継続課金ビジネスにおける10の注意点 | クレジットカード決済基礎知識
月額利用料が自動で引き落とされるサブスクリプションモデルと言われる継続課金型ビジネス(例:携帯電話の課金など)が画期的なビジネスモデルとして注目され、数年がたちました。安定的に収益を上げることができるだけでなく、定額制などによって顧客にとってサービスを始める敷居を圧倒的に下げることができるため、今では、さまざまな業種業態の事業者が一括販売型からシフトしています。
こうした流れに乗り、自社ECサイト等でカード決済での自動引き落としを始めたいという切実な気持ちは理解に難くありません。しかし、収納代行を選ぶ際には、一度立ち止まって必ずチェックしておきたい決済上のポイントがあります。
当社ROBOT PAYMENTは継続課金システムの提供に強みを持つ決済代行会社です。今回は、決済システム導入の過程で実際にあった継続課金の失敗事例をご紹介し、継続課金(定期課金)サービスを始めたい事業者が注意すべき決済代行の比較ポイントについてお伝えします。
決済代行選びで継続課金に失敗した事例
決済代行会社として、日々クレジットカード決済についてお問い合わせを頂く中でよく見受けられるのが、運用後のオペレーションにまで考えが及ばず、見切り発車でスタートしてしまったため、後々問題が大きくなってしまうパターンです。継続課金の仕組みを作った後で発覚する類の失敗は企業に与えるダメージが大きい上に挽回が難しくなってしまうため、必ず回避しなければならないものです。また、継続課金の失敗は大まかに3つのパターンに分類することができるため、事前にチェックと対策を立てておく必要があります。
例1)課金失敗時のオペレーションを考えてなかったため、かえって工数が増えてしまうパターン
自動での継続課金は、残高不足などの要因によって失敗する場合があります。初めて決済を導入する場合によくあるのが、そもそもこうした失敗を想定していなかったり、成功するまで自動的にシステムが引き落としつづけると思い込んでいるケースです。自動引き落としが失敗した際のオペレーションとして、都度ユーザーに連絡を取って、原因を調べてもらい、内容によっては新たなカード番号を入力するフォームを送り入力してもらうことになるのですが、この過程で無駄な工数がかかってしまえば、決済システム導入の効果も半減してしまいます。
例2)課金プランの変更や、既存ユーザーに対する課金金額の変更時のオペレーションで人的コストが膨れ上がってしまうパターン。
定期課金ビジネスを運営するうちに、新たな競合と価格競争が生じた場合など、プラン追加やアップセルによる課金金額の変更が必要になることがあります。こうした時に、決済システムの仕様によっては、課金金額変更ができず、結局人的コストが膨れ上がってしまうことになります。具体的には、課金金額の変更時、再度ユーザーにクレジットカード番号を入力してもらう手間が発生します。カード番号の入力フォームを送ったまではいいが、全ユーザーがスムーズに入力をしてくれるわけではなく、新たな金額の課金にタイムラグが発生します。また、カード番号再入力の連絡を機に、解約になってしまう場合があるので注意が必要です。
さらに、課金金額変更のAPIが用意されていないことに後から気づき、都度アナログでの管理が発生し、想定外の工数が発生することになります。
例3)継続課金の仕組みをスタートさせることにフォーカスするあまり、ユーザーの退会や解約時のオペレーションで苦労するパターン
決済システムの仕様によっては、ユーザーの退会時に、管理画面から手動でしか処理ができなかったり、ユーザー自身で退会の処理を完結できない場合があります。その結果、ユーザーの退会処理に多くの工数を割いてしまっており、売上件数があがるに比例して退会ユーザーの管理工数も多くなってしまいます。
継続課金サービスを始める際に注意したい10のポイント
上記3つのパターンの失敗を回避するためには、事前のサービス設計段階で下記のような項目について、ある程度考えておくといいでしょう。
a.課金のメニュー(課金開始月、毎回の課金日、課金金額、課金周期)
b.無料期間や割引期間は設けるか?(後々作る可能性はあるか?)
c.課金に失敗した時のオペレーション
d.解約(退会)時のオペレーション
決済システムの導入に際して、決済代行会社のコンサルタントに相談し、大まかに以下の10個のポイントについて予め確認しておくことがおすすめです。
①提供サービスは前払いか、後払いか。
②クレジットカード決済の自動リトライ、変更用フォームはあるか。変更フォームは自動で送れるか。
③課金金額は一定か、今後変わることは想定されるか。
④無料期間や割引期間はサービス設計上必要か。その計算ロジックは既にあるか。
⑤申込みから課金がスタートするまでのスケジュール(初回課金月、課金日)はいつか。
⑥課金日はユーザーによってバラバラにするのか、揃えるのか。
⑦課金に失敗した時はどの部署がどの情報を元に、どのようなオペレーションをするのか。
⑧課金失敗がどのくらい続いたら退会とみなすのか、サービス提供はどこまでするのか。
⑨退会はユーザー自身に処理してもらうのか。事業者側で行うのか。その場合の連絡手段や窓口はどこにするのか。
⑩退会の連絡を受けた場合はいつまでの連絡であれば対象月の退会とみなすのか。
まとめ
以上が決済代行会社から見るサービス設計段階におけるポイント一覧となります。
一度スタートしてしまうと再度0ベースから作るのはなかなか難しいのが継続課金システムです。ましてや、既に一定のお客様がいる場合は懸念点の数も増え大変です。
せっかくサービスに魅力を感じてもらったお客様にご迷惑をかけてしまっては本末転倒なので、事前準備の時間をきっちり取ることはもちろん、決済代行会社のアドバイス等を聞きつつ慎重に決めていくことをおすすめします。
著者プロフィール
森山泰史
2011年Cloud Payment入社後、クレジットカード決済端末の営業、事業部長を歴任。SNSを利用したギフトサービスの新規事業立ち上げ後、オンライン決済事業の営業部長を努め現在に至る。