仕訳の科目「売上」とは?売上計上基準の種類や記帳方法も解説!

請求業務

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会社が事業を継続させるためには、売上を維持もしくは増加させることが重要です。そして、事業で売上を生み出したあとはその事実を帳簿に記録し、正しい収益を把握して申告をすることが求められます。今回は、そんな事業の基本ともなる「売上」の仕訳について解説します。計上基準の種類や記帳方法についての知識を身につけ、正しい企業会計を行っていきましょう。

※目次※
1.仕訳上の売上について
2.売上計上基準の種類
3.売上の記帳方法
4.売上の仕訳例
5.仕訳業務の問題点
6.請求管理ロボで請求業務をスリム化!
7.まとめ

仕訳上の売上について


仕訳の勘定科目として使われる「売上」は、企業の収入を処理する「収益」に該当する科目のひとつです。まずは、仕訳上の売上についての基本知識を身につけていきましょう。

売上の定義

売上とは、商品を販売したりサービスを提供したりすることで得た「収入」を計上するときに使う勘定科目です。なお、企業本来の営業活動で得た収入が「売上」にあたるので、事業活動以外で得た利息や株式の配当金・売却益などは売上に該当しません。
また、現金で支払われた取引はもちろん、企業で一般的に採用されている掛け売りの取引も売上に含まれます。掛け売りで得た売上を計上するときは、「売掛金」という勘定科目を使用します。

売上高との違い

売上と似たような意味を持つ言葉として、「売上高」という言葉があります。両者には以下のような違いがあります。

・売上
収入を得るたびに処理する勘定科目。帳簿で使用され、「売上」「売掛金」と表記する。

・売上高
一定の期間(1年など)に得た収入の合計金額から、割引や返品を控除した金額を表す勘定科目。損益計算書などで使用され、「売上高」と表記する。

売上高は「売上の金額合計」という意味で使われるので、売上と混同しないようにしっかりと区別しておきましょう。

売上計上基準の種類


営業活動で売上を得たら、帳簿に計上してお金の流れを記録します。企業会計の方法には以下の3つの主義が存在していますが、企業会計原則では売上の計上を「実現主義」で行うことが要請されています。

・発生主義
金銭のやり取りに関係なく、取引が発生した時点で売上や費用を計上すること

・現金主義
現金や預金の入出金があった時点で売上や費用を計上すること

・実現主義
実際に代金や商品によって収益を得られた時点で計上すること

なお、実現主義の計上基準には3つの種類があります。ここでは、それぞれの基準について詳しく解説します。

出荷基準

「出荷基準」とは、商品を取引先に出荷した時点で売上として計上する基準です。おもに、物販・物流業界で多く採用されています。どの時点を出荷とするのかについては、以下の3つの認識が存在しています。

1.自社から商品を出荷したタイミング
2.自社から商品を出荷し、トラックに積み込んだタイミング
3.出荷された商品が発注先に届き、受領印が押されたタイミング

どのタイミングでも「出荷」に該当するので、企業は自社にとって都合の良いタイミングで売上として計上できます。

引渡基準

「引渡基準」とは、出荷した商品が取引先に引き渡された時点で売上として計上する基準です。この場合の「引き渡し」にはお金の受け渡しはあまり関係なく、「相手に商品が渡ったかどうか」が重要視されます。会計処理では、原則として引渡基準で売上を計上することが一般的だとされています。

検収基準

「検収基準」とは、取引先に届けた商品に間違いや不備がないかを検査し、検収が完了した時点で売上として計上する基準です。出荷基準とは異なり、「単に渡すだけではなく、確実に商品に問題がないかを確認してからでないと計上できない」という特徴を持っています。

検収基準では、検収終了後の確認や検収書類を受け取るなど、取引先と検収作業のやり取りが必要になる点に注意が必要です。そのため、ほかの基準と比べて手続きの手間がかかるというデメリットがあります。

売上の記帳方法


記帳法には複数の種類が存在しており、それぞれに異なった特徴があります。ここでは、記帳方法の種類とその特徴について詳しく見ていきましょう。

分記法

分記法とは、「商品」と「商品売買益(収益)」という2つの勘定科目を使って記帳する方法です。宝石や不動産など、少量で高単価な商品を販売している企業に適しています。
たとえば、原価800円の商品を1,000円で販売したとき、分記法では以下のように仕訳を行います。

【商品を仕入れたとき】

借方 貸方
商品 800円 買掛金 800円

【商品を売ったとき】

借方 貸方
現金 1,000円 商品 800円
商品売買益 200円

商品を売ったときは勘定科目「商品」と「商品売買益」を記載し、貸方に「収益」を記入します。「商品」と「商品売買益」を貸方に記入するため、三分法のように決算整理をする必要がない点が特徴です。

総記法

総記法とは、売ったときも仕入れたときも商品勘定のみを使って記帳する方法です。
たとえば、原価800円の商品を1,000円で販売したとき、総記法では以下のように仕訳を行います。

【商品を仕入れたとき】

借方 貸方
商品 800円 買掛金 800円

【商品を売ったとき】

借方 貸方
現金 1,000円 商品 1,000円

【決済時】

借方 貸方
商品 200円 商品販売益 200円

商品の仕入・販売を「商品勘定」のみで記帳しているため、原価と売価が混ざった状態で仕訳されます。そのため、記帳内容から企業の業績を判断することは困難です。なお、総記法は決算整理をする必要があります。

三分法

三分法は、「仕入」「売上」「繰越商品」という3つの勘定科目を使って記帳する方法です。もっとも企業で採用されることが多いのが、この三分法です。
たとえば、原価800円の商品を1,000円で販売したとき、三分法では以下のように仕訳を行います。

