売掛金の時効はいつまで?債権回収する方法も解説!

請求業務

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掛取引は、取引が発生する度に代金を回収するのではなく、双方で合意した期日までにまとめて支払う、いわゆるツケ払いのことで、未回収の状態の代金を受注側から見た時に「売掛金」と呼びます。BtoB取引において売掛金が発生することは一般的ですが、実は売掛金には時効があります。

この記事では、売掛金の時効の期限と債権を回収する方法を詳しく解説していきます。

売掛金には時効がある

取引先が支払いをしてくれず、売掛金の回収が延びているような時は売掛債権の時効に注意が必要です。なぜなら一旦時効が成立してしまったらそれを覆すことができなくなるためです。これは、商品やサービスを提供しても代金を回収する権利が消失することを意味しますので、売掛債権が時効を迎えることは何としても回避すべき事態です。そのためには、時効の期間を正確に把握することと時効を中断させること、そして時効が成立する前に手順を追って回収のアクションを確実に取ることが大切です。

2020年4月1日、民法改正により、売掛金の時効期間が変更されました。改正前は、売掛金の時効期間は取引形態や債権発生時期によって1年から5年と複雑でしたが、改正後は以下のとおり統一されました。

・2020年4月1日以降に発生した債権: 売掛金の支払期限から数えて5年
・2020年3月31日以前に発生した債権: 売掛金の支払期限から数えて2年

また、工事の設計・施工や医者の診療報酬は3年でしたが、新民法では5年と統一されました。

売掛金が回収できないとどうなる?

売掛金が回収できないとどうなってしまうのでしょうか。最悪のケースとしては債権者の会社の経営が悪化し、倒産してしまうことが考えられます。売掛金は後払いなので、商品やサービス提供後に、その代金が支払われないのであれば、債権者側としては死活問題です。

また、経理上の手続きとしては、相手方の倒産や支払い能力などから鑑みて回収不能であることが明らかな事実である場合、貸倒損失として損金算入されることになります。次章では、その貸倒損失について詳しく見ていきましょう。

貸倒損失3つのパターン

貸倒損失とは、売掛金のような債権に関して回収が不可能と判断された場合に、その損失額を処理するための勘定科目のことです。

勘定項目とは、日頃の商取引を帳簿に記載する際に使われるもので、よく使われる勘定項目には売上高・給与・賃金・通信費・雑費などがあります。売掛金も勘定項目の1つであり、売掛金が回収不能になった場合に貸倒損失として損金算入が認められるのは、次の3つのパターンがあります。

法律上の貸倒れ

法律上、債権が消滅しているため、仮に会社として損金経理をしていなくても、自動的に損金算入されます。そのため、会計上貸倒損失として算入していなくても、税金の申告の際に所得の減少として届けることができます。

なお、法律上とは、更生計画認可決定や所定の債権放棄によって強制的に債権の全額または一部が切り捨てられた場合を指します。

事実上の貸倒れ

法的に権利が消滅していないものの、債務者の状況から売掛金の全額が回収不可能であることが明らかなケースが事実上の貸倒れに該当します。この場合も、貸倒れとして計上した金額を損金算入することができます。

ただし、全額が回収不可能かという点については客観性が重視されるため、税理士への相談や債務者の資産状況に関する情報を揃えておく必要があります。

形式上の貸倒れ

形式上の貸倒れは、以下の場合に適用されます。

・債務者との取引を停止してから1年以上経過している場合
・同一地域における売掛債権の総額が取り立て費用よりも少額である場合に、督促を行っても弁済がない場合

これらの場合は、売掛金から備忘価額の「1円」を控除した残額を貸倒損失として処理し、1年以上経過、もしくは弁済がない時に、 以降の事業年度で貸倒損失として処理されます。

事実上の貸倒れとは異なり、全額が回収不能でなくても損金算入が可能です。

売掛金の支払い遅延で債権回収をする方法


売掛金の支払い遅延は、債権者にとって経営を揺るがしかねない大きな問題です。ここでは、売掛金の支払い遅延による債権回収の方法を、民法改正前と改正後の観点からご紹介します。

時効の成立の阻止

支払いの滞っている売掛金を回収するにあたり、まず行うべきことは時効の成立を阻止することです。

民法改正前は、売掛金の時効の成立を阻止する方法として、「時効の中断」という制度がありました。時効の中断事由として、民法147条で、請求・差押え・仮差押え・仮処分・承認が定められています。これらのうち、請求・差押え・仮差押え・仮処分は債権者の権利の行使に該当し、承認は債務者の債務承認行為にあたります。

売掛金が支払われずに困っている経営者にとっては、債務者に対して代金支払いを巡って訴訟を起こすと「請求」として認められ、それまでに経過した時効期間が効力を失います。つまり、時効期間がリセットされるのです。

また、時効成立寸前に訴訟準備を行う時間の余裕がない場合にも、ひとまず「売掛金を支払ってほしい」と債務者に伝えるか、支払いを要求する書面を送るだけで、6ヶ月間の猶予を設けることが可能です。これを「催告」と呼びます。ただし、催告は、6ヶ月以内に訴訟を起こして「裁判上の請求」をしない限りは、時効の中断の効力が発生しないため注意が必要です。

