財務三表とは?財務諸表との関係性や特徴、読み解き方を徹底解説!

経理

Facebook にシェア
Pocket


投資家や債権者のように会社と利害関係のある人達は、どれくらいの儲けを出しているのか、どれくらいの負債を負っているのか、いくらくらいの資産を保有しているのかといった情報を基に会社の価値を判断します。そのような情報を開示する手段の1つが、財務諸表です。

この記事では財務諸表の概念、財務諸表を構成する書類、財務三表から把握できることなどについて解説します。

財務諸表とは


財務諸表とは、1年間の会社の財政状態や経営成績を決算としてまとめた書類のことです。上場している会社は財務諸表を作成して所轄庁へ提出したり、監査法人や公認会計士の監査を受けたりすることが金融商品取引法によって義務付けられています。上場していない会社や株式を公開していない会社・法人であっても、財務諸表に相当する会社法の計算書類の作成・提出が義務付けられています。

株主や投資家のような利害関係者は、財務諸表を読み解くことで、会社の経営状態を知ることが可能です。また、税務当局が納税額について適正に計算されているかを知るためにも用いられます。

財務諸表を構成する書類


財務諸表は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つから構成されており、これらを財務三表と呼びます。以下にそれぞれについて解説します。

貸借対照表

貸借対照表は決算日時点での企業の財政状態を表すもので、資産、負債、純資産の3つのカテゴリーで構成されています。資産は会社が保有している現金や預金、有形固定資産、ロイヤルティー資産など、調達した資金をどのように運用しているかを示します。

負債は借入金や社債の状況を示すもので、企業の資金調達源の中で他者から借り入れたお金がどのくらいウェイトを占めているのかを知ることが可能です。純資産は資本金、資本準備金、当期純利益の加算額などの自前で調達したお金がどれだけ会社経営に使われているかを示します。

損益計算書

損益計算書は、決算時点で収益から費用を差し引いた利益を知るためのものです。読み取れる利益の種類としては、売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益の5つがあります。損益計算書からは、会社がどのようなことに費用を使ったのか、それによってどれだけ売上を上げたのか、そして結果としてどのくらい儲けを得たのかを知ることができます。また、本業と本業以外のどちらで利益を出しているかを知ることも可能です。

他にも、損益計算書の変動費と固定費を分けることで黒字と赤字の境界線である損益分岐点を見極めることができます。

キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書は、企業の中で現金(キャッシュ)がどのように動いているか、すなわち現金の流れを把握するための会計書類です。現金がどのように増減したのか、増減の変動要因は何なのかを示す役割があり、決算の期首と期末におけるそれぞれの時点での現金の額が分かります。

また、年度単位など一定の会計期間の括りで、営業取引、投資取引、財務取引の3つの区分で現金の変動要因を知ることも可能です。なお、キャッシュフロー計算書で会計対象にするものは、現金の他にも現金化がしやすい預金や償還日が近い公社債投資信託も含みます。

財務三表から把握できること


上記で解説した財務三表からは、収益性分析、生産性分析、成長性分析の3つが把握可能です。以下にそれぞれについて解説します。

収益性分析

企業は資本を投資して事業を営み、そのアウトプットとして売上を上げ、利益を出すことで運営が成り立っています。収益性分析はその利益をどの程度出せているのか、すなわち儲ける力はどのくらい持っているのかを見る分析手法です。収益性が高ければそれだけ利益を生み出す力が強いと言えます。

収益性分析では利益の金額ではなく、売上に対して総利益率はいくらかといった比率から分析を行います。比率を見ることにより、投資した資本がどの程度の効率で利益を出しているかを把握することが可能です。この比率は売上高営業利益率もしくは粗利率とも呼ばれます。

生産性分析

生産性分析は、企業が保有する経営資源を効率良く使って事業を行っているかを分析する手法です。経営資源には、人、物、金の3つが挙げられますが、この中でも特に注目されるのは人に関するものです。

人の生産性を分析するには、財務諸表の数値を使って売上高を従業員数で割り、従業員1人あたりの売上高を算出します。この生産性の高低から、1人あたりの労働生産性や他社との競争力が判断できます。

