BNPLとは?事業者・利用者双方のメリット・デメリットも紹介

決済全般

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BNPLは後払い決済に分類される決済方法であり、世界各国で利用者が増加しているサービスです。日本でも広がりを見せており、国内のBNPL市場規模は今後拡大していくと予測されています。利用者が増えていくのであれば、事業者はBNPLを取り入れるべきか検討せざるを得ないでしょう。しかし、BNPLという言葉を耳にしたことはあっても、実際にはよくわからないという事業者の方も多くいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、BNPLによってもたらされるメリットとデメリットを、利用者と事業者双方の立場から解説します。BNPLを導入する際の注意点、おすすめの決済サービスについても合わせて紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

※目次※
1.BNPLとは
2.国内の代表的なBNPLサービス
3.BNPL利用者のメリット・デメリット
4.BNPLを導入する事業者のメリット・デメリット
5.BNPLに関する法律規制
6.様々な決済手段にも対応したサブスクペイを導入しよう!
7.まとめ

BNPLとは


BNPLは「Buy Now、Pay Later」の頭文字を取った言葉で、ECサイトで利用されるケースが多い決済方法です。海外では若年層を中心に人気が高まっており、日本でも利用者が年々増加しています。
ここではBNPLの仕組みと概要、近年になって需要が拡大している背景について解説します。

BNPLの仕組み

ユーザーが商品の決済方法としてBNPLを選択した場合、商品を購入したECサイトからBNPL事業者に取引情報が連携されます。次に、BNPL事業者はユーザーの審査を行い、審査に通過した場合は購入金額を一時的に立て替えてEC事業者に支払います。そしてECサイトに購入金額が支払われた時点で商品が発送される仕組みです。

決済手数料はEC事業者が負担する仕組みになっており、手続きが完了したらBNPL事業者からユーザーに支払い請求が行われます。そのため、事業者とユーザーとの間で直接金銭のやり取りは発生しません。商品の受け取り後、ユーザーがBNPL事業者から提示された商品料金を支払えば取引は完了です。

クレジットカード決済や分割払いとの違い

BNPLは後払い決済に分類される支払い方法であり、クレジットカード決済やローンの分割払いと基本的な仕組みは共通しています。しかし、与信審査が通りやすく誰でも利用できる点と、分割手数料が事業者負担になる点が大きく異なります。

クレジットカードや分割払いの与信審査と比較して、BNPL事業者による審査は簡易的なものであることがほとんどです。具体的な審査基準は公表されていませんが、事業者によっては申込者のメールアドレスと電話番号で審査を行い、申し込みから数分で審査結果が出るBNPLもあります。

また、クレジットカード決済や分割払いを選択した場合は決済手数料がユーザー負担になりますが、先述したようにBNPLは販売事業者が決済手数料を負担する仕組みになっています。つまり、ユーザーは手数料を負担せずに後払い決済を利用できるので、BNPLはユーザーにとって利用しやすい決済方法だといえるでしょう。

BNPLが注目されている背景

BNPLは欧米や東南アジアなど幅広いエリアで利用されているサービスであり、日本国内でも2002年頃からBNPLの利用が開始されています。

BNPLが広まった要因の1つとして挙げられるのが、新型コロナウイルスの感染拡大です。Cardifyの調査によると、アメリカでの2020年上半期のBNPL流通取引総額は前年同期比で1.97倍増加しており、感染拡大が始まった時期にBNPL市場は急成長を遂げています。コロナ禍ではロックダウンや外出自粛が求められたため、店舗に訪問する機会がなくなり、ネットショッピングの需要が高まりました。そして商品の受け取り時には人との接触を避ける必要があったため、代金引換ではなくBNPLのような後払い決済サービスが選ばれるようになったと考えられます。

また、2021年9月には、アメリカの大手決済サービス会社であるPayPalが株式会社Paidyの買収を発表したことでも話題を集めており、買収による影響も加味すると、日本国内のBNPL市場規模が拡大していくことも自然な流れといえるでしょう。矢野経済研究所の調査によると、国内のBNPL市場は2012年度から8年連続で拡大しており、2024年度の取扱高は1.8兆円に上ると予測されています。

国内の代表的なBNPLサービス


日本でもBNPLは普及しつつあり、多くのBNPLサービスが提供されています。ここでは、日本で人気のあるBNPLサービスを4つご紹介します。

NP後払い

NP後払いはネットプロテクションズHDが運営するBNPLであり、日本国内で最初期に提供開始されたBNPLだとされています。NP後払いでの支払いは、ECサイトで商品を注文した後、送付されてくる請求書を使って支払い手続きを行う仕組みです。請求書は商品に同封、もしくは後日郵送で受け取るかの2種類の受け取り方法があります。支払い期限は請求書が送付されてから14日間です。
非会員でも利用できますが、会員になると支払額200円毎に1ポイントを貯められます。ポイントは商品と交換できるだけでなく、同社が提供するサービス「atone」で1ポイント1円として利用することも可能です。

