売掛金回収の効果的な方法とは?未回収時の対応についても解説!

請求代行

Facebook にシェア
Pocket


企業間の取引では商品やサービスの提供と代金の授受を同時に行わず、代金をあとから支払う信用取引が一般的に行われています。この取引で発生するのが、売主から見ると未回収、買主から見ると未払の金銭です。この金銭は賃借対照表上の勘定科目として扱われ、売主の立場では売掛金、買主の立場では買掛金と呼びます。

ときには売掛金の回収に問題が発生する場合があり、単に代金だけにとどまらない問題に波及する可能性もあるため事業を運営するにあたって無視できない問題です。

本記事では、この売掛金回収の基礎知識から問題点や回収の方法、回収の上でのポイント、防止のための対策や検討すべき対策について解説します。

売掛金回収の基礎知識


売掛金というのは、商品やサービスを提供する際、提供時に直ちにその代金を支払わせるのではなく、一定期間後に代金を回収する権利のことを言います。売掛金は会社の財政状態を示す賃借対照表上の勘定科目のひとつで、お金を受け取る権利であることから資産に計上できますが、現金として手元にあるわけではありません。

そのため、売掛金が回収できないとキャッシュフローを悪化させたり、その補填のための融資を受けなければならなくなったりするという問題が生じます。また、債権管理に問題があると見られて対外的な信用を損ねることになってしまいます。
ここでは、売掛金の消滅時効と未回収が発生した場合の対処法について解説します。

売掛金の消滅時効

売掛金はお金を受け取る権利ですが、時効があり、お金を請求する権利(売掛金債権)はある時期が来ると消滅します。以前は売掛金の内容により時効が異なりましたが、民法改正により、2020年4月1日以降に発生した売掛金債権は、内容にかかわらず、権利を行使することができることを知った時から5年となりました。ただし、何らかの事情により売掛金債権を行使できることを知ることができなかった場合は、10年です。

しかし、時効に向けて進行してきた時間を停止またはリセットする方法があり、前者を時効の完成猶予、後者を時効の更新といいます。
債務者が債務があることを債権者に対し認めたり、債務の一部でも支払ったりすると、債務の承認といって時効の更新の理由となります。債権者が訴訟を起こす、支払督促を行うなど裁判上の請求を起こすことで時効は停止し、権利内容が確定した際にも時効は更新されます。また、債務者に対する強制執行が行われると時効は停止しますが、債務が全額回収できない場合にも時効はリセットされます。

売掛金の未回収が発生した場合の対処法

売掛金の未入金に気付いた場合は、すぐに行動を始めることが肝要です。万が一債務者が破産準備に入っている場合、売掛金回収は期待できなくなってしまい、実際に倒産してしまえば、担保権者以外では債権回収は無理でしょう。そのため、売掛金回収はスピード勝負です。

まずできることは、内容証明郵便の送付です。時効完成を猶予させる方法の1つとして裁判外での支払請求があり、催告といいます。ただし、催告では時効完成を猶予させるだけで更新はできません。また、時効の更新には催告から6ヶ月以内に裁判上の請求を起こす必要があるため、催告をいつしたかを客観的に証明できることは、その後裁判に事態が進んだ場合にも大変重要です。そこで使うのが内容証明で、どのような内容の郵便物を誰から誰に差し出したのかを日本郵便が証明するものです。内容証明郵便自体には強制力はありませんが、内容証明郵便が相手に到着した日から6ヶ月間、裁判上の請求が猶予されます。

次いで取引先と支払いについて話し合い、いつなら支払えるかを近い将来協議するとの約束を取り付けましょう。協議の合意がなされたときから1年間は時効の完成が猶予されます。協議期間(ただし1年未満)が定められたのであれば、その期間も猶予されます。連絡が付き、取引先の支払能力にも問題がなく、単純なミスが原因であってすぐ解決するようであれば心配はないでしょう。

しかし、問題なのは支払いについて交渉が必要な場合です。債務者に支払う意思があるものの手元に現金がない場合、経営状態や資金繰りに問題を抱えていて期間を延長しても事態が改善しないことも考えられます。確実な回収のためには、一部だけでも支払ってもらう、分割払いにするなどの打診をします。
このように返済計画を組むことが回収の第一歩ですが、計画は書面に残すようにしましょう。返済が計画通りに行かないのであれば、返済の意思がないものとみなして次のステップに進む必要も出てきます。

