IT導入補助金の必要書類と準備方法を徹底解説!採択率を上げるポイントもご紹介

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IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者の生産性向上に有益なITツール導入を補助する制度です。しかし、関心はあっても、申請の手間を考えて二の足を踏んでいる事業者様も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、IT導入補助金の基礎知識から申請に必要な書類について、採択率を上げるためのポイントも解説します。

IT導入補助金とはどんな補助金か

IT導入補助金とは「サービス等生産性向上IT導入支援事業補助金」の略称で、中小企業庁の監督で運営している補助金制度のことを指します。中小企業や小規模事業者の生産性向上に有益なITツール導入にかかる費用の一部を補助する制度です。この補助金は目的によっていくつかのカテゴリーに分類され、それぞれ対象や補助率が異なります。

分類 目的
通常枠(A・B類型) 生産性向上を図ることを目的
デジタル化基盤導入枠
(デジタル化基盤導入類型)
生産性向上とともに、インボイス制度への対応も見据えつつ、企業間取引のデジタル化を推進することを目的
セキュリティ対策推進枠 サイバーセキュリティ対策の強化を目的

IT導入補助金制度は、ソフトウェアの機能を以下のプロセスに分類しています。

● 業務プロセス
顧客対応・販売支援、決済・債務債権・資金回収、供給・在庫・物流、会計・財務・経営、総務・人事・給与・教育訓練・法務・情シス、業種固有プロセス

● 汎用プロセス
汎用・自動化・分析ツール
※業種・業務に限定されない、生産性向上への寄与が認められ特定の業務プロセスに付随しない専用のソフトウェア

通常枠A類型は業務プロセスのうち1種類以上を含むソフトウェアの購入で申請できますが、汎用プロセスだけでは申請できません。通常枠B類型では、業務プロセスのうち4種類以上を含むことが条件であり、尚且つ従業員の賃上げ目標計画の実行が必須になっています。ソフトウェアはクラウド利用型のものでもよく、その場合最大2年分の利用料が補助対象で、導入関連費用も対象に含まれます。

また、業務プロセスに挙げられるのはどの業種の会社や組織でも使える汎用性のある機能ですが、「業種固有プロセス」では、特定の業種でのみ必要なITツールであっても対象になります。※例:電子カルテ・3次元CAD・土木積算システム・工事原価作成ツールなど

ただし、デジタル化基盤導入枠については、インボイス制度を前提とした会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECサイトなどを含むことが条件になります。また、パソコン・タブレットなどのデバイスやレジ・券売機などといったハードウェアも対象になります。

補助金の対象

IT導入補助金の対象となる中小事業者・小規模事業者等は、資本金または従業員数で一定以下の規模であることが条件となっています。補助金の枠ごとの定義が公式サイトに掲載されているのでチェックしてみてください。

支給額・補助率の上限

支給額と補助率には上限が設けられています。

類型 補助金の額の上下限 補助率
通常枠 A類型 5万円~150万円未満 費用の1/2以内
最大450万円を補助
B類型 150万円~450万円以下
デジタル化基盤導入枠 ITツール 下限額なし~50万円以下 費用の3/4以内
50万円超~350万円 費用の2/3以内
セキュリティ対策推進枠 最大100万円 サービス利用料の1/2以内

申請期限・スケジュール

2023年度の申請は既に2023年4月に開始されています。枠ごとに申請スケジュールが複数回ありそれぞれ受付期間が設定されているので、申請したいタイミングの締め切りを確認しておきましょう。

通常枠(A類型・B類型)およびセキュリティ対策推進枠の申請期限・交付決定日は、1次締切分から4次締切分の4期間の申請スケジュールとなっており、2023年7月中旬の段階では、2023年7月31日(月)17:00が申請期限で、2023年9月12日(火)が交付決定日(予定)の4次締切分への申請が可能です。

デジタル化基盤導入枠 (デジタル化基盤導入類型)の申請期限・交付決定日は、1次締切分から6次締切分の6期間の申請スケジュールとなっており、2023年7月中旬の段階では、2023年7月31日(月)17:00が申請期限で、2023年9月12日(火)が交付決定日(予定)の6次締切分への申請が可能です。

IT導入補助金のメリット

規定に反しない限り融資などと違い返済不要な資金を入手できます。これは中小企業・小規模事業者にとっては最も大きなメリットです。中小企業・小規模事業者は、IT化にかかる費用が障壁になりIT化が進んでいないことが多い傾向にあります。ですが、補助金により費用を抑えてIT化による業務効率化・生産性向上を図ることができます。

