アプリ内課金(アプリ内購入)とは?アプリ外課金との違い・手数料・メリット/デメリットを解説【スマホ新法対応】

クレジットカード決済

スマートフォンの普及とともに、アプリを通じた課金サービスは私たちの日常に深く浸透しています。

しかし近年、その課金の仕組みは大きな転換期を迎えています。
高額な手数料負担を回避できる「アプリ外課金」の台頭に加え、2025年12月施行の「スマートフォンソフトウェア競争促進法(スマホ法)」の影響により、アプリの課金ルールは急速に変化しています。

この記事では、アプリ内課金の仕組み・種類・課題から、注目されるアプリ外課金の最新動向、クレジットカード決済の導入メリットと注意点まで網羅的に解説します。

アプリ内課金(アプリ内購入)とは?

アプリ内課金(アプリ内購入)とは、ユーザーに対してアプリ内で直接コンテンツや追加オプションを販売できる仕組みを指します。アプリ自体のダウンロードが有料か無料かは一切関係ありません。

なお「課金」とは本来「料金を課すこと」が語源ですが、日本のスマートフォンユーザーの間では特に、アプリ上での有料アイテム購入やサブスクリプション契約のことを「課金」と表現することが一般化しています。

呼び方はストアによって異なり、App Storeでは「App内課金」、Google Playでは「アプリ内購入」と表示されます。「課金」は料金を課す事業者側、「購入」は買うユーザー側から見た言い方で、どちらも同じ仕組みを指しています。そして、ユーザーがアプリをダウンロード後にコンテンツを閲覧したり、ゲームアプリでアイテムを購入したり必要に応じて課金ができます。
このとき、ユーザーはApp StoreやGoogle Playの決済機能を使って支払いを済ませます。

アプリ内課金の種類

アプリ内課金には、以下の4種類があります。

消耗型

アプリ内で使えるアイテム購入への課金で、アイテムは使い切りのため再購入が必要。
例:ゲームアプリのゲーム内通貨やツール系アイテムなど

非消耗型

1度購入すれば無制限に使えるようになる機能への課金。
例:使用制限の解除、広告の非表示機能など

自動更新サブスクリプション

期限付きのサービス利用権限を定額料金で購入し、キャンセルしない限り自動更新される形の課金。
例:音楽や動画の配信サービス、ニュース記事やマッチングサービスの月額課金など

非自動更新サブスクリプション

期限付きのサービス利用権限を定額料金で購入し、期限が到来しても自動更新されない形の課金。
例:ゲーム内コンテンツのシーズンパス、各種データベースへのアクセス権など

アプリ内課金のメリット・デメリット

アプリ内課金は、ユーザーが購入しやすい反面、事業者にとっては手数料と顧客情報の面で制約があります。

メリット デメリット
ユーザーの購入のしやすさ Apple ID・Googleアカウントに登録済みの支払い方法で、数回のタップで購入できる ー
決済の運用 不正利用対策、返金対応、各国の通貨・税の処理をプラットフォームが担う 返金の可否を事業者が判断できない
コスト 決済システムを自社で開発・運用する必要がない 売上の10〜30%前の手数料がかかる
顧客情報 ー 購入者の氏名・メールアドレスなどを事業者が直接把握しにくく、CRMに活用しにくい
入金 ー 売上の入金はプラットフォームの支払サイクルに従う
規約 ー 審査基準や手数料体系が変わると、価格設定や収益が影響を受ける

アプリ内課金の手数料(App Store/Google Play)

2026年9月時点の日本における手数料は次のとおりです。Appleは2025年12月に手数料を「App Storeの手数料」と「Appleの決済処理に対する料金」に分けた新体系に変更しました。

App Store(Apple)

決済方法 標準 小規模事業者・サブスク2年目以降など
App Storeのアプリ内課金 26%(App Storeの手数料21%+Appleの決済処理に対する料金5%) 15%(10%+5%)
アプリ内の代替決済 21%+決済代行会社の手数料 10%+決済代行会社の手数料
外部サイトへのリンクによる決済 15%+決済代行会社の手数料 10%+決済代行会社の手数料

