請求書の日付はいつにする?請求日の決め方や日付なしの問題点・日付改ざんの違法性を解説

請求書の日付について、何気なく書いていたり、記載漏れしていることはないでしょうか?
請求書の日付を空欄など曖昧にしていると、先方できちんと処理されず、入金が予定より遅れてしまうことにもつながります。
正しく代金を徴収するために、請求書の発行側が気をつけたい請求書の日付について解説します。
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請求書の日付の役割と必要性

請求書に日付の記載が必要な理由はあるのでしょうか?日付の役割と必要性について解説します。
請求書に発行日(請求日)を記載する理由
請求書に発行日(請求日)を記載する理由は、主に以下の5点です。
契約・債権の起算点になるため
・支払期日(例:発行日から30日後)や遅延損害金の計算開始日を特定できる
・検収や役務提供完了日と合わせて、請求の有効性を示せる
取引の証拠性・監査対応のため
・いつ請求が成立したかを第三者(取引先・監査人・税務当局)が確認できる
・同一金額・同一内容の重複請求の防止、改ざん抑止に役立つ
税務・会計処理の適正化のため
・売上計上期の判断補助(実務上は検収日・納品日等が優先だが、請求日も参照される)
・消費税の課税期間・仕入税額控除の証憑管理における検索キーになる
取引先の支払業務に必要なため
・支払サイト管理(当月末締め・翌月末払い等)の基準日として運用される
・取引先のワークフロー(承認・支払指図)で必須項目になっていることが多い
電子取引・インボイス実務での整合性確保のため
・電子請求書や発行システムのタイムスタンプと整合が取れる
・改訂・再発行時に版管理(初回発行日・再発行日)の基準になる
請求書の日付なし(空欄)は問題アリ?税務調査の可能性も
請求書の日付なし(空欄)は、取引の実在性や計上時期の妥当性を疑われる原因となり、税務調査で違反を指摘される可能性もあります。
特に適格請求書等保存方式(インボイス制度)においては、交付年月日の記載が必須で、欠落すると受領側の仕入税額控除に影響する可能性があります。
適切に日付を記載し、証憑として保管することが重要です。
請求書の日付なし(空欄)のミス対策:請求管理ロボでできること
当社の「請求管理ロボ」の請求書の自動送付機能では、請求情報登録時に指定した、請求書発行日のAM1時になると自動的に請求書が発行されます。請求書発行される日付が請求書に記載されます。
システム上で請求書発行日の選択は必須のため、日付のない請求書が発行されることはございません。
▼請求管理ロボの請求書における発行日の記載例

▼請求管理ロボの請求スケジュール設定画面の例(④:請求書発行日の入力箇所)

請求書の日付はいつにするべき?
請求書に記載する日付は、都度方式なのか、掛売り方式なのかによっても異なります。
また、取引先の決算や再発行を行う場合の日付にも注意が必要です。
以下で詳しくみていきましょう。

