請求書を分割するのは違法?合法?分割する際のメリットや注意点も紹介

請求書 請求業務

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さまざまなビジネス業界において、請求書の発行は重要な業務です。取引先と自社側、双方の間で取引があったことを証明するものとして発行される書類で、取引先との信頼関係にも影響するため、いざというときは迅速で適切な対処が求められます。

そうした請求書ですが、分割での発行が可能だということをみなさんはご存知でしょうか。請求書を分割することで生じるメリットもありますが、覚えておきたい注意点も存在します。

この記事では、請求書の分割についての基本的な考え方やメリット、合法・違法となるケースなどについて解説していきます。ぜひご参考にしてください。

請求書を分割するのは違法?合法?

請求書を分割して発行すると、どのように扱われるのでしょうか。合法になる場合と違法となるケースについて、それぞれ解説します。

合意があれば分割可能

請求書の分割は取引先との合意があれば可能であり、違法行為ではありません。ただし、請求書の分割が必要かどうかは取引先によって異なるため、事前に確認が必要です。

例えば、企業によっては部署や部門別に請求書を分割する場合もあります。また、全国に複数の支店がある企業の場合で考えてみると、東京支店や神奈川支店といったように支店別に請求書を発行するようなケースも少なくないはずです。

このように、双方の合意があれば分割は可能となる請求書ですが、いくつか気をつけたいポイントもあります。

まず、請求書を分割する際には、分割した請求書の合計金額が本来の請求金額と一致しているかどうかを確認する必要があります。請求金額が一致していないと、脱税といった問題につながりかねないからです。

次に、請求書を分割する際には、分割した請求書ごとに「正確な商品名」「数量」「単価」「取引金額」などを記載するようにしましょう。これらを明確に記入することで、何の商品・サービスに関する請求書なのかがクリアになり、双方にとっても確認がとりやすくなります。

最後に、分割した請求書ごとに発行日や納期を忘れずに記載しましょう。発行日や納期が記載されていないと、処理が遅れる恐れがあります。また、請求書に記載されている情報にミスがあれば、トラブルに発展する可能性も否定できません。今後も相手先とスムーズな取引を希望されるならば、請求書の発行は何度も確認をしながら慎重に行うことが大切です。

以上、これらのポイントに注意しつつ、記載内容にミスや漏れがないよう十分気をつけるようにしましょう。

違法になるケースもある

基本的に取引先との合意があれば請求書の分割は可能ですが、なかには違法となるケースもあります。

具体例を挙げるならば、請求書の備考欄に「一括支払いが条件」と明記されている場合です。

違法と判断された場合に発生する損害としては、支払いの拒否や法的責任を負うことなどが想定されます。そのため、請求書を分割して発行する際には今一度、請求書に記載されている内容が分割しても問題ないものかどうかよく確認しましょう。

請求書を分割して発行するメリット

次に、請求書を分割して発行した場合においてどういったメリットがあるのか、代表的なメリットを2点お伝えします。

支払い負担の軽減

まず1つ目としては、支払いの負担が軽減できます。

もし、請求額を一度に支払うことが難しい場合、請求書を分割することで複数回に分けて支払いができます。つまり、1回あたりの支払い負担が軽くなるのです。

例えば、5万円の請求を2回に分けて支払うケースで考えてみましょう。1回の支払い金額は2万5,000円になります。一括で5万円を支払うよりも、支払い負担が大きく軽減されることが分かります。

利便性の向上

2つ目は、商品やサービスなどを購入した取引先の利便性が向上するという点です。

請求書を分割することで、支払い期日を分散させることができます。これにより、取引先は大きな金額を同日に一括で支払う必要がなくなるのです。また、支払い期日を分散させることで、取引先は資金繰りの計画を立てやすくなり、キャッシュフローの改善にもつながります。

領収書の分割が違法になる2つのケース

続いて、請求書と混同しやすい領収書の分割についてお話しましょう。実は請求書同様、領収書の扱いにも注意が必要です。領収書は金銭を支払ったという事実を証明するための書類で、こちらも分割は可能ですが、以下のケースでは違法として扱われてしまいます。スムーズに業務を行うためにも事例を確認しておきましょう。

固定資産を購入するケース

固定資産となるものを購入する場合は、領収書の分割は認められません。なお、固定資産とは1品の金額が10万円を超えるものが該当します。

例えばオフィスであれば、パソコンや大型のディスプレイなどが10万円を超える可能性があるでしょう。業務に用いられる機械装置、備品、建物などの固定資産は「減価償却資産」になり、耐用年数に応じて減価償却することが定められているため、領収書の分割は行えないのです。

仮にもし、金額が10万円以上の品物の領収書を分割してしまうと、脱税とみなされ違法行為として扱われる恐れもあります。例えば、16万円のノートパソコンを購入し、8万円の領収書を2枚作成させるといったケースは要注意です。

固定資産に該当する金額の品物には、領収書の分割は行わないように気をつけましょう。

接待交際費を分割するケース

接待交際費の領収書を分割するケースも脱税と見なされる恐れがあります。

多くの企業では取引先との会食費の上限を5,000円と設定しています。理由としては5,000円以下の飲食に関しては、接待交際費ではなく「飲食費」として全額を経費計上できるためです。

もし、飲食代の金額が1人あたり5,000円を超える場合には、すべての金額が接待交際費に該当します。超過した金額だけが接待交際費に該当するわけではないため、注意しなければなりません。接待交際費として本来扱わなければならない金額を分割して経費で計上してしまうと、脱税行為とみなされる可能性があるため気をつけましょう。

