【経営者向け】財務分析で絶対におさえるべき5つの手法と重要指標を公開! | 企業のお金とテクノロジーをつなぐメディア「Finance&Robotic」

【経営者向け】財務分析で絶対におさえるべき5つの手法と重要指標を公開!

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会社の経営状態を把握することは、成長戦略上必須とも言える項目です。過去、現在、そして今後の経営状態の予想を立てることは、経営において欠かせないものでしょう。そこで活用されるのが、財務分析です。財務分析、という言葉を知っていても、具体的なやり方は分からないという人も多いのではないでしょうか。この記事では、財務分析において知っておくべき指標について徹底解説します。

財務分析の目的

財務分析という言葉から堅苦しいイメージを抱き、とっつきにくい印象を持ってはいないでしょうか。財務分析は、人間でいうならば人間ドックや健康診断に似たものです。健康診断では、身体のどこかに異常はないか、不調があるのであれば原因は何か、改善すべき生活習慣はないかなど、科学的な根拠に基づいて検証していきます。同様に経営において現在の立ち位置、問題点を把握し、今後の改善点を確認するために財務分析は行われます。経営に問題はないか、改善点はないか等を確認することで、経営危機を回避することができるのです。すなわち、財務分析の目的は、企業にとってベストな意思決定を行うため、正確な現状把握と将来予測をすることです。人間ドックで言うならば、現在の健康状態を把握し、将来的にどういった病気のリスクが考えられるか、それを回避するための選択肢はどのようなものがあるか、与えられた選択肢の中からどれが自分にとって最善かを考えることと同じと言えるでしょう。

財務分析の目的は、誰が行うかによっても異なります。財務分析は自分の経営、もしくは勤務している企業だけが行うものとは限りません。もちろん、経営者として自社の経営内容を把握することは今後の経営判断に生かすためにも重要であり、そうした意味で財務分析は欠かせません。一方、取引先の経営状況を把握するためにも財務分析は行われます。売掛金や貸金が戻ってこない貸倒れなどのリスクや、損失を未然に防ぐ上でも、財務分析は重要です。さらに投資家として活動しているのであれば、投資する会社を決める上で将来性を予測するために財務分析を行うことは必須とも言えるでしょう。このように、財務分析の目的は、誰がどんな目的で財務分析を行うかによって異なります。同時に、やり方さえ知っていれば誰でも財務分析は行えるのです。

財務分析に必要なスキルは?

財務分析は誰しも行うことができるとはいえ、財務分析を行う際に必要な、特別なスキルはあるのでしょうか。財務分析を行う上で、必要となるスキルは大きく分けて3つあります。1つめは、財務諸表などから経営状況を客観的に読み取る能力です。たとえば、資金繰りの状況、利益率の動向などから判断する能力を言い、「お金の流れを正確に読み取る力」とも言い換えられるでしょう。こうした能力は安定した経営のために必須のスキルです。2つめは、それらのデータを客観的に分析し、他のデータと比較する力です。偏った視点ではなく、さまざまな角度から多くのデータを合わせて分析することで、アンバランスな点や問題点を浮き彫りにします。3つめは、財務分析だけにとどまらず、問題の解決・改善に向けての取り組みを提示できる力です。経営は順風満帆ばかりではなく、さまざまな壁や困難にぶつかることも少なくありません。そうした難事に際し、どれだけ事前に回避できるか、問題にどう向き合い、最小限の損失で乗り越えられるかが重要となります。財務分析では数字やデータを読み解く力だけでなく、そこからどういった問題が考えられ、どういった改善策を出せるか、というところまでを含めてのスキルが求められるでしょう。

財務諸表について知ろう

財務分析を行う上で、まず財務諸表に記載されている内容を正しく理解することが最も重要です。そのためには、会社のお金に関する数字がまとめられた貸借対照表・損益計算書をしっかりと読み取る必要があります。貸借対照表(B/S:Balance Sheet)とは、ある時点における財政状態を示した一覧表です。貸借対照表は「借方」「貸方」に左右で分かれており、借方である左側は「資産の部」として流動資産や固定資産、繰延資産など資金の運用状況を表しています。貸方である右側は「負債の部」「純資産の部」に分かれており、資金の調達源泉を表しています。

損益計算書(P/L:Profit and Loss statement)とは、1年や四半期など、ある程度の期間における収益と費用とを対応表示し、それによってその期間の企業の経営成績を明らかにするものです。純利益や経常利益、当期純利益などを把握する上で欠かせません。財務分析を行う上で、こうした財務諸表は欠かすことのできない資料でしょう。

