仮受金とは?似ている勘定科目の定義も整理しよう

経理

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経理担当が月次・年次決算で頭を悩ませてしまう問題のひとつが「仮受金」の振り替えです。どんなに請求書と照らし合わせても正確な勘定項目を確定できずに、未振り替えの仮受金が積み重なってしまった、という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、正しく振り替えができずに決算書に残したままの仮受金は会計業務のみならず、税金法上でも様々な不都合が生じてしまいます。

この記事では仮受金を正しく処理するために、混同しがちな勘定項目との違いから、具体的な仕訳の方法まで詳しくご紹介しています。

仮受金について


「どの請求書に対しての入金なのかが不明」といった時に使用する勘定項目が仮受金です。詳しくご紹介します。

仮受金とは

出入りする現金を記録・管理する勘定科目のうち、「仮受金」は内容が不明な入金や送金を「仮」で振り分ける勘定科目です。内容不明とは入金・送金された金額の正確な内訳が不明、入金された理由が不明、といった場合を指します。具体的な例は「取引先から入金があったにも関わらず、該当する請求書が不明」というものです。

仮受金は正しい勘定科目が把握できていない時に一時的に使用するものであり、後々正しい勘定科目に振替処理する義務があります。また、これに似た勘定科目の「仮払金」も使途不明な支払費用を一時的に仕訳するもので、これも正しい勘定科目に振替処理しなければなりません。

仮受金は貸借対照表にある負債の部の流動資産「その他」に区分され、ここには混同されやすい勘定科目「前受金」も含まれています。前受金は販売した商品代金の一部又は全てを前もって受け取った際に使用する勘定科目です。したがって、内容が把握できている前受金と内容不明の仮受金では科目が明確に異なることがわかります。

では、仮受金として仕訳しなければならなくなる原因は、次のようなケースに該当する場合がほとんどです。まず、取引先からいくつかの売掛金がまとまって入金され、どの売掛金の合計か判断できないパターンです。数件の売掛金であれば入金日が同じ入金を合計して内容を判断することも可能ですが、取引数が膨大な場合は判別が難しくなります。このケースの最善の解決策は取引先に連絡をして確認を取る方法です。

次に、取引先によっては売掛金の一部の金額だけを入金する場合があります。この金額を帳簿と照らし合わせても一部の金額だけの入金のため、当然ですが該当する売掛金は存在しません。この場合も取引先に確認を取って内容を照合していきます。

仮受金の仕訳方法

仮受金はあくまでも一時的な仕訳で、計上は金銭の受け入れが発生した時点で行い、決済前までには正しく科目に振り替えられていなければなりません。以下からは仮受金の仕訳方法の例をご紹介します。

例:仕入先から当座預金口座に100,000円の入金があったが原因・内容が不明

借 方 金 額 貸 方 金 額
当座預金 100,000 仮受金 100,000

仕入先から100,000円の支払いがありましたが、なぜ入金を受けたか内容が判明しません。この場合は当座預金に100,000円増加するため、借方科目は当座預金、金額は100,000円です。同時に借方科目は仮受金になり、金額は100,000円となります。

この入金の詳細を仕入先に確認したところ、複数の売掛金の合計をまとめての入金だったことが判明します。この時、入金の内容が判明したので正しい勘定科目である売掛金に振り替える必要があり、その仕訳方法は以下のようになります。

借 方 金 額 貸 方 金 額
仮受金 100,000 売掛金 100,000

入金の内容が判明したため、先の仕訳した仮受金を全て取り消します。これにより、100,000円分の負債は減少したので、借方に仮受金を仕訳します。そして、入金の内容が売掛金と判明したことによって、資産は減少したので売掛金を貸方に仕訳します。

仮受金が決算書にあると生じる問題


仮受金が発生したらまずは負債に計上し、内容が判明次第速やかに相殺処理を行い、最終的には決算時に未処理のものが残っていないようにするのが基本です。仮受金はあくまでも内容不明な金銭を一時的に仕訳したものであり、決算書に残ったままにしていると税務署と銀行の印象を悪化させてしまいます。

ここでは、税務署と銀行からみた問題点を解説していきます。

【問題1】税務署の観点

決算書に仮受金が残ったままになっていると、税務署は「その仮受金は売上として計上すべき科目なのでは」と疑います。取引先は商品の売上代金として支払っているにも関わらず、自社では入金を内容不明の仮受金として計上していたと仮定します。この原因が、請求書が未発行になっていただけで商品は確かに取引先が受領していたとすると、この仮受金は本来は売上として処理すべき金額です。

当然ですが計上漏れとみなされると、本来発生していた税金が課せられます。さらに、「売上として計上すべき負債があると認めながらも、適正な経理処理を行わなかった」と判断された場合には、重加算税が課されてしまう恐れがあります。

【問題2】銀行の観点

銀行は資産と負債を科目別に評価しますが、仮受金のような一時的な勘定が残ったままの決算書は信用度が低いという理由で査定を下げる場合があります。

例えば、仮受金が100,000円残っており、決算の段階においても正しい勘定科目が不明のままだとします。加えて、200,000円の負担が必要な負債が発生しているとすると、負債については100,000円の計上漏れと判断されてしまうことから、銀行側の心証は決して良くはありません。

「請求管理ロボ」を活用して経理業務を効率化しよう!

仮受金はやむを得ない時に使用する科目であり、情報共有や管理体制が行き届いていれば決算までに帳簿に残ったままにはならないはずです。また、入金された金額を仮受金にするには一度計上しなければならず、正しい科目に振り替える際にはもう一度計上する必要があります。つまりは、最低でも2回は仕訳を行う必要があり、これが積み重なってしまうと経理担当が処理する手間と時間は膨大になってしまいます。

経理の現場の混乱はミスと不正を生む温床となります。したがって、仮受金で処理すること自体をできるだけ回避し、やむを得ず処理したとしても速やかに正しい科目に振り替える必要があります。さらには、業務効率や生産性の観点からも大量の処理を正確且つスピーディに行わなければなりません。

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まとめ

仮受金はあくまでも一時的な勘定項目ということを忘れずに、内容や科目が判明できない入金に関してはできる限りその都度正確な処理を行うのが原則です。仮受金と処理した入金についても、速やかに対応することが経営の健全性を保つことにつながります。
効率的に入金消込を行いたいとお考えの企業は、ぜひ「請求管理ロボ」の導入をご検討ください。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
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