Paidy(ペイディ)

Paidyはスマートフォンで利用できるBNPLで、メールアドレスと電話番号を入力した後、SMSに送信される4桁の認証コードを入力することで商品を購入できます。利用金額は翌月にまとめてコンビニや銀行で支払うことが可能です。具体的には毎月1日から月末までの利用金額を集計し、翌月1日から3日の間にメールとSMSで利用金額が通知されます。支払い期限は利用金額が通知された月の10日までです。口座振替にも対応しているため、支払期日を忘れてしまわないか心配な方にもおすすめです。さらに、アプリで利用状況を把握できるため、使いすぎてしまう心配もありません。
また、銀行振込もしくは口座振替を選択した場合、本人確認を行えば分割手数料無料で3回後払いを利用できます。

Atome(アトミー)

Atome は、Atome Japan株式会社が2019年から提供しているアジア最大級のBNPLサービスです。2019年から提供開始されており、東南アジアと中華圏をメインとして1万店舗以上で利用できます。
分割手数料無料で3回払いを行えることが特徴で、高額なお買い物でも安心して利用できます。ただし、利用にはクレジットカードやデビットカードの登録が必要です。Paidyと同様にアプリから利用状況を確認できるため、簡単に支出を管理できます。また、オンラインショッピングだけではなく、実店舗のお買い物でも利用可能です。

メルペイスマート払い

メルペイスマート払いは、株式会社メルペイが2019年から提供している後払い決済サービスです。
QRコード決済サービス「メルペイ」に実装された後払い機能で、フリマアプリ「メルカリ」のみならず、実店舗を含むメルカリ加盟店でのお買い物にも利用できます。利用明細の発行は翌月1日、支払い期限は翌月1日から末日までに設定されます。自動引き落とし、コンビ、ATM、チャージによる支払いが可能です。ただし、コンビニ、ATMによる支払いを行う場合、支払い金額に応じた手数料が必要です。いずれの支払い方法も、メルペイの残高やポイントを料金支払いに利用できます。
2020年7月からは「定額払い」サービスも開始しており、毎月指定した金額を支払うことで利用金額を清算することもできます。

BNPL利用者のメリット・デメリット


手数料負担や審査手続きの負担が少ない決済方法として、BNPLの利用者は増加傾向にあります。一方で未払いや使い過ぎなどの問題が発生する場合があり、注意が必要です。ここでは、BNPLを利用するユーザーにとってのメリット・デメリットを具体的にご紹介します。

メリット

BNPLの利用には、原則として与信審査が必要ありません。メールアドレスや電話番号を登録すればすぐに利用できます。そのため、何らかの理由でクレジットカードを利用できない人でもBNPLであれば利用できる可能性があります。住所やカード情報の登録も不要なため、ネットショッピングでの個人情報の入力に抵抗がある人にもおすすめです。加えて、商品を受け取ってから料金を支払えるため、信頼度の低いサイトでのお買い物も安心して決済できます。

また、先述したように、BNPLでは分割手数料は事業者側が負担するため、高額な商品を一括払いで購入するのは難しいけれど、高い手数料を支払うのも厳しいという利用者には向いています。
その一方で、クレジットカードやローンの分割払いと比較してBNPLは限度額が低めであり、使い過ぎによる支払い遅延を引き起こすリスクが低くなっています。そのため、経済的にハンデのある若年層を中心に利用が広まっているのです。

デメリット

BNPLはクレジットカードよりも利用限度額が低く設定されているとはいえ、後払い決済であることから、利用金額が自分の支払い能力を超えてしまうリスクも当然あります。高額商品を分割払いで購入しても、経済的に余裕がなければ月々の支払いは苦しくなるでしょう。また、便利だからといって複数のBNPLサービスを同時利用すれば、利用金額も大きく膨れ上がります。

もし期日までに支払えなかった場合、取引手数料や遅延違約金をとられるケースもあるため注意が必要です。支払期日を守れないことが続けば、支払い能力なしと判断され、利用限度額を引き下げられたり利用停止されたりするリスクもあります。

BNPLを導入する事業者のメリット・デメリット


ネットショッピングの普及により、日本でもBNPLの需要は高まっています。ECサイトを運営する事業者にとっては無視できないサービスです。メリットと注意点を理解した上で、導入すべきか検討しましょう。

メリット

BNPLという選択肢があれば、決済手段を理由とした売り逃しを防げます。
高額商品の購入を検討する際、一括払いしか選択できなかったり、分割払いで手数料がかかったりすると、購入を諦めてしまう利用者もいるでしょう。BNPLは手数料無料で分割払いができるため、機会損失を防ぐとともに購入単価アップも期待できます。

