経理の目標設定はどう決める?目標の設定方法と具体例をもとに詳しく解説

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経理職に就いている方のなかには、「目標を設定するのが難しい」と感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、目標を設定するその目的とコツさえ掴んでしまえば、スムーズに目標を立てられるようになります。

また、目標を設定することでやるべきことが明確になるだけでなく、労力を最小限に抑えた最短ルートでの業務遂行も可能となるでしょう。効果的な目標設定を行うためにも、まずは目標設定における基本をおさらいすることが大切です。

この記事では、目標設定が必要な理由や、経理の目標設定のコツ、具体例についてご紹介します。

目標設定が必要な理由

経理職で目標設定が必要となる理由は、業務効率化やコスト削減を図るためです。

とはいえ、経理職は数値化によるわかりやすい目標設定が難しいとされています。営業部のように売上に直結する部門とは異なり、定量的に成果を測定できないためです。また、経理職の業務内容はほとんどの場合定型化されていることから、目標そのものの設定が困難でしょう。

特に、省力化や効率化、時短が求められる経理職で、目標設定に関する業務が負担となれば本末転倒です。従って、経理職のなかでも数値化できる項目に焦点を当てることが重要となります。

具体的には、以下の項目です。

● 経費の削減
● 作業時間や日数の短縮
● 残業の削減
● 物品使用量の削減
● ミスの回数の削減

設定した目標を達成するための過程において、部署内のチームワークが高まったり、個々の従業員のモチベーションが向上したりする心理効果もあります。結果として目標設定は、最終目標の達成だけでなく、目標を達成する過程で付随するプラスの効果を得るためにも必要があるといえるのです。

経理の目標設定における基本

目標設定の必要性を再認識したところで、続いては経理の目標設定における基本をご紹介します。膨大な業務に追われるなか、目標設定のために時間を確保して課題を洗い出すのは、大きな負担に感じるかもしれません。

しかし、効果的な目標を設定できれば、今後業務を遂行するうえで負担が軽減されたり、残業時間が削減されたりするなどの嬉しい効果を得られる可能性があります。まずは、取り組めるところから少しずつ挑戦しましょう。

業務改善アイデアを構想する

経理部は企業において、売上を生み出すことのない業務を担う間接部門です。会社の利益は売上から費用を差し引いたものとなるため、費用を削減できれば会社の利益に貢献できるといえます。

そこで着手すべきことが「業務上の課題を見つける」そして「その課題の解決策を考える」ことです。すなわち、業務改善アイデアを構想することになります。前述した数値化できる項目を見直し、それぞれの課題を洗い出しましょう。

「どこの経費を削減できるか」「どの業務が負担となって残業にせざるを得ないのか」など、多方面から分析を行います。

数値目標に落とし込む

業務改善アイデアの構想ができたら、数値目標に落とし込みましょう。

例えば、社内業務のペーパーレス化、水道費や光熱費の見直し、消耗品の発注数や購入方法の見直しで「経費を〇%削減する」などです。そのほか、「ミスを月〇回までに減らす」「ひとつの業務にかける日数を〇日に短縮する」といったように具体的に数値化します。

この際に注意したいのは、無理な目標設定をして担当者の負担にならないようにすることです。少しだけ高めの目標設定をしつつ、改善策も十分に提案したうえで取り組める範囲から始めるようにしてください。

部署の目標から個人の目標へ

はじめに部署全体での目標を設定します。目標設定をし、その目標を達成するというサイクルを数回繰り返して、目標設定のパターンが確立してから個人目標へ移行すると良いでしょう。

個人にいきなり業務における目標設定を指示したところで、何をしたら良いかわからない人がほとんどです。そのためにも、まずは部署でお手本や成功事例を見せる必要があります。

なお、個人目標へ移行する際も、目標の一例やテンプレートを用意しておくとスムーズに取り組めるでしょう。目標達成はもちろんですが、従業員のモチベーションアップや帰属意識の向上も図る取り組みであることを忘れないでください。

SMARTの法則で目標設定

これから目標設定をするにあたってぜひ知っておきたいのが「SMARTの法則」です。SMARTとは、以下の単語の頭文字を取った言葉です。

● Specific(具体的に)
● Measurable(計測可能な目標)
● Achievable(達成可能な)
● Related(現実に即した目標)
● Time-bound(期限のある目標)

「SMART」を活用することで明確かつ適切なゴールを設定できれば、日々意識すべきことや具体的なアクションなどの計画が立てやすくなり、パフォーマンス向上にもつながります。ここでは、「SMARTの法則」の各要素について詳しく解説していきます。

