売掛金が回収不能になったら何をすべき?予防方法もまとめてご紹介!

請求業務

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売掛金が回収できずに困った経験のある企業は多いのではないでしょうか。売掛金とは、代金後払いの掛取引で生じる債権で、取引先に商品やサービスを販売・提供後、一定期間を経て、その代金を受け取るものです。

便利な商慣習ではありますが、回収が滞ると経営が悪化してしまうため、確実に回収しなければなりません。この記事では、売掛金が回収不能になったら何をすべきかという具体的な内容に加えて、予防方法もまとめてご紹介します。

売掛金が支払われない理由

売掛金が支払われない理由としてはさまざまな要因がありますが、ここでは代表的な4つの理由を解説します。

単純なミス

取引先が単純に支払いを忘れていることもあります。長年取引をしている間柄ならば忘れられることは滅多にありませんが、一度限りの取引であったり、担当者が不慣れであったりすると、稀にこのようなトラブルが発生します。このような単純なミスによる支払いの滞りは、電話やメールなどで催促するだけで解決することが多いでしょう。

資金繰りが困難

売掛金が支払われない理由として最も多いのが、取引先の資金繰りが困難なケースです。例えば、売掛金を回収する時期と、仕入れの際に発生した売掛金の返済時期との間に期間が空くと、キャッシュの蓄えが一時的に足りなくなるので、売掛金を支払えなくなることもあります。

このような短期間で解決する資金繰りの悪化であれば問題ありませんが、頻繁に売掛金が滞納されるようであれば注意しなければなりません。この場合は取引先の経営状況が悪く、倒産の可能性もあるからです。取引先が倒産してしまうと、売掛金はほとんど回収できなくなってしまいます。未回収となってしまうと自社の資金繰りが悪くなり、黒字倒産の危機の直面する恐れもあります。

債権の相殺を考えている

両社が債権を相殺する意思を示すことで、債務は消滅できます。例えば、取引をしている企業の片方が300万円の金銭債権を持ち、もう一方が300万円の売掛債権を持っていた場合、お互いに300万円ずつを相殺して債務を帳消しにすることができます。

相殺を持ちかけられた場合、売掛金の回収こそできませんが、自社の債務も消滅するため悪影響はありません。ただし、現金を得ることはできないので、自社の資金繰りが悪化している時に売掛金を相殺されると、経営難に陥ってしまうこともあります。

請求内容や金額に疑問がある

取引先が請求内容や金額に疑問を感じて、支払いを見合わせていることも考えられます。また、事前に自社から受けていた説明と商品やサービスの内容が異なると取引先が納得しておらず、支払いを留保している可能性もあります。

これらのケースでは、請求金額について丁寧に説明をしたり、商品やサービスに問題があった場合は会社として真摯な対応をしたりする必要があります。ただし、初めから売掛金を支払うつもりがなく、一方的にクレームをつける悪質な業者もあるので、自社に問題があるか慎重に見定めなければなりません。

回収不能になった場合の処理方法


ここまでご紹介したとおり、売掛金が回収不能になるケースはいくつかあり、企業が回収不能の問題に直面することは珍しくありません。万一、回収不能となった場合は、経理上の処理を行わなければなりません。ここでは、回収不能となった場合の3パターンの処理方法についてご紹介します。

貸倒損失とは

売掛金が回収不能となった場合、貸倒損失の処理を行います。貸倒損失とは、売掛金が回収できなくなった際に、その損失額を処理する勘定科目のことです。ただし、どんな場合でも損失として計上できるわけではありません。

貸倒損失として損金に算入することができるのは、法律上の貸倒れ、事実上の貸倒れ、形式上の貸倒れの3つのケースに限定されています。以下でそれぞれのケースについて、詳しく解説します。

法律上の消滅に該当する場合

法律上債権が消滅している場合、回収できなかった売掛金は、貸倒損失として損金算入されます。これを、法律上の貸倒れといいます。

債権の消滅が認められるケースはさまざまですが、例えば会社更生法や民事再生法などの規定に基づき、裁判所による認可決定を経て債権が消滅したことを認められます。このケースでは自社が損金経理をするか否かに関わらず、自動的に損金算入されます。つまり、貸倒損失として会計処理をしていなくても、税務署への申告書上で所得を減額することが可能なのです。

