アウトソーシングと派遣の違いは?それぞれのメリット・デメリットを紹介!

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自社ですべての業務をまかない切れない場合には、業務を外部の人間に委託するのが有効な手段となります。選択肢は大きく分けて「アウトソーシング」と「派遣」の2パターンと言えるでしょう。

この2つには明確な違いが存在しており、利用方法を誤ると余計なコストや業務が発生してしまう恐れがあります。今回はアウトソーシングと派遣の違いや、それぞれのメリット・デメリットついて詳しく見ていきましょう。

アウトソーシングとは

アウトソーシングは日本語に訳すと「外部委託」となり、業務上必要となるビジネスプロセスを社外の「専門業者」に託す事です。契約形式としては「サービスを購入する」という定義付けになります。アウトソーシングの契約は「業務委託契約」として結ばれ、契約内容には「業務提供範囲」「提供期日」「契約違反が発生した場合の補償」などが含まれている事を覚えておきましょう。

アウトソーシングする企業が増えている?

現代ビジネスシーンではアウトソーシングを利用して業務拡大や効率化を図る企業が増えていると言われています。その背景には、経営を多角化して幅広く事業を手がける企業が多くなっているという事が挙げられるでしょう。企業が幅広い分野への事業参入を行いたいとしても、社内で確保出来る人材には限りがあります。これは単純な社員数に限らず、展開したい事業分野のスキルを持った社員が足りないという点でも同様です。

こうした状況下において限られた社員で業務を効率的に行い、かつ品質の高いサービスを提供し続けるためにはアウトソーシングのようなサービスを導入するのが有効な手段になると言えるでしょう。そのため、アウトソーシングを請負う企業は特定分野の専門性に特化している傾向が強いのです。

アウトソーシングの種類

ひとくちにアウトソーシングといっても、実は大きく3つの種類に分ける事が出来ます。ここではそれぞれのアウトソーシングについて詳しく見ておきましょう。

<BPO>
BPOとは「ビジネス・プロセス・アウトソーシング」の頭文字を取った略称であり、社内で構築されている「一連の業務プロセス」を外部の企業に委託する方法の事を言います。元来、自社が強みを持つ業務や基幹を成す重要な作業は自社内で行い、その他の業務をアウトソーシングするというスタイルが一般的でした。しかしBPOでは事業のメイン業務を含めた一連の業務を丸ごと委託する事が可能なのです。

例えば経理や人事といった特定の部署を社内に設けずに、業務を部署単位でアウトソーシングするといった方法がBPOにあたります。コストの大幅削減や委託する業務プロセスの最適化、社内の限りある経営資源を有効活用など多くのメリットが期待出来るでしょう。

<シェアードサービス>
企業規模が大きくなって部署や子会社が増えてくると、これらの業務プロセスや経営状況を正確に管理する事が大きな負担となってきます。そんな場合に経営のスリム化を目的として導入されるのが「シェアードサービス」と呼ばれるアウトソーシング方式です。社内やグループ企業にそれぞれ存在するコーポレート機能をシェアードサービスセンターの集中させて標準化する事により、コストの削減・業務効率化・サービス品質の向上といった効果が期待出来ます。

シェアードサービスの対象になるのは主に「財務・経理」「総務・人事」「情報システム」「物流」「法務・監査」といったいわゆる間接業務です。BPOでも同様のアウトソーシングは可能ですが、委託先がグループ企業の場合はシェアードサービス、外部企業に委託する場合はBPOになるという事も覚えておきましょう。

<クラウドソーシング>
IT化や働き方改革が進んだ現代社会で台頭しているのが「クラウドソーシング」という方法です。クラウドソーシングではインターネットを活用して「不特定多数」の人間に業務を委託するというのが大きな特徴になります。従来のアウトソーシングでは委託先との契約や業務引き継ぎなどである程度の手間隙が必要です。一方でクラウドソーシングとして委託する場合は、クラウドソーシングサイトに登録しているクリエイターやエンジニアに対して案件が公募・紹介されるという形になります。

