入金後に請求金額の間違えが発覚した場合の対処法

経理

Facebook にシェア
Pocket

請求書の請求金額と違う額を取引先に入金してしまったことも少なからずあるでしょう。人が行う作業であるからには、このようなトラブルが発生しないとは限りません。金額が多い少ないにかかわらず、間違った金額を振り込んだときにどのような対処をすべきなのでしょうか。このコラムでは、請求金額と入金額を間違えた際のスマートな対応方法を解説します。

入金金額を間違えた時の対処法

事業活動において、仕入れ時等で発生した代金を振り込む業務があります。その場合は、取引先から請求書が送付され、期日までに請求金額を指定の口座等に入金するのが基本です。しかし、請求金額とは異なる金額を間違えて入金してしまったなんてミスも起こり得ます。金額を間違えてしまった場合、どのような対応が必要なのでしょうか。ここでは、入金額を間違えた際の対処法についてご紹介します。

まずは相手先の担当者に謝罪と確認を

クレーム対応と同様、誤りが発生した場合には早急な対応が肝要です。特に請求金額というお金に絡むミスの場合はなおさらです。謝罪は、まず相手方の担当者へ電話でお詫びして、誤った請求金額について念のため双方で確認を行います。その際、携帯メールなどで簡単に済ませてはいけません。
その後、請求金額の差異について謝罪文を送ると共に、今後の手続きについての案内文を添えます。

請求金額よりも多く入金した場合の対処

請求金額よりも多く入金してしまったことを過入金と呼びます。過入金に気が付いたら、即時に取引先に相談して返金のお願いをしましょう。その際に、振込手数料は自社負担であることの説明をします。請求金額との差額が大きい場合は、心からの謝罪として菓子折りなどを持参するのも良いでしょう。逆に請求金額との差額が小さい場合は、次月の請求金額と相殺してもらうように伝えます。

請求金額よりも少なく入金した場合の対処

請求金額よりも少ない入金を不足金と呼びます。不足金に気が付いたら、過入金と同様に取引先に連絡して、不足分を早急に振込みましょう。再度入金額を間違えないように取引先に請求金額を確認してから振り込むことが大切です。

また、取引先に連絡する際に「足りない分は次回に合算でいいですか?」などと聞かないようにしましょう。入金ミスをしたのはこちら側なので、相手側の都合も聞かずに事を収めるのは失礼です。相手側から次回と合算でいいと言われた際は、丁寧にお詫びをして指示に従いましょう。

差額分を新たに請求してもらうべきか?

請求金額の差額分について、新たに請求書を発行してもらう必要はありません。当初の請求書の原本をコピーして、請求金額との差異についての説明と返金または追加振込で済みます。

もう一度請求書を発行してしまうと、新たな取引と解釈してしまいます。内容がまったく一緒の取引が2つあってもおかしくはないため、処理する側もわかりにくく厄介です。結果として、異なる2つの取引として扱われるという事象が発生しないようにしましょう。

誤振込の返金義務について

金融機関の窓口で振込手続きする場合、振込依頼書をもとに銀行員が照合するので間違いはほとんど起こりません。しかし、ATMやインターネットバンキングから振込する場合、銀行員による照合がないため口座が存在してしまえば振込作業が実行されてしまいます。

相手の口座に着金する前に入金ミスに気が付いた場合は取り消しが可能です。ただ、振込処理は金融機関の稼働時間内もしくは即時で行われるため、手続き完了後にミスがわかっても処理の取り消しは困難でしょう。こうした場合、どのような対応が迫られるのでしょうか。ここでは、誤振込の返金義務についてご紹介します。

誤振込を受けたら返金する義務がある

誤振込で受け取った金額は、法律上の原因無くして得た利益「不当利得」に該当し、受け取った方は、民法703条の定めにより法律上返還義務を負わなければなりません。不当利得と知ったうえで着服する場合は、振り込まれた全額に利息を付して返還する義務を負い、さらに損害賠償責任も負うことと民法で定められています。返還方法としては原則、当事者間の話し合いによって決まるため一括返還の場合もあれば分割返還のケースもあります。

