なぜ未回収リスクが起こってしまうのか?未然に防ぐ対策なども解説

経理

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売掛金とは、商品やサービスを提供した際、対価として代金が未回収の金額のことで、一般的に「ツケ」と呼ばれるものです。しかし、入金日が月末などスポット的に集中する傾向にあり、この重要な売掛金管理に十分な数の人員が配置されていないケースも多くあります。

売掛金の管理が杜撰な場合、本来手に入る代金が永遠に回収されず、会社の存続を危うくすることもあります。そこで本記事では、売掛金の未回収リスクとその対策についてお伝えします。

なぜ売掛金の未回収リスクが起こってしまうのか?


売掛金は自社が取引先に提供した商品やサービスの対価として当然支払われるべきものですが、未回収の要因は複数あり、消滅時効や対応を検討すべき項目に気を付けなければいけません。以下にそれぞれについて解説します。

未回収の要因

未回収の要因としてここでは3つ挙げます。

一つ目は、取引先の単純なミスによるものです。入金期日を失念していた、請求書を紛失した、請求内容を取り違えていたなどの単純ミスが考えられます。単純ミスが原因であれば、電話やメールでコンタクトして新たな支払日を話し合えば大抵の場合は入金されるでしょう。

二つ目は、取引先が経営悪化に陥って支払い能力が低下している場合です。取引先が更生手続きを進める事態になれば、貸し倒れになる可能性があります。手遅れになる前に書面で支払いについて金額と期日の約束を取り交わし、取引の仕方を見直すなどの対策が必要です。

三つ目は、取引先が支払い能力はあるにもかかわらず故意に支払っていない場合です。このようなケースは悪質で詐欺の被害に遭うことも考えられます。被害に遭わないようにするには事前に取引先の信用力を十分に分析しておくことが大切です。故意による未払いは、後述する法的手段に訴えることも視野に入れたほうがいいでしょう。

売掛金には消滅時効がある

売掛金の回収が多少遅れていたとしても、本当に資金が必要になった時に回収すれば大丈夫だと思っていませんか。入金予定を過ぎて支払われていない売掛金は、売掛金の種類にもよりますが、1~3年間経過した場合に消滅時効を迎えます。
消滅時効は、債務者である取引先が時効であることを主張することによって成立します。1~3年が過ぎたからと言って債権が消滅するわけではありませんが、請求した際に取引先が時効を理由に支払いを拒否すれば債権が消滅することになります。

売掛金が回収できないとどうなるの?

売掛金が未回収になった場合には、後述する法的手段を講じる前に検討すべきことがいくつかあります。
まず、買掛金と相殺することです。取引先に対して自社が買掛金(ツケ)があるのであれば、取引先の売掛金と自社の買掛金を相殺して不利益を最小限に抑えることが可能です。
次に、貸倒引当金・貸倒損失として計上することです。税法上の要件を満たすことが必要ですが、確定申告を行う際に損失の見込み額もしくは実際の損失額を申告することで損金として算入できます。
さらに、売掛金を放棄することも検討しましょう。売掛金を放棄する場合、民法上で債務免除と呼ばれる損失計上をすることになり、節税対策になることがあります。

最後に検討すべきことは、行政から融資を受けるかどうかです。売掛金の額が大きく未回収となった場合に、会社の存続に関わるような重大な事態に陥るのであれば、一定の要件を満たせば日本政策金融公庫から取引企業倒産対応融資を受けることができます。

未回収の売掛金の回収方法


売掛金の未回収が発生した場合、まずは先方の担当者に対して支払日の確認を行うことが大切です。故意の未払いではなく、先方のミスや手違い、締め日などの事情で次月の支払い予定になっているなどの可能性があるためです。一方で故意の未払いの場合は、以下のような手段で督促を行います。ケースに応じて督促方法を選ぶのが大切です。

内容証明による督促

内容証明郵便とは、送付する文書の内容を郵便局が確認し、証明してくれるものです。督促を行う際、まずは内容証明で督促状を送付するのが一般的です。

支払督促制度の利用

支払督促とは、支払いを命じる督促状を裁判所から債務者へ送ってもらえる制度です。債務者の住所を管轄する簡易裁判所に申し立てを行います。債務者が督促状を放置して2週間が経過すれば強制執行が可能になります。

少額訴訟

未回収の金額が60万円以下の場合は、少額訴訟の制度を利用するという方法もあります。原則として1回の審理で判決が出ます。債権者または債務者の住所地を管轄する簡易裁判所に提訴します。

通常訴訟

債務者との間で争いがない場合には支払督促か少額訴訟を利用するのが一般的ですが、争いがある場合には通常訴訟を起こすことになります。売掛金の金額が140万円以下であれば簡易裁判所、140万円を超える場合は地方裁判所に提訴します。