これによりBPOやシェアードサービスに比べて委託費用を低予算に抑える事が可能となり、スピーディに委託を進められるのです。ただし、クラウドサービスでは顔の見えない個人への業務委託が前提となっています。自社が求める業務クオリティに達していない、納期が守られないなどのトラブルが発生しやすい方法でもあるので注意が必要です。

派遣とは

アルバイトや正社員といった雇用形態では契約先と実際の職場が同一になりますが、「派遣」では人材派遣会社と雇用契約を結び派遣先で仕事をするという点が大きな特徴です。給与や福利厚生といった待遇は人材派遣会社から、実際の仕事の指示は派遣先現場で担当者から受ける事になります。一般的に派遣としての契約期間上限は3年間とされているので注意しておきましょう。なお、派遣にも登録型派遣・常用型派遣を含む一時的な人員確保を主な目的とした「一般労働者派遣事業」と、派遣先での社員登用を予定した「紹介予定派遣」の2種類があります。

アウトソーシングと派遣の違いは?

派遣(人材派遣)とアウトソーシングは「外部の人間に業務を委託する」という点ではある意味同じですが、明確な違いが存在しているのでしっかり把握しておく事が重要です。例えば派遣では自社内の部署で人手が足りない場合に、自社と直接契約を結んでいない人材を1人もしくは数人単位で送ってもらうというのが一般的となります。これに対してアウトソーシングは業務自体を委託する事になるので、委託された業務は委託先のスタッフがすべてのプロセスを請け負うのです。

人員確保に急を要する場合には、人材派遣の利用が適していると言えるでしょう。派遣では業務引き継ぎや契約のプロセスがアウトソーシングよりもスピーディに行えます。また、契約期間や就労時間も柔軟なプランが用意されているので、年に数回人手が必要になる業務の際や繁忙期にピンポイントで人材を派遣してもらえるというのも大きなメリットです。業務内容を外部に委託しにくく、なおかつ必要となる人手が1名以下という場合にも人材派遣の利用が有効になるでしょう。

派遣は社内でイレギュラーな業務が多い企業で利用される傾向が高いです。なお、派遣されたスタッフは当然自社の仕事や事情に精通しているという訳ではありません。派遣スタッフに対する指示は管理者・担当者が適切に行う必要があるので十分に留意しておきましょう。

一方、アウトソーシングは同じような作業が続く定型的な業務が大量にある企業が利用するのに向いているサービスであると言えます。特定の業務が定期的に発生するといった場合にもアウトソーシングが有効な手段です。基本的には業務を外に出しても問題ない場合に用いるのが有用ですが、外に出しにくい業務でも複数人で担当していて社内負担が大きいケースではアウトソ-シングの活用を視野に入れてみましょう。

また、アウトソーシングでは社内で業務を行わなくなるため、自社で特定業務のノウハウを蓄積出来なくなります。経営上、委託する業務のノウハウを自社で蓄える必要があるかどうかはしっかり見極める事が重要です。そもそも自社で業務を遂行するノウハウや施設が無いという場合にはアウトソーシングが活躍します。

アウトソーシングのメリット

自社の業務を大きく外部を出す事になるアウトソーシングですが、サービスを利用する前には特徴を押さえておく必要があります。まずはアウトソーシングのメリットについて深く掘り下げてみましょう。

<専門的なノウハウを活用できる>
アウトソーシングの大きな特徴は業務を外部の「専門業者」に委託出来るという点にあります。そのため、自社内で特定業務のノウハウや専用設備が用意出来ない場合でも、すべての業務プロセスを任せる事が出来るのです。なお、特殊性の低いルーティン業務のような作業を委託する場合でもアウトソーシングは有効と言えます。

例えば業務内容によっては法律の改正や制度の変更などによって、業務フローを見直す必要性が出てくるでしょう。毎日行うような仕事の変化は社内で混乱を招く可能性もあります。しかしこうした業務を専門業者にアウトソーシングしておけば、自社での手間隙や混乱を避ける事が出来るのです。委託先では常に業務フローが最適化されているので、結果として社内業務と委託業務の双方で高い品質が保てます。

