【有給取得率を高める】 夏季休暇に有給消化をするための条件
もうすぐ夏季休暇の時期ですが、みなさまの企業では夏季休暇はどのような扱いになっていますか?
原則として労働者は、本人の意思で有給消化する日を決めることが出来ます。
ただ、企業側としては事業計画などの事情から、社員のスケジュールを管理したいものですよね。
「夏季休暇は必要だけど、さらに有給を与えるのは辛い」と感じている経営者の方もいらっしゃるかもしれません。
こういった事情から雇用側と被雇用者の合意の上で、有給休暇を計画的に付与することが出来る制度が活用されています。これを『年次有給休暇の計画的付与制度』といいます。
企業側にとっても雇用者にとってもメリットのある制度です。実際に多くの企業がこの制度を用いて「夏季休暇で有給消化させる」という方法を取っていますので、まだ取り入れていないようでしたら一度検討してみてはいかがでしょうか。
夏季休暇での有給消化には「前提となる条件」もある
労働基準法第39条により、「年次有給休暇の取得時期を雇用側が指定できるのは、各従業員の保有する年次有給休暇の残り日数が5日を超える部分」と定められています。例えば「年間の有給休暇が合わせて15日」であるならば、「10日」が年次有給休暇の計画的付与を行える範囲ということになります。
夏季休暇取得後に有給休暇が5日未満になる場合は、計画的付与による有給消化はできません。
社会人は体調管理もまた仕事の一環ですが、それでも体調不良で出勤が難しくなる可能性は誰にでもあるものです。そんな突発的なトラブルや発病に対応するために必要な「最低限の日数」が5日と定められていますので、もちろん自由に有給を取ることも可能です。
夏季休暇で有給消化するには、もう一つ条件があります。
年次有給休暇の計画的付与への合意を得る
法に則った形で有給消化させるためには、しっかりと制度を守っていく必要があります。ただ合意を得ていれば大丈夫、というわけではありません。
社員が自由に取得できるのが年次有給休暇の原則ですから、企業側が勝手に計画できるわけではありません。計画的付与を行うには雇用側と社員の合意と、それに伴う届け出が必要となります。
流れとしては以下のようになります。
(1)労使協定で年次有給休暇の計画的付与に関しての合意を得る
(2)労働協約と就業規則に(1)に関する条項を盛り込み、改めて合意を成立
(3)届け出を行い、受理されることで効力を持つ
まとめ
年次有給休暇とは別に夏季休暇を有給で付与する企業もありますが、あまり一般的とは言えないでしょう。
有給消化は社員の意志に任せるべきだという考え方もありますが、多くの社会人にとって有給消化はなかなか行いにくいものでもあります。消化しきれずに有給休暇を貯めてしまっている、という人も多いのではないでしょうか。また、企業内で有給取得率にバラつきが生まれていることも多いようです。
夏季休暇として有給消化できるのであれば、平等に有給消化することができるので、メリットを感じる人もいるのではないでしょうか。企業の方針として計画的に有給消化ができれば、有給休暇の権利が消滅するような事態を防ぐ対策にもなります。
また、企業も社外に福利厚生の充実をアピールすることができるので、お互いに相応のメリットがある制度だと言えるでしょう。