売掛金の未回収リスクは未然に防ぐのがおすすめ


売掛金の未回収は未然に防げればそれに越したことはありません。ここでは未然に防ぐ手段として5つの方法を解説します。

与信管理の強化

与信管理とは、先に商材を納入して取引先が後日代金をまとめて支払う前提で取引をする際、確実に支払ってくれるかどうかを経営内容や財務状況などを基に、信用度を分析・判断するものです。特に、過去に焦げ付きはなかったか、貸し倒れはなかったか、資金繰りがショートしないだけの十分な業績をあげているかなどには目を光らせる必要があります。与信管理の結果によっては、取引を拒んだり取引額の上限を制限したりすることも検討しましょう。

また、与信管理は取引の開始前だけ行うものではありません。2回目以降の取引についても、前回の取引で遅滞なく売掛金の代金が満額支払われたのかといった実績を勘案し、与信管理を強化していくことで未回収のリスクを未然に防ぐことができます。与信管理で全ての未回収リスクを完璧に防げるとは言えないかもしれませんが、少なくとも危険度の高い取引を回避することはできるでしょう。

支払期日の調整

一般的な掛け売り取引では、商材を納入した月の末日を締めとして取引を取りまとめ、翌月の末日に支払うというパターンが大半です。この場合は請求書を発行してから60日以内に支払い期日が来ますが、全ての取引で売掛金が予定通り回収できるとは限りません。初めて取引をする相手や取引し始めてからまだ日が浅い企業などについては、未回収リスクを軽減するために、支払期日を前倒しできないか交渉するといいでしょう。

締め日から支払期日までは短期間のほうが資金繰り面での悪化防止に有効であることから、交渉の余地がある取引については支払期日を再考する価値があります。支払期日が遅いと関係企業への支払い用の資金が不足して、融資などで資金調達をしなければなくなります。

迅速な通知

請求金額が確定したら迅速に取引先に通知すること大切です。取引先は入金期日を失念していたり、入金期日を間違っていたりといった場合も考えられます。早めに通知しておくことで取引先の準備も整い、失念や勘違いを未然に防げる可能性があります。一方、請求書を送付するのが遅くなってしまうと支払期日の管理がずさんな会社だと思われ、支払いを遅らせる口実にされてしまうこともあるでしょう。

売掛金を遅滞や漏れなく管理するためにも、支払い期日や入金状況を適切にチェックできる体制を整えて請求書を迅速に送付することが欠かせません。入金が1日でも遅れていることが発覚したらすぐに連絡を入れましょう。

売掛保証

売掛保証とは、取引先が業績悪化に陥って支払いが滞ったり倒産して支払いができなくなったりした場合に備えて、保証金額を審査したうえで保証金を支払って売掛債権に保証契約を設定するものです。これにより未回収が発生した場合でも損害が補填されます。
欧米ではかなり以前から未回収リスクを低減させる防衛施策として売掛保証が広く認知されており、日本でも大手企業を中心に積極的に活用する動きが広まっています。

売掛保証を掛けることにより、未回収リスク低減の他にも与信管理の工数を削減でき、与信限度額を超える取引でも未回収リスクを心配することなく取引できるのがメリットです。

ファクタリング

ファクタリングは、売掛金を受け取る権利(売掛債権)をファクタリングサービス提供会社が買い取るサービスのことです。企業間取引では与信取引を基本とすることから、ほぼ全ての取引において売掛金が発生します。この売掛債権をファクタリングサービス会社が買い取ることで、手数料を差し引いた売掛金を早期現金化することができ、未回収リスクの多くが低減できます。
償還請求権なしのファクタリング契約であれば、取引先が倒産して売掛金回収が不可能になっても支払い義務を負うことがありません。
ファクタリングサービス会社を利用すれば請求管理を代行してもらえることから、請求管理業務も大いに効率化され、経理部門の人件費削減や経費削減にも効果があります。

ファクタリングサービスには売掛債権を持っている企業とファクタリングサービス会社の間で実行する2社間ファクタリングと、取引先も含めて実行する3社間ファクタリングの2種類があります。一般的には後者のほうが手数料が低めです。

与信管理での注意点


与信管理を行って行くうえでは、いくつか注意すべき点があります。以下に2つ例を挙げて解説します。

社内での情報共有

与信管理を担うのは多くの場合経理部門ですが、与信の対象である取引先と直接接するのは営業部門です。経理部門が取引先の信用情報を分析するためには、現場の第一線に立っている営業担当者の最新かつ具体的な情報が必要不可欠であり、両者間の情報共有なしでは生きた与信管理ができません。

営業担当者は、取引先を訪問した際に在庫の保管状況が変化したり、経理担当者が不在にしがちだったりなどの異変を察知したら、些細なことでも社内の関係者と情報共有することが求められます。早めに情報共有することで異変に対して早めに対策を打つことが可能になり、ひいては未回収リスクの回避に繋がります。

与信調査にかかるコスト

与信管理のために取引先の情報を調査・収集するにあたっては、どこまで行うのか、与信調査に要するコストをどこまで許容するかをあらかじめ想定しておくと想定外の出費に慌てることがないでしょう。例えば、1回の取引で10万円の純利益を上げる案件に対して、与信調査に20万円費やすようでは意味がありません。

