不課税・非課税・免税の違いをわかりやすく解説 消費税区分の判定早見表と請求書処理・インボイス対応

経理

不課税・非課税・免税を理解して経理処理をスムーズに!

ほとんどの企業では売り上げに対して消費税がかかってくるわけですが、なかには消費税が課税されない税区分として「不課税」「非課税」「免税」の3つがあります。
取引の内容によっては課税のない取引が全く出てこない場合もありますが、企業の経理担当者のほとんどが目にしたことがあるはずです。

それぞれ「消費税が課税されない」という意味では同じですが、目的や意図する内容は微妙に違ってきます。大体どのような取引が分類されるのか、触りだけでも押さえておきましょう。

不課税とは

消費税の課税の対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引です。これに当たらない取引には消費税はかかりません。これを一般的に不課税取引といいます。

例えば、国外取引、対価を得て行うことに当たらない寄附や単なる贈与、出資に対する配当などがこれに当たります。国税庁の「No.6157 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例」によると、他にも以下のようなものが挙げられています。

具体例 理由
(1)給与・賃金 雇用契約に基づく労働の対価であり、「事業」として行う資産の譲渡等の対価に当たらないため
(2)寄附金、祝金、見舞金、国または地方公共団体からの補助金や助成金等 一般的に対価として支払われるものではないため
(3)無償による試供品や見本品の提供 対価の支払いがないため
(4)保険金や共済金 資産の譲渡等の対価といえないため
(5)株式の配当金やその他の出資分配金 株主や出資者の地位に基づいて支払われるものであるため
(6)資産について廃棄をしたり、盗難や滅失があった場合 資産の譲渡等に当たらないため
(7)心身又は資産について加えられた損害の発生に伴い受ける損害賠償金 対価として支払われるものではないため

ただし、損害賠償金でも、例えば次のような場合は対価性がありますので、課税の対象となります。

・イ 損害を受けた棚卸資産である製品が加害者に引き渡される場合で、その資産がそのままで使用できる場合や、軽微な修理をすれば使用できる場合
・ロ 無体財産権の侵害を受けたために受け取る損害賠償金が権利の使用料に相当する場合
・ハ 事務所の明渡しが期限より遅れたために受け取る損害賠償金が賃貸料に相当する場合

参照:国税庁「No.6157 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例」

該当する取引の具体例

不課税になるかどうかは、「対価を得て行う取引か」で判断します。商品やサービスの提供と引き換えの支払いでなければ、不課税です。

取引 不課税になる理由 課税になるケース
給与・賞与 雇用契約にもとづく労働の対価で、事業としての役務提供ではない 個人事業者への外注費・業務委託料は課税
損害賠償金 損害の埋め合わせであり、対価ではない 損傷した資産を加害者に引き渡して受け取る場合など、実質的に譲渡の対価といえるものは課税
補助金・助成金 特定の商品やサービスの対価として支払われるものではない ー
団体の会費 会員としての地位を保つための費用で、明確な対価関係がない 研修参加料や出版物の購読料など、サービスの対価といえるものは課税

非課税とは

国内において事業者が事業として対価を得て行う取引であっても、課税対象になじまないものや社会政策的配慮から消費税を課税しない取引があります。これを非課税取引といいます。
国税庁の「No.6201 非課税となる取引」によると、主な非課税取引は以下のとおりです。

