債権管理と与信管理の違いとは?それぞれの起きやすい課題なども解説

請求業務

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債権管理や与信管理がどちらも事業継続に欠くことのできない業務であるのは間違いありません。しかし、その役割や両者の違いについてきちんと説明ができる方はそう多くはないのではないでしょうか。

そこでこの記事では、与信管理と債権管理の違いやそれぞれの起きやすい課題について解説していきます。バックオフィス業務ということもあり、後回しにしてしまいがちな債権管理や与信管理について理解を深める機会としていただければ幸いです。

債権管理と与信管理の違い


掛取引が一般的である企業間取引では、適切な債権管理と与信管理が必須要件となります。企業の存続に欠かせない資金繰りの健全化は、後払いで入金される売掛金の確実な回収の上に成り立つといっても過言ではありません。

ただし、ここで注意したいのが、債権管理と与信管理の関係性です。両者は密接不可分な概念ではあるものの、厳密には目的や果たすべき役割が異なります。そこで、ここでは債権管理と与信管理の違いについて解説していきます。

債権管理とは

債権管理とは、売掛金を管理する一連の業務全般を指す言葉です。BtoBでは商品やサービスの代金をその場で受け取れるケースは稀なため、売掛金を期日までに抜け漏れなく回収するためには、適正かつ厳格な債権管理が欠かせません。
債権管理の業務フローは、以下の4つに大別できます。

・取引上限額である与信枠の設定(与信管理)
・請求書の発行・送付
・債権管理表の作成
・入金消込・督促

以上からも明らかなように、与信管理とは債権管理の業務フローのファーストステップに位置づけられる業務を指します。次に、与信管理の内容や流れをみていきます。

与信管理とは

与信管理とは、信用を基盤に成り立つBtoBでは必須となる、取引先の信用力評価や取引に伴うリスクを管理する業務を指します。
与信とは取引先に対して信用を供与することを指しますが、裏を返せば自社による不払いリスクの負担を意味することに他なりません。いい加減な与信に終始すれば、売掛金の回収が滞って資金繰りに影響が出ること必至です。こうしたリスク回避に向けては、取引先の信用度評価や自社の財務体力などを基に取引可否の決定や取引規模の調整を行う、与信管理体制の構築が不可欠となります。

与信管理は実際には以下の順で進めていき、「焦げ付き」や「貸し倒れ」をはじめとする未回収リスクの最小化が目指されます。

1.取引先についての情報収集
2.信用力の評価
3.与信枠の設定
4.契約条件の交渉
5.与信枠の定期的な見直し

与信管理で重要な3つの視点


会社や取引の規模が異なれば取引先の数や年間の取引高も違ってくるため、ふさわしい与信管理の形もまた変わります。自社にふさわしい与信管理体制の構築にあたっては、以下の3つの視点を常に意識しておくことが大切です。

重点管理

大口取引先や評価指標が悪かったり、要注意であったりする取引先などを重点的に管理することを言います。営業担当者や外部機関による調査・評価を通じて、取引可否判断や与信枠設定などが決定されます。

自社の取引先の数が多くて数社~10社程度であれば、すべてを精査のうえ与信評価を下していくことも不可能ではありません。しかし、100社以上か場合によっては万単位にもなる取引先を抱えるようになれば難しくなるでしょう。
一方、大口でリスクの低い取引先に対して経営資源を重点的に投入することで、確度の高い与信管理への道が拓けます。

全体管理

与信管理の基本的な枠組みとなる考え方で、取引額の大小を問わず、すべての取引先に対して共通の評価指標を用いた管理を言います。リスク指標やポートフォリオ分析に基づく画一的な与信可否判断が行われるため社内共通指標とすることができ、与信管理業務の効率性向上に寄与します。

例えば、重点管理を要する取引先を除くその他企業に対する与信判断にまとめて適用するほか、小口取引先ばかりが多数に上るケースではまず全社に適用したうえで、リスク指標の良くない取引先について重点管理で早急に対応するなどの運用方法が考えられます。画一的な判断による効率性を重視する分、回収率の下落に繋がる兆候を見過ごさないよう気をつけることが大切です。

継続管理

取引先の信用リスクの変化を見逃さないよう、重点管理と全体管理を継続的に行っていくことです。自社の資金繰りに深刻なダメージをもたらす貸し倒れリスクの回避に向けては、重点管理や全体管理を時系列で判断する視点が欠かせません。月次の取引先情報のメンテナンスやリスク指標の入手、また重点管理先についてはさらに変動情報や信用情報の詳細の獲得や定期的な信用調査に努め、必要であれば取引の中止や回収の促進などの緊急対応を実施します。

継続管理で役立つのが、企業格付です。企業格付が低い取引先ほど経営の安全性や信用力に欠け、債務不履行に陥る可能性が高いと判断できます。精度の高い企業格付のチェックにより取引先の支払い能力を迅速に把握できるため、より的確な倒産予測が見込めます。

債権管理は大切!でも課題もある


債権管理は資金繰りを左右しかねない大切な経営活動の1つですが、企業が成長して売上が伸びるに連れて作業量が増すのが一般的です。そのため、担当者にかかる業務負担や心理的プレッシャーも過大なものになりやすく、現場を疲弊に追い込んで生産性の低下を招くなどのケースが起きるのも珍しいことではありません。以下、多くの企業で挙げられることの多い2つの課題について解説します。