与信調査の方法は社内調査、直接調査、外部調査、依頼調査などがありますが、いずれの方法を取るのにしても人的リソースの投入が必要であり、必ず時間や費用などのコストが発生します。与信調査のためのコストを想定するには、取引の規模や金額に応じて調査範囲を決めておくのも一つの手です。

未回収リスクに悩んでいる方は請求代行サービスがおすすめ


売掛金の管理を注意深く行っていても、未回収リスクはどうしても付きまとうものです。そこで、未回収リスクに悩んでいるなら請求代行サービスに依頼するのがおすすめです。ここからは、請求代行サービスの中身について解説します。

請求代行サービスとは

請求代行サービスは、請求書の作成・発行から始まって入金消し込みや督促に至るまでの請求にかかわる業務の多くを成り代わって執り行うサービスです。
基本的な請求業務である請求書の作成や発行については、取引先に応じたフォーマットで請求書の作成を代行してもらえます。調査に難儀しがちな与信審査も、取引先との信頼関係に影響を与えることなく実施することが可能です。

なかには入金遅延や貸し倒れで未回収が発生した場合でも、売掛債権を100%保証して支払ってくれるサービスを提供している会社もあります。

請求代行サービスに依頼するとどんな効果が?

請求代行サービスを利用する最大のメリットは、請求書発行の手間が省けて請求業務が効率化され、担当者がよりコアな業務に集中できることです。
また、代金の未払いリスクを軽減できるのも大きなメリットです。未払いリスクの軽減には適切な与信管理や入金管理など手間のかかる作業が欠かせませんが、請求代行サービスに依頼することでリスク対策の確度が上がります。

さらに、上手に請求代行サービスを活用すれば、取引顧客の増大と販売機会の拡大も視野に入ってくるでしょう。シビアな与信基準を設けている企業では、個人事業主や中小の零細企業と取引できないケースが少なからずあります。しかし、請求代行サービスを利用すれば、今まで取引を行うことができなかった企業の与信調査を代行してもらうことで、販路を拡大するチャンスが拓かれます。

導入時の注意点

請求代行サービスを利用する場合、代金の入金先が売掛債権を持っている自社ではなく、請求代行サービス会社宛てになります。したがって、取引先に事前に請求代行サービスを利用する旨をきちんと説明しておかないと、知らない会社の請求書が届いたなどと思われかねません。
特に長いこと直接取引を続けてきた企業に対し、十分な説明もせずに急に請求代行サービス会社を経由する運用に変更すれば、要らぬ不安感を抱かれてしまうことでしょう。

また、請求代行サービス会社によっては独自の請求書フォーマットを使う場合もあり、取引先が慣れ親しんだ慣行を変更する場合もあります。そのため、請求の仕方が変わることについては丁寧な説明が必要です。

他にも、請求代行サービス会社が代金回収状況を管理することで支払い状況の実態が見えづらくなることもあるため、請求代行サービス会社との密なコミュニケーションが必要です。

請求まるなげロボを導入して未回収リスクをゼロにしよう!


売掛金の未回収リスクを回避するには、正しい売掛金管理と緻密な請求管理が欠かせません。しかしながら取引先が50社、100社ともなってくると属人的な管理は遅かれ早かれ限界に達します。

限られた人員と時間の中で未回収リスクを回避したいなら、ROBOT PAYMENTの請求まるなげロボにお任せください。請求まるなげロボは新規取引先の与信審査、請求書作成・発行、代金回収、入金消し込み、督促といった請求にかかわる業務一切を請け負って、未回収リスクと業務の負担をゼロにするサービスです。お任せいただくことで経理担当の方は月に約80時間の節約になり、与信・請求・回収の各状況はいつでも1つのシステムで状況確認できるようになります。
さらに、入金遅延や貸し倒れがあった場合でも、弊社の審査に通過した債権であれば100%入金を保証します。経理担当の方がするのは月に1回請求情報をアップロードするだけです。

当サービスの導入にあたっては専任担当者による3ヶ月の定着支援があり、ワークフローの変更もスムーズに行えます。請求代行手数料は業界最安水準の1件当たり1%からで、請求書郵送費用は無料です。請求業務の迅速化・効率化、未回収リスクの回避、人的リソースのコア業務への集中を実現できるサービスとしてぜひご活用ください。

まとめ


売掛金が未回収になるなどのトラブルはないに越したことはありませんが、商取引をしていく中では未回収リスクの問題は付いてまわるものです。しかし、売掛金を適切に管理できれば資金繰りに困ることもなく、トラブルがあっても迅速で的確な対処ができることでしょう。

もし自社の売掛金未回収リスク管理体制が脆弱だと感じておられるなら、ぜひROBOT PAYMENTの請求まるなげロボを導入し、盤石な管理体制を構築することをご検討ください。担当者間で点在しがちな売掛債権情報の一元管理が可能になり、リアルタイムな売掛債権管理が可能になります。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
  • 請求管理クラウドサービス「請求管理ロボ」
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