BPSPとは? 生まれたきっかけや請求書支払い代行サービスについても紹介

請求代行

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2022年3月、Visaの新しいソリューション「BPSP」に基づくサービス「請求書支払い代行サービス」の提供が開始されました。こちらのサービスによって、企業間取引の際にカード決済に対応していない売り手企業もカード決済を利用できるようになったのです。では、BPSPとはいったいどのような仕組みなのでしょうか。この記事では、BPSPの仕組みや請求書支払い代行サービスについてご紹介します。

BPSPとは

カード決済に対応していない売り手でも、Visaカードを持っていればカード決済を利用できる新しいソリューションです。2017年に制定されたルールで、従来の企業間取引では買い手と売り手の間で決済手段の相違が問題視されています。現代社会はキャッシュレス化が推進しているにも関わらず、売り手企業のキャッシュレス化が滞っているのが現状となっており、こちらの問題を解消するのがBPSPです。ここでは、BPSPの仕組みと生まれたきっかけについてご紹介します。

BPSPの仕組み

カード決済を企業が受けようとする際、その企業がカード加盟店になる必要があります。その際に、加盟店契約会社と当該企業の間に立つ事業者「BPSP」を疑似加盟店に置くことで、BPSPがカードの支払い代金の受領と当該企業への入金を代行する仕組みです。なお、従来のカード決済では売り手側が手数料を負担することが一般的でしたが、上記の仕組みを活用すれば、買い手側・売り手側どちらでも手数料を付けられます。

請求書支払い代行サービスは、特に資金繰りに悩む中小企業などをターゲットにしており、カード決済に対応していない売り手企業であっても、加盟店にあることなく買い手側にカード支払いでの決済方法を提供できるようになることがBPSPの特徴です。他にも、最⼤60⽇間無利息で資金繰りの改善が図れること、データ連携で⽀払い状況の確認、各種照会作業などを簡単に⾏えることなどが特徴として挙げられます。

BPSPが生まれたきっかけ

従来の企業間取引では、仕入れ代金の支払いと売上の入金にタイムラグがあり、特に中小企業では資金繰りに問題が生じていました。解決手段の1つとしてカード決済がありますが、売り手側がカード決済に対応していないケースが多々あるのが現状です。

また、Visaが2021年9月末に発表したレポート「中小企業の事業間決済におけるキャッシュレス化・デジタル化推進」によると、日本にある企業の99.7%が中小企業ですが、リーマンショック以降、日本の大企業は労働生産性を伸ばしている一方で、中小企業では停滞していると発表されています。この背景には、中小企業では人材やリソースの不足により、新規システムの導入が難しく、キャッシュレス化やデジタル化が進んでいないことが挙げられます。その結果、日本の労働生産性については、OECD加盟国36ヵ国中21位、主要7ヵ国の中で最下位と低いランクです。

そこで、Visaは決済の側面から中小企業の課題解決に貢献するために、BPSPの提供を行うことにしました。カード決済の導入によって、経理業務の負担が大幅に軽減されれば、生産性の向上が期待できます。

BPSP以外のソリューション

Visaの調査によると、企業間取引でカード決済を利用しているのは中小企業全体で45%程度と言われています。そのうち半数以上は個人カードを使用しており、ビジネスカードの使用は2割程度にすぎません。カード決済に踏み切らない理由として、支払先が限定されることや新たな変化に対する抵抗などが挙げられます。

しかし、近年では年齢が若い経営者が増えている影響から、デジタル化に対する抵抗も薄まりつつあります。そんな中、Visaも中小企業のキャッシュレス化推進のためさまざまな施策を講じているのをご存じでしょうか。ここでは、Visaが提供するBPSP以外のソリューションについてご紹介します。

Visa Business Pay

全ての請求・支払い業務を、Web上で完結できるVisaカードの決済機能を利用した革新的な企業間取引専用決済システムです。2014年に提供を開始した決済システムで、紙の請求書と銀行振込を置き換える目的があり、電子請求書が送られ買い手企業がWEB上で支払いを行い、ログは全てWeb上に記録されます。

豊富な便利機能により、請求書の発行作業の手間や事務処理を省力化し、コストを削減できる他、本来の業務に専念できるといった効果が期待できるでしょう。カード情報の管理も高度なセキュリティで流出リスクを防止し、海外の売り手企業も利用できるため、新規取引の拡大も見込めます。