Specific(具体的な目標)

Specificは「具体性」「明確性」を意味します。目標は具体的かつ明確でなければならない、つまり曖昧であってはならないということです。

目的が曖昧だと、自分だけでなく第三者から見ても達成できたかどうか判断ができません。誰が見ても何をどのように達成すべきかが確認でき、達成の可否も即座に判断できる目標にすることがポイントです。

以下、悪い例と良い例を挙げて比較してみましょう。

悪い例:「仕訳入力の効率化を進める」
良い例:「効率化のため、仕訳入力にRPAによる自動化を導入する」

悪い例では「効率化」「進める」など一見目標らしい言葉が使われていますが、どのように効率化を進めるのか、具体案が提示されていません。よって、効率化できたかどうかの判断も難しいでしょう。一方、良い例では、「RPAの導入」によって効率化を図るとされていることから、具体的な目標であるといえます。

Measurable(計測可能な目標)

Measurableは「計測可能」を意味します。目標は計測可能でなければならない、すなわち目標は「計測できる数値目標」が望ましいということです。数値は最も具体性のある目標のため、「Specific(具体的な目標)」をより突き詰めた目標となります。

以下、悪い例と良い例を挙げて見てみましょう。

悪い例:「月次決算処理を迅速化する」
良い例:「月次決算処理を現在の8営業日から5営業日に短縮する」

悪い例では、目指す方向性しか示されておらず、数値が定められていないため達成の基準がわかりません。反対に良い例では、営業日として具体的な数値を示しているため達成すべきゴールが明確です。

Achievable(達成可能な目標)

Achievableは「達成可能」を意味します。目標は達成可能な程度が望ましいということです。確実に達成不可能な目標やハードルが低すぎる目標は、モチベーションの低下を引き起こす可能性があります。

そのため、努力すれば達成できる見込みがある、もしくはややそれを上回る程度の目標設定が適しているといえます。

それでは、悪い例と良い例を比較して見てみましょう。

悪い例:「毎日必ず時間内にすべての業務を遂行し、残業をゼロにする」
良い例:「各工程で約1時間の業務削減を実現し、全体で1日分の工数削減を目指す」

悪い例では、繁忙期や日常の業務量を考慮せずに無理な目標を設定しています。仮にこの目標を掲げていても、形だけの目標設定になってしまうか、あるいは従業員がサービス残業せざるを得ない状況に陥る危険性があります。

モチベーションの低下や法違反を防ぐためにも、良い例のように「努力すれば達成し得る可能性がある」目標にすることがポイントです。

Relevant(現実に即した目標)

Relevantは「関連性」「現実性」「妥当性」などの意味も持ちます。目標設定におけるRelevantは、「現状の業務内容と関連し、現実に即した目標となっているか」という意味で用いられます。

達成したところで自分の部署や会社にメリットが発生しない目標であれば、その目標はそもそも必要ありません。従業員のモチベーション低下だけでなく、不要な業務を増やすことに対する不満が生じる可能性もあります。

以下、悪い例と良い例を挙げて比較してみましょう。

悪い例:「決算の時期を終える前に全員自分以外の仕事もこなせるようにする」
良い例:「来季までに全員が自分以外の仕事も1つはできるようにする」

決算前の繁忙期に、全員自分以外の仕事をこなせるようにすることは、業務に関連性があるとはいえ非現実的です。現実に即した目標とするのであれば、決算時期を終えた後や、期限に余裕を持たせるなどの配慮が必要となります。

自分以外の仕事をこなせるようにすることは、今後従業員本人のためにもなります。しかし、繁忙期のときや新しく入ったばかりで不慣れな従業員が多い場合には、設定する目標としては適していないでしょう。

Time-bound(期限のある目標)

Time-boundは「期限が定められていること」を意味します。目標には期限を設けられていることが重要です。期限がない場合や期限が必要以上に長い場合は、目標に向けたアクションをなかなか起こす気になれず、行動開始がズルズルと先延ばしになる可能性もあります。

モチベーションの低下によって、本来であれば達成できた目標も達成できなくなるのです。

以下、悪い例と良い例を挙げて比較してみましょう。

悪い例:「できるだけ早く月次決算業務を覚える」
良い例:「第2四半期までに月次決算業務を覚える」

「できるだけ早く」という表現は曖昧で主観性が強く、できなければ早く覚えなくても問題ないと捉える人もいます。しかし「第2四半期まで」と限定すれば、対象者は期限内に目標を達成しようと行動に移すでしょう。