回収不能であることが明らかになった場合

債務者の資産状況や支払い能力などから、売掛金の全額が回収不能となることが明白になった場合は、金銭債権の全額を貸し倒れとして損金経理することが可能です。これを、事実上の貸倒れといいます。ただし、担保物がある時は、その担保物を処分した後でないと、貸倒損失として計上することができません。

取引停止後1年以上経過、または弁済がない場合

取引停止から1年以上が経過しても売掛金が支払われておらず、督促をしたにも関わらず弁済がない場合は、「備忘価額(びぼうかがく)」を設定し、損金経理処理によって貸倒損失を計上することができます。これを、形式上の貸倒れといいます。

備忘価額とは、何らかの事由で価値を失った資産などを、1円や10円のようにキリの良い数字で、帳簿などに記載する金額のことです。

回収不能を防ぐためには与信管理が重要


売掛金の回収不能を防ぐには、与信管理が重要な鍵となります。与信とは、取引相手に対して、商品やサービスの代金を回収するまで信用を与えることです。言い換えるならば、与信は取引相手の信用度のことで、与信管理とはその信用度に応じて取引の限度額を決めることを意味します。ここでは、与信管理の具体的なプロセスをご紹介します。 

情報収集を徹底する

与信管理で初めに取り組むのが、取引先の情報収集です。決算書・事業報告書・財務諸表などを参照して、その取引先がどれくらい信用できる企業かを探りましょう。これらの情報を公表している会社は比較的多いですが、非上場企業は公開していないケースもあります。その場合は情報の開示を求めるか、調査会社に依頼して情報収集しましょう。

企業の信用力を判断する

収集した情報を基にして取引先の信用度を図る際には「定量分析」「定性分析」「商流分析」という3つの分析を用います。

定量分析は、決算書などに記載されている数値を基に分析することを意味します。定量分析をするうえで最低限必要となるのは、決算書の損益計算書と貸借対照表です。

定性分析とは、数値では表すことのできない情報の分析を意味します。例えば、経営者の資質・経営姿勢・販売基盤・業界内での立ち位置・顧客からの評判・労使関係などが分析対象です。実際に企業を訪問して社内の雰囲気や社長の人柄などを把握します。

商流分析は、商取引の一連の流れを分析し、商売形態や決済条件などが分析対象となります。優良な企業であっても、取引から将来性が見込めない場合は慎重に与信限度額を設定した方が良いでしょう。

このように、企業の信用力の判断は、数字以外の情報も含めた分析が必要となります。

与信限度額を設定する

相手企業を信用できると判断したら、次は与信限度額を設定します。与信限度額とは、取引金額や売掛金の上限金額です。売掛金は取引先の経営状況によっては回収できなくなるリスクもあるため、与信限度額の設定は慎重に行いましょう。

取引開始後も定期的な見直しを行う

与信管理は、与信限度額を設定して取引を開始したからといって終わりではありません。むしろ、取引開始後も与信管理を継続して定期的な見直しを行っていくことにこそ重要な意味を持ちます。取引開始直後は取引先の経営状況が安定していたとしても、時間の経過とともに経営が悪化してしまう可能性もあります。与信管理をせずに取引先の経営状況の確認を怠っていると、その間に経営難に陥っていて売掛金が回収できなくなってしまうような事態も起こりかねません。

このように、売掛金が回収不能になるリスクを避けるためには、与信の見直しを定期的に実施したうえで取引先が支払いを滞らせないよう確実に請求書を送付したり、支払いを遅延したらすぐに督促したりする必要があります。もし、売掛金の支払いが滞ることが続いたら、改めて相手企業の情報を集めて、取引先の与信限度額を再検討することも大切です。

売掛金を管理する際のポイント

売掛金を確実に回収していくためは、徹底した売掛金の管理が大切です。ここでは、売掛金を管理する際に気をつけたい3つのポイントをご紹介します。

得意先ごとの売掛金をしっかり把握する

業務に追われていると細かな管理を怠ってしまいがちですが、得意先ごとの売掛金はしっかりと把握しましょう。各得意先別の売掛金管理台帳を作成して、売掛金を管理します。

作成するうえでのポイントは、「当月締め・翌月回収」や「当月締め・翌々月回収」などの回収基準でグループごとにまとめることと、備考で取引先ごとに締め日と回収日を記入することです。売掛金の回収状況が一目瞭然となり、実際にズレがあってもすぐに対応できます。