<自社の業務に集中できる>
決められた手順で単純な作業を行う頻度が高いと、社内での生産性は低下してしまう恐れがあります。こうした業務の多くをアウトソーシングしておけば自社スタッフは定型業務から解放されるので、より一層経営的・生産的な業務に集中する事が出来るのです。

また、アウトソーシングは完全な業務委託となるため、定期的な業務報告以外ではほとんど委託先スタッフ連絡を取る必要がありません。自社の管理者・担当者によるチェックや指導も基本的に必要としないので、管理職スタッフの負担が軽減出来るというメリットもあります。

<コスト削減できる>
アウトソーシングを請け負う企業のほとんどが、特定分野の業務についての専門的な設備やノウハウを保持しています。そのため、特定業務における効率的な作業が可能です。自社内の限られた人材・設備でやりくりするよりも時間・人手・費用などのコストを抑えられるという点はアウトソーシングの魅力と言って良いでしょう。

また、アウトソーシングでは基本的に「成果物」に対して料金を支払う事になるので人件費が発生しません。自社でスタッフを雇用する際に必要となる社会保険料の削減など、アウトソーシングは経理的にも有利に働く側面があります。

アウトソーシングのデメリット

導入によって多くのメリットが期待出来るアウトソーシングですが、その反面で懸念されるデメリットが存在するのも事実です。予期せぬトラブルを回避するためにもここでしっかりデメリットについても理解を深めておきましょう。

<社内の機密情報を社外に共有する必要がある>
アウトソーシングでは委託する業務内容によって様々な社内情報を委託先企業と共有する必要が出て来ます。その中には顧客や社員の個人情報といったものも含まれているのです。当然アウトソーシング企業側でも情報セキュリティ対策は行われているものですが、情報の扱い方やルールが自社と同等であるとは限りません。アウトソーシングそのものが機密情報の漏洩に直結する事は考えにくいですが、トラブルを未然に防ぐには情報の扱いについて委託先と意識をすり合わせておく事が大切になるでしょう。

<業務のノウハウが蓄積されない>
アウトソーシングは社内負担を軽減し、業務効率化や生産性の向上が期待出来る方法です。しかしその一方で、言い方を変えれば特定の業務を外部に「丸投げ」するという事にもなります。委託した業務に関してはアウトソーシング企業がすべてのプロセスを行うため、自社スタッフが関わる事が出来なくなります。

そのため、委託した業務に関するノウハウや知識・スキルを身に付けた社員を教育するという事が難しいというデメリットが生じるのです。ノウハウを共有するためには、委託先の担当者とのミーティングやプロセス確認の場を設けるといった工夫が必要になるでしょう。

<結局コストがかさんでしまう>
アウトソーシングのメリットのひとつには「コストの削減」という事が挙げられますが、実はやり方を間違えると結局余計なコストがかさんでしまう可能性もあるので注意が必要です。例えば自社で行っていたある業務をアウトソーシングすると、委託された業務はこれまでの社内ルールに関わらず委託先で標準化されたプロセスで行われる事になります。そのため、自社独自のやり方や納期・仕様変更などイレギュラーなケースには対応しにくいというデメリットがあるのです。

また、アウトソーシングを請け負う側としてはある程度まとまった業務を請け負わなければ効率的に収入を得る事が出来ません。担当者1名で事足りるような業務単体に関しては、アウトソーシングを受け付けてもらえない可能性が高いので注意しておきましょう。アウトソーシングでは柔軟な対応が難しくなるため、自社・委託先ともにやりにくさを感じたり業務指示が煩雑になったりする可能性もあります。こうなると時間や人手に余計なコストが必要になってしまうので、委託内容については慎重に検討する事が大切です。”

派遣のメリット

比較的小規模な取り組みになる事が多い派遣にも様々なメリットが期待出来ます。アウトソーシングとの使い分けが正しく出来るように派遣のメリットについても詳しく見ておきましょう。

<人員の調整がしやすい>
派遣のメリットはそのフレキシブルさにあります。必要なスキルを持った人材を、必要な人数で、必要な期間だけ派遣してもらえるというのが派遣の大きな魅力なのです。産休や退職によって発生した突発的な人手不足や育児休暇にも素早く対応する事が出来ます。また、大きなプロジェクトが終わるまで一時的に人手が欲しいといったケースでも、人材派遣を利用する事で効率的に体制を整えられるでしょう。