出典:Apple「Apple announces changes to iOS in Japan」(2025年12月17日)

Google Play(Google)

取引の種類 新規インストール 既存のインストール
アプリ内課金(自動更新なし) 20% 25%
外部ウェブリンク経由の購入(自動更新なし) 20% 20%
定期購入(自動更新あり) 10% 10%
有料アプリの初回購入 20% 25%

※年間収益のうち最初の100万ドル分のサービス手数料は、取引の種類や新規・既存を問わず10%です。

出典:Google「Google Play のサービス手数料引き下げについて」「サービス手数料」(Play Console ヘルプ)

Googleは2026年9月30日から、日本で新しい手数料体系を適用しています。料率は、ユーザーがGoogle Playからアプリを初めてインストールした日(Google Play以外から入れたアプリは、Google Playで初めてアップデートした日)が2026年9月30日以降(新規インストール)か、それより前(既存のインストール)かで変わります。

Google Playの課金システムでアプリ内のデジタルサービスや機能を購入する取引と、有料アプリの初回購入には、これらのサービス手数料に加えて請求手数料5%がかかります。外部ウェブリンクのプログラムの詳細は、Googleが今後案内するとしています。手数料は変更が続いているため、導入前に各社の公式ドキュメントで最新の料率を確認してください。

手数料率が下がったとはいえ、販売額の1〜3割がストアへの手数料になる点は変わらず、デジタルコンテンツやサブスクリプションの収益に大きく影響します。

スマホ新法(スマホソフトウェア競争促進法)でアプリ内課金はどう変わるか

スマホ新法の全面施行(2025年12月18日)により、日本のアプリ事業者は、App Store・Google Playの課金システム以外の決済手段を選べるようになりました。

項目 内容
正式名称 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律
全面施行日 2025年12月18日
所管 公正取引委員会
規制の対象者 Apple Inc.、iTunes株式会社、Google LLC(2025年3月31日指定)
対象のソフトウェア スマートフォンのOS、アプリストア、ブラウザ、検索エンジン

アプリ内課金に関係する主な変更点は次の3つです。

1. アプリ内で代替決済を使える:指定事業者は、自社の課金システムの利用をアプリ事業者に強制することが禁止されました。アプリ事業者は、決済代行会社の決済をアプリ内に組み込めます。
2. 外部サイトへ案内できる:アプリ内から自社のWebサイトへリンクし、そこで購入してもらう案内を制限できなくなりました。ゲームアプリも対象です。
3. 代替アプリストアで配信できる:App Store・Google Play以外のアプリストアの提供を妨げることが禁止されました。

ただし、代替決済や外部サイトでの決済にもApple・Googleの手数料はかかります。手数料がゼロになるわけではなく、決済代行会社の手数料も別途発生するため、合計額で比較する必要があります。また、不正利用対策やチャージバックへの対応は、事業者と決済代行会社が担うことになります。

出典:公正取引委員会「スマホソフトウェア競争促進法(スマホ法)」、特定ソフトウェア事業者の指定について(2025年3月31日)

アプリ外課金の基礎知識

「アプリ外課金」は、アプリ内課金において問題とされてきた手数料負担の仕組みに対する多くの批判に、アップル側が折れる形でようやく認められた決済の仕組みです。
ここでは、現状におけるアプリ外課金の概要と、アプリ外課金が注目されるようになった背景について解説します。

アプリ外課金の概要

「アプリ内で行う」ことが大前提であるApp Store内の課金システムですが、今までアプリ外課金が行われていた例がなかったわけではありません。

しかし、2021年8月、アップルによって「メールなどのコミュニケーションを使ってiOSアプリケーション以外の支払い方法の情報を共有」することを容認する方針が公式に打ち出されました。

この声明により、当初はリーダーアプリ(電子書籍・音楽・動画などのコンテンツを提供するアプリ)に限定して、外部決済サイトへの「アウトリンク」が可能になりました。
アウトリンクにより、アプリからユーザーを離脱させることなく決済サイトへ誘導することが容易になるため、手数料を取られるアプリ内課金を使う必要がなくなります。

アプリ外課金が注目されている理由とは?

