債務超過に陥るおそれがあります。必要に応じて、突貫工事的に増資すること自体はよいのですが、同時に、会社組織として根本的な経営体制の改善にも力を入れるべきでしょう。

資産を売却する

こちらも、債務超過状態の根本的な解決には至らないかもしれませんが、確実に負債を減らす手法としては有効です。特に、「遊休資産」と呼ばれるその時点において事業に使用されていない資産を売却するのがよいでしょう。

「今は使っていない事業用車両」や「権利だけ保有している空地」など、動産・不動産にかかわらず使う予定のない資産は売却して、貸借対照表に実際に計上できる資産にするのがおすすめです。ものによっては、取得時価額よりも時価が上がって売却益が発生する可能性もあります。

DES(デット・エクイティ・スワップ)を利用する

DESは「債権者との同意の上で、負債を株式に引き換え債務超過を解消する手法」です。債務超過状態にあった会社としては「資本の増加」による債務超過からの脱却が、債権者としては「株式の取得による経営への参入」などのメリットが期待される手法です。

なお、こちらも経営状態の見直しを通じて根本的な解決を図らなければ、一時的な解消にとどまってしまう点には注意が必要でしょう。

会社再生法を適用する

上述した4つの手法で債務超過の解消を図ったり、会社経営の根本的見直しをしたりしてもなお経営が立ち行かない場合は、最後の手段として「会社再生法」の適用を検討しましょう。会社再生法は、破産のように会社の清算を目的としておらず、会社の再興を目的としています。

会社再生法には2種類あり、1つは「民事再生法」です。中小企業向けの法律で、原則として経営陣が交代する必要はありません。もう1つは「会社更生法」で、株式会社に限定された法律となっています。該当する会社が倒産することによる、関係各社、および社会に対する悪影響を防止するための法で、事実上、大企業向けの法律です。こちらでは、原則として経営陣全員の退陣が求められます。

債務超過の確認方法

債務超過に陥った場合のリスクや対処方法、その原因などについて解説してきましたが、できることなら前もって、債務超過に陥っていないかどうか確認できた方が安心です。その方法としては、「貸借対照表を見る」ことと「実態貸借対照表を作成すること」の2点が挙げられます。

貸借対照表を見る

先述した以下の貸借対照表を見れば、自社が債務超過に陥っているかどうかが分かります。

例1)債務超過状態を示す貸借対照表

総資産額1,000 総負債額1,200
資本▼200

上記のように、明らかに負債の方が資産よりも多い場合は債務超過状態にある、あるいは債務超過状態に陥るおそれがあると判断できますが、貸借対照表上は資産の方が多い場合は要注意といえるでしょう。なぜなら、資産の中にはただちに回収不能な売掛金などの「不良債権」が混ざっているおそれが大いにあるからです。

貸借対照表上では資産が上回っている状態でも、実際には現預金などが足りず、経営難に陥っている場合は十分に考えられます。そのような場合に便利なのが次項で説明する「実態貸借対照表」です。

実態貸借対照表を作成する

「実態貸借対照表」は、作成時点における資産と負債の適正価値を確認した上で修正します。例えば、回収不能な売掛金を削除したり、取得時価額の不動産を時価に直したりなどが主な修正項目として挙げられるでしょう。

各項目を正確に数値化することで、自社の実質的な財務状況が分かり、債務超過に陥っていないかどうかも分かるのです。

債務超過の資金繰りには「1click後払い」の利用がおすすめ

ここまで、債務超過の原因やリスク、解消方法や確認方法について解説してきましたが、債務超過状態でも融資以外の方法で資金繰りができれば、何とか経営を立て直せる場合もあるでしょう。そのような際におすすめなのが、当社が提供している「1click後払い」です。

「1click後払い」では、貴社が受領した請求書払い型のお支払いについて、クレジットカードにて決済できます。実際のお支払いは最大で60日間延長することができるため、資金繰りに最適です。また、取引先の会社様には貴社名義で入金されるため、サービス利用が知られることはありません。さらに、サービス利用手数料は一律3.8%となっており、ファクタリングや融資を利用するよりも安価です。直感的な操作性も好評を博しています。

まとめ

債務超過に陥ると、銀行など金融機関から融資を受けることが非常に難しくなります。しかし、資金繰りができなければ倒産に直結するおそれが高く、抜本的な経営体制の改革を実施する時間すら取れないかもしれません。

債務超過状態における資金繰りなら、当社提供の「1click後払い」がおすすめです。最大で60日間お支払いを延長することができるため、資金繰りや経営体制の見直しにも役立ちます。この機会にぜひ、手数料3.8%の「1click後払い」サービスの利用をご検討ください。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。