<人件費を抑えられる>
人材派遣の利用には人件費を削減するという効果も期待出来ます。自社で正社員を雇用する場合には給与の他にも昇給やボーナス・社会保険料・退職金・交通費・福利厚生費など多くの人件費が必要です。一方で派遣スタッフに支払う費用は時給(もしくは日給)のみというのが一般的となっています。また、派遣スタッフは基本的に人材派遣会社が即戦力の人材を選定して派遣してくれるので、自社での採用・研修・教育といったコストが必要なくなるのです。

<スキルや経験を社内に蓄積できる>
派遣スタッフの中には自社内にないスキル・ノウハウを備えた人材がいる場合もあります。こうしたスタッフに情報・ノウハウを共有してもらえれば、社内に新たなスキルや経験を蓄積する事が出来るのです。有能な派遣人材は業務効率化や生産性の向上のみならず、社内スタッフの教育にも良い影響をもたらしてくれる可能性があります。外部の人間から見た客観的な意見も聞けるので、改めて社内の改善点を見直すきっかけにもなるでしょう。

派遣のデメリット

人材派遣にも多くのメリットが期待出来ますが、外部の人間を自社に招く事による懸念事項も忘れてはいけません。人材派遣を利用する事で考えられるデメリットは以下の通りです。

<いくら育てても自社の社員にならない>
派遣スタッフがどれだけ有能であるとしても、自社の仕事や雰囲気に慣れるまでにはある程度時間がかかる事が予想されます。そのため、最低限の指導や説明を行う育成コストが必要になる点には注意しておきましょう。

また、スキルのある派遣スタッフが業務をこなしてくれる事で現場には即戦力が入りますが、逆に言えば派遣スタッフがその業務をこなしているうちは自社の正社員の成長が滞ってしまう可能性が高いです。派遣スタッフに業務を任せている期間に効率的な社員教育を行えるかどうかがポイントになるでしょう。派遣スタッフはどれだけ社内で育てたとしても、契約期間が終了すれば辞めてしまうのです。

<帰属意識が低い>
派遣スタッフの中には派遣先企業への帰属意識が低いという人も少なくありません。これはスタッフとして派遣先企業に従事する期間が限られており、なおかつ比較的期間が短いという事に起因します。派遣スタッフが自社の正社員と上手くコミュニケーション・交流が出来ないというケースも多く、場合によっては業務に支障が出てしまう事も考えられるでしょう。定期的なミーティングや積極的なコミュニケーションで派遣スタッフとの接点を増やすといった工夫が重要です。

<業種・業務によっては活用できない場合も>
フレキシブルに人手を確保する事が出来る人材派遣ですが、すべての業種・業務で利用出来るという訳ではありません。例えば責任の重い建築関連や信用度が重要視される警備業務では、人材派遣サービスが利用出来ません。派遣スタッフの中には扶養控除や本業との兼ね合いで労働時間が限られている人も多いです。

そのため、突発的な残業や出勤に対応してもらえないという可能性もあります。また、企業と派遣スタッフは基本的にほとんど面識がない状態なので、企業はその派遣スタッフがどんな人間であるかを正確に判断する事が出来ません。予めスキルシートなどで能力を知る事は可能ですが、実際の現場でどれほど通用するかは未知数と言えるでしょう。性格的な側面でも不明瞭な点が多いので、業務内容によっては派遣スタッフに任せる事が難しい事もあるのです。

アウトソーシングと派遣は一長一短、適切に使い分ける事が大切

一連の業務を外部に委託するアウトソーシングと外部スタッフを社内に入れる人材派遣では、それぞれメリットやデメリットが異なります。一概にどちらが優れているという訳ではなく、自社の事情に合わせて適切なサービスを選択する事が重要なのです。多角的に事業を展開する企業にとって、アウトソーシングや人材派遣は最早一般的な手段になっています。必要であればこれらのサービス導入を検討してみましょう。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。