ファクタリングを断られたのはなぜ? 審査基準と断られる原因を優しく解説

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ファクタリングには、売掛金や受取手形の期日を待たずに短期間で現金化できることや、融資とは異なり利子を払ったり負債を負ったりすることなく資金調達できることなどの利点があります。自社が提供した商品やサービスの債権を買い取ってもらう仕組みなので担保も必要なく、手軽に資金調達できる方法として検討している事業所も多いでしょう。

しかし、ファクタリングを利用するにあたって、全く障壁がないわけではありません。ほとんどのファクタリング会社には審査があり、断られることもあるのです。本記事では、ファクタリング会社の審査基準や審査で断られる原因などを解説します。

ファクタリングの審査通過率


インターネットでファクタリング会社を検索すると、審査通過率90%以上などとうたっている会社が多くヒットします。一般的にも、ファクタリングは金融機関の融資よりも審査通過率が高い印象はありますが、実際はどうなのでしょうか。ここでは、ファクタリング会社の審査通過率について説明します。

一般的な通過率は70%程度

ファクタリングの一般的な審査通過率は、70%前後と言われています。金融機関による融資の審査通過率は一般的に50〜60%程度と言われているため、融資よりは審査を通りやすいと言えますが、それほど高いわけではありません。
では、なぜ多くのファクタリング会社が審査通過率90%以上と公表できるのでしょうか。そこにはファクタリングという仕組み特有の理由があるのです。

通過率が90%と表記される理由

審査通過率が90%以上とうたっているファクタリング会社の多くは、大手のファクタリング会社です。多くの取引を行っている大手ファクタリング会社では、大小さまざまな案件を扱います。その際に、買い取る債権の大きさや信用度によって掛け目を調整しているのです。掛け目とは、この場合、債権の金額に対するファクタリング金額の割合です。

例えば、回収が確実な100万円の売掛金ならば70%の掛け目で70万円をファクタリングしますが、回収が不安な場合には掛け目は10%で10万円しかファクタリングしない場合もあります。しかし、どちらの場合でもファクタリングを行っているので、審査には通過していることになります。

また、大手ファクタリング会社では、2社間ファクタリングだけではなく3社間ファクタリングも取り扱っています。2社間ファクタリングでは、利用者が売掛金を回収してファクタリング会社に支払いますが、3社間ファクタリングでは、売掛金の支払者が直接ファクタリング会社に支払います。そのため、3社間ファクタリングのほうが信用度は高く、審査の通過率が高くなるのです。

このように、審査の通過率が高いからといって、債権の100%をファクタリングできるわけではありません。しかし、債権の一部の金額であっても急いで資金調達しなければならないときには、ファクタリングが有効だと言えるでしょう。

ファクタリング会社の審査基準


前述のとおり、ファクタリング会社の審査通過率はそれほど高いわけではありません。
ここでは、ファクタリング会社の審査基準について説明します。

売掛先は信用できるか

 
ファクタリング会社側には、買い取った債権が回収できないというリスクがあります。そのため、売掛先の信用力は審査に大きく影響します。自社が多少資金繰りに苦労していても、売掛金の回収先がしっかりしていれば審査を通る可能性もあるのです。

例えば公的機関や上場企業など、支払い能力に問題はないと考えられる場合は通りやすいと言えます。また、これまで問題なく売掛金の回収ができているという取引実績がある場合も、通りやすいと言えるでしょう。逆に、売掛先の業況が悪い場合、自社の業況は安定していても審査を通らない可能性があります。

代金を確実に回収できるか

 
売掛先の経営状況が非常に悪い場合や、既に売掛金が不良債権となっている場合など、債権の回収が難しいと判断される場合には審査を通るのは難しいでしょう。
また、売掛金の回収期間が長すぎる(60日以上など)場合も、その間に回収できなくなる可能性が高まるため、審査を通らない理由となる場合があります。

利用者は社会的に信頼できる人物か

 
回収に問題がなくても、利用者の社会的信用に問題がある場合には、審査を通らない場合があります。例えば、身分証明が不確かであったり、過去に大きな過失をおかしていたりする場合です。また、横柄な態度や言葉遣い、悪いうわさ、遵法意識の低さなど、個人的な人柄からも、ビジネスの取引相手として信頼できるかどうかが判断されます。

ファクタリングが断られる原因

 

前章ではファクタリング会社の審査基準について説明しました。ファクタリングは融資よりもハードルが低いと思われがちですが、売買する債権の回収リスクが高ければ審査に通らないことも十分に考えられます。すなわち、重要なのは売掛先の業況や、売掛金の条件(回収しやすさ)なのです。また、利用者自身の人柄によって判断されることもあります。
ファクタリングが断られる原因について、細かく見ていきましょう。