【商品を仕入れたとき】

借方 貸方
仕入 800円 買掛金 800円

【商品を売ったとき】

借方 貸方
買掛金 1,000円 売上 1,000円

【決済時】※決済整理を行う期末商品の残高は200円だった

借方 貸方
繰越商品 200円 仕入 200円

三分法は商品販売時に原価を記入する手間が不要なため、記帳作業が効率化できます。ただし、決算整理しなければ商品売買の収益を把握できないというデメリットもあります。

それでも大量の商品の原価を記入する手間が省けるメリットの方が圧倒的に大きいため、効率的な「三分法」を採用している企業が多いのです。

五分法

五分法は、下記の5つの勘定科目を使って記帳する方法です。

・仕入
・売上
・仕入値引・戻し
・売上値引・戻り
・繰越商品

記入方法は、基本的に三分法と同じです。ここでは、5つのケースに分けて仕訳方法を見ていきましょう。

【20,000円の商品を仕入れたとき】

借方 貸方
仕入 20,000円 現金 20,000円

【商品の2,000円分を返品したとき】

借方 貸方
現金 2,000円 仕入値引・戻し 2,000円

【15,000円の商品を30,000円で売ったとき】

借方 貸方
売掛金 30,000円 売上 30,000円

【商品不備により6,000円値引きしたとき】

借方 貸方
売上値引・戻り 6,000円 売掛金 6,000円

【決済時】※商品在庫3,000円を繰越商品勘定に振り替え、仕入値引・戻しと売上値引・戻りをそれぞれ振り替える。

借方 貸方
繰越商品 3,000円 仕入 3,000円
仕入値引・戻し 2,000円 仕入 2,000円
売上 6,000円 売上値引・戻り 6,000円

五分法は基本的に三分法と同じ流れで記帳を行いますが、仕入値引などの「仕入控除取引」や「売上控除取引」を「仕入・売上勘定」とは別の科目で記帳します。値引や返品の金額が多い企業にとっては取引内容を把握しやすくなるというメリットがありますが、ほとんどの企業ではシンプルな三分法が採用されることが多いようです。

売上の仕訳例


ここでは、より具体的に売上の仕訳をイメージできるように、3つのパターンに分けて仕訳例を解説します。

現金で売上を回収した場合

まずは商品の販売やサービスの提供により、取引先から売上を回収したケースを見てみましょう。
たとえば取引先に5,000円の商品を販売した場合は、以下のように仕訳を行います。

借方 貸方
現金 5,000円 売上 5,000円

口座に振り込まれた場合

次に、商品またはサービスの代金が取引先から銀行口座へ振り込まれたケースを見てみましょう。

たとえば取引先に5,000円の商品を販売して、代金を振り込んでもらったときは以下のように仕訳を行います。

借方 貸方
預金 5,000円 売上 5,000円

掛け売りした場合

掛け売りとは、「後払い」のことです。商品やサービスの提供で発生した代金のうち、未回収のものを「売掛金」として処理します。

たとえば取引先に50,000円の商品を販売し、代金を来月に回収する予定の場合は以下のように仕訳を行います。

借方 貸方
売掛金 50,000円 売上 50,000円

翌月、販売した商品の代金として50,000円を現金で回収しました。

借方 貸方
現金 50,000円 売掛金 50,000円

仕訳業務の問題点


ここでは、仕訳業務を行ううえで考えられる問題点を3つ解説します。

業務フローが複雑すぎる

会計業務には日々行う「日次業務」、毎月行う「月次業務」、毎年行う「年次業務」の3種類が存在しており、それぞれの作業内容が非常に多く、業務フローが複雑だという問題点があります。法令や企業会計原則に基づいた作業を行うことはもちろんのこと、会社ごとに独自のルールを定めていることもあるため、さらに業務が複雑化しやすいのです。

企業のなかには、業務の複雑さから数人の限られたスタッフしか仕訳業務を行えないケースもあります。業務負担が多いにもかかわらず作業が属人化しやすいため、内容の見直しや分担ができず、さらに担当者の負担が増えるという負の連鎖に陥っていることも珍しくありません。

残業が発生する

仕訳業務はある程度の知識と経験が必要な難しい仕事ですが、企業のお金を取り扱う以上、ミスは絶対に許されません。何度も確認しながら業務を慎重に遂行するあまり、作業スピードが落ちて残業が発生してしまうことも珍しくないでしょう。

請求書の処理や経費精算が重なる繁忙期は業務量がより一層増え、担当者に非常に大きな負担がかかってしまいます。先述したように作業が属人化しやすいため、一部の従業員のみ残業が増えてしまうというケースもあります。

新人を配置しにくい

経理業務は会社によってルールが異なるうえに、専門知識が必要なため、新人にとってはハードルが高い業務です。上司が丁寧に指導できることが理想ですが、日常的に業務量が多いせいで、新人に教える時間が取れない企業も多いかもしれません。

また、少子高齢化による労働人口の減少や専門知識を持った人材が採用できないなど、新しいスタッフの補充が難しいことも課題です。

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まとめ


企業が事業を継続させるために欠かせない「売上」は、ルールに従って計上することが求められます。計上のルールにはさまざまなものが存在しているので、この記事でしっかりと復習し、正しい知識を身につけておきましょう。

また、売上の仕訳を含め、従来の経理業務には煩雑な作業ばかりで多くの課題が残されていました。経理部門の負担を減らして企業の利益を向上させるためにも、ぜひ株式会社ROBOT PAYMENTが提供する「請求管理ロボ」をご検討ください。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。