非課税取引 備考
(1)土地の譲渡および貸付け 借地権などの土地の上に存する権利を含む。1か月未満の土地の貸付け、駐車場などの施設の利用に伴う土地の使用は除く
(2)有価証券等の譲渡 国債、株券、社債、株式、金銭債権など。ゴルフ会員権の譲渡は除く
(3)支払手段の譲渡 銀行券、硬貨、小切手、約束手形など。収集品としての譲渡は除く。電子決済手段・暗号資産も非課税
(4)預貯金の利子および保険料を対価とする役務の提供等 預貯金・貸付金の利子、信用保証料、信託報酬、保険料、共済掛金など
(5)郵便切手類・印紙・証紙の譲渡 日本郵便株式会社等が行う郵便切手類、印紙の売渡し場所における印紙、地方公共団体等が行う証紙
(6)物品切手等の譲渡 商品券、プリペイドカードなど
(7)国等が行う一定の事務に係る役務の提供 登記、登録、特許、免許、許可、検査、検定、試験、証明、公文書の交付など
(8)外国為替業務に係る役務の提供 ―
(9)社会保険医療の給付等 健康保険法等による医療、労災・自賠責保険の対象となる医療。美容整形・差額ベッド・市販医薬品は除く
(10)介護保険サービスの提供等 介護保険法に基づく居宅サービス、施設サービス。特別な居室・送迎の対価は除く
(11)社会福祉事業等によるサービスの提供等 社会福祉法の第一種・第二種社会福祉事業、更生保護事業など
(12)助産 医師、助産師などによる助産に関するサービスの提供等
(13)火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供 ―
(14)一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け等 義肢、車椅子、点字器など
(15)学校教育 学校教育法に規定する学校等の授業料、入学金、施設設備費など
(16)教科用図書の譲渡 ―
(17)住宅の貸付け 人の居住の用に供することが明らかなものに限る。1か月未満の貸付けは除く

非課税に該当する取引は多く、経理処理をするにあたって一般的に不課税や免税よりも処理する頻度が高いものになります。
課税されるのか非課税にあたるのか混同しやすい部分になるので、判断に迷った場合は国税庁のホームページなどを参考にしてみましょう。
参照:国税庁「No.6201 非課税となる取引」

なお、請求書に非課税や不課税の品目を記載する際の税区分の扱いについては「請求書で消費税をどう記載する?消費税記載なしの場合は?インボイス制度の兼ね合いも解説」で解説しています。

該当する取引の具体例

非課税は消費税法で対象が列挙されており、一覧にない取引は非課税になりません。同じ名称の取引でも、期間や用途によって課税になる点に注意が必要です。

取引 非課税になる条件 課税になるケース
土地の貸付け 1か月以上の貸付け 1か月未満の貸付け、駐車場やグラウンドなど施設としての利用
住宅の貸付け 契約で居住用と明らかなもの、1か月以上の貸付け 事務所・店舗の賃料、旅館・ホテルの宿泊料
商品券・プリペイドカード 券そのものの譲渡(購入) 券を使って商品を買ったときの商品譲渡
医療 公的医療保険の対象となる診療 自由診療、美容整形、市販薬の購入

免税とは

消費税では、非課税取引のほかにも、消費税が免除される「免税取引」があります。
例えば、商品の輸出や国際輸送、外国にある事業者に対するサービスの提供などのいわゆる輸出類似取引などです。この場合には、輸出証明書を保管するなど、一定の要件を備えている必要があります。

免税とされる輸出や輸出類似取引は、課税資産の譲渡等に当たりますが、一定の要件が満たされる場合に、その売上げについて消費税が免除されるものです。よく耳にする免税店は、この免税の仕組みを利用したお店ということですね。

参照:国税庁「No.6205 非課税と免税の違い」

該当する取引の具体例

免税は、本来は課税対象の取引ですが、輸出した事実を証明できる場合に限り消費税が免除されます。証明書類を保存していないと、免税が認められません。

取引 免税になる条件 保存する書類の例
商品の輸出 国内から国外へ商品を輸出する 税関が発行する輸出許可通知書
国際輸送・国際通信 国内と国外を結ぶ輸送・通信 契約書など取引内容が分かる書類
非居住者へのサービスの提供 国外にいる非居住者に対する役務の提供(国内での飲食・宿泊など、国内で直接便益を受けるものは除く) 契約書など取引内容が分かる書類
免税店での販売 輸出物品販売場の許可を受けた店舗が、外国人旅行者などに販売する 購入記録情報の提供記録

免税店の制度は、令和7年度税制改正により2026年11月1日から「リファンド方式」に移行します。購入時は消費税相当額を含めて販売し、出国時に税関で持出しが確認された後で返金する仕組みです(国税庁:輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し)。

不課税・非課税・免税の違い

消費税がかからない(または免除される)取引には、「不課税」「非課税」「免税」の3種類があります。いずれも消費税がかからない点は同じですが、理由や計算上の扱いが異なります。

