電子帳簿保存法改正で紙の領収書の保存は不要に?事前に準備すべきことは?

請求書 請求業務

Facebook にシェア
Pocket

DX推進の広がりもあり、多くの企業ではデジタル化が進められています。今まで紙ベースで対応していた仕事がデジタルに置き換わる企業が増えているのです。仕事の進め方が大きく変わったという方も少なくないのではないでしょうか。そうした世の中の変化に対応するため、関連する法律である電子帳簿保存法では改正が行われました。

それでは具体的にどういった変化が加えられたのでしょうか。そこでこの記事では電子帳簿保存法の改正内容について、電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引に分けて詳しく解説します。具体的なメリットや注意点についてもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。

【無料EBOOK】 請求管理サービス7社を徹底比較!導入する際のポイントなども解説

電子帳簿保存法の改正で領収書の原本保管が不要に

電子帳簿保存法は税務関係の帳簿書類のデータ保存を可能とする法律です。同法に基づく各種制度を利用することで経理業務のデジタル化が図れます。この電子帳簿保存法ですが改正が実施され、2022年4月1日より施行されました。電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引の電子保存において行われた改正内容をそれぞれ解説します。

電子帳簿等保存に関する改正

● 事前承認制度が廃止された
国税関係帳簿を作成してデジタル保存する場合、事前承認はいらなくなりました。なお、国税関係書類の場合についても同様に扱われます。

● 優良な電子帳簿に関わる軽減措置が整備されまた
優良な電子帳簿に関わる過少申告加算税が5%軽減される措置が整備されました。ただし、申告漏れについて隠蔽や偽装されている場合は対象外です。

● 条件を満たす電子帳簿もデジタル保存が可能になった
ただし、正規の簿記の原則に沿って記録されるものに限られます。

スキャナ保存に関する改正

● 事前承認制度が廃止された

● タイムスタンプや検索に関連する要件が見直された

1:タイムスタンプを付与する場合の期間が、最長で約2か月と7営業日以内へと延長されました。

2:受領者などがスキャナで読み取る際の国税関係書類への自署がいらなくなりました。

3:デジタル化された記録の訂正や削除を行った場合、内容閲覧が可能なクラウドなどにおいて入力期間内にそのデジタル保存を確認できる際は、タイムスタンプの付与に代えられるようになりました。訂正や削除を行えないクラウドなども含まれます。

4:検索要件の記録項目が取引年月日・取引金額・取引先に限定されるようになりました。加えて、税務職員によるデジタルデータのダウンロード要求に対応できるケースでは、検索要件が緩和されました。

● 適正事務処理要件が廃止された

● スキャナ保存の不正に対する措置が整備された
スキャナ保存が行われた国税関係書類などのデジタルデータで隠蔽や偽装された場合、生じた申告漏れなどに重加算税が10%課されるように変更されました。

電子取引の電子保存に関する改正

● タイムスタンプや検索に関連する要件が見直された

1:タイムスタンプを付与する場合の期間が、最長で約2か月と7営業日以内へと延長されました。

2:検索要件の記録項目が取引年月日・取引金額・取引先に限定されるようになりました。加えて、税務職員によるデジタルデータのダウンロード要求に対応できるケースでは、検索要件が緩和されました。

3:基準期間の売上高が1,000万円以下である方について、税務職員によるデジタルデータのダウンロード要求に応じる場合には検索要件のすべてがいらなくなりました。

● 適正な保存を実施するために見直しが行われた

1:法人税や申告所得税における電子取で生じたデータについて、出力書面などの保存をもって該当のデジタル保存に代えられる措置は廃止されました。ただし、消費税における電子取引のデジタルデータについては出力書面による保存を行えます。

2:電子取引の取引情報に関わるデジタルデータに関して隠蔽や偽装された事実があった場合には、生じた申告漏れなどに重加算税が10%課されるように変更されました。

電子帳簿保存法の3つの区分

電子帳簿保存法の3つの区分である、電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存について解説します。それぞれの定義を正しく理解して、企業のデジタル化を進めましょう。