また、IT化が進んでいないことで前時代的・非効率な業務は職場の士気を下げ、従業員のモチベーション低下や離職のリスクを高めますが、IT化による業務効率化は従業員の士気を高め、長期的には離職のリスクを低減できます。また、補助金の対象となるITツールは幅広く業種特有なツールも対象になるため、自社にあったITツールを導入しやすい点も大きなメリットでしょう。

IT導入補助金のデメリット

補助金には審査があるので、申請したからと言って必ず補助金が交付されるわけではない点はデメリットといえるでしょう。例年の採択率は40~60%程度なので補助金がもらえない可能性があることは理解しておく必要があります。また、IT導入補助金の申請には書類の準備など手続きに係る労力や時間が大きいこともデメリットといえます。

あわせて、IT導入補助金は申請者がITツールを購入したあとに審査などの期間を経て支給されます。つまり一度はITツールの購入代金を全額払わなければならないため、キャッシュフローが厳しい会社ではネックになるかもしれません。ただ、購入ができるのは補助金の採択後のため、高額な出費の後で補助金が手に入らないことはないので安心してください。

補助金申請の流れと必要書類

IT導入補助金の申請にはさまざまな書類と手続が必要です。以下、申請の流れに沿って各段階で必要な書類を説明します。

事前手続き

申請をする前に済ませておく必要のある事前手続きが以下の4つです。

1. 「gBizIDプライム」アカウントの取得
まず「gBizIDプライム」アカウントの取得が必要です。gBizIDとは、国や地方自治体のさまざまな行政サービスにアクセスするための認証システムのIDです。gBizIDにはプライムとエントリーの2種類がありますが、IT導入補助金の申請に必要なのはプライムなので「gBizIDプライム」のアカウントを取得してください。

2. SECURITY ACTIONの「一つ星」または「二つ星」の宣言
IT導入補助金の申請には、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」への宣言が必要です。これは中小企業・小規模事業者等が情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です。IT導入補助金の申請時には「SECURITY ACTION」の「一つ星」または「二つ星」の宣言済みのIDの入力が必要になるため、早めに申し込んでおきましょう。

3. 「みらデジ経営チェック」の実施等
さらにもうひとつ必要なのが「みらデジ経営チェック」の実施です。これは中小企業や小規模事業者の経営課題をチェックするツールで、同業他社と比較した経営課題の状況やIT化の進捗度をチェックできます。

4. 導入したいITツールの見積書
事前に導入したいITツールの見積書を作成してもらう必要があります。見積作成の前に、自社の経営課題を踏まえてどのようなITツールを導入するか選定しなければなりません。とはいえ最適なツールがわからない場合は、IT導入支援事業者に相談できます。

IT導入支援事業者とはIT導入補助金制度に登録された事業者のことです。経営課題の診断や診断結果を踏まえたITツールの提案・選定・導入、補助金の申請の手続きのサポートを行い、補助金事業を申請者とともに行う共同事業者と位置付けられています。IT導入補助金を利用してITツールを導入するには、必ずIT導入支援事業者として登録を受けた販売者から購入しなければなりません。ツール決定後、見積書を作成してもらいましょう。

補助金の申請

準備が整ったら申請に進みます。必要書類は法人と個人事業主で異なるので注意してください。

● 法人の場合
法人の場合、履歴事項全部証明書と法人税の納税証明書(その1またはその2)の2種類の書類が必要です。履歴事項全部証明書は法務局に登記されている会社の情報を証明する書類で、IT導入補助金の登録申請日からさかのぼって3ヶ月以内に発行されているものであることが必要なので、証明書の発行日には注意してください。

法人税の納税証明書は税務署で発行してもらいます。税目は法人税でなければならず消費税などでは認められません。また、税務署が発行した直近分の納税証明書である必要があります。

● 個人事業主の場合
個人事業主の場合、身分証明書として運転免許証または運転経歴証明書または住民票、所得税の納税証明書(その1または2)、所得税確定申告書Bの3種類の書類が必要です。住民票の場合はIT導入補助金の登録申請日からさかのぼって3ヶ月以内に発行されているものが使用できます。

所得税の納税証明書(その1または2)は税目が所得税でなければならず、消費税などでは認められません。税務署が発行した直近分の証明書である必要があります。所得税確定申告書は前年の確定申告書かつ税務署の受領が確認できるものでなければなりません。これら証明書は発行日や税目、納税証明の年度など間違いやすいポイントがあるので注意してください。

一連の申請手続きは申請期限までに終了させなければなりません。申請の完了後に事務局によって審査が行われます。審査を通過し補助金が採択・交付決定がなされる前にITツールの購入・契約を行ってしまうと、補助金の対象外になってしまうので注意しましょう。

