決済代行会社が語る、顧客管理データベースの選定で陥りがちな3つの課題

決済全般

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ECサイトでの物品販売、学習塾での毎月の月謝の集金、デジタルコンテンツの月額有料会員プランなど、多くのシーンで想定される課金・決済に欠かせないのが「顧客管理DB(顧客管理データベース)」です。顧客管理DBとは、顧客情報や顧客ごとの販売データを管理するシステムのことを意味しています。また、既存顧客へさらなる購買を促すことを目的としたメルマガ配信やセミナー招待などのアプローチなど、様々な用途において顧客DBが活用されています。

なぜ決済を語る上で顧客DBが欠かせないのか?

では「決済」にフォーカスした場合、どのように顧客管理DBが活用されるのでしょうか?主な用途としては、取引先ごとの入金確認作業のような場合が挙げられます。

例えば、月額課金制デジタルコンテンツのようなサービスの場合、決済ステータス(決済成功/失敗、決済期日、解約済など)を元に入金が無い顧客のサービスを停止をするなど、顧客リストに対して決済結果を自動で反映し機能制御をするといったシステムが必要となってきます。上記のように、決済システム導入の際には顧客管理DBとの連動性が選定の上での軸となります。

顧客との取引プロセスにおいて決済は避けることができないものです。しかし、現在、クレジットカード決済・口座振替・銀行振込などの決済があった際に、自動で顧客管理DBに決済結果が反映されるという仕組みを持つ顧客管理DBは多くありません。そこで、各社が自ら決済システムと顧客管理DBの情報を同期させるための対策を立てることになりますが、その連携のプロセスにこそ多くの企業が陥る落とし穴が潜んでいます。

顧客DBと決済システムの連携イメージ
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顧客管理DBと決済の連携で気を付けるべき3つの課題

①余分な運用工数の発生

費用の観点からシステムの導入を回避し、Excelで顧客管理する方法があります。一方で、運用の効率性が低下してしまい、担当者の工数が大幅に膨れ上がってしまうという問題があります。例えば、担当者が新規ファイルをローカルファイルにしか保存しておらず、どれが最新版のものか分からなくなってしまったり、Excelのマクロを組んだ担当者が不在の際に上手く仕事の引き継ぎができなかったりといった問題は、Excelではなかなか解消されないのが実状です。

自社で顧客管理システムを開発する場合にも、開発費用の問題から決済情報の反映を行わないとなると、決済結果管理用のxcelファイルに転記するといった2重管理が発生してしまい、システム開発をしただけの成果が得られなくなってしまいます。

②高額な追加開発費用

顧客管理システムを自社で構築するためには、システム開発業者に見積もりを依頼をすることになります。この段階ではやはり費用面は問題になってきます。顧客管理システムの構築にも費用がかかるのはもちろんのこと、決済システムを開発によって連動させるとなると一般的な開発業者ではノウハウが無いところから開発しなければならず、決済システムとの連携機能を追加するだけで予算が何倍にも膨れ上がってしまうケースもあります。

③導入プロジェクトの差戻し

これまで順調に進んでいた顧客DBの導入プロジェクトが、一日にして始めからに戻ってしまうことだけは避けなければなりません。とりわけ、一から自社システムを構築するよりも安価に導入が可能なASPサービス、またはASP型の顧客DBを利用する場合には注意が必要です。実際、私ども決済代行会社に寄せられるご相談の中には、時間をかけてサービスを選定し終えた後、決済機能がついていないためにまた選定し直しになってしまったというようなケースは多くあります。

また、物販サイト・ホテル予約に特化したASPサービス等、一部の顧客DBの中には、決済連携機能を標準搭載しているケースが増えてきていますが。現状では、ASPサービスで決済システムと連動しているものはとても少ないというのが実状であり、こうした手戻りを防ぐという意味でも、決済機能の顧客管理DBの選定はまだまだ重要なポイントとなるでしょう。

顧客管理方法別、決済代行会社に聞いておくべきこと

顧客管理DBと決済システムの取り扱いについて、上記のような状況に陥る前に決済代行会社に相談しておきましょう。取り組みたい顧客管理方法に合わせて自社の要件を伝えておけば、その後の取り組みもスムーズです。

①自社で顧客管理システムを開発する場合

顧客管理システムを自社構築する場合には、決済システムを連携した実績のある企業に委託することが、安価かつスピーディーな導入を実現する最短ルートです。そのため、決済代行会社にご相談いただく際には、システム開発業者の選定からアドバイスを頂くことをおすすめします。

決済代行会社がシステム開発業者を紹介してくれる場合には、過去にその事業者との合同提案での成功事例が複数ある可能性が高く、システム間の相性も良いことの証拠にもなります。

また、システム開発事業者が決済システムの仕様を充分に把握しているため、システムの要件定義がスムーズに進む上、決済代行会社からの紹介ということから費用を抑えることが可能な場合もあります。

②顧客管理にASPサービスを利用する場合

また、ASPの選定においても、ご希望のASPには決済機能が連動しているのかどうか、まず決済代行会社にお問合せいただければ十分な回答が得られるでしょう。決済連携済みのASPであれば顧客リストと決済ステータス(決済成功・失敗・未収など)がASP上で確認できるようになっており、運用の効率性も大幅に高まります。

たとえ決済連携機能を持っていない顧客DBでプロジェクトを進める場合でも、ASP上で管理する顧客リストと、決済システム上の決済ステータスを何らかの形でつけ合わせ作業(入金確認作業)を行う必要があるということだけは念頭において相談しましょう。

多くの企業にとって、アナログな入金確認作業は根気のいる作業になることが予想されるため、できるだけ作業が煩雑にならないよう、決済代行会社に運用の詳細についてヒアリングしておくことをお勧めします。場合によっては、長期的なコストメリットを考慮して、ASPを利用せず、予算の範囲内で顧客管理システムを構築するという提案を受けることもあるでしょう。

③Excelでの顧客管理を始める場合

上記2点が難しい、あるいは事業を小規模からスタートされるため、まずはExcelでの顧客管理から始める、という場合においても顧客別の入金確認作業が最も楽になるような決済システムの導入が必須となります。

決済システムも、決済代行会社により機能が全く異なりますので、入金確認作業の運用について各社にお問い合わせ頂き、比較検討することが望ましいでしょう。例えば、決済システムの機能として、顧客ごとのIDを決済ステータスに対しても付与することができる機能があれば、担当者が顧客別の入金確認作業を行う際に非常に楽になります。

このような詳細な機能についてはwebでは掲載されておらず、決済代行会社に直接お問合せをしなければ分かりません。実際、見積もり比較のみで決済代行会社を選定し、決済システム導入後に「思っていた運用と違った」となってしまうケースはとても多くあります。

以上、決済導入の際によく問題になりやすい顧客DBについて、その課題と決済代行会社に確認しておきたいポイントについてお話してまいりました。

顧客管理の方法は企業によって多種多様ではありますが、決済ステータスの同期や入金確認など、決済ならではの注意点というものは共通しており、確立されたノウハウが存在します。システム構築のようなやり直しのきかないものは、決して我流に走ることなく、積極的に専門家のアドバイスを求めることをお勧めします。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。