適格請求書発行事業者とは?インボイス制度や登録手順をわかりやすく解説

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2032年10月開始の「インボイス制度」に対応すべく、さまざまな企業が会計業務の見直しやシステム導入などを検討しています。その一方で「インボイス制度はやるべきことが多く難しそう」と不安を感じている方も多いでしょう。そこでこの記事では、適格請求書発行事業者について、概要やメリット・デメリット、登録手順などをご紹介します。

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インボイス制度の概要

インボイス制度は2023年10月から開始予定の制度です。
そもそも「インボイス(適格請求書)」とは、取引の際に発生するさまざまな税金を正確に伝える方法のことを指し、この法制化によって請求書の様式が統一され、請求書の管理など一部業務を効率良く進められるようになります。しかし、インボイス制度にもシステムの移行や申請にかかる時間など、発生するコストが大きい点といったデメリットがあります。

インボイス制度とは

インボイス制度とは、売手が買手に対してインボイス(適格請求書)を用いて、正確な適用税率や消費税額などを伝える方法です。そして「適格請求書」とは、現行の区分記載請求書に登録番号・適用税率・消費税額などの記載が追加された書類やデータのことを指します。

請求書などの記載事項が以前と異なり、この制度変更によって区分記載請求書等保存方式から適格請求書等保存方式に変更されます。また、売手側にインボイスを交付する義務と、交付したインボイスの写しを保存する義務が課されるようになるのです。

なぜインボイス制度が必要?

一見、システムを移行したり手続きをしたり作業が多く「難しそう」と思われがちなインボイス制度ですが、もちろんこの制度には求められるだけの理由が存在します。例えば、2019年に軽減税率が施行されてから消費税の算出は複雑化し、経理業務における手間がかかるようになりました。紙で管理されている請求書を処理する場合には、手作業でデータを転記する作業が発生します。

不正やミスがこういった手間から発生する点を考慮した場合、インボイス制度は納税額の算出をスムーズにするなど効果を期待できるのです。その他、インボイス制度が求められる理由として以下の要素が考えられます。

・電子インボイス導入の簡便化、およびそれにともなう業務効率化
・電子化による印刷や郵送料のコスト削減、および発送業務工数の大幅な削減
・買い手側における納税負担の減少

インボイス制度のメリット・デメリット

インボイス制度が開始されることで、国内で請求書の様式が統一されることになります。
つまり、システムが異なる企業から受理した請求書でも、内容や情報を自動で取り込むことが可能です。変換したり書き写したりする必要がないので、業務効率化という点や制度導入後の取引にも有利になるでしょう。

一方で、手続きには多少の手間がかかります。請求書の作成が可能なシステムへの移行も同時に行うため負担も大きいでしょう。また、実際に登録が認められるのは基準期間の課税売上高が1,000万円以上の課税事業者のみです。さらに提出後2年間は免税事業者に戻れず、仕入税控除額が減少する可能性もあります。

適格請求書発行事業者の概要

そもそも適格請求書とは、インボイス制度で使われる書類や電子データのことです。
取引の際に発生するさまざまな税金を正確に伝えることが役割なので、適格請求書には登録番号や取引内容などの情報が記載されています。適格請求書を発行するためには、申請して「適格請求書発行事業者」になる必要がありますが、申請自体は任意となっています。

そもそも適格請求書とは

インボイスのことを適格請求書と言います。主に、インボイス制度において使われる決まった様式の書類のことを表します。また、電子データによるやりとりも適格請求書として扱うことが可能です。インボイス制度では納品書や領収書・レシート・契約書など請求書以外の証憑類も、必要な記載事項が表記されていれば適格請求書として認められています。
なお、国税庁が公開している情報によると具体的には以下の情報が求められます。

・適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
・取引年月日
・取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
・税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
・税率ごとに区分した消費税額等
・書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

ちなみに、飲食店業やタクシー業など不特定多数の者を相手にした取引には、簡易インボイスという省略した様式も認められています。

適格請求書発行事業者とは

適格請求書発行事業所とは、所轄の税務署に登録申請書を提出して適格請求書の発行を認められた事業者のことです。国税庁が公開している情報によると、適格請求書発行事業者には以下の義務が課せられています。

・適格請求書の交付
・適格返還請求書の交付
・修正した適格請求書の交付
・写しの保存

免税事業者が課税事業者になると、登録日以後は納税が必要となります。そのため、本来であれば課税事業者になる手続きが必要ですが、2029年9月30日までは課税期間の途中であっても、適格請求書発行事業者の登録日から適格請求書発行事業者になることが可能です。

登録しないとどうなる?