①収益性分析

ここからは、実際に財務分析で見るべき5つのポイントについて紹介していきます。1つめのポイントは、収益性分析です。収益性分析は、企業の利益について分析するものです。投資を考える場合などは特に、収益性の高い企業であるかどうかは大きなポイントとなります。単に利益額での判断ではなく、利益率に着目しましょう。収益性分析には、「資本収益性」と「取引収益性」の2つの味方があります。

<資本収益性>
資本収益性は、総資本と自己資本が利益とどのような関係にあるかの比率を分析するものです。資本収益性を分析するには、総資本経常利益率(ROA)と自己資本当期利益率(ROE)の2つの項目と計算式を知る必要があります。まず、総資本経常利益率(ROA:Return On Assets)です。総資本経常利益率は、資本の収益力を表すもの、すなわちどれほど資本を効率的に利用できたかを示すものです。計算式は、総資本経常利益率(%)=当期(純)利益÷総資本(期首・期末平均)×100です。
自己資本当期利益率(ROE:Return On Equity)とは、自己資本(株主が投下した資本)に対して、当期純利益をどれだけ上げているか、株主の資本をいかに効率的に活用できたかを示す指標です。自己資本当期利益率が高いほど、企業の収益性は高くなります。計算式は、自己資本当期利益率(%)=当期(純)利益÷自己資本(期首・期末平均)×100です。”

<取引収益性>
取引収益性とは、売上と利益、費用がどのように関連しているのか、さらに売上高に対する収益性を見るものです。取引収益性を示す指標は5つの計算式によって求められます。まず、「売上高総利益率」です。売上高総利益率は粗利とも呼ばれる、売上高に対する売上総利益の比率を示すものです。企業の大まかな利益率を把握する基本的な指標として用いられています。計算式は、売上高総利益率(%)=売上総利益÷(純)売上高×100です。2つめは「売上高営業利益率」で、売上高に対する営業利益の比率を示します。営業活動の効率化を判断するものです。計算式は、売上高営業利益率(%)=営業利益÷(純)売上高×100です。
3つめは「売上高経常利益率」で、売上高の中での経常利益の割合、すなわち企業の業績を表します。経常利益は、営業活動と財務活動の両方の収益を示します。計算式は、売上高経常利益率(%)=経常利益÷(純)売上高×100です。4つめは、「売上高販管費率」です。売上高に対する販売費、一般管理費の比率を示すもので、比率が低いほど効率的な経営だということを示しています。計算式は、売上高販管費率(%)=販管費÷(純)売上高×100です。5つめは、「売上高当期純利益率」ですが、特別損益は常に発生するものではないため、売上との関連が薄く、特別重要な指標ではありません。計算式は、売上高当期純利益率(%)=当期(純)利益÷(純)売上高×100です。”

②安全性分析

安全性分析は、たとえば銀行からの借入に対する返済能力のようなもので、企業の支払い能力、倒産に陥る危険性を見るものです。安全性分析には大きく分けて2種類あり、貸借対照表を用いるものとキャッシュフロー計算書を用いるものがあります。

<ストック分析>
ストック分析とは、ある時点における収支を確認するものです。会社の財務分析においては、年度末の資金状態が分かる貸借対照表を用いてチェックします。チェックする際は、資産と借金、資産と株主資本の関係に注目しましょう。ストック分析では4つの計算式を知っておく必要があります。まず、「流動比率」です。流動比率は、流動負債に対する流動資産の割合を示します。計算式は、流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100です。通常、流動比率は200%以上であることが望ましいとされています。2つめは「当座比率」です。会社の短期的な返済能力を示すものです。流動資産の中には棚卸資産のようにただちに資金化できないものも含まれています。そのため、流動比率よりも短期間で現金化できる資産がどのくらいあるかを知る上で、当座比率が活用されます。計算式は、当座比率(%)=当座資産÷流動負債×100です。当座比率は100%以上が望ましいとされています。
3つめは「固定比率」です。適切な設備投資を行っているか、固定資産が自己資本でまかなわれているかをみるものです。固定比率(%)=固定資産÷自己資本×100で計算します。固定比率は100%以下であることが望ましいとされています。4つめは「自己資本比率」です。総資本の中で、返済の必要のない自己資本がどれくらいあるのかを示すものです。自己資本比率(%)=自己資本÷総資本×100で計算します。一般に、自己資本比率が高いほど借入金が少なく健全な経営であり、安全性が高いと考えられます。

