グループ企業での業務を集約!シェアードサービスのメリットを紹介

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シェアードサービスという言葉がだんだんと経営や事業企画の際に用いられるようになってきました。業務効率化のための手段として広まりつつありますが、どんなものなのかを知っているでしょうか。この記事ではシェアードサービスの特徴やメリット、デメリットなどについて詳しく紹介するので導入すべきかを判断する上で参考にして下さい。

シェアードサービスとは

シェアードサービスとは主に複数のグループ企業を持っている大企業が導入しているシステムで、主要部門ではなく間接部門のサービスをグループ企業間でシェアすることです。複数のグループ企業がそれぞれ間接部門を設置するよりも、グループ企業全体で利用できるサービス一つに集約した方が業務を効率化できると考えられて導入が進んできています。

シェアードサービスが可能なのは間接部門の業務は一般的に、企業が違ったとしてもそれほど大きな違いがないからです。特にグループ企業であればブランドコンセプトなどにも共通項があり、同じ考え方で間接部門が業務を遂行しやすいことから活発に取り入れられてきているのが現状です。

BPOとは?シェアードサービスとの違いは?

シェアードサービスと同じような文脈でよく使用されているビジネス用語としてBPOを聞いたことがある人もいるでしょう。シェアードサービスとBPOの違いは何なのでしょうか。

BPOとはBusiness Process Outsourcingの略称で、業務プロセスをアウトソーシングすることを指します。アウトソーシングとはある業務プロセスについて企画から実施、評価に至るまで全面的に外部機関に委託するのが特徴で、間接部門の業務だけでなくほぼ全ての業務について対応してもらうことが可能です。

依頼する業務内容だけでなく、依頼先がグループ企業内なのか、外部機関なのかがシェアードサービスとBPO大きな違いになっていることも理解しておくと良いでしょう。

シェアードサービスが始まったのは?

“シェアードサービスに興味を持った人の中にはどんな歴史がある経営手法なのかが気になる人もいるでしょう。シェアードサービスを経営手法として最初に取り入れたのは米国のGE社と言われています。

GE社では業務の効率化を目的として行った改革として、各部門ごとに行っていた伝票処理などの経理業務を一つのサービス部隊に集約して実施するようにしました。

このような統合による業務の効率化が可能だということが広まった影響で、各社が独自の取り組みを検討するようになりました。そして、大きな変化をもたらしたのがITシステムの発展です。

ITシステムを活用することにより複数のグループ会社の間接部門が行っている業務をシステム上で管理できるようになりました。そのための基盤になるシステムを提供するIT企業も増えたこともシェアードサービスの導入を広める後押しになっています。

このような世界的な動きの影響を受けて日本でも法整備が進められてグループ会社の経営が推進されるようになり、シェアードサービスを導入する企業が増えてきているのが現状です。

アウトソーシングの市場規模

シェアードサービスの活用が広まっていると聞くと市場規模も拡大していると考えるのがもっともなことです。しかし、実際にはシェアードサービスの市場規模は年々下がっている状況があります。

毎年数十億円程度の市場規模の低下が見られている状況がありますが、元々の市場規模が3000億円を超えているので微々たる市場縮小とも捉えられるでしょう。このような傾向があるのは企業としてはシェアードサービスにこだわらずに他のコスト削減方法を模索し続けているのが理由です。

一方で、BPOについては市場が拡大してきている状況があり、8000億円を超えるような規模に成長してきています。

シェアードサービスはどのような業務が対象なのか?

シェアードサービスを導入すべきかどうかを判断する上で重要なのが、どのような業務を対象にすることができるかです。一般的に対象とされている業務が何かを簡単に確認しておきましょう。

<人事>
シェアードサービスの対象としてよく取り上げられているのが人事です。人事の業務としては給与や賞与の計算、社会保険の取り扱い、福利厚生の実施などが主なものです。

給与などの計算は人事制度が確立されていれば機械的にできることで、社会保険や福利厚生も法律や就業規則などの社内制度に則って適切に対応すれば十分だというのは容易に想像できるでしょう。このような業務であればシェアードサービスでも効率的に対応できるのです。

ただ、人事制度の運営や人材の採用に関わる業務は、グループごとの特性や風習などの影響を受けることが多く、シェアードサービスとして運営されることは少ないのが実態です。

<総務>
総務の業務もシェアードサービスの対象としてよく取り上げられています。総務は企業活動を円滑に進められるようにするために多岐にわたる業務を行っていますが、その中にはやはりルーチンのようにして行えるものが多いのが特徴です。