売掛先に問題がある

 
売掛先が原因となるのは、以下のような場合です。

● 売掛先の信用力が低い
信用力とは、支払い能力があるかどうか、ということです。売掛先が上場企業や公的機関である場合、売掛金が支払われないというリスクはほとんどありません。しかし、過去に売掛金の滞納があった企業や取引が初めての企業の場合、売掛金を回収できないリスクが高く、信用力が低いと判断されます。また、企業専門調査会社(帝国データバンク、東京商工リサーチなど)の企業レポートも活用されています。

● 売掛先の経営状況が悪い
借金の返済が遅れたり税金の滞納があったりする場合、経営状況が悪いと判断されます。滞納の状況によっては、資産を差し押さえされる場合もあります。そうなると、売掛金の回収はできません。法律で定められた差し押さえできる資産には「債権」も含まれるためです。ファクタリングの審査に通ることはまずないでしょう。

● 取引する債権(売掛金)が継続して発生するものではない
ファクタリングで売買しようとする債権が一過性のもので今後継続して取引していく売掛先ではない場合、または新規に取引する売掛先の場合、実績がないためファクタリング会社でもリスクが予想しづらく、審査では不利になります。逆に、安定した取引を長期間継続している売掛先は、実績があり信用力が高いと判断されます。

● 売掛先が法人ではない
例外もありますが、一般的にはファクタリング会社は法人を対象にしています。従って、売掛先が個人事業主や個人の場合、審査が通る可能性は低いでしょう。

売掛金に問題がある

 
売掛金そのものが問題となる場合もあります。その内容には以下のようなものがあります。

● 存在自体が怪しい売掛金
売掛先と利用者が結託して偽の請求書などを作成し架空の商取引があるように見せかけたり、ペーパーカンパニーを使用したりして、実際には存在しない売掛金をファクタリング会社に買い取らせようという犯罪行為が存在します。そのため、調査の結果、請求書などの書類に少しでも不審な点があった場合、審査には通らないでしょう。

● 不良債権となっている売掛金
不良債権とは、財産的価値のない債権のことです。既に回収できないことがわかっている売掛金などは、ファクタリング会社にとって買い取っても損をするだけなので、調査の段階で判明した場合には審査を通ることはありません。

● 回収サイトが長すぎる売掛金
売掛金の支払いまでの期限が長ければ長いほど、回収リスクは高まります。すなわち、回収サイトは短いほど審査を通りやすいと言えるでしょう。回収サイトの設定は、長くても2ヶ月(60日)程までが目安と言われています。

● 二重譲渡の疑いがある売掛金
既にファクタリング会社に譲渡した債権を、ほかのファクタリング会社に譲渡する「二重譲渡」は違法とされています。ファクタリング会社の審査において二重譲渡の疑いがあるとわかった場合、審査に通ることは絶対にありません。
二重譲渡は、故意に行ったのではなくミスだった場合もあるかもしれませんが、どちらの場合も犯罪となるため、十分な注意が必要です。

● 「債権譲渡禁止特約」の付いた売掛金
売掛先との契約の際に、債権譲渡禁止の特約を結ぶ場合があります。この特約は売掛先が付すもので、売掛金を第三者に譲渡することを禁止するものです。債権譲渡禁止特約を破っても改正民法上では法律違反とはなりませんが、買い取る側のファクタリング会社は、特約が付いている時点で買い取り後のトラブルなどを警戒します。そのため、審査には通りにくいと言えるでしょう。

利用者に問題がある

売掛先や売掛金の問題のほかにも、利用者が原因となって審査に通らない場合があります。
例えば以下のような理由です。

● 利用者の身元や人柄に問題がある
ビジネスの契約を結ぶ相手として、身分証明が不確かであったり、過去に大きな過失をおかしていたりする場合には、ファクタリング会社も警戒します。また、面談の際の話し方など、人柄が良くないと判断されると審査結果に影響する可能性があります。

● 経営者としてのモラルが低い
面談の際に横柄な態度をとる、人の意見に耳を傾けないなど、マナーに欠けた言動はマイナス評価です。また、悪いうわさが多かったり、ギャンブル依存症であったり、公私混同が激しかったりする場合には、経営者としてのモラルを疑われます。
例えば、2社間ファクタリングを行った場合には、利用者が売掛金を回収しファクタリング会社に支払います。しかし、上記のようなモラルの低い利用者の場合、回収した資金を他の目的に流用してしまう可能性が考えられるのです。従って、モラルが低いと判断されれば、審査に通る可能性も低くなります。

● 利用者の信用力が低い
ファクタリングで重要なのは、利用者よりも売掛先の信用力であることは前述しました。しかし、利用者の経営状況が思わしくなく、あまりに財務状況が悪い場合などには、信用力が低いとして審査を通さない場合もあります。なぜなら、2社間ファクタリングの場合、利用者が売掛先から回収しファクタリング会社に支払うはずの資金を、自社の経営のために使い込んでしまうことが懸念されるためです。