Visa Commercial Pay

使用用途や金額を限定した1回限りのバーチャルカード番号を活用して企業間取引を行うサービスです。買い手側のカード決済導入を促進させることが目的のソリューションで、特に中小企業などの従業員へカード付与して不正利用されるリスクを減らします。こちらのサービスでは、従業員へカード付与する際に1回しか使えない番号の発行、支払い金額の上限設定など、第三者に不正利用されるリスクを最小化し、ビジネスシーンでも安全な決済を実現可能です。

BPSPを活用した「請求書支払い代行サービス」を導入するメリット

中小企業の多くが、自社の資金繰りに問題を抱えています。資金繰りが悪化し続けると事業継続が困難になり、たとえ売上が出ていたとしても黒字倒産に追い込まれるリスクがあるのです。こうした資金繰りに関する課題を改善すべく生まれたのが、BPSPを活用した請求書支払い代行サービスです。では、カード決済に変更した企業間取引と従来の取引とでは何が変わるのでしょうか。ここでは、BPSPを活用した請求書支払い代行サービスを導入するメリットについてご紹介します。

買い手側のメリット

企業間取引を現金で行う場合、資金調達のため借入が必要な状況でも、カード決済であれば引き落としまでのキャッシュフローを改善できます。BPSP準拠の決済プラットフォームにより、買い手企業はWeb上でいつでも安全かつ簡単にカード決済による請求書の立て替え払いが可能です。

ただし、決済額に応じた手数料がかかるため注意しましょう。金融機関からの融資や新たな資金調達をしなくても、Visaカードを所有していれば問題ありません。カード決済の切り替えにより、悪化した資金繰りを改善できる他、支払い方法の一元管理により業務効率化が可能です。

売り手側のメリット

買い手企業からの入金サイクルや、振込名義情報などフローを変更せずに利用できる点がメリットです。また、手数料などの金銭的負担がかからないだけでなく、振込などの入金が期日通り行われることが保証されています。

資金繰り改善するための資金調達手段

従来の企業間取引では、仕入れ代金の支払いと売上の入金にタイムラグがあり、資金繰りの悪化が懸念視されていたことからBPSPを活用したサービスが提供されることになりました。ただ、資金繰りの改善にはBPSPの活用以外にもさまざまあります。

その1つが資金調達です。資金調達は大きく4つの方法に分かれており、審査の有無や返済の有無など内容が異なります。そのため、ただ闇雲に資金調達を実施しても資金繰りの改善ができるわけではありません。自社の業種・規模感、調達目的の明確化をしてから自社に最適な手段を選びましょう。ここでは、資金繰り改善策の1つである「資金調達」の方法をご紹介します。

デットファイナンス

有利子負債による資金調達法で、デットとは英語で「負債・借金」を意味する言葉です。別名借入金融とも呼ばれており、多くの金融機関で借入の相談ができるため手軽に資金調達が可能です。デットファイナンスを通じて融資を受けた場合、利息を付けて返済する必要があります。

しかし、利息の支払いは法人税の対象にはならないので、借入金額に応じた節税効果が期待できます。また、返済し続ければ返済実績として記録され、将来的な融資が受けやすくなるでしょう。ただし、借りすぎると返済負担が重くなるので注意が必要です。返済が滞ると企業の信用を損ない、金融機関から借り入れできなくなってしまいます。そのため、資産・負債・資本の財務バランスを意識しましょう。

主な例としては、日本政策金融公庫の融資やインターネットを通じて事業計画を公開し、広く資金を集める「クラウドファンディング」などが挙げられます。

エクイティファイナンス

株式資本や自己資本を新たに発行して、事業に必要な資金を調達する方法です。起業して間もない企業は関係ありませんが、経営が安定しさらなる利益を生み出すために事業拡大を考える場合、資本の増加も視野に検討する必要があります。自己資本が増えると、財務体質が強化され金融機関からの評価も上がる仕組みです。また、返済が不要なため金融機関に借入する際に発生する利息を心配する必要もありません。

しかし、発行株式を増やすと一株の価値が薄まるため、既存株主への説明で理解を必要があります。さらに、第三者の持ち株比率が高まると経営権が外部に移行し配当方針などにも影響を及ぼすことがあるため、専門家と相談し慎重に判断することが大切です。