メールや郵便、社内便などを取り扱う業務はどのグループ会社でもほとんど違いはないでしょう。また、施設管理、設備管理、備品管理などについても法律などに基づいて行うのが基本なので現場ごとに違うやり方をすることはあまりなく、シェアードサービスを効果的に活用できます。

この他にも契約や発注などについても定型化ができてしまえば会社ごとに分ける必要がありません。そのため、総務業務を集中させてコストダウンを目指している企業は多いのです。

<経理>
経理業務もシェアードサービスの対象としてよく注目されています。経理業務の内容は多岐にわたっているのは確かですが、一定のルールに基づいて遂行しやすい業務が多いのが特徴です。そのため、標準化されたルールやフローができてしまえばシェアードサービスで業務を集約させて取り組みやすいと考えられています。

経理業務として典型的なのは会計の仕訳、原資証票の収集と管理、入金や支払いの伝票の起票や管理などが代表的なものです。仕訳のあり方も法律や事例に則っているので会社ごとに違うようなことはなく、画一化されたやり方で対応できます。

<IT>
社内のIT業務についてもシェアードサービスで行っているケースが多くなってきました。グループ会社がそれぞれ社内エンジニアを雇用するのではなく、全体で数名のエンジニアを確保することで対応可能な状況を作り上げています。

IT業務として典型的なのはハードウェアおよびソフトウェアの管理、アプリケーションやサーバーの運用と保守、ネットワークセキュリティの管理などです。ヘルプデスクとしての対応や、サーバー監視なども含まれることがあります。

どの場合にも運用しているシステムさえわかれば同時に幅広く対応できるものなので、統一して対応できるようにするのが合理的だと考えられています。

シェアードサービスを導入するメリットとは?

ここであらためてシェアードサービスを導入するメリットを考えてみましょう。今まで言及してきたものもありますが、メリットをまとめるとどのような点が挙げられるのでしょうか。

<コスト削減>
シェアードサービスの導入目的としてもよく挙げられているコスト削減を実現できるのは大きなメリットでしょう。グループ企業でそれぞれが管理していた人材や設備を一つにまとめてしまって一括した運営や一元的な管理をできるようになるからです。

グループ企業ごとに異なっていた業務フローも優れている点をピックアップして最適な業務フローを作り上げることにより効率化を図ることができます。また、ITの広まりによってシェアードサービスはオンサイトで行う必要性が低下しています。

その点に着目して、シェアードサービスの各部門を国内外の安価な地域や労働力が安い地域に置くことでオフィスの費用や人件費を削減することも可能です。

<業務品質が向上>
シェアードサービスのメリットとして業務品質を向上させられることも挙げられます。グループ企業ごとに異なる体制で業務を行っている状況から脱却し、全体で統一したフローで業務を行えるようになるからです。

その際には各企業が培ってきたノウハウや経験を集めて総合的に判断し、どの現場でも通用する画一的なルールを決めることになります。この標準化プロセスの中で業務品質の向上や安定化のために何が必要かを議論することができ、最も現場に適したフローを定めることが可能なのです。

また、シェアードサービスを導入してからも業務フローの改善やノウハウの蓄積のスピードが向上します。そのため、さらなる専門性や生産性の向上を見込むこともできるのがメリットです。

<社員の意識向上>
シェアードサービスの導入は社員の意識向上につながる経営改革になるのもメリットです。シェアードサービスの導入によって間接部門がグループ企業を横断的に担当するようになると意識改革が起こります。

担当のグループ会社だけでなく全グループ会社を集めた大会社の一員として働いているという意識が生まれやすいのです。また、業務プロセスの標準化によって、業務の透明性が向上されて内部統制が進められるようになります。結果として社員の業務に対する責任感が向上し、人的ミスや不正などの防止につながるでしょう。

シェアードサービスのデメリット

シェアードサービスにはデメリットもないわけではないので注意しましょう。シェアードサービスでは業務プロセスの標準化をするため、今まで行っていた業務が削られてしまって品質が低下することもないわけではありません。

また、統一的な運営を可能にするために新規システムの検討や開発、業務フローの策定などが必要になり、初期コストが大きくなりがちです。一方、業務フローが決まることで仕事が単調になり、創意工夫をしていた社員のモチベーションが下がるリスクもあります。このような点にも留意してシェアードサービスを導入するかどうかを吟味するのが重要です。

まとめ

シェアードサービスは業務の効率化によってコストを削減するための効果的な手段です。企業規模が大きいほど部門の一元化によるメリットが大きく、効果も飛躍的に大きくなるのが一般的です。

シェアードサービスの導入のハードルは決して低くはありませんが、業務を円滑に進められるようにする手段として検討してみてはいかがでしょうか。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。