アプリ外課金が広く認知されるようになった背景には、世界各国の規制当局やアプリ事業者によるアップルへの強い批判があります。

日本では、公正取引委員会がアップルに対して2016年10月から審査を進めてきました。
アップルはその指摘を受け入れ、電子書籍・音楽・動画などのコンテンツを提供する「リーダーアプリ」に限定して外部決済サイトへのアウトリンク設置を容認する措置を2022年1月から実施し、公取委はこれを受けて審査を終了しました。

一方、米国ではゲームアプリの扱いが大きな争点となりました。
2020年8月、世界で6億人以上のプレーヤーを抱える人気ゲームアプリ「フォートナイト」開発元のエピック・ゲームズが、アップルとグーグルを米独占禁止法(反トラスト法)違反で米連邦地裁に提訴。2021年の判決ではアップル側がおおむね勝訴しましたが、外部決済への誘導リンクの設置については認める判断が下されました。

その後、2025年4月の追加判決によりアップルによる外部決済制限がさらに禁じられ、フォートナイトは2025年5月に約5年ぶりに米国App Storeへ復活しています。

日本では2025年12月18日にスマホ新法が全面施行され、ゲームを含むすべてのアプリで外部決済が選べるようになりました。詳しくは「スマホ新法(スマホソフトウェア競争促進法)でアプリ内課金はどう変わるか」で解説しています。

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アプリ外課金を展開しているサービス

ここでは、アプリ外課金を展開しているサービスを4つご紹介します。

Netflix

動画配信サービスのNetflixは、アプリ上に「Netflixへの登録をご希望ですか?」のメッセージを置き、ユーザーにWebサイトからの登録を促しています。そして、課金手続き完了後にアプリで映画やドラマなどのコンテンツを視聴させる仕組みにより、手数料の回避を実現しています。

Kindle

 
Amazonショッピングアプリではクレジットカード決済を促すことで、30%の手数料を回避しています。一方、Kindleが提供するのは電子書籍というアプリ内で利用するコンテンツです。Appleのガイドラインに記載がある、クレジットカード決済が可能な「Appの外部で使用する商品やサービス」にはあたらないため、Webサイトでの決済が認められています。

Spotify

Spotifyは、登録するだけで7,000万以上の楽曲を聴き放題で楽しめるストリーミングサービスです。無料でも十分楽しめますが、お気に入りの曲をダウンロードできたり、曲間に挟まれる広告をなくせたりといったメリットから、有料版であるPremiumプランを選ぶユーザーが少なくありません。Premiumへの加入はアプリ内ではできず、Webサイトにアクセス・ログインしてアップグレードする必要があります。

Slack

ビジネスチャットアプリのSlackは、有料版へのアップグレードにより検索可能なメッセージ数を無制限にできたり、共有ファイルの保存容量を大幅に増やせたりといった利便性の向上につながるさまざまなメリットを享受できます。アプリ内で課金してアップグレードすることはできず、手続きはWebサイト上で行う必要があります。

アプリ外課金でコストを抑えるならクレジットカード決済も選択肢に

アプリ外課金には、従来のコンビニエンスストア決済や銀行振込に加え、クレジットカード決済という選択肢があります。近年、手軽さや利便性から、アプリ外課金におけるクレジットカード決済の導入が急速に進んでいます。

アプリ外課金におけるクレジットカード決済の仕組み

アプリ外課金におけるクレジットカード決済は、アプリからクレジットカード情報入力画面へ遷移し、ユーザーが情報を入力することで決済が完了します。この際、クレジットカード会社が仲介役となり、アプリ開発者とユーザー間の安全な取引を担保します。仕組みを詳しくみていきましょう。

1.消費者がお店でクレジットカードを提示して、商品・サービスの提供を受けます。この時点ではまだお金の受け渡しは行われていません。

2.消費者のカード利用情報がクレジットカード会社に届いた段階で、カード会社からお店に対して購入代金の立替払いが行われます。実際には、お店がカード会社に対して負担する加盟店手数料(決済手数料)を差し引いた額が支払われます。

