管理会計と財務会計の違いとは?管理会計の主な業務内容も解説!

経理

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管理会計と財務会計は、言葉こそ似ていますが異なる業務です。どちらも経済主体が行う活動で発生した事象を測定・記録して報告する点では似た役割を果たしていますが、実際には明確な違いがあります。

この記事では、管理会計と財務会計の違いを解説します。管理会計の基礎から主な業務内容まで網羅でき、導入時のイメージが浮かびやすくなるでしょう。記事の後半では管理会計の導入時のポイントも紹介するので、検討中の方はぜひ最後までご覧ください。

管理会計とは?

管理会計とは、経営者や各部門の管理者が経営計画や財務管理、予算の策定などを行う際に目安や指針となる社内向けの会計のことです。管理会計の情報は、経営者や各部門の管理者が意思決定をしたり組織内部の測定や評価をしたりするのに役立ちます。自社の状態を正確に把握し、適切な経営管理を行うためにも管理会計は重要です。

管理会計はあくまで社内向けに作成するため、財務会計のように決まった形式やルールがありません。また期間も定められていないため、週単位・月単位・年単位から運用しやすい期間を選びましょう。管理会計では扱う内容の規定もありません。一般的には原価計算、変動損益計算書、キャッシュフロー分析、経常収支計算、経営分析、予算管理、予実管理などの作成を行います。

財務会計とは?

財務会計は、自社の経営状態を企業外部の利害関係者に明らかにする目的で行うものです。たとえば、投資家は財務会計を見て会社の経営状態を判断し、さらに投資をするか現状維持にとどめるかの判断を行います。債権者が追加融資をするか返済を求めるかの判断材料に使われたり、株主や取引先に提示されたりする場合もあるでしょう。

また財務会計は、税務署の提出書類としても重要です。財務会計は法律をはじめとした会計ルールに沿って作成しなければいけない点に注意しましょう。

管理会計と財務会計の違いは?

管理会計と財務会計では提示先が違います。財務会計が投資家や債権者、税務署など社外向けに提示するのに対して、管理会計は経営者や各部門の管理者など社内向けにしか提示しません。全ての企業で財務会計の実施が必要である一方、管理会計の場合は任意での作成である点も違いの一つといえるでしょう。

他にも、内容や書式、集計単位などいくつかの違いがあります。特に目的や対象期間の違いは明白です。管理会計の目的は自社の経営管理に役立てることであり、任意の期間で記載できます。一方、財務会計の目的は財務状況を外部に正確に伝えることです。会計期間などのルールに従って作成する必要があり、管理会計のように自由に期間を決められません。

管理会計と財務会計とでは開示先が違うだけでなく、作成する目的や対象期間などいくつかの点で異なるのです。

管理会計を導入するメリット

管理会計では会社の経営状態を把握できるため、経営者や管理者の意思決定に役立ちます。
他のメリットについても、管理会計を導入予定の方は事前に整理しておくと良いでしょう。次は管理会計を導入するメリットを解説します。

セグメント分析ができる

セグメント情報とは会社やグループ会社の売上、利益、財務状況などを、事業単位別に分けた情報のことです。主に上場企業が情報開示に使用する情報ですが、管理会計で活用する方法もあります。部門ごとの管理を行えば、目標の設定や業績の評価・管理、現場での改善もしやすくなるでしょう。製品やサービスも単位別に分析すれば、部門とは違う視点が得られます。

また、管理会計のセグメント分析を行うことで、財務諸表から得られなかった情報を取得できます。管理会計は現場の生産性向上やコストカットはもちろん、既存のサービスの存続や会社の方向性を決める際にも役立つのです。

コスト管理・コスト削減ができる

管理会計でセグメント情報を扱えば、コスト管理やコスト削減にもつながります。各部門・商品・サービス別に予算や実際にかかった費用が把握できれば、事業継続に必要な費用対効果の可視化ができるのです。月・週単位で財務状況を管理すると、会社の経営状態も明確になります。後述する「原価管理」を行えば人件費や原材料費などの原価が分かり、さらなるコスト削減が可能です。