主な例として、機関投資家などから資金を集めてファンドを立ち上げ、未上場のスタートアップ企業に投資する「ベンチャーキャピタル」や、起業前や起業して間もない企業に出資する「エンジェル投資家」などが挙げられます。

アセットファイナンス

会社が所有する資産を売却して資金調達する方法です。具体的には、不動産や商標権、売掛債権などを資金に換金することを指します。企業の信用度を気にすることなく資金調達が可能なため、融資が受けられない中小企業なども利用可能です。しかし、売却できる保有資産がない場合は、資金調達自体できません。

主な例としては、ファクタリングとリースハックなどが挙げられます。ファクタリングとは、在庫や売掛債権を売却して資金調達する手段です。一時的な資金繰りの悪化の場合に、最短即日で資金を確保でき支払いの遅延を防げます。ただし、一部のファクタリング会社では高額な手数料を取る場合もあるので、顧問税理士に相談して選びましょう。

リースバックは、不動産などをリース会社へ売却して現金化する方法です。業績悪化や事業再生時に活用され、売却しても家賃を支払えば同じ場所で事業を継続できるメリットがあります。固定資産税や引っ越し費用も一切かかりません。

補助金・助成金、その他

経済産業省が支給する補助金や厚生労働省が支給する助成金は、原則返済不要です。ただし、申請できるのは公募期間中のものだけなので、各公募期間を中小企業庁のWebサイト等で確認しておきましょう。

また、申請時の書類準備に手間がかかるため、経済産業省の認定支援機関になっている税理士や社会保険労務士の方にアドバイスを受けるのもおすすめです。主な補助金・助成金は、中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールの導入を支援する「IT導入補助金」、小規模事業者等が販路開拓等に取り組む費用の一部を補助する「小規模事業者持続化補助金」などが挙げられます。

その他、資金調達として保険や共済を解約して資金を確保するケースや、企業独自の暗号資産をブロックチェーン上で発行し投資家に購入してもらう方法なども選択肢に入るでしょう。

資金繰りの改善のために1click後払いを導入しよう!

日本を拠点とする企業の大半が中小企業です。そのため、中小企業の資金繰りが悪化してしまうと、日本経済に大きな影響を及ぼします。資金繰りの改善は資金調達でも可能ですが、返済義務や審査の有無など簡単に利用できるわけではありません。支払い期限が迫る請求書の支払いに困っている場合、支払い期限を先延ばしして手元の資金を確保する方法もあります。企業のお金を繋ぐさまざまなクラウドサービスを提供する「ROBOT PAYMENT」では、支払い期限を先延ばしする「1click後払い」サービスを提供しております。

1click後払いは、請求書の支払いをカード決済で先延ばしするサービスです。請求書の支払いを銀行振込で行っていた際は、支払い期日が30日間しかなかったため手元に現金を用意する余裕がありませんでした。しかし1click後払いなら、利用開始日から最大60日間、支払いを先延ばしできます。そのため、手元に現金を準備する余裕が生まれ資金繰りの改善に繋がるのです。即日利用が可能なほか、利用も3つのステップを踏むだけなので利用する際のハードルも低いでしょう。手数料は、諸経費込みで一律3.8%とお得です。ただし、ファクタリングの場合は5%~15%の手数料がかかります。

まとめ

従来の企業間取引では、仕入れ代金の支払いと売上が入金されるのにタイムラグが生じており、特に中小企業の資金繰りが問題視されていました。また、売り手企業のキャッシュレス決済が進んでおらず、生産性のおいても影響を及ぼしています。こうした課題が見受けられた結果、Visaの新しいソリューション「BPSP」を活用した請求書支払い代行サービスの提供が2022年3月に開始されました。請求書支払い代行サービスによって資金繰りの改善や入金の保証など買い手・売り手双方に様々なメリットが得られます。

ROBOT PAYMENTでも、資金繰りの悪化によって請求書の支払いに苦労している企業へ支払い期限を先延ばしするサービス「1click後払い」の提供を開始。中小企業が多くを占める日本において、資金繰りの改善は避けて通れない課題ですので、この機会にROBOT PAYMENTの公式Webサイトにてサービス詳細を確認し、導入を検討してみてください。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。