課税売上割合は、次の式で求めます。
・課税売上割合 = 課税売上高 ÷ 総売上高

このとき、取引の種類ごとの扱いは次のとおりです。

取引の種類 概要 課税売上割合の分母 課税売上割合の分子 仕入税額控除
課税取引 通常の国内取引。消費税がかかる ○ ○ ○
免税取引 輸出・輸出類似取引など、一定の要件で消費税が免除される ○ ○ ○
非課税取引 土地の譲渡、医療、学校教育など、政策上課税しない取引 ○ × ×
不課税取引 国外取引、給与、寄附など、消費税の対象外の取引 × × ×

押さえておきたいポイント
・非課税:売上には含まれるが、課税売上には含めない。その取引のための仕入税額控除はできない。
・免税:輸出等は課税売上に含め、その取引のための仕入税額控除ができる。非課税との大きな違い。
・不課税:消費税の対象外のため、課税売上割合の計算では分母・分子のどちらにも含めない。
課税売上割合や仕入税額控除の計算に影響するため、経理ではこの区別を正確にしておくことが重要です。

参照:国税庁「No.6205 非課税と免税の違い」
   国税庁「No.6209 非課税と不課税の違い」

不課税・非課税・免税の判定早見表(具体例一覧)

経理実務で区分を迷いやすい取引を、勘定科目別にまとめました。区分ごとの課税売上割合・仕入税額控除の扱いは、前述の「不課税・非課税・免税の違い」を参照してください。

勘定科目の例 取引 区分
給料手当・賞与 従業員への給与・賞与 不課税
外注費 個人事業者・法人への業務委託料 課税
通勤手当 通常必要と認められる部分 課税(仕入税額控除の対象)
寄附金 対価のない寄附 不課税
諸会費 業界団体の年会費(対価関係なし) 不課税
保険料 損害保険・生命保険の保険料 非課税
支払利息・受取利息 借入金の利息、預金利息 非課税
地代家賃 事務所・店舗の家賃 課税
地代家賃 社宅として借りる住宅の家賃(1か月以上) 非課税
地代家賃 月極駐車場の賃料 課税
通信費 郵便局での切手の購入 非課税
通信費 国際電話・国際郵便 免税
売上高 海外の取引先への商品の輸出 免税
雑収入 受け取った保険金・補助金 不課税
雑収入 株式の配当金 不課税
租税公課 印紙税・固定資産税などの税金 不課税

※切手・印紙が非課税になるのは、郵便局や印紙売りさばき所などで購入した場合です。金券ショップなどで購入した場合は扱いが異なります。

請求書・会計処理での税区分の扱いとインボイス制度の注意点

インボイス(適格請求書)の交付義務があるのは、課税取引だけです。不課税・非課税の取引には消費税がかからず、輸出免税の取引も交付義務の対象外です(消費税法57条の4第1項)。
ただし、課税取引と非課税・不課税の取引を1枚の請求書にまとめる場合は、次の3点に注意します。

1. 明細ごとに区分を表示する:非課税・不課税の明細には「非課税」「対象外」と明記し、課税の明細と区別します。
2. 税率ごとの合計額に含めない:「10%対象」「8%対象」の合計額と消費税額は課税取引だけで計算し、非課税・不課税の金額は別に合計します。
3. 会計ソフトの税区分コードを分ける:非課税売上は課税売上割合の分母に入り、不課税は分母にも入りません。同じ「消費税なし」のコードにまとめると、課税売上割合を誤って計算する原因になります。

記載例(課税と非課税が混在する請求書)

品目 金額(税抜) 区分
事務所賃料(10月分) 200,000円 10%
社宅賃料(10月分) 100,000円 非課税
10%対象 合計 200,000円 消費税 20,000円
非課税 合計 100,000円 ー
ご請求金額 320,000円

免税取引(輸出)は、請求書とは別に輸出許可通知書などの証明書類を、確定申告期限の翌日から7年間保存します。課税・非課税などの記載の詳細は「請求書で消費税をどう記載する?消費税記載なしの場合は?インボイス制度の兼ね合いも解説」で解説しています。

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監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員COO

2019年に当社へ入社し、執行役員に就任。
現在はCOOとして、SaaS・Fintechの事業戦略やKPI設計、組織づくり、AI活用を推進している。
入社以前は株式会社カオナビでコーポレート本部長として上場事務責任者を経験し、複数のIT企業でCMOなどを歴任。
現在は株式会社スタメンの社外取締役(監査等委員)も務める。
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