短期目標と長期目標を立てる

目標設定において、期間は大きく分けて2通りあります。月単位・四半期単位・半期単位の「短期目標」と、年単位あるいはそれ以上の「長期目標」です。

短期目標と長期目標では目標の立て方が異なるため、それぞれの特徴を抑えて適切な目標設定を行いましょう。ここでは、短期目標と長期目標それぞれの設定方法について解説します。

短期目標の立て方

短期目標の目的は「モチベーションを高める」ことです。多くの場合、短期目標はより大きな目標のステップとして活用されます。なお、複数の短期目標を設定して長期目標を達成しやすくすることが、ビジネス戦略では一般的です。

短期目標は、短期間での目標を設定することで、モチベーションを維持したまま目標達成に向けて全力を出しやすくすることが強みであり、その強みを生かすためにも、長期目標と比較して具体性が高く、かつ達成の可能性もより現実的であることが求められます。

すなわち、短期目標は「何をすべきかが明確化された実現しやすいレベルの目標」でなければならないのです。自身の短期目標を設定する際は、一歩ずつステップアップしていくようなイメージで目標を設定してみましょう。

長期目標の立て方

長期目標は「達成したい結果(最終目標)」のことです。短期目標は最終目標を達成するために設定されますが、長期目標は組織や個人のミッションを達成するために設定されます。

長期目標を立てる際は、まずは成し遂げたいことをリストアップし、そのなかで重要度の高い目標をピックアップし、達成期限を決定します。なお、長期目標で設定する目標は「達成したい項目の概要」で問題ありません。具体性は短期目標で設定するためです。

ただし、期限や内容はある程度実現可能であるものにする必要があります。長期目標で設定した最終的な目標を達成するためには、目標を複数に分け、短期目標として段階的に達成することがポイントとなります。

経理の目標設定をするうえでの4つのコツ

ここでは、間接部門である経理部の目標設定のコツを4つご紹介します。目標設定をするうえでどこから着手すれば良いか悩まれている方は、ぜひご参考にしてください。

● 業務改善の視点から考える
経理の目標設定に迷ったら、業務の省力化や正確性の向上を図るための目標を数値化し、業務改善を目標としても良いでしょう。

● コストの視点から考える
現システムの利用料金の見直しや人件費を削減するためのシステム導入など、コストの改善を目標にするのも一案です。

● 属人化の視点から考える
特定の担当者以外扱えない業務がある場合は、ほかの人も担当できることを目標とすると担当者の負担が軽減されます。

● 人材育成の視点から考える
セミナーなどを開催して、会計基準や税制の改正対応に関する知識など、従業員が経理業務に役立つ知識を身に付けられる機会を作ることも必要です。

上記の視点を目標と考える際のコツとして念頭に置いておくと、目標設定の際に何も思い浮かばなくて困るということがなくなるでしょう。

経理の目標設定の具体例

最後に、経理の目標設定における具体例をご紹介します。

● 業務の幅を広げる
例1:「貸借対照表について学び、第2四半期には作成できるようになる」
例2:「連結決算について学び、今年度の連結決算業務に加われるようになる」

● 業務改善
例1:「属人化の弊害が大きい業務を5つ以上ピックアップして、第2四半期までに業務フローマニュアルを作成する」
例2:「業務フローを見直して、会計入力時のダブルチェックを徹底できる人員配置を今年度中に実現する」

● システム導入
例1:「第2四半期までに新導入システムの操作を単独で行えるようにする」
例2:「3つ以上のExcel管理表について、第2四半期までにルーティーン作業部分をマクロにより自動化する」

● 業務改善・システム導入
例:「新会計システム導入による省力化で、今年度中に残業時間を30%減らし休日出勤は0にする」

● 改正対応
例1:「第2四半期までに次年度の税制改正に関するセミナーに3つ以上出席し課内共有をする」
例2:「新制度施行前に〇〇の会計基準改正に関する知識を習得し、施行後ただちに適切な対応ができるようになる」

具体例があることで、より自社に置き換えた際の目標設定がイメージしやすくなるかと思います。今一度、自社における経理職の課題とその解決策を講じ、目標設定をしてみましょう。

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まとめ

ここまで、経理部における目標設定方法について解説しました。目標設定をすることは、業務の進め方やコストを見直すきっかけになるだけでなく、部署内のチームワークを高めたり、従業員のモチベーションを向上させたりする心理効果もあります。業務効率化やコスト削減を実現するためにも、効果的な目標設定を行いましょう。

なお、経理の目標設定において「業務効率化」は共通課題でしょう。業務の効率化やコスト削減を希望するご担当者さまは、ROBOT PAYMENTの「請求管理ロボ」の導入をぜひご検討ください。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
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