遅延の区分を設ける

売掛金の管理を徹底していても、全ての売掛金が確実に回収できるわけではありません。なかには、期日通りに支払ってくれない取引先も少なからずあります。このように売掛金の支払いが遅延されている案件は、区分を設けましょう。

例えば、遅延案件をひとまとめに管理するのではなく、遅延している日数ごとに、30日以内、30日以上60日以内、といったように30日ごとに区分していきます。売掛金の遅延は時間が経つごとに回収が困難になるので、それぞれの遅延区分に応じて対応策を分けておきましょう。

売掛金管理の代行サービスを利用する

売掛金管理でお悩みならば、代行サービスに業務を委託するという手段もあります。代行サービスは、売掛金管理のみならず請求書の発行や入金管理に加え、記帳業務の代行も行うサービスです。売掛金管理は煩雑な業務となるため、一部の経験を積んだ経理担当者に依存して負担が偏りやすいという課題があります。そこで、代行サービスを利用すれば業務の負担軽減を図り、業務全体の効率化を進めることができます。

ただし、代行サービスに頼ることは、必ずしもメリットばかりではありません。売掛金管理を丸ごと代行サービスに任せてしまうと、社内で売掛金管理のできる社員が育たなくなってしまいます。短期的には業務効率が上がっても、長期的には経営に問題が生じる可能性もあるため、代行を依頼する業務範囲はバランスを見て慎重に検討しましょう。

また、代行業者のサービスの質は業者によって差があるため、管理が杜撰な業者に委託すると個人情報が漏洩するリスクもあります。

このように、代行サービスの利用にはデメリットやリスクも伴います。現状を把握し、自社に必要なサービスと業者の質をしっかり見極めて活用するようにしましょう。

請求管理ロボ」で売掛金の回収不能を未然に防ごう!

売掛金が回収不能になると、会社にとって大きな損害となるので、未然に防ぐための対策を講じる必要があります。しかし、請求業務に追われて適切な与信管理が実施できていないという企業も多いことでしょう。請求業務を効率化したいと考えておられる方は、株式会社ROBOT PAYMENT(ロボットペイメント)の「請求管理ロボ」の導入をご検討ください。

請求管理ロボは、SFA/CRMと会計をつなぎ、取引先への請求・集金・消込・催促業務といった売掛金回収業務を自動化するクラウドサービスです。主な機能として、請求書発行、請求書送付、請求書管理、入金管理、消込、催促、データ連携、会計連携などが備わっています。

請求書は、明細単位で請求金額・売上計上日・請求スケジュールなどの細かい設定が可能で、期日になると取引先に対して自動で請求書データをメール送付します。また、メールだけでなく、郵送で請求書を送付することもでき、その際は印刷・封入・投函作業も不要です。そして、請求データを一括で管理しているので、請求書の郵送履歴やPDFデータによるメール送信履歴なども確認できます。

入金は、クレジットカード決済・コンビニ決済・銀行振込・口座振替など決済手段に関わらず一括管理が可能です。さらに、これらの請求データと入金データの突き合わせにより、自動で消込を行います。もしも売掛金の支払期限を過ぎても入金がなかった場合は、取引先に自動で催促メールを送付しますので、請求の対応漏れを防止できます。

会計連携は、弥生会計・勘定奉行・MF会計などに対応しており、仕訳データをこれらのソフトと連携させるためにCSV形式で出力可能です。その他にも、kintoneやSalesforceなどとも連携ができるため、業務効率や生産性を一層高められます。

まとめ

この記事では、売掛金が回収不能になったらすべきことと、その予防方法をご紹介しました。売掛金が回収できないことは、会社の経営にとって大きなリスクとなります。そのため、日頃から与信管理や売掛金管理を徹底し、貸倒れのリスクを軽減する必要があります。

しかし、売掛金の回収や日々の請求業務を全て手作業で行うのは、取引先が多い企業にとっては至難の業です。経理担当者の負担を減らし、対応漏れなどの業務ミスをなくしたい方は、「請求管理ロボ」の導入をご検討ください。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。