都度方式で発行する場合の日付
都度方式は、商品を納品したり、サービスを提供したりするたびに、請求書を発行して決済する方法です。
都度方式の場合は、一般的に請求書の日付に取引が成立した日、つまり商品納入やサービス提供が完了した日を記載します。
都度方式では売上が立つのと同時に請求金額が確定することから、後述する掛売り方式のように、締め日まで待つことなく請求することが可能です。
掛売り方式で発行する場合の日付
掛売り方式は、締め日を設定して一定期間内の納品・提供の売上を後日まとめて請求・決済する方法です。基本的に、取引先の締め日に合わせます。
掛売り方式では、月末を締め日としている企業も多いですが、この場合、月末を請求書の日付として発行し、翌月初めに取引先へと送付します。
取引先が決算を迎える場合の日付
先程の掛売り方式の場合、取引先企業が決算を迎えるタイミングで発行する請求書の日付には注意が必要です。
今期中に対象の仕事が完了しているにもかかわらず、翌期の日付で請求書を発行した場合、決算で計上される売上に影響が出てしまいます。
これは「期ずれ」といって、修正処理が必要にもなってくるため、あらかじめ確認をしておくことが大切です。
期ずれについては、以下で詳しく解説しています。
請求書を再発行する場合の日付
取引先から請求書の日付変更を求められても、安易に応じることは推奨されません。二重請求の誤認に加え、売上計上時期が変動するリスクがあるためです。
特に決算期をまたぐ変更は、取引実態と整合しない処理として受け取られ、税務・コンプライアンス上の問題につながるおそれがあります。取引先から要望があっても、軽い気持ちで応じることは避けてください。
再発行のする場合の日付について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
請求書の日付改ざんは違法
請求書の日付を意図的に改ざんする行為は違法となり得ます。
請求書は私文書に該当し、権限なく書き換え等を行えば、具体的事実関係により私文書偽造・変造、詐欺、業務上横領等が成立しうるため、厳格な管理と適正な修正手続(再発行・履歴管理)が必要です。
▼請求書の日付改ざんで問われる可能性のある罪
| 罪名 | 行為の具体例 | 法定刑・罰則など |
|---|---|---|
| 私文書偽造罪・変造罪 | ・すでに作成された請求書の日付や金額を書き換える ・権限なく架空の請求書をゼロから作成する |
3月以上5年以下の懲役など |
| 詐欺罪・業務上横領罪 | ・日付を改ざんした請求書を使い、会社から不正に金銭をだまし取る ・会社の資金を、請求書の改ざんによって不正に着服する |
10年以下の懲役など |
| 脱税 | ・日付を改ざんして売上を別の年度に計上し、意図的に税金の支払いを免れる | 重加算税などのペナルティ。 悪質な場合は刑事罰の対象。 |
意図的な改ざんではなく、単に日付を間違えてしまった場合は、取引先に連絡して謝罪して正しい内容で再発行するのが最も適切な対応です。
その際は、元の請求書と区別がつくように「再発行」と明記しましょう。
必着日や支払期日の注意点
請求書を発行日に合わせて、必着日や支払期日なども考慮する必要があります。これらの日付に関する注意点を解説します。
請求書の必着日
請求書の必着日とは請求書が取引先に届いていなければならない期日のことです。必着日は企業によって異なりますが、取引先が設定した必着日を過ぎてしまうと入金サイクルが次に持ち越されて入金が遅れてしまうこともあるため遅れないように注意が必要です。
例えば、請求書が月末締めで必着日が翌月5日とされている場合は、1ヶ月間の取引内容を記載した請求書を翌月の5日までに必ず取引先に到着するように発送しなければなりません。締め日は月末にしている会社が多いようですが、従業員への支払日と重なって事務処理負担が集中しないように10日締めや15日締めにしているケースもあります。
必着日が必要な理由
多くの企業は月次決算を行っていることから毎月末に月次の決算の数字を確定させる必要があります。事前に取り決めた必着日までに請求書が到着しなければその取引先は取引内容を精査することができなく月次の決算の数字が確定できません。必着日までに請求書が到着しなければ取引先に迷惑をかけるのにとどまらず、その月の支払い対象に含まれずに入金が翌月以降になってしまって自社の資金繰りが滞る可能性もあります。
仮に請求書の締め日が月末で必着日が翌月の10日としているなら遅くとも翌月の第一週前半には発送を済ませたほうがいいでしょう。郵送ではどうしても間に合わないのならメールやファックスで送信するなどして何かしらの形で取引先が請求書の内容を確認できるように方策を取るといいでしょう。
請求書の支払期限

契約を口頭のみで受注していたり、書面であっても支払期日を決めていなかったりすれば、支払い遅延・買い叩きをはじめとするさまざまなトラブルを誘発するリスクが高くなります。そういったリスクを避けるためにも、必ず支払期日を設定して請求書に明記しておきましょう。
なお、請求書の支払期限は、一般的に「月末締め・翌月末払い」または「月末締め・翌々月末払い」とすることが多くなっています。
請求書の支払期限の決め方や記載方法について、詳しくは以下の記事で解説しています。
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