補助金の採択

交付決定日にIT導入補助金の採択が決定され、事務局から交付決定通知が送付されます。

ITツールの契約・購入・納品・支払い

事務局から交付決定通知が届いてから、ITツールの契約・購入・支払い・納品をしましょう。

納品

ITツールの納品を受けても、補助金を受け取るまでは完了ではありません。補助金を受け取るために必要な書類が4つあるので確実に揃えましょう。

1. 請求関係の書類
IT導入支援事業者から発行された請求書・請求明細書が必要です。

2. 支払いに関係する書類
支払い方法によって必要書類が異なるので注意しましょう。クレジットカード払いの場合はクレジットカード会社発行の利用明細、銀行振り込みの場合は振込明細書・振り込み受付所・利用明細書、といったIT導入支援事業者へ代金を支払ったことを証明する書類が必要です。

3. 補助金の交付を受ける口座情報
通帳の表紙+表紙裏面や、インターネットバンキングの必要情報が確認できるページが必要です。

4. ITツールの利用を証する資料
通常枠・デジタル枠共通で、導入したITツールの名前とIT補助事業者名が表示されている管理画面等のキャプチャが必要です。
※1つのキャプチャ画面で確認ができるように撮影する
※デジタル枠はさらに数種類のキャプチャ提出が必要なので公式サイトを要確認

事業完了報告書の提出

ITツールの導入完了後に請求・支払いの証憑とともに、必要な情報や補助金の受取口座を記載した事業実績報告を作成して補助金事務局に提出します。事務局は事業実績報告をもとに確定審査を行い、補助金額を確定させます。申請者が補助金額を申請マイページで閲覧・確認した後に補助金が交付されます。

IT導入補助金の採択率を上げるポイント

一定の条件を満たしていれば交付される助成金と異なり、補助金には審査があるため申請したからと言って必ず補助金が交付されるわけではありません。審査を通過し採択率を上げるポイントがあるのでそのポイントを解説します。

審査項目に合致した申請内容を作成する

交付申請の内容がIT導入補助金の目的に合致しているかどうかが審査対象となります。審査項目は公募要領に書かれているので、内容を熟読しIT導入支援事業者の助言も得ながら交付申請の内容を書き上げましょう。

● 事業に関する審査
自社の経営課題を理解して改善に向けた具体的な計画であるか、改善すべきプロセスとITツールの導入効果に整合性があるかなど、ITツールの導入と事業の改善計画の整合性が問われます。

● 計画目標値の審査
ITツール導入による生産性向上の目標値には申請要件があり「1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上」となっているため、同等以上の数値である必要があります。事業に関する審査の場合と同じく、導入したいITツールによる効果と整合性のある計画である必要があります。

● 減点措置
審査には加点項目がある一方で減点措置もあります。詳細は後述します。

IT導入補助金の加点項目

その他に、一定の条件を満たしていれば採択時に有利になる加点項目があります。具体的な項目は以下です。

● 地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認を取得していること
● 交付申請時点で地域未来牽引企業に選定されており、地域未来牽引企業としての目標を経済産業省に提出していること
● 導入するITツールとしてクラウド製品を選定していること
● 導入するITツールとして「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を選定していること
● 導入するITツールとしてインボイス制度対応製品を選定していること
● 一定の要件を満たす賃上げの事業計画を策定し従業員に表明していること
● 前年度に健康経営優良法人に認定された事業者であること
● 「地域DX 促進活動支援事業」における支援コミュニティ・コンソーシアムより支援を受けた事業者であること
● 介護保険法に基づくサービスを提供する事業所で、介護職員等特定処遇改善加算を取得しているものを運営している法人
● 女性活躍推進法あるいは次世代育成支援対策推進法に基づいた認定を受けている、もしくは一般事業主行動計画を公表している事業者

IT導入補助金の減点項目

審査の上での減点対象となるのは、過去3年間にIT導入補助金と類似の補助金交付を受けている場合です。またその他、具体的な項目として2023年の通常枠(A類型・B類型)では以下の項目があります。

● IT導入補助金2022において、デジタル化基盤導入枠で交付決定を受けた事業者
● IT導入補助金2023において、デジタル化基盤導入枠で申請を行っているもしくは交付決定を受けた事業者

IT導入補助金の申請は早めに準備を進めることが大事

IT導入補助金の申請は、書類の準備や手続きに手間も時間もかかります。またITツールの選定や見積もりでさらに時間がかかる場合もあります。申請期限間近にIT導入支援事業者に連絡しても、IT導入支援事業者が混雑して遅延するかもしれません。IT導入補助金を利用する場合は早めに動き出すことが重要です。

まとめ

中小企業や小規模事業者がIT化に取り組む際、その費用がネックとなる場合は少なくないでしょう。そんな中でIT導入補助金は大きな助けになります。しかし、申請には手間がかかるため、ITツールの選定には時間を割きたくない事業者様も多いのではないでしょうか。

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監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。