民法改正後は、売掛金の時効成立を阻止する制度である時効の中断は、時効の「更新」と改正されました。ただし、この改正は用語自体を理解しやすくしたものであり、制度が大きく変わったわけではありません。前述したように、旧民法下における時効の中断は、時効期間のリセットを意味しますが、「中断」という言葉からはそのようなイメージがしづらいため、「更新」と改正されました。

時効の中断が認められたら、いよいよ売掛金の回収に臨みます。回収方法にはさまざまなパターンがありますが、具体的な方法は事項で解説していきます。

売掛金の回収方法

それでは、時効の更新が裁判所から認められたにも関わらず、債務者が支払いに応じない場合はどのような対応策があるのでしょうか。以下、詳しく解説していきます。

・支払督促
債務者が売掛金の支払いを拒んだら、裁判所を通じて回収に臨みましょう。回収方法の1つに支払督促を行うという方法があります。支払督促とは、債務者に対して裁判所から支払いの督促をしてもらい、相手側が意義を申し立てなければ、債務者の資産を差し押さえることが可能な手続きです。支払督促には、請求金額の上限がないため、売掛金がどんなに高額であっても手続きをすることができます。

・少額訴訟
売掛金が少額な場合は、少額訴訟という手続きを経て回収することも可能です。少額訴訟とは、60万円以下の金銭債権を請求できる簡単な裁判の手続きです。少額訴訟を行うと1日で全ての審理が行われるうえに、即日で判決まで下されるので、問題を非常に早く解決することが可能です。和解調書に強制執行力があるため、債務者が支払いを約束しなければ、資産の差し押さえを行い、売掛金を回収することができます。

・通常訴訟
売掛金が高額な場合は、通常訴訟を起こして売掛金を回収する必要があります。通常訴訟とはいわゆる普通の裁判のことで、判決で負けてしまったら売掛金は回収できません。通常訴訟は、専門的な法律の知識やノウハウがなければ不利な結果になる可能性が高いので、弁護士を立てて臨みましょう。なお、通常訴訟は判決まで半年ぐらいかかってしまうケースが多く、売掛金を早く回収したいという方には向きません。

・仮差押
上述した通常訴訟では非常に長い時間がかかるので、その期間中に債務者が財産を隠してしまうことが考えられます。そのような時は、債務者の資産を仮差押えすることを強くおすすめします。仮差押とは、裁判で売掛金の支払い命令の判決が下っている場合に、売掛金の回収が難しそうな債務者の資産を仮に差し押さえる手続きを意味します。例えば、仮差押をすると相手の預貯金・不動産・車などの資産を裁判所が差し押さえて、債務者が勝手にそれらの財産を売却することができなくなります。そのため、裁判終了後に確実に売掛金を回収することが可能です。

売掛金の管理なら「請求管理ロボ」がおすすめ

売掛金を支払わない債権者からそれを回収するためには、大変な労力と専門的な手続きが必要であることをお分かりいただけたことでしょう。売掛金の回収漏れを防ぐには、日頃から適切な売掛金管理を行っておくことが大切です。売掛金管理をするなら、株式会社ROBOT PAYMENTの「請求管理ロボ」にお任せください。以下、当社の請求管理ロボの特徴をご紹介します。

請求管理ロボは、SFA/CRMとERP/会計をつなぐ、請求・集金クラウドサービスです。経営者にとって大きな悩みとなる、請求漏れや未入金によって売掛金が回収できないという問題に対し、お金の流れを可視化することで、安定した経営をサポートいたします。請求管理ロボの具体的な機能は次の通りです。

・基本レポート機能
ダッシュボードで、売上金額・請求件数・未収金額などの推移を表示し、請求業務の数値を可視化します。

・請求管理
請求先の情報(会社名・住所・講座情報等)を管理します。入力した請求先の情報は、請求書に自動で反映されるため、二重入力は不要です。そして、請求書の作成の元となる明細データを管理し、明細ごとに請求金額や売上計上日といった細かい設定も可能です。

請求書発行
請求先や請求データを元にPDFデータで請求書を作成できます。指定期日に自動作成するため、月ごとに請求書を作成する必要がなく、業務コストを削減します。また、メールの送付も自動で行い、郵送との併用も可能なので、企業に合ったスタイルでご活用いただけます。さらに、郵送履歴やメールの開封履歴も確認できるので、請求書の送付漏れや先方の確認漏れによる売掛金未回収リスクを軽減します。

その他にも、集金や消込業務も自動で行うなど、社内外におけるお金のやりとりを請求管理ロボがスムーズに処理します。

このように、請求管理ロボは、それまで毎月手作業で行っていた一連の請求業務を全て自動化できるため、請求業務の80%を削減および効率化を実現した事例もございます。
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まとめ

この記事では、売掛金の時効と債権を回収する方法をご紹介しました。2017年に民法が改正され、2020年の4月1日から新しい民法が施行されたので、民法の改正前と後では時効の期間が異なるため、売掛金の回収を行う際は時効をよく確認してから督促などを行うようにしましょう。

売掛金の未回収は経営者にとって頭を抱える問題ですが、日々売掛金を適切に管理しておくことで、売掛金の未回収リスクを軽減させることが可能です。

しかし、売掛金の管理もまた工数が多く、手間がかかる作業です。そこで、請求管理ロボなら「請求・集金・消込・催促業務」を自動化して、時間のかかる請求業務から社員を解放いたします。請求や入金管理の一連の業務プロセスのさらなる効率化を図りたいとお考えの企業は、ぜひ請求管理ロボの導入をご検討ください。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。