中には、振り込まれた金額を使用してしまった方もおられるでしょう。使用してしまった場合、その利益を存する限度「現存利益」という問題が生じます。現存利益とは、利益が現物のまま又は姿を変えて現状存在することです。例えば、誤振込の金額を使い果たしてしまった場合でも、使用用途が生活費や物品購入などに充てられているのであれば出費を免れていることになり、当初とは違う形ではありますが利益が残っていると判断され、返還義務が生じます。しかし、娯楽費として浪費された場合は、現存する利益はない判断され義務の対象から外されることもあります。

誤振込の返金拒否で生じる刑事責任

返還命令に従わない場合は、振込を実行した相手側から刑事訴訟を起こされる可能性があります。実際に、返還に応じず金融機関の窓口で払い戻し請求した結果、刑法第246条の詐欺罪と認められた事例があります。詐欺罪になった場合、10年以下の懲役が科せられるので注意しましょう。他にも、振り込まれたお金をATMで引き出す行為は、金融機関の占有を侵害するとして刑法第235条の窃盗罪になる可能性があります。

窃盗罪が成立してしまうと、10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。また、現金の引き出しをせずに口座間で誤振込金額を移動させる行為は、刑法第246条の2にあたる電子計算機使用詐欺罪に該当する可能性があるので注意しましょう。電子計算機使用詐欺罪が成立された場合、10年以下の懲役が科せられます。刑事告訴によって逮捕されてしまう可能性もあるため、誤振込は気が付いたら必ず返還するようにしましょう。

時効が成立すると返金義務が消滅

誤振込には返還する義務が生じますが、法律には事項という制度があることも忘れてはいけません。民事上の時効は、送金した側が誤振込に気づいてから5年が経過すると返還義務が消滅します。ただし、民事訴訟で送金した側に勝訴判決が下された場合は、判決確定後の翌日から10年間までが時効期間です。

刑事上の時効期間は、犯行を始めた時から7年経過すると罪に問われなくなります。とはいえ、時効期間が過ぎるまでお金を返還しないというのは良くありません。誤振込に気が付いた時点で素直に返還することが大切です。

請求額と入金額が違う主なパターン

先程も紹介したとおり、金融機関の窓口で入金する場合は銀行員が照合作業をするため入金ミスが生じることも少ないでしょう。ただし、窓口ではない振込の場合は入金ミスが生じることもあります。また、自社と取引先の経理処理方法によっても金額の差異が生じる事も少なくありません。ここでは、請求金額と入金額が合わない主なシチュエーションについてご紹介します。

今月分と翌月分の支払い分を合算して振り込んでくる場合

毎月同じ金額で取引をしている場合、前以て次月分も合算し振り込んでくることがあります。入金側からすれば振込手数料が1回分不要になるためお得ではありますが、入金ミスが生じる要因でもあります。まだ請求していない金額まで振り込まれている場合は、早急に相手側に確認を取りましょう。

銀行振込手数料を勝手に引いてくる場合

請求金額よりも少ない金額が振り込まれている場合、銀行口座間の現金を移動させる際に係る振込手数料を差し引いて振込をしています。ここで重要なのは、振込手数料を差し引いて振り込むことを了承したうえで行われているかどうかです。

何の了承もなく差し引かれている場合、請求金額と入金額の差異が生じます。また、取引先が請求金額を把握していないまま、振込手数料を差し引いて振り込むケースもあります。差異を生ませないためにも、振込手数料に関してはどちらが負担するかを決めて、了承を得るようにしましょう。

消費税の差額の処理

請求書作成時、1円未満の消費税を切り捨て、切り上げ、四捨五入などの端数処理を行います。消費税の端数処理は各事業者によってルールが異なるため、自社と取引先とで処理方法が違うと差額が生じてしまいます。

1円程度の際の場合は、手数料などとして処理するのが一般的です。また、複数の請求書がある場合、請求書ごとの税率なのか合算した時の税率なのかでも差異が生じます。枚数が多いほど差額が大きくなるので注意しましょう。

振込金額の入力ミス

銀行振込する際に、振込金額の桁を間違って入力してしまうケースもあります。振込額の間違いに気が付いたら、すぐに相手側に連絡する必要があります。また、振込番号を入力ミスしてしまうと別の口座に送金される場合や送金自体されません。