入金消込の煩雑さ

入金消込とは、売掛金などの債権の残高を入金履歴と突き合わせて消去していく帳簿上の処理のことです。振込入金明細とエクセルなどで作成した売掛金データとを目視により突き合わせていく作業は、取引先が多くなりデータ量が増すほどミスが起きやすくなります。消込処理を誤ってすでに入金が済んだ取引先に督促してしまえば、自社の信用問題に発展することにもなりかねません。

また、イレギュラーな対応が求められる場面が少なくなく、正確性とスピードを要する作業になることから、経験値の高い特定の社員に業務が属人化しやすいことも大きな課題と言えます。

手作業によるコスト

エクセルを活用した入金消込をはじめとする債権管理が、広く利用されるようになって久しく経ちます。入金管理表の作成から関数によるフィルタリング、マクロ機能を活用しての一連の作業の自動化までを上手に採り入れられれば、大幅な時短とヒューマンエラーの低減効果が見込めるようになることは間違いありません。

ただし、エクセルを扱うスキルが求められ管理が複雑になる分、属人化の解消は遠のきます。また、目視による最終チェックや、会計ソフトとの連携に要する手作業でのデータ統合にかかる人的コスト負担も避けられません。

与信管理にもこんな課題がある


与信管理は、債権管理の中でも特に信用力評価やリスク分析などについての深い知識が求められる業務です。また、取引先が多くなれば、優先順位をつけた管理のメリハリなどの経営判断も欠かせません。場合によっては自前での与信管理を諦めざるを得なくなるケースが出てくる可能性もあります。ここでは、与信管理にありがちな課題を3つみていきます。

社内リソースの不足

設立したばかりのベンチャー企業や少数精鋭の組織では、欠かせない業務とはいえ裏方感の強い経理にまで充分な人手をかけられないことが多々あります。与信審査は、1人に任せきりにしたり、他業務の間を縫って片手間でこなせたりする簡単な業務ではありません。しばしば見られるような総務や人事などとの兼任のケースでは、的確な与信管理の遂行は難しくなるのが一般的です。

ノウハウの不足

社内にて経験者を確保できたとしても、特定の人物が構築した独自の仕組みにより与信管理が行われるケースでは、業務の属人化が避け難くなります。属人化したままだと、担当者が変わったり、仕組み構築に関与した社員が退職したりした際に、ノウハウ不足から与信管理が滞るリスクも出てきます。

こうした弊害を避けるためには、与信に関するノウハウ全般を社員の誰もが扱えるマニュアルに落とし込む取り組みが欠かせません。ただし、マニュアル化にかかる時間や社員の協力の獲得が難しい場合も少なくはないでしょう。

情報収集に難航する可能性

取引先候補が中小企業の場合、正確な業績把握に欠かせない決算資料などの入手が難しくなりがちです。会社法は、第440条第1項で決算公告の義務化を定めています。しかし、中小企業にとり公告にかかる手間やコストが少なくない負担になるだけでなく、現実に罰則が行使されるケースが稀なこともあり、中小企業の非開示が半ば慣例化しています。そのため、決算書を開示しない取引先が羽振りのよさそうな体を装いつつ、実際には経営が火の車だったなどの事態に遭う可能性が時として出てきかねません。

こうしたリスクを避けるためには、該当する企業のHPや丹念なヒアリングを通じて、業績や販売先などを確認することが大切です。また、業界筋から経営者の人柄や従業員の働きぶり、生産性に深く関わる職場環境の整い具合などの定性情報を仕入れるのもおすすめです。ただし、一般に手間と時間がかかる取り組みになるため、情報収集に難航する可能性が否定できません。

取引先の与信管理を請求まるなげロボで効率化させよう!

人手やスキル・ノウハウの乏しさから与信管理に社内のリソースを十分に割けなかったり、手作業に伴う非効率性やヒューマンエラーからの解放をお考えであったりする企業様も少なくはないでしょう。そこで、ここからは、与信管理を含む請求管理全般の効率化が実現するROBOT PAYMENTの「請求まるなげロボ」についてご紹介していきます。

請求まるなげロボは、ROBOT PAYMENTが提供する請求管理についてのクラウドサービスである「請求管理ロボ」のオプションサービスです。月に1度の請求情報のアップロードのみで、あとは与信審査や請求書作成・送付から消込、さらには集金・督促に至る請求業務の全てを文字通り「まるなげ」してお任せにしていただくことが可能です。

大半の請求管理フローの自動化により正確性が向上するため、請求業務にかかる業務負担を大幅に軽減できます。また、与信審査の代行や審査を通過した債権の100%保証により、売掛金の未回収リスクのゼロ化が実現します。さらに、決済手段についても銀行振込や口座振替はもちろん、クレジットカード決済やコンビニ決済まで幅広く対応しており、取引先の利便性を損なう心配がありません。

まとめ


与信管理を含む債権管理全般は、企業にとり不可欠の業務であるにもかかわらず、バックオフィス業務のためにしかるべき体制の整備が遅れるケースが多々見られます。また、従来の手作業に頼った業務フローでは、煩雑化やミスが許されない心理的プレッシャーが非効率をもたらすだけでなく、経験値の高い特定の社員に業務が属人化すれば社内にスキルやノウハウが残りません。

システムの活用により与信管理を含む債権管理業務の効率化と未回収リスクの回避を実現するとともに、属人化の弊害を乗り越えることが可能になります。ROBOT PAYMENTの「請求まるなげロボ」導入をぜひご検討ください。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。