安全性分析

安全性分析は、会社がどの位の支払い能力を持っているかを分析するためのもので、健全性分析あるいは流動性分析とも呼ばれます。支払い能力があるかとは、すなわち倒産リスクはないかということであり、経営状況が財務的に見て安全かどうかといったリスクの有無を判断するものです。

会社の支払い能力は、貸借対照表で示される資産残高から計算でき、流動資産を流動負債で割った流動比率や、当座資産を流動負債で割った当座比率から判断することが可能です。流動比率は一般的な閾値として200%を上回っていれば問題はないとされています。当座比率は同様に、100%を上回っていれば問題はないと判断できます。

成長性分析

成長性分析は、これまで会社が順調に成長してきているか、そしてこれから将来にわたっても成長していくことができる可能性を持っているかを見る分析手法です。会社が成長しているかどうかは、売上の増加や利益の伸び方の様子、総資産の増加具合などを前年と比較することで判断します。

この比較によって売上高成長率や経常利益増加率を算出し、また貸借対照表の前年との構成率を比較することによって総資本増加率や純資産増加率を算出します。さらに、前年の従業員数との比較である従業員増加率も成長性の重要な指標です。

貸借対照表をチェックする際の3つのポイント


貸借対照表をチェックする際、自己資本比率、流動比率、当座比率の3つのポイントを見ることが重要です。以下にそれぞれについて解説します。

自己資本比率

自己資本比率とは、返済の不要な自己資本が全体の資本調達の中で占めている割合を計算したものです。自己資本比率は自己資本を総資本で割って求められます。自己資本比率は高い方が会社の経営が安定していると言え、逆に低い方が他人資本の影響を受けやすく、会社経営としては不安定であることを示します。

他人資本の例としては短期借入金や長期借入金などの負債、自己資本の例としては資本金、資本余剰金、利益剰余金などが挙げられます。

流動比率

流動比率とは、流動資産を流動負債で割って求められる比率で、会社の短期的な支払い能力を分析するのに用いられ、短期的な安全性を判断するために用いられる指標です。

流動資産とは、現金預金、売掛金、受取手形、棚卸資産などの原則として1年以内に現金化されることになっている資産を指します。一方、流動負債には、未払い金、買掛金、短期借入金など1年以内に返済の必要がある負債が該当します。資金繰りを安定させるには、流動負債の額が流動資産の額を下回る、すなわち流動比率が100%を超えるのが望ましい状態です。

当座比率

当座比率とは、当座資産を流動負債で割って求められる比率で、会社の短期的な債務返済能力に関してどれだけ財務安定性があるかを示すものです。当座資産の例としては、現金、普通預金、受取手形、売掛金、未収金、有価証券などのある程度すぐ換金しやすい資産を指します。

当座資産よりも流動資産の方が多い場合、すなわち当座比率が100%を下回っている場合は、会社の短期的な安全性に不安があります。100%を上回っていれば短期債務返済能力が十分だとのことになりますが、当座資金は未回収の売掛金も含むため、そのまま現金を意味するものではない点には注意が必要です。

損益計算書をチェックする際の2つのポイント


損益計算書をチェックする際には、損益計算書での利益と売上高利益率の2つに注意する必要があります。以下にそれぞれについて解説します。

損益計算書での利益

損益計算書は、収益、費用、利益の3つの要素から成り立っています。損益計算書から分かる利益には5つの区分があり、内容は以下の通りです。

(1)売上総利益:売上高から売上原価を差し引いたもの
(2)営業利益:売上高から営業活動に要した経費を差し引いたもの
(3)経常利益:営業利益に営業外収益を加え、そこから営業外費用を差し引いたもの
(4)税金等調整前当期純利益:経常利益に特別利益を加え、そこから特別損失を差し引いたもの
(5)当期純利益:税引前当期利益から、法人税・法人住民税・法人事業税を差し引いたもの