再発防止について

特に、中小企業の経理担当者は経理業務以外にも事務処理等の業務に追われています。そのため、支払い業務が煩雑になりがちです。また、社内のチェック体制も兼務している人材や社長一人で担当している場合では、十分に管理できているとは言えません。ダブルチェックで短期的に改善できたとしても、再発防止にはなりません。入金ミスは、取引先の信用を損なうほか、取引先の経営存続が危ぶまれるリスクもあります。そのため、再発防止策を考えなければいけません。ここでは、よくある支払ミスの種類と再発防止策についてご紹介します。

よくある支払ミスの種類

キャンペーン中に特別価格を設定していると、通常金額に戻した際に金額の誤認が生じます。特別価格を設定する場合は、取引先に説明するなどの対策を講じましょう。また、営業戦略の一環として、価格改定を行うこともあります。社内で情報共有が円滑にできていないと過請求による過入金が発生します。取引先の信用を損ねる事にもつながるので、価格改定の際は組織全体で共有するようにしましょう。

他にも、入金日に予定が入ってしまい手続きを忘れてしまうことや支払うべき請求書が次月分と混在していたなどもよくある支払ミスの一つです。支払ミスは、担当者の不注意で発生する場合と支払システムが構築できておらずに発生する場合があります。前者に関しては、経理担当者が注意深く業務を行うことで大半解消されるでしょう。しかし、後者に関しては経理担当者だけでは解決できないのでシステムを導入することを推奨します。

今後ミスを防ぐためには

今後このような請求金額の振込ミスを防ぐためには、請求書を見ながら振込するようなことがないようにしましょう。様式が異なる用紙を見ながらの振込は、かなりの集中力が必要です。請求金額の書いてある場所が1枚1枚異なる様式では、ミスも発生しやすくなります。

振込するものは、あらかじめ請求金額の一覧表を作成し、一覧表をみながら金額を入れていきましょう。ネットバンクで自分のパソコンから手続きができるなら、1行1行チェックするとともに、振込を承認する人と二重のチェックができる体制が整っていると安心です。

窓口やATM振込の場合でも請求金額の一覧表は役に立ち、請求書をめくる必要がないので手間も省けます。
さらに、銀行の窓口での振り込みならば銀行の職員に請求書を渡して振り込む手段もあります。窓口でお願いすると、振込料が高くなりますが頻繁に振込を誤るようであれば一考の価値があるでしょう。

入金のミスを防ぐならROBOT PAYMENTの請求管理ロボにおまかせ!

入金ミスは、振込金額の入力ミスや取引先と消費税の端数処理方法が違うなどで生じます。再発防止には、上司とのダブルチェック体制では短期的な改善しか図れません。そのため、システムを導入してより正確なチェック業務を実現させることが必要です。

ROBOT PAYMENTが提供するクラウドサービス「請求管理ロボ」は、継続的な請求に強い充実な機能を搭載し、毎月の請求業務を約80%削減できます。請求書業務から紙媒体・エクセル形式をなくし、取引先と請求内容の登録を最初に行えば自動で請求書の発行・送付が可能です。煩雑化しやすい債権管理についても、入金消込の自動化によって未収対策に貢献します。また、会計ソフトとの仕訳連携にも対応しています。さらに、審査において適格債権と判断され、かつ与信通過した債権に限り売掛金を100%保証します。

まとめ

請求金額の誤りが判明したら、迅速に対応することが一番重要です。すぐに相手方に電話をいれて、謝罪をして今後の対応について確認しましょう。また、誤りがあった相手方への振込は、今後は充分注意して対応するのが肝心です。
ROBOT PAYMENTは、サブスクリプションビジネスにおける毎月の継続請求を効率化する請求管理クラウド「請求管理ロボ」を提供しています。請求書の発行だけでなく「入金消込の自動化」「請求書電子化」「未入金改善」など、請求書業務・売掛金管理における課題を解決できます。入金ミスの不安を払拭するためにも、ぜひ一度導入をご検討ください。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
  • 請求管理クラウドサービス「請求管理ロボ」
  • 請求管理ロボ