● 必要書類を揃えられない
ファクタリングを申し込む際や契約の際には、求められた書類をそろえる必要があります。準備にあまりにも時間がかかるようでは、書類の信ぴょう性を疑われる場合もあります。少しでも疑わしい点があれば、審査に通ることは難しいでしょう。必要書類はできるだけ迅速に揃えて提出しなければなりません。なお、通常必要となる書類は以下のとおりです。

・身分証明書
・売掛金の存在を証明する請求書や発注書、納品書など
・取引履歴を確認できる銀行口座通帳
・2~3期分の決算書(確定申告書)

また、以下の書類も必要となる場合があります。

・商業登記簿謄本
・印鑑証明書
・売掛先との基本契約書
・納税関係書類

● 売掛先の同意を得られない
3社間ファクタリングの場合、売掛先に債権を譲渡する旨を通知し、承諾をもらう必要があります。このとき、売掛先の承諾を得られない場合にはファクタリングの手続きを進めることはできず、審査も中断となってしまいます。
売掛先にファクタリングの通知をすれば、融資が受けられずファクタリングで資金繰りをするほど経営状況が悪化しているのか、という不信感を抱かせる恐れもあります。そのため、売掛先への通知が必要な3社間ファクタリングよりも2社間ファクタリングを選ぶ企業のほうが多いようです。

● 利用者が個人事業主である
売掛先の問題のところでも触れましたが、一般的にファクタリング会社は法人を対象に事業を行います。債権譲渡の際には、誰が債権者であるかを証明するための「債権譲渡登記」を行うファクタリング会社がほとんどですが、この制度は法人でなければ利用できません。そのため、個人事業主は最初から受け付けないファクタリング会社が多いのです。債権譲渡登記を「留保」という形で個人事業主を受け付けるファクタリング会社もありますが、事業規模が小さく経営体力もそれほどではない個人事業主に対して消極的なファクタリング会社がほとんどであるのが現状です。

ファクタリング会社選びのポイント

 

ファクタリング会社を利用する際には、利用者側は審査される立場にあります。しかし、取引するファクタリング会社を選ぶのは利用者です。ファクタリング会社選びに失敗して悪徳業者にだまされたり損をしたりしないよう、慎重に選択する必要があります。ここでは、ファクタリング会社を選ぶ際に最低限押さえておきたいポイントを紹介します。

手数料の低さ

通常、ファクタリング会社は債権額から手数料を引いた金額を買い取り額として入金します。手数料の割合は個々の審査の結果により異なるため、はっきりとはわかりませんが、Webサイトなどで公にされている手数料は、一般的に以下のとおりです。

● 2社間ファクタリング 10~20%
● 3社間ファクタリング 1~9%

この手数料よりも高すぎる、または低すぎる手数料を提示してきた場合、そのファクタリング会社は疑ったほうが良いでしょう。一般的な常識の範囲内で、手数料がより低いファクタリング会社を選ぶと良いでしょう。

償還請求権の有無

「償還請求権」とは、もし債権が回収できなかった場合に、遡って請求ができる権利のことです。つまり、売掛先が倒産して債権回収が不可能になった場合などには、ファクタリング会社は利用者に請求できるということです。利用しようとするファクタリング会社の償還請求権の有無はしっかり確認しておきましょう。償還請求権がある場合、審査はゆるくなる傾向にありますが、売掛金弁済のリスクが残ります。また、償還請求権がない場合には審査が厳しくなるのが一般的です。

信頼性の高さ

ファクタリング会社の中には、悪徳業者や経営がずさんな会社も少なからず存在します。その中から信頼性の高いファクタリング会社を見分け、利用することが重要です。以下のような条件に当てはまる会社は、信頼できると言って良いでしょう。

● 大手金融会社や大手企業のグループ会社
● 実績豊富な会社
● 手数料や、債権の上限・下限金額などを具体的に公表している会社
● 現金化の事例を載せ、取引の流れをわかりやすく説明している会社

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まとめ


融資よりもより早く資金調達する方法としてファクタリングがあります。本記事ではその審査について、詳しく説明しました。ファクタリングの審査に通るには意外に多くの条件があって難しいと感じられた方も多いのではないでしょうか。
しかし、ファクタリング会社に審査される点は、ファクタリング会社を利用する際の注意点と共通する部分があります。まず、手数料などの条件や実績などを見て信用できるファクタリング会社かどうか、使用する債権は安心して売り渡せるものか、契約内容はしっかりしているかなどをよく検討し、慎重に取引を進めましょう。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。