インボイス制度の登録自体は任意となっています。しかし、取引において「取引先が仕入税額控除を受けられない」という点はデメリットです。買い手に影響があるため、今後の取引にも影響が出る可能性があります。その一方で、顧客が消費者や免税事業者などであれば、適格請求書発行事業者にならなくても顧客に対する影響はありません。まさに自社次第と言えるでしょう。

登録申請書への記載項目

適格請求書発行事業所になるために必要な「登録申請書」には、以下の情報が必要です。

・本店または主たる事務所(個人事業主の場合は住所または居所)
・納税地
・氏名または名称
・代表者氏名と法人番号(個人事業主の場合は不要)
・事業者区分(課税事業者と免税事業者のいずれかにチェック)(税理士が作成に携わった場合は税理士署名)
・登録要件の確認(課税事業者か、納税管理人を定める必要がある事業者か、消費税法の違反で罰金以上の刑に処せられたことがあるか、それぞれチェック)

免税事業者が適格請求書発行事業者になる場合は、さらに「免税事業者の確認」欄を記入します。免税事業者の確認欄には、以下の情報を記入しましょう。

・個人番号
・生年月日または設立年月日
・事業年度と資本金(個人事業主の場合は不要)
・事業内容
・登録希望日

適格請求書発行事業者の登録手順

適格請求書発行事業者になるためには、いくつかの段階を踏む必要があります。また申請方法には、紙の申請書を用意して手続きを進める方法とe-Taxで手続きを進める方法があります。

紙よりもe-Taxで申請する方がスムーズですが、利用者識別番号やマイナンバーカードなどの電子証明書が必要です。ここからは、ステップ毎に登録手順を解説します。

申請書を作成する

まずは「適格請求書発行事業者の登録申請書」を用意します。国税庁のサイトから入手可能です。用意できたら、申請者の住所・納税地・事業者名・代表者氏名・法人番号・事業者区分などを記入します。ちなみにe-Taxで申請を行う場合はフォームへの回答で申請できるため、紙で用意する必要はありません。

税務署に提出する

申請書の準備ができたら、管轄地域の「インボイス登録センター」に送付します。e-Taxの場合は、送信するだけなので税務署に行く手間なくインターネット上で手続きを終えることが可能です。利用者識別番号の取得・登録(e-Taxソフト上で可能)とマイナンバーカードなどの電子証明書は必要ですが、受信通知が来るので送信できたのか確実にわかるのも、e-Taxの特徴と言えるでしょう。

取引先へ通知する

登録完了後は税務署で審査が行われ、問題がなければ適格請求書発行事業者として登録されます。登録された場合、税務署から「課税事業者の登録番号」の通知が送られます。これが手元に届いたら、取引先に登録番号や交付・受領方法などの連絡をしましょう。ちなみに適格請求書発行事業者は、国税庁の公表サイトより登録番号から登録年月日、事業者の名称(個人事業主で申し出がある場合は屋号)などの情報を確認できます。

適格請求書発行事業者の登録をする際のポイント


適格請求書発行事業者の登録をする際は、把握しておきたい注意点があります。
具体的には、申請から登録までに時間がかかる点や申請だけではインボイス制度に対応できない点、万が一のことを考慮して登録の取り消し方法を知っておくことなど「提出期限」や「インボイス制度への対応」「登取り消し方法」といったポイントに注意しましょう。

登録申請書の提出期限に注意する

登録申請は令和3年10月1日から受付が開始されており、基本的に期限はありません。
また、インボイス制度の開始から6年間は免税事業者等からの課税仕入であっても、部分的に仕入税額控除が受けられる経過措置があります。

しかし、インボイス制度が開始される2023年10月1日から適格請求書発行事業者登録を受けるためには、2023年3月31日までに登録申請を済ませておくことが必要です。開始直後からインボイス制度に対応したい場合は、早めの申請をおすすめします。

インボイス制度への対応準備を並行して進める

適格請求書発行事業者としての申請を終えるだけでは、完全にインボイス制度に対応できたと言えません。具体的には、請求書を電子データで管理するためのシステムなどが必要です。
社内で使っているシステムがインボイス制度に対応していれば問題ないのですが、対応していない場合はデータの移行やシステム環境の整備、システム変更に伴う業務の見直しなど準備に時間がかかります。可能であれば、インボイス制度への対応準備と申請は並行して進められると理想的でしょう。

登録の取り消し方法も確認しておく

適格請求書発行事業所としての登録を取り消す場合、税務署に「適格請求書発行事業者の取消しを求める旨の届出書」を提出する必要があります。提出した日が課税期間の末日より30日より前だった場合は、翌課税期間の初日から適格請求書発行事業者の効力が失効します。

ちなみに、課税事業者選択届出書を提出している場合は「課税事業者選択不適用届出書」を提出しなければ、納税義務がなくなりません。また、課税事業者選択不適用届出書を提出しても、適格事業者としての登録が失効しなければ、課税事業者のままな点にも注意しましょう。

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まとめ


適格請求書発行事業者とは、税務署に認められてインボイス(適格請求書)を発行できる事業者のことです。適格請求書を発行するには、登録申請書を提出したうえでインボイス制度への対応を進める必要があります。

インボイス制度のメリットである会計業務の効率化や管理にかかるコストの削減などをいかすため、場合によっては社内システムの見直しやシステムの変更も必要でしょう。しかし、ROBOT PAYMENTの「請求管理ロボ」ならインボイス制度への対応はもちろん、請求書の送付も自動、顧客管理システムや会計システムとの連携も可能です。ぜひ一度、検討してみてはいかがでしょうか。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
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