①電子帳簿等保存

電子帳簿等保存とは電子的に作成した書類を、データのまま保存することを指します。自己がコンピュータを使用して作成する帳簿や決算関係書類が対象で、具体例としては以下の通りです。

● 仕訳帳
● 総勘定元帳
● 経費帳
● 売上帳
● 仕入帳
● 損益計算書
● 貸借対照表

加えて、見積書・請求書・納品書・領収書などの控えも対象です。

②スキャナ保存

スキャナ保存とは保存義務のある紙の書類を、紙のままではなくスキャナで読み取った電子データの形式で保存することを指します。取引相手から受け取った書類や、自己作成して取引相手に交付する書類の写しがスキャナ保存の対象です。スキャナ保存が認められている代表的な書類は以下の通りです。

● 領収書
● 請求書
● 見積書
● 契約書
● 注文書
● レシート
● 契約の申込書
● 納品書
● 検収書

スキャナ保存の開始に特別な手続きは原則必要ありません。ただし、スキャナは解像度200dpi以上でカラー画像による読み取りができるという要件を満たす必要があります。

③電子取引データ保存

電子取引データ保存とは電子的にやりとりした取引情報を一定の要件を満たした形で保存することです。対象となる電子データは請求書や領収書など、紙でやりとりしていた場合に保存が必要な情報が含まれる電子データです。電子取引データ保存の方法の要件は以下の通りです。

● 改ざん防止のための措置をとる
● 日付・金額・取引先で検索できるようにする
● ディスプレイ・プリンタなどを備え付ける

また、情報を受け取った場合だけでなく、送った場合についても保存が必要なため注意しましょう。

領収書を電子化するメリット

それでは、領収書などの書類を電子化するとどのようなメリットがあるでしょうか。
ここでは代表的な4つのメリットについてそれぞれ解説します。

経費精算業務の負担軽減

領収書が電子化されると経費精算業務が容易になります。紙ベースによる経費精算に関連する業務は従業員や経理担当者にとって負担の大きな作業です。従業員は領収書だけでなく申請書類を作成して提出しなければなりません。経理担当者は受け取った領収書と申請書類を精査して、ファイリングを行って保管しなければならないのです。

そうした際に電子化を実現すれば、領収書をスマートフォンなどで撮影してアップロードするだけなので経費申請が容易です。さらに、ITツールなどの精算フォームを活用すれば入力ミスもすぐに分かるので、経理担当者が申請書類を差し戻すケースも大幅に削減できます。

管理コストの削減

管理コストの削減も領収書の電子化によって実現できます。領収書は法人税法に基づいて7年間は管理して保存しなければなりません。7年という期間は長いため、管理に不備があると領収書の劣化といった事態も生じてしまいます。領収書の問題発生は税務上のトラブルにつながる恐れもあるため、管理コストもそれなりに必要となるのです。

こうした領収書の保管コストの問題ですが、電子化すればスマートに対処できます。領収書を電子データとして管理すれば、紙のように保管スペースは必要ないため余計なコストがかかりません。ハードディスクなどにコンパクトに情報を保存できるので、管理が簡単なうえに劣化してしまう心配もないのです。

紛失や改ざんリスクの防止

領収書を電子化すれば紛失や改ざんといったリスクも防止できます。紙ベースで領収書を管理するとコストも手間がかかるとお伝えしましたが、紛失や改ざんといったトラブルの発生も考えられるのです。従業員の出入りがあったり保管している領収書を持ち出したりすれば、紛失のリスクは高まります。さらに、悪意を持った方による改ざんの発生といった問題が発生してしまう恐れも軽視できません。

そのようなリスクも領収書を電子化すれば軽減できます。まず、データとして扱えるのでバックアップを簡単に行えるため、万一の紛失時でも復旧作業は簡単です。持ち運びによる紛失リスクもなくなるので、安心して領収書を閲覧できます。加えて、タイムスタンプの付与や会計システムを活用すれば改ざんを予防することが可能です。