売上高利益率

売上高利益率は、売り上げた収益のうち何%を利益として残せたのかを示す指標のことです。どの利益を見るかで4つに区分されており、内容は以下の通りです。

(1)売上高売上総利益率(粗利率):売上総利益を売上高で割ったもの。高い方が自社商品の収益性が高いことを意味する。
(2)売上高営業利益率:営業利益を売上高で割ったもの。高い方が会社の収益性・経営効率が高いことを意味する。
(3)売上高経常利益率:経常利益を売上高で割ったもの。高い方が企業全体の収益率が高いことを意味する。
(4)売上高当期純利益率:当期純利益を売上高で割ったもの。高い方が会社の稼いだ最終的な利益率が高いことを意味する。

キャッシュフロー計算書から分かること


キャッシュフロー計算書は、貸借対照表や損益計算書と同じ財務諸表の1つとして、様々な場面でのお金の動きを把握することができます。以下に4通りのキャッシュフローについて解説します。

営業キャッシュフロー

営業キャッシュフローは、本業の営業活動で稼いだお金を表すものです。プラスであればお金が滞りなく回り、企業活動が順調に進んでいることを意味します。マイナスである場合には販売している商品が利益を出していないか、未回収金が蓄積しているなどの可能性があります。

投資キャッシュフロー

投資キャッシュフローは、会社が成長のためにどれだけ投資をしているかを示すものです。投資キャッシュフローがプラスになっている場合は、土地や建物などの不動産、または設備といった資産を売却して資金を得ていると考えられますが、これは事業規模を縮小していることになります。
一方、固定資産の取得のために支出した費用が減価償却費などを上回っていれば、積極的に投資していると見ることができます。

財務キャッシュフロー

財務キャッシュフローは、会社がどのように資金を調達してどれだけ債務の返済などに支出したかを示すものです。財務キャッシュフローを見る場合、営業キャッシュフローや投資キャッシュフローも併せて見ることが重要です。
財務キャッシュフローが-になっている場合は、銀行から借り入れた債務の返済をしているか株主へ配当金の支払いをしていると考えられ、業績は良いと判断されます。

フリーキャッシュフロー

フリーキャッシュフローは、会社が営業活動で稼いだお金の中で自由に使えるお金がどれくらいあるかを示すものです。営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いて求めるのが一般的な算出方法です。

フリーキャッシュフローがあることで、借入金の返済、株主への配当金支払い、事業拡大のための設備投資などが可能になります。したがって、フリーキャッシュフローが多ければ、経営状態は良好であると判断するのが通常の見方です。
フリーキャッシュフローがマイナスの場合は、事業維持のために銀行から借り入れたり、資産を売却したりして資金を調達する必要があります。

請求まるなげロボを活用して請求フローを効率化!

財務諸表をきちんと作成して会社の財政状況に目を光らせていても、根本的な業務である請求業務を疎かにしていては元も子もありません。しかし、経理部門の慢性的な人材不足、属人化による業務負荷の偏りに課題を感じている経理担当の方も多いのではないでしょうか。

現在の経理業務に課題を抱えている方は、ぜひ「請求まるなげロボ」にお任せください。請求まるなげロボは、与信審査から督促に至るまでの請求にかかわる一切の業務を請け負う請求代行サービスです。毎月行う作業は請求データのインポートのみで、請求状況はダッシュボード上で共有されます。
売掛金を100%保証(審査で適格債権と判断され、与信を通過した債権に限ります)いたしますので、経理担当の方はルーチーンワークから解放され、安心してコア業務に集中できます。

請求まるなげロボは、経理部門内で完結できる小回りの利いたサービスで、収益向上に貢献いたします。

まとめ

財務諸表は金融商品取引法で作成が義務付けられている重要な決算書です。株主や投資家はその情報を基に意思決定をするため、正確かつ最新のものである必要があります。

また、経営状況の維持・改善には、日々の請求業務をミスや漏れのないようにこなすことが肝要です。請求業務の負荷を減らし、より良い経理業務の構築を模索されているならぜひ「請求まるなげロボ」の導入をご検討ください。請求まるなげロボは請求業務にまつわる督促や売掛金回収の工数を低減し、効率の良い経理業務フローの確立をお約束します。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
  • 請求管理クラウドサービス「請求管理ロボ」
  • 請求管理ロボ