一方で、中にはそもそも支払う意思がなく、協議にも非協力的な会社も存在します。内容証明郵便で催告を行って時効完成の猶予を図りつつ、悪質さの度合いに応じて弁護士に相談して対応を検討しましょう。

売掛金回収ができない場合の法的手段


ここでは、売掛金回収ができない場合にどのような法的手段がとれるのか見てみましょう。

公正証書の作成

公正証書で合意書を作成するのも有効です。公正証書とは、公証人が作成する公文書です。強制執行に関する文言を含めることで、不払い時に訴訟を経ることなく相手の財産を差し押さえることできます。ただし、当事者双方が公証人役場に出向く必要があります。

支払督促

支払督促は、裁判所から支払を督促する文書を出してもらう制度です。申立人の一方的な手続きと裁判所書記官による書類審査だけで文書が発行され、証拠を提出したり裁判所にたびたび出向いたりする必要はありません。ただし、相手側の住所地を管轄する簡易裁判所で手続きをするため、遠方の債務者を相手にするには適していません。

最短で1ヶ月半程度で結果が確定し、確定すれば判決と同じ効力をもつほか、時効の経過もリセットされます。長期にわたり弁護士費用を要する訴訟に比べて、債権者の負担は小さく済む手続きです。支払督促に債務者が異議を申し立てた場合、通常の民事訴訟に移行するため、債務の内容について債権者・債務者の間で異議がない場合に向いています。

民事調停

当事者同士の話し合いが不調であれば、調停委員が仲介となって簡易裁判所で行われる話し合いである民事調停を行うこともできます。第三者である調停委員が間に立つことで、打開策を導くなどして話し合いによる解決へ導いてくれる手続きです。
和解に至った場合には調停調書が作成され、確定判決と同等の効力を持ち、別途の手続きなしに強制執行に移ることもできます。

少額訴訟

売掛金が60万円以下であれば、簡易裁判所で1回の期日で審理を終えて判決することを原則とする、特別な裁判手続の少額訴訟を利用できます。少額訴訟の判決には仮執行の宣言が付されているため、判決の確定を待つことなく、被告である債務者の財産に強制執行を開始できます。

強制執行

少額訴訟か通常訴訟か、いずれかの裁判で判決が確定すれば債務者が支払いに応じる可能性はあります。しかし、それでも支払に応じない場合は、裁判所の執行官による強制的な手続きとして強制執行を行います。
例えば、債務者の銀行口座を差し押さえた場合、その銀行口座の残高から売掛金を回収します。また、自社が納入した商品を債務者が転売している場合、転売先の支払う代金を自社で受け取り、不動産を差し押さえた場合であれば、不動産を競売にかけて売却した代金から回収します。
ただし、差し押さえを行ったとしても、差し押さえたものの換金性は保証のかぎりではありません。

売掛金の未回収を未然に防ぐには?


売掛金の未回収が発生した場合の対応は様々ありますが、未回収がそもそも発生しないよう未然に防ぐのが一番です。ここでは3つの対処法について解説します。

回収できなかった場合のリスクを考える

まず、回収できなかった場合のリスクを具体的な数値で把握しておきましょう。その際、売上債権回転率の算出が有用です。売上債権回転率は次の式で算出します。

売上債権回転率=売上高÷(売掛金+受取手形)

債権がどの程度滞留しているのかを表しており、回転率が高いほど、売上から売上債権回収までの期間が短く、良好な状態にあるといえます。

徹底した与信管理を行う

与信管理とは、取引先の今後の経営状況を見定め、万が一回収できなかった場合に未回収金をどのように処理するのか決めることです。言い換えると、取引相手の経営状態や支払能力を査定し、掛け取引を行っても安全か、また行う場合でも限度額をどこに設定するかを判断することです。

新規に取引を開始する相手に対してだけでなく、取引開始後も継続的に実施することで、経営状態が悪化して売掛金の支払いが滞りそうな相手には、現金取引に変更するといった手を打てます。

所有権留保を活用する

所有権留保とは、売買代金全額の支払い前に売買目的物を買主に引き渡す場合に、代金支払の担保のため、完済まで売主が目的物の所有権を自己に留保することをいいます。物品は買主のもとにありますが、代金が完全に支払われるまで所有権は売主のもとに残ったままということです。別除権という扱いを受け、債務者が破産したとしても担保権者として、売買契約を解除通知によって物品を回収できます。