検索作業の効率化

保管している領収書に関する情報の検索作業も、電子化すれば効率化できます。紙で領収書を管理していると、特定の資料を探し出すことは大変です。領収書の数が増えれば、検索作業だけで多くの時間を使ってしまうケースも珍しくありません。ラベリングやファイリングを工夫すれば改善は期待されますが、準備の手間を考えると効率的な手法とは言えないのです。

そうした際に領収書が電子化されていれば、情報をデータとして扱えるのでパソコンで瞬時に検索を行えます。探している領収書の日付や項目が分かれば、手間をかけずに見つけ出すことができるのです。もし、内部監査などで特定の領収書が必要になっても、即座に対応できるので電子データをメール送信するだけで済みます。

電子帳簿保存法における注意点


電子帳簿保存法における3つの注意点について解説します。注意点にも配慮できるように企業のデジタル化の準備を進めましょう。

検索要件に対応する

検索要件に対応するためには、電子データで保存するファイル名を工夫しましょう。例えば、日付・取引先・金額を記載しておくと簡単で分かりやすいです。「領収書_202301030_A企業_2500円」などといったファイル名が該当します。また、日付・取引先・金額と電子データが紐づけられる索引簿をエクセルなどで作成すれば、検索要件を満たすことが可能です。

使用するクラウドサービスの選び方

電子帳簿保存法に対応するためにはクラウドサービスを活用することができます。ポイントとしてはJIIMA認証を受けているクラウドサービスを選ぶことが重要です。JIIMA認証とは電子帳簿保存法の要件を満たしているサービスに付与される認証です。認証を受けたサービスにはパッケージや公式サイトなどにJIIMAの認証ロゴの使用が認められているため、チェックするようにしましょう。

加えて、既存のシステムがある場合には、連携できるどうかも重要なポイントです。電子データ化したい領収書などの書類を把握して、必要となるシステムの種類を事前に確認しておきましょう。

社内規程の整備

電子帳簿保存法の改正でさまざまな要件が緩和されました。しかし、改ざんや不正利用などのリスクが高まったことには注意が必要です。そうした不正に対応するため重加算税の加重措置が設けられたことはお伝えした通りです。企業としても一定の社内規程を設けて対応する姿勢が求められます。例えば、以下のような規定の整備が推奨されます。

● 電子帳簿等保存のための経理規程
● スキャナ保存のための電子化保存規程
● 電子取引データ保存のための事務処理規程

こうした社内規程を整えられれば電子保存に関わるあり方や、規範としての社内ルールを従業員に示すことができます。

電子帳簿保存法に対応するなら「請求管理ロボ」がおすすめ!

電子帳簿保存法に対応するなら「請求管理ロボ」をぜひご活用ください。請求管理ロボは毎月の請求業務の工数を大幅に削減可能なクラウドサービスです。手間のかかる請求書の発行送付入金消込といった作業から解放され業務効率化を実現します。さらに、自動集金の仕組み化と迅速な入金催促を行えるので回収率の向上も期待できるのです。

もちろん、電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応しています。請求管理ロボは定期的なアップデートが実施されるので、使用する機能は常に最新です。改正に際して面倒な手間は発生しないので、安心して法令に準拠した請求管理を行えます。ぜひ、請求管理ロボを導入して手作業による業務から卒業しましょう。

まとめ

電子帳簿保存法が改正され、企業の経理業務のデジタル化が促進されています。デジタル化には業務効率化やコスト削減、DX推進への対応などさまざまなメリットがあります。しかし、電子帳簿保存法の内容を正しく理解してデジタル化を進めていかないと、法令違反などの問題が発生してしまうかもしれません。

そうした思わぬトラブルの発生を未然に防ぐためにも、社内規程を整備したり適切なサービスを導入したりしましょう。電子帳簿保存法に対応している請求管理ロボであれば、安心して企業のデジタル化を進められます。請求管理ロボをフル活用して、企業の課題を解決してみてはいかがでしょうか。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
  • 請求書の作成から発行まで自動化「請求管理ロボ」
  • 請求管理ロボ