振込手数料はどちらが負担する?負担をお願いする際の書き方も解説!

請求業務

振込手数料は請求書の発行者が支払うのか、もしくは請求書を受け取った方が支払うのか迷うこともあるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、振込手数料はどちらが負担するか、また振込手数料の負担を依頼する場合の書き方はどうしたらよいのかなど、請求書をベースに振込手数料についてわかりやすく解説します。

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請求書の振込手数料はどちらが負担する?

請求書の振込手数料は、一般的に請求書を受領した支払い側(債務者)が負担することが原則です。ただし、双方で事前に取り決めた契約などがあれば、そちらを優先するケースもあります。
トラブルを防ぐためにも、取引を開始する前に振込手数料を含む金銭の負担を取り決めておき、契約書に明確に記載しておきましょう。

ここでは、振込手数料とは何かや、法的な観点から見た負担の取り扱い、ビジネス上の通例などについて詳しく解説します。

振込手数料とは?

振込手数料とは、銀行などの金融機関で、ある口座から別の口座にお金を振り込む際に発生する費用のことです。この手数料は、金融機関が振り込みのサービスを提供する対価として、口座振込の利用者が支払うものです。
この際、口座振込の利用者にあたる請求書の発行側と受領側の双方で、どちらが振込手数料を負担するのかという問題が生じ、「当方負担」と「先方負担」という2つのパターンに分かれます。

当方負担とは?

振込手数料の「当方負担」とは、請求書を受け取った支払側が手数料を負担することを意味します。
具体的には、請求書に記載された金額に振込手数料を加えた金額を支払側が支払い、請求書の発行側には請求書通りの金額が振り込まれます。
例えば、請求金額が10万円で振込手数料が500円の場合、支払側は10万500円を支払い、発行側には10万円が振り込まれます。

先方負担とは?

振込手数料の「先方負担」とは、請求書を発行した側が手数料を負担することを意味します。
この場合、請求書に記載された金額から振込手数料を差し引いた金額が、実際に発行側に振り込まれます。
例えば、請求金額が10万円で振込手数料が500円の場合、請求書の受取側は10万円を支払いますが、発行側の口座には9万9500円が入金されます。

ただし、後述の通り、法律上の原則や一般的な商習慣では当方負担が基本となることが多いため、先方負担を選択する場合は請求書に「振込手数料は弊社にて負担いたします」と明記するなど、相手に分かりやすく伝えることが大切です。

法律上の負担取り決め

民法第484条および第485条に基づく「持参債務の原則」により、振込手数料は債務者、つまり請求書を受け取った側、すなわち代金を振り込む側が負担することが原則とされています。この「持参債務の原則」とは、契約上の特別な取り決めや特定の物品の引き渡しを除いて、債務者が債権者の住所で弁済を行うべきという法律の原則です。つまり、発注者(債務者)は受注者(債権者)の住所(振込口座)で代金を支払う義務があるということです。

民法第485条によれば、債権者が急な住所移転(振込口座の変更)などにより弁済の費用が増加する場合を除き、原則として「弁済の費用は債務者が負担する」とされています。これは、振込手数料が代金を持参するための費用、すなわち代金支払義務を果たすための経費として認識されるからです。

一方で、送料については、民法第484条が履行地を定めているものの、送料の負担者については明確な規定がありません。実務上は、売買契約の内容や業界の慣行によって負担者が決まることが多く、特にB2B取引では様々な取り決めが存在します。

重要なのは、振込手数料や送料の負担者は民法の原則を特約によって修正できるため、取引当事者間の合意に基づいて自由に定められる点です。そのため、実際のビジネスシーンでは、法律の原則よりも取引慣行や当事者間の合意が優先されることが一般的です。

一般的なビジネスの通例

「持参債務の原則」は法律上の原則ですが、実際のビジネス慣行は業界や取引の性質によって異なります。多くの場合、基本的には振込手数料は支払側(債務者)の負担とされていますが、業界や取引関係によって例外も少なくありません。

通信販売等でよく起こり得るトラブルとして、銀行振込の決済で手数料は注文者負担にもかかわらず、振込手数料を差し引いて支払われている、というケースがあります。その際、原則に基づいて再度請求した結果、注文者とトラブルになるケースもあります。

企業間取引では、このようなトラブルを避けるために、取引を開始する前に振込手数料の負担者をしっかり取り決め、契約書や請求書に明記しておくことが重要です。受注側が了承すれば振込手数料を負担することも可能ですが、一度の金額が少額とはいえ、年単位で考えると相当な金額になる可能性があるため、利益とのバランスを考慮して設定することが望ましいでしょう。

法律の原則を理解した上で、ビジネスにおいては明確な合意を形成することが何よりも重要です。

振込手数料の負担を請求書で依頼する際の書き方・例文

契約上の取り決めがなければ、請求書を受領した支払い側が振込手数料を負担しますが、認識の齟齬を生まないためにもその旨を請求書でしっかり明記する必要があります。

取引先に振込手数料を負担をしてもらう場合は、「恐れ入りますが、振込手数料はお客様の負担でお願いいたします。」「大変恐縮ですが、振込手数料は貴社にてご負担いただくようお願い申し上げます。」というように丁寧な一文を請求書の備考欄などに添えましょう。