売掛金を回収する際に検討すべきポイント


売掛金の回収に臨まなければならなくなった際、検討すべきポイントはどのようなものがあるでしょうか。具体的な施策を2つご紹介します。

弁護士に相談

売掛金回収を行うといっても、専門家でもない一個人や企業ではどうしても手法や知識に限界があります。そこで、売掛金回収代行の専門家である弁護士に依頼することも検討してみましょう。日本で借金回収代行を行えるのは弁護士と認定司法書士、それに国の認可を受けた債権回収会社だけです。

債務者が自社を甘く見ている場合、弁護士を利用することでこちらが本気であることを示し、プレッシャーをかけることができます。また、同じ内容証明郵便でも弁護士の名前が入っているだけで効き目が変わることも珍しいことではありません。煩雑な売掛金回収業務自体を弁護士に任せてしまえるため、本業に支障が出ない点も大きなメリットです。

ファクタリングの利用

ファクタリングという仕組みを利用する方法もあります。ファクタリングとは、売掛金債権に保険をかけたり、未回収の債権を買い取ってもらったりすることで、保証金の受け取りまたは現金化ができる仕組みです。

未回収の債権を買い取る買取ファクタリングと、売掛金が回収できなくなった際に保証会社が補償金を支払う保証ファクタリングの2種類があります。
買取ファクタリングの場合、売掛金債権を売却し、手数料を差し引いた額が現金で得られます。

保証ファクタリングは、売掛金債権が貸し倒れになるリスクを回避する目的で利用するものです。ファクタリング会社が、取引先の信用度を調査して設定した保証枠内の金額の売掛金債権を保証してくれます。両者には、資金調達的な意味合いの強い買取ファクタリングと、保険のような性質を持つ保証ファクタリングという違いがあります。また、ファクタリング会社では取引先の信用力調査にも対応するため、既存・新規を問わず取引先の与信管理を行うこともできます。

ファクタリング会社に債権を売却・譲渡することにより、債権の期日や売掛金回収の煩雑なプロセスを経ることなく早期に現金化することができます。これにより、企業はキャッシュフローの悪化や対外的な信用の低下を回避できるでしょう。また、取引先の倒産などによる貸し倒れリスクを回避できるため、新規の取引先を見つけても与信の問題で取引の開始を躊躇したり断念したりといった機会損失を避けることにもつながります。

請求まるなげロボで与信管理を行って売掛金の未回収を防ごう!

信用取引の開始前の段階でリスクを摘み取ることができれば、それに越したことはありません。そして、そのような要望に応えられるROBOT PAYMENTの請求管理SaaS「請求まるなげロボ」の活用をご検討ください。

請求まるなげロボでは、通常の請求業務として請求書発行・代金回収・入金管理・入金消込・催促といった業務だけでなく、与信審査や売掛金保証にも対応します。与信管理は取引先の信用力を見定め、取引開始後のリスクを低減させるうえで重要ですが、信用調査や調査データの分析など高い専門性が必要になるという問題が避けられません。

しかし、請求まるなげロボを導入すれば、与信審査を弊社で行うだけでなく、与信審査を通過しかつ適格債権と判断された債権に関しては100%の売掛金を保証します。与信通過しなかった債権など自社対応の請求に対しても、請求まるなげロボの請求書の自動発行・送付、自動入金消込の機能を活用でき、業務負担を軽減できます。

また、請求まるなげロボでは、与信適格債権と与信落ち債権を同一システム内で一括管理することが可能で、与信審査後の請求情報の入替や転記のような作業は不要です。与信管理から請求管理まで売掛金の回収に関する業務を、文字通り丸投げできる請求まるなげロボを導入してコア業務に集中しましょう。

まとめ

売掛金が未回収の場合には、様々な対策が必要となってきます。時効により債権を失うのを防ぐことをはじめ、支払がなされない場合には法的手段や、そもそも未然に防ぐ対策も講じなければなりません。しかし、与信管理には専門性が必要で、自社で行うのは難しい場合もあります。そこで、与信審査を外注化したい、売掛金保証も欲しいという方は「請求まるなげロボ」の導入をご検討ください。与信審査にも売掛金保証にも対応いたします。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。