また、BNPLはクレジットカード非保有者でも利用できるため、BNPLを導入すれば今までECサイトに馴染みのなかった新規顧客を取り込める好機となるでしょう。株式会社ジェーシービーの調査によれば、30代以上のクレジットカード保有率は80%を超えていますが、20代の保有率は約75%と他の年代よりも低い傾向にあります。また、株式会社インフキュリオンの調査では、16~29歳のBNPLの利用者は30歳以上の利用者よりも多く、60~69歳の利用者と比較すると倍以上の数値です。若年層向けのECサイトを運営している事業者は、導入を検討すべきでしょう。

デメリット

BNPLの決済手数料は一般的にクレジットカードよりも高く設定されており、導入した加盟店が負担しなければいけません。そのため、利用金額や利用回数によっては、クレジットカードよりも利率が下がる恐れがあります。

また、クレジットカード事業者同士は信用情報機関で未払い経験者の情報共有ができますが、BNPL事業者にはそのような仕組みはありません。原則として与信審査も行わないため、クレジットカートに比べて貸し倒れのリスクは高いといえるでしょう。

さらに、このようなリスクからBNPLが規制対象になる可能性も否定できません。すでに海外では規制が進んでおり、例えばアメリカでは2021年12月に、米消費者金融保護局が実態把握と規制の必要性を判断するために、大手BNPLサービス会社を一斉調査すると発表しました。また、イギリスでも、2022年6月に英財務省がBNPLの広告の明確化や利用者の支払い能力の査定を義務付けるという内容の規制強化を行うと発表しています。
日本でもBNPLが普及すれば避けられない問題であるため、どのような規制を求められるのかを予測し、対応策を考えておく必要があります。

BNPLに関する法律規制


BNPLは新しいサービスであるため、BNPLを明確に定義づける法や直接的に規制する法はまだありません。ただし、後払い決済サービスの一種であるため、割賦販売法における包括信用購入あっせんや個別信用購入あっせん、二月払購入あっせんに該当する可能性があります。ここからは、後払い決済を対象とする規制法の内容、適用条件について紹介します。

包括信用購入あっせん業者・個別信用購入あっせん業者登録簿への登録

 
後払い期間が2ヶ月を超える分割払いを事業として行うには、割賦販売法に基づいて「包括信用購入あっせん業者」や「個別信用購入あっせん業者」として経済産業省に備える登録簿への登録を受ける必要があります。

一方、後払い期間が2ヶ月を超えない「二月払購入あっせん」に該当する決済サービスである場合、あっせん業者としての登録は不要です。二月払購入あっせんは、マンスリークリア方式と呼ばれ場合もあります。個別与信型のマンスリークリア方式に該当する決済サービスである場合、割賦販売法に加えて、後述する「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に関する規制を受けない決済サービスとして取り扱われます。上記の理由から、後払い期間を2ヶ月以内に設定しているBNPL事業者が一定数存在するのです。

クレジットカード番号等取扱契約締結事業者の登録簿への登録

割賦販売法における「包括信用購入あっせん」または「二月払購入あっせん」に該当する事業を運営しており、当該事業に係る加盟店契約の締結を行う場合、「クレジットカード番号等取扱契約締結事業者」として経済産業省に備える登録簿への登録が義務付けられています。
登録申請を行う際には、申請者の名称、本店とその他営業所の名称及び所在地、役員氏名を記載した申請書を経済産業大臣に提出しなければなりません。さらに添付書類として、定款、登記事項証明書その他経済産業省令で定める書類が別途必要です。

犯罪による収益の移転防止

割賦販売法における「包括信用購入あっせん」または「二月払購入あっせん」を業とするクレジットカード等購入あっせん業者は、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の適用対象にもなります。具体的には「クレジットカード等の交付又は付与を内容とする契約の締結」を行う事業者には、顧客への取引時確認、取引記録等の作成などを特定事業者に課される義務として実施することが要求されます。

様々な決済手段にも対応したサブスクペイを導入しよう!

サブスクペイ

サブスクペイはBNPLに対応していませんが継続課金ビジネスに適した決済代行サービスです。自動で決済処理を行い、事業者の業務負担を軽減します。大手企業やNPO法人、学校など、12,000社以上の幅広い業種でご利用いただいている実績があります。

さまざまな決済方法に対応しており、銀行振込やコンビニ決済にも対応可能です。銀行振込ではバンクチェックというサービスを搭載しており、顧客情報をIDで簡単に管理できるため、通常の銀行振込作業で発生しがちな消込作業や未払い顧客の確認作業といった煩雑な作業を省略できます。また、コンビニ決済では、紙の請求書を商品とともに送付する払込票方式とメールなどで振込用番号を通知するペーパーレス方式の両方に対応しています。ペーパーレス方式を採用すれば、請求書の作成や郵送といった手間もかかりません。

まとめ


この記事では、BNPLについて解説しました。注意点に留意していれば、BNPLの導入によって大きなメリットが得られるでしょう。特に若年層向けのECサイトを運営されている事業者の方は、売上の向上や顧客層の拡大にはBNPLの導入が効果的です。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。