3.消費者の口座から購入代金が引き落とされ、カード会社の口座に振り込まれます。決済当事者である3者間のやり取りが全て済めば、手続きは完了です。

アプリ外課金でクレジットカード決済サービスを導入するメリット

アプリ外課金でクレジットカード決済サービスを導入することで、事業者には次のようなメリットが期待できます。

販売促進

クレジットカード決済の可否で消費者のお店選択率が変わってくると言われています。また、クレジットカード決済では、与信枠までならキャッシュレスで購入できるため、消費者が現金を持ち合わせていなくても高単価の商品・サービスを販売できます。さらに、分割決済にすれば1回の支払いにかかる負担が軽減されるため、購買率向上も見込めるでしょう。

未払いリスクの軽減

クレジットカード決済サービスでは、カード会社(アクワイアラー等)や決済代行会社が消費者に代わって加盟店への立替払いを行います。

そのため、消費者の支払い遅延・未払いによるリスクはカード会社が負担し、加盟店は消費者の未払いを心配せずに代金を受け取れます。ただし、チャージバックが発生した場合は例外です。

請求書払いや後払いと比較して、売上の未回収リスクを大幅に低減できます。

収益の安定化

インターネット料金やスクール月謝料など、毎月一定の料金が発生するサービスの継続課金との親和性の高さも大きな特徴です。都度課金による離脱や現金の振り込みでの支払い拒絶などのリスクを回避し、確実な収益の確保が実現します。

サブスクペイの継続課金は、柔軟性と使いやすさを兼ね備えています。細かい課金周期の指定など、会費徴収・定期購読などに便利な完全自動課金機能を持ちます。初回の決済金額と2回目以降の決済金額・課金周期を指定することで、初めに登録したクレジットカードに対して自動で課金を行うことが可能です。

海外ユーザーにも対応できる

5大国際ブランド(Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club)に対応したクレジットカード決済サービスを導入すれば、海外ユーザーからの注文にも対応できます。

海外でもクレジットカード決済は広く普及しているため、導入することで、海外ユーザーへの対応も可能になります。これにより、国際展開を考える際にも利便性が高まります。

アプリ外課金でクレジットカード決済サービスを導入する際の注意点

アプリ外課金でクレジットカード決済サービスを導入する際には、いくつかの注意点があります。

決済手数料とストア手数料の両方が発生

一般的なクレジットカードの決済手数料は3〜6%程度です。ただし、iOSアプリからWebサイトへ誘導して決済する場合は、Appleへの手数料(15%、小規模事業者等は10%)もかかります。App内課金の26%と比べるときは、「カード決済手数料+Appleへの手数料」の合計で比較しましょう。決済代行サービスを利用する場合は、初期費用や月額のシステム利用料もあわせて確認が必要です。

ユーザー離脱

アプリ外課金の場合、ユーザーはアプリから外部サイトへ遷移して決済を行う必要があります。手続きが煩雑だと感じ、決済を途中で放棄してしまうユーザーも出てくる可能性があります。ユーザー離脱を防ぐため、スムーズな決済フローの構築が重要です。

チャージバックのリスクがある

チャージバックとは、クレジットカードを不正に使われた、注文した商品が届かなかった、届いた商品が破損していたといった理由で消費者が利用代金の支払いに異議を申し立てた場合に、所定の手続きを経て、その取引の売上を取り消す仕組みです。

このリスクを最小限に留めるためにも、3Dセキュア2.0などに対応した決済代行会社を利用することが重要です。

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監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員COO

2019年に当社へ入社し、執行役員に就任。
現在はCOOとして、SaaS・Fintechの事業戦略やKPI設計、組織づくり、AI活用を推進している。
入社以前は株式会社カオナビでコーポレート本部長として上場事務責任者を経験し、複数のIT企業でCMOなどを歴任。
現在は株式会社スタメンの社外取締役(監査等委員)も務める。