<振込手数料の負担に関する請求書の記載例文>

—備考—
【振込先】
○○銀行○○支店 (普通)1234567
口座名義:○○○○○○
【振込手数料】
恐れ入りますが振込手数料はお客様の負担でお願いいたします。
【お支払い期限】
××年××月××日

なお、当社の「請求管理ロボ」では、請求書下部の自由入力欄に手数料案内文を100文字以内で記載いただくことができます。

▼請求管理ロボの請求書における手数料案内文の記載イメージ

振込手数料の負担を請求書以外で依頼する場合のやり方

振込手数料を先方に依頼する際、メール、文書、電話など適切な手段を用いて、マナーを守りながら丁寧に案内する必要があります。
加えて、お客さまがご利用しやすいように、各銀行ごと、窓口やATMによる手数料の違いについてご案内するのも良いでしょう。

もし商品やサービスを販売する際に振込手数料を負担しているのであれば、税理士などの専門家に相談して、年間いくら損をしていることになるか計算してもらいましょう。金額によっては、取引先に振込手数料を負担してもらうよう交渉することをおすすめします。

手数料負担のお願いの例文

メール、文書、電話と案内の方法は違えど、下記の点について言及すると良いでしょう。

1.要件
「振込手数料の負担のお願い」だと明確にわかるように伝えましょう。

2.挨拶
まず、丁寧な挨拶から始めます。相手の名前を正しく述べ、日頃お世話になっている感謝の気持ちを伝えましょう。

3.要望の説明
振込手数料の負担について詳細に説明し、なぜその負担をお願いする必要があるのかを明確に伝えましょう。

4.補足説明や提案
お客さまがご利用しやすいように、各銀行ごと、窓口やATMによる手数料の違いについて案内しましょう。

5.締めくくり
最後に、感謝の意を再度伝え、連絡方法や返答期限を伝えましょう。

● メールでのお願いの方法
メールは手軽で素早く案内できる方法のひとつです。例文は以下のとおりです。

件名:
振込手数料の負担についてのお願い

本文:
[相手の名前]様

お世話になっております。[自分の名前]と申します。
いつもご愛顧いただき、心より感謝申し上げます。

弊社のサービスをご利用いただいているお客様に対し、振込手数料の負担についてご案内させていただきたく、ご連絡致しました。
これまで、振込手数料については弊社が負担してまいりましたが、今後も高品質なサービスを提供するために、振込手数料のご負担をお願いせざるを得ない状況となった次第でございます。

振込手数料の具体的な金額は[金額]となります。
各銀行ごとの窓口やATMの手数料の違いについては、下記をご参考ください。
[簡単な案内文や用意した資料、URLを記載]

お問い合わせやご質問がございましたら、お気軽にご連絡いただければと思います。
お客様には大変ご不便をお掛け致しますが、何卒ご理解とご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

[自分の名前]

 

● 文書でのお願いの方法
文書での依頼は、正式で相手へ畏まった印象を与えることができます。例文は以下の通りです。普段お使いのテンプレート合わせて、カスタマイズすると良いでしょう。

お客様各位

振込手数料の負担についてのお願い

謹啓 貴社ますますご清栄のことと心よりお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

さて、ご利用いただいておりますサービスに関して、振込手数料については当社負担とさせていただいておりましたが、20XX年XX月XX日より振込手数料を下記料金にてお客様にご負担いただきたくお願い申し上げます。
今後も高品質なサービスを提供するために、振込手数料のご負担をお願いせざるを得ない状況となった次第でございます。

弊社と致しましても、今後も引き続き業務の効率化・コスト削減に取り組み、お客様から求められるサービスレベルの維持・向上を図って参りますので、何卒ご理解とご了承賜りますようお願い申し上げます。
ご高覧の上、ご不明な点、ご質問などがございましたら、何なりとお問合せくださいますようお願い申し上げます。

敬具

<振込手数料・税込>

振込先 振込金額 振込手数料
◯◯銀行 3万円未満 110円
3万円以上 330円
上記以外 3万円未満 220円
3万円以上 660円

以上

 

● 電話でのお願いの方法
電話での依頼は、直接コミュニケーションできるため、細く説明も含めた適切な案内が可能です。
スクリプトの例は、以下の通りです。

お世話になっております。[あなたの名前]です。

本日は振込手数料についてお話ししたいことがあり、お電話致しました。
これまで、振込手数料については弊社が負担してまいりましたが、今後も高品質なサービスを提供するために、振込手数料のご負担をお願いせざるを得ない状況となった次第でございます。

振込手数料の具体的な金額は[金額]です。ご同意いただけるようでしたら、別途メールにて詳細をお送り致します。
また、ご不明点やご意見につきましても、忌憚なくお聞かせいただけますと幸いです。

お忙しい中お時間をいただきまして、誠にありがとうございました。引き続きよろしくお願い致します。

振込手数料の負担方針を変更する場合の注意点・マナー

万が一、振込手数料負担に関する方針を変更する場合は、取引先の了承を得なければなりません。そのためには取引先ごとに交渉する必要がありますが、拒否された場合は速やかに引き下がることが重要です。無理にお願いして取引先を失ってしまうことだけは避けましょう。

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※一部サービス提供元の運営記事です/PR
監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。