経営状況を客観視できる

管理会計では財務諸表などの数値を活用した経営分析も行えます。「自己資本比率」「総資本回転率」「売上高営業利益率」などは、いずれも定量分析に必要な指標です。管理会計では自社の経営状況を俯瞰して評価できる点もメリットといえるでしょう。

管理会計を導入するデメリット

管理会計を導入すれば、一時的に経理担当などの現場の負担が増えます。詳細な管理会計を作成しようとするほど、やるべき事や作成書類が増えるでしょう。業務負担が過剰になれば従業員も不満を募らせ、場合によっては通常業務が滞る恐れがあります。管理会計のデメリットはやり方次第で最小限に抑えることも可能です。

経理担当を含めた現場の負担を最小限に抑える方法としては、十分な研修を受けさせたり、人員を増やしたりするのが有効です。導入までに負担が大きくなると予想される部門の従業員と話し合いを重ね、負担を最小限に抑えるように計画を立ててから導入に踏み切ると良いでしょう。管理会計のデメリットは工夫次第で解消できる点を覚えておくと役立ちます。

管理会計の主な業務4選!

ここからは管理会計の主な業務を紹介します。予実管理・経営分析・資金繰り管理・原価管理の4つは、いずれも管理会計を利用する前に知っておきたい業務です。以下では管理会計の主な業務についてその特徴や具体的な内容を解説します。

予実管理

予算管理とは、売上予算をはじめ原価予算・経費予算などのさまざまな予算を管理しながら、経営に活用していく仕組みのことです。一般的に次年度や中長期的な期間を対象に行います。

予算管理と並行して実績を比較することは「予実管理」と呼ばれ、予算に対する進捗状況が把握しやすくなる点がメリットです。予実管理に欠かせないのは「PDCAサイクル」を確立することで、予算編成にあたる「計画」の進捗が把握できれば、残りの「実行」「評価」「改善」もスムーズに行えます。問題は予算管理の期間が長い場合です。

年度末や上期・下期のようにPDCAサイクルがうまく回せない場合は、月次決算を活用しましょう。月ごとの財政状態および経営成績がわかれば、次月の施策や今後の計画も一つずつ考えやすくなります。予実管理が使えるのは短期的な期間だけではありません。長期的な成長戦略の策定にも役立つ点を押さえておきましょう。

経営分析

財務諸表やさまざまな調査報告書を使いながら経営状態の分析を行うことで、特に重要なのは収益性と安全性の分析です。前者の分析指標としては売上高営業利益率や売上高総利益率がよく使われます。後者の分析指標では自己資本比率や流動比率が定番です。管理会計を導入する際は、現在どれくらい成長しているか、どれくらい資産を持っているかの2点は最低限把握しておきましょう。

また経営分析では「限界利益」についても理解する必要があります。限界利益とは、売上高から変動費を差し引いたものです。これは損益分岐点の分析時に登場する指標で、利益を生むために必要な売上高を知るのにも使われています。経営分析には複数の指標があるため、利用前に各指標の特徴を整理しておきましょう。

資金繰り管理

資金繰り管理を行えば日々の入出金の管理が可視化でき、資金の過不足がないように調整できます。現在の財務状況を正確に把握できるため、経営の正常化には欠かせない業務といえるでしょう。また、支払い債務や債権を現金化できる時期が明確になれば、将来の資金調達の目途も立ちます。
資金繰り管理はExcelなどで表を作成し、手動で入力する方法もありますが、時間がかかるためあまりおすすめできません。業務効率を上げたい方や工数・負担を減らしたい方は、債権債務情報と連携できる会計システムを選びましょう。

原価管理

原材料費や部品のコストをはじめ、人件費や設備費の原価を「見える化」すると良いでしょう。見える化することでコストが適切か判断したり、コストを削減したりするのに使われています。原価管理の手順は下記をご確認ください。

・原価の「目標額」を決める
・実際の原価を記録する
・目標額と実際の原価を比較、分析する
・比較、分析した結果から業務効率化など次のアクションにつなげる

原価管理では各費用を原価に分けて分析するため、利益が出ない原因も一目で分かります。主に製造業で使われる管理手法ですが、経営状況の把握や利益の最適化に役立つのです。製品やサービスのコストが気になる方は積極的に活用しましょう。

管理会計システムとは?