分割請求書のトラブルを回避するには

分割した請求書に関連するトラブルの発生も散見されます。問題を回避してスムーズに分割請求書の処理を行うにはどうすれば良いのでしょうか。特に意識したいポイントについて、2つお伝えします。

請求書に条件を明記する

分割請求書を発行する場合、主に次の条件を明記する必要があります。

● 分割回数
● 各分割の金額
● 各分割の支払期日
● 遅延料の金額
● 請求書に署名した人の連絡先情報

請求書にこれらの条件を明記すれば、おおむね請求書通りに、取引先が期日に従って代金を支払うことが期待できます。なお、代金の支払方法としては現金か銀行振込が一般的ですが、手形や小切手で支払う方法もあります。

また、支払期日については「請求後30日以内」というように、明確な期限を設定して記載します。

銀行振込の場合においては、どちらが手数料を負担するかも明示しておきましょう。通常、手数料は支払う側の負担というのが原則ですが、支払う側が振込手数料を差し引いて銀行振込みを行うケースも少なくありません。トラブルを回避するためにも、手数料の負担については双方の間であらかじめ取り決めておくことが大切です。

社内規定や法律をよく確認する

分割請求書を発行する際には、必ず事前に社内規定や法律を確認しましょう。

社内規定や法律には、分割請求書に関する規定が記載されている場合があります。社内規定や法律を事前に確認することで、分割請求書を発行すること自体が違法行為にあたらないかどうかを確認できます。違法行為に該当するかといった考え方やルールをチェックできれば、不要なトラブルを回避することも可能でしょう。

また、社内規定や法律を知ることによって、請求書の発行方法や請求書の管理も適切に行うことができます。なお、社内規定や法律を確認する際に不安があるようであれば、弁護士に相談すると安心でしょう。弁護士は法律のプロフェッショナルなので、分割請求書を発行する際の注意点を分かりやすく教えてくれます。

分割払い請求書の作成方法

では、実際に分割払い請求書を作成するにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、分割払い請求書の構成や具体的な作成方法について解説します。

分割払い請求書の基本項目

分割払い請求書に記載すべき基本の項目は、以下の通りです。

・宛名
・発行日
・管理番号(請求書番号)
・請求者の情報
・請求金額
・取引内容(商品やサービスの詳細)
・支払期限
・振込先

各項目の内容や書き方について、詳しくは以下をご確認ください。
「請求書の書き方とは?記載事項や注意点を分かりやすく解説!」

分割払い請求書では、「何分割払いの、現在の何回目の支払いのものであるか」「今回の取引合計請求額はいくらか」といった情報を分かりやすく載せることが基本となります。取引先とトラブルにならないよう、とにかく内容の把握がしやすいよう工夫することが大切です。もし手元に手本となるような分割払いの請求書があれば、そちらを参考にするのも良いでしょう。

分割払い請求書の作成において、最も重要なポイントは、実は「取引先からの要望」です。目的である入金をスムーズに行ってもらうためにも、相手先への配慮は不可欠といえます。取引相手の締め日や支払い日に合わせた請求書発行日に設定し、気配りを忘れないようにしましょう。

分割払いの表示方法

分割払いの表示方法にも、特に決められた方法はありません。よって、取引先と双方が納得できる分かりやすい内容で記載しましょう。特に「納品したと認識するタイミング」といった部分においては、依頼主である取引先と認識を合わせておくことが大切です。

そのためには、受注を受ける際、なるべく具体的な内容に基づいて契約書を交わしておくことをおすすめします。契約書の中に分割払いについて記載しておくと、後日発行する分割払い請求書がスムーズに作成できるうえに、今後のさまざまなトラブルの回避にもつながるでしょう。

分割払い請求書の注意点

分割払い請求書にはいくつかの注意点があります。代表的な3点について、それぞれ見ていきましょう。

● 分割回数分の請求書を作成する
分割払い請求書は通常の請求書と同様に、支払月の請求ごとの作成が基本です。
1つの商品やサービスに対しての請求でも、複数回に分けて支払う場合には分割回数分の請求書を作成しなければなりません。

● 忘れずに2回目以降の請求書も送付する
2回目以降の支払月にも忘れずに請求書を送りましょう。請求書を送付しないと支払が実施されない恐れもあります。取引先の担当者から請求書を要求されるケースもあるため、忘れないようスケジュールに入れるなどして、必ず請求書を発行しましょう。

ただし、取引先から請求書は初回のみの発行だけで問題ないと約束をしている場合には、2回目以降の送付は必要ありません。

● 取引先と十分に話し合いを実施する
受注する前に取引先としっかりと話し合いを実施しましょう。話し合いで確認した内容を考慮したうえで、分割払い請求書を作成することが重要です。

基本的な項目はもちろん、特に重要となる「分割回数」「金額」「支払期日」「支払期限」なども、ミスや漏れなくすべて正確に記載しましょう。

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まとめ

請求書は、取引があったことを証明するものとして発行される書類で、スムーズに業務を進めるためには欠かせないものの一つです。基本的に双方の合意があれば請求書の分割は可能で、取引先の負担軽減や利便性向上といったメリットがあります。

ただし、請求書を分割するうえでの考え方を正しく把握していないと、違法になる恐れもあるため注意しましょう。例えば、請求金額が一致していないなどといったミスが生じてしまうと、脱税といった問題にもつながりかねません。記載内容にミスや漏れがないよう、十分確認を行ったうえで慎重に作成することが大切です。

請求書の発行において分割という手段もあることを認識しつつ、商品やサービスの販売元と取引先の双方にとって最適な方法を選択しましょう。
なお、請求書関連の業務でお困りの際には、ぜひ一度「請求管理ロボ」の導入をご検討ください。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
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