<フロー分析>
フロー分析は、ある期間の資金の流れを確認するものです。財務分析では、キャッシュフロー計算書を用いて分析します。キャッシュフロー計算書は、一会計期間におけるキャッシュフローを表したものです。ここで言う「キャッシュ」とは、現金及び現金同等物を意味し、文字通り現金や短期投資などを指します。価格変動リスクの大きい株式等はキャッシュに含めません。キャシュフロー計算書を読み解くことで、現金及び現金同等物の動きから、企業活動の全般の動きをとらえられるでしょう。
財務分析で重要になるキャッシュフロー計算書における3つの視点は、「営業」「投資」「財務」の3つの領域に分けられます。まず「営業」では、商品の仕入による支出、販売による収入など、営業活動での収支の差額を見ます。「投資」は、固定資産の取得・売却で発生したキャッシュフローです。「財務」は、金融機関からの融資、返済による支出や、借入金による収入などを指します。これら3つの視点から、資金がどのように流れているのかを見ることで、経営状態を把握できるでしょう。

③活動性分析

活動性分析は、会社の経営が活発かどうかを見る指標です。特に重要な指標として、「総資本回転率」「固定資産回転率」「棚卸資産回転率」が挙げられます。総資本回転率は、回転率の良さを示し、資本の有効な利用度を示すものです。計算式は、総資本回転率(回/年)=年間の(純)売上高÷総資本(期首・期末平均)です。固定資本回転率は、固定資産が効果的に生かされているかを示します。計算式は、固定資産回転率(回)=売上高÷固定資産(期首・期末平均)です。
棚卸資産回転率は、棚卸資産の期末残高が相応であるかを示すものとして用いられます。計算式は、売上高÷棚卸資産(期首・期末平均)です。いずれも回転率が低い場合は売上げが向上しておらず、無駄が生じている可能性が考えられます。回転率が良いことは経済活動が活発であることを意味していますが、棚卸資産回転率に関しては、回転率が高い場合、供給が適当ではない可能性もあります。

④生産性分析

生産性分析は、会社が従業員や設備を効率よく活用しているかについての指標です。「資本生産性」「労働分配率」「労働生産性」の3つの指標を用いて判断します。資本生産性は、資本に対する付加価値を表すものです。計算式は、資本生産性(円)=付加価値額÷総資本×100です。数値が高いほど良いとされています。
労働分配率は、付加価値に対して、どれくらいの人件費がかかっているかを示すものです。人件費には給与をはじめ社会保険料や法定福利費なども含みます。計算式は、労働分配率(%)=人件費÷付加価値額×100です。数値は低いほど良いとされていますが、業種によって差があるのが特徴です。労働生産性は、社員1人当たりどれくらいの売上利益を上げているかを示します。計算式は、労働生産性(円)=付加価値額÷従業員数(2期平均)×100です。生産性が良いほど数値は高くなります。

⑤成長性分析

成長性分析とは、今までの会社の成長と今後の成長可能性を見るものです。主に3つの視点から判断します。まず、「売上高増加率」は、前年の売上高と比較し、どれくらい増加、もしくは減少したかによって成長性を見るものです。売上高増加率(%)=(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高×100で計算します。数値は高いほど前年度を上回る成長率であることを示します。
2つめに紹介するのが、「利益増加率」です。企業が得た利益から成長性を判断するものです。利益増加率(%)=(当期経常利益-前期経常利益)÷前期経常利益×100で計算します。数値は高いほど良いとされています。3つめに紹介するのが、「純資産増加率」です。純資産がどれくらい増えたのかを表す指標です。純資産増加率(%)=純資産増加額÷基準時点の純資産残高×100で計算します。こうした伸び率を知ることによって、どういった成長が見られるのかを客観的に把握し、さらに今後の成長についての予測を立てることができるでしょう。

財務分析で経営状況を正しく理解しよう

財務分析によって、企業のさまざまな状況が見えます。それは、単に経営状況を客観的に判断できるだけでなく、今後の目標や改善点を見直す上で有益なものとなるでしょう。ただし、分析内容はあくまでも数値化されたデータでしかないため、業種などによってさらに分析していくことが求められます。財務分析では過去の結果を踏まえた上で今後の成長を判断する指標ともなるため、数年間の流れを判断し、経営に生かしていきましょう。