管理会計システムとは管理会計をサポートしてくれるシステムのことです。具体的には「クラウドERP」「会計ソフト」「管理会計」を行ってくれるコンサルティング会社などがあります。管理会計システムを利用すれば、会計情報の細かな分析が可能です。部門別だけでなく、商品別、プロジェクト別、地域別などセグメント情報ごとの分析もできます。細かい分析を行えば、会社全体の経営状態を見るだけでは分からなかった問題が明確化できるのです。「会社の経営が悪化しているが原因がよく分からない」という場合に役立ちます。

管理会計システムを用いれば、長期的な経営戦略を実践していくのに必要な予算と予実のシミュレーションも行えます。予算とは「目標達成のために計画を立てた費用」であり、予実とは「実際にかかった費用」です。両者をしっかり管理していないと、会社の経営状態は正確に把握できません。新しいシステムを会社に導入したい場合、外部に委託した方がいいのか迷う場合もあるでしょう。

管理会計システムの利用における最大のメリットは、経営状況の予測シミュレーションができる点です。過去の会計情報を分析すれば、未来はある程度予想できます。新しい事業の展開や大幅な事業拡大など、失敗すれば大きなリスクを伴う決断の前は、特にシミュレーションが重要です。適切なシミュレーションが行われれば、戦略も立てやすくなり、今から対処できる改善点も探せるでしょう。

管理会計には決まったフォーマットがありません。管理会計システムを利用する時は、自社に最適な管理会計帳票を作成できます。インターネット上で公開されている無料のフォーマットを使いにくく感じた方は、有料の管理会計システムの利用を検討してみましょう。

管理会計を導入するためのポイント

管理会計をスムーズに導入するためには、導入目的を明確にし、タイミングを考える点が重要です。決算期の忙しい時期に管理会計を導入しようとすれば、現場の負担が増えるだけでなく、余計な混乱を招く場合があります。焦らず従業員にしっかりと説明を行い、いつ導入すれば最も負担が少ないのか意見を聞くのも大切です。経営層の指示がバラバラになると運用に支障をきたすことがあるため、改めて意思統一も行いましょう。特に導入タイミングや管理会計の導入で改善したい点は明確にしておきたい点です。

管理会計を導入する際は、信頼できるパートナーを選び、適切なアドバイスをしてもらいましょう。管理会計システムは会社ごとに最適なフォーマットが異なるため、会計だけでなく経営理念や経営戦略の知識がないと構築は難しくなります。最初は会計事務所や会計システムに依頼してサポートを受けながら導入しましょう。導入パートナー選びも管理会計の導入で欠かせないポイントです。導入パートナーの適切なアドバイスは企業の成長にも欠かせません。

管理会計は導入したら終わりというわけではなく、導入後もPDCAサイクルを繰り返し、導入した管理会計が自社に合っているか検証を繰り返すのも重要です。これから管理会計を導入予定の方はこれらの点を意識してみてください。

請求や債権管理を自動化できる「請求管理ロボ」とは?

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まとめ

管理会計と財務会計との違いは、管理会計が社内向けであるのに対し、財務会計は社外向けである点です。財務会計の作成が必須である一方、管理会計の作成が任意である点も違いといえるでしょう。管理会計を導入すればセグメント分析ができたり、コストの管理や削減がスムーズにできたりするメリットがあります。特に「管理会計システム」を導入すればサポートを受けられるため、管理会計を初めて導入する方でも安心して利用可能です。

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監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
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