個人事業主やフリーランスの請求書の書き方とは?作成時の注意点なども解説

経理

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取引先に提供した商品・サービスの代金を確実に支払ってもらうためにも、請求書作成はスムーズに実施すべき業務です。個人で請求書を作成する際、発行日や入金日、そして税務上必要となる記載など注意すべき項目がいくつか存在します。

この記事では、国税庁が推奨する記載項目から、2023年に導入予定の「インボイス制度」まで詳しくご紹介します。

請求書の書き方とは


商取引では見積書から納品書まで、様々な書類を取り交わします。なかでも販売した製品やサービスの代金を請求する請求書は、ビジネスにおいて重要な書類です。しかしながら、その書き方については決まったフォーマットは存在していません。
それでは、何を基準にしてどのように作成すればよいのでしょうか。ここでは、国税庁が推奨する記載項目から軽減税率が適用された場合まで詳しくご紹介します。

記載項目

国税庁の「請求書等の記載事項や発行のしかた」によると、以下の5項目が記載事項として挙げられています。

作成者の氏名または名称
作成者の氏名、または事業で使用している屋号などの名称を記載します。他には住所・電話番号・メールアドレスを記載するとトラブルが発生した場合に連絡が取りやすくなります。押印は法律上の義務はなく、国税庁で推奨されているものでもありません。しかし、押印がない請求書を受け付けない方針の企業もあるため、押印しておいた方が確実です。

取引年月日
この項目にはいつの取引かを明確にする目的で取引日時を記載します。一般的には発行した日または請求日を記載するケースが多い傾向です。また、月内で複数の請求を行うケースでは、一括して該当する月の締日にする場合もあります。

取引内容(軽減税率の対照品目である旨)
取引する製品やサービスの数量と単価を記載します。事前に発行した見積書に基づき、品名(品目)・数量・単価を記載します。品目が軽減税率の対象の場合には「区分請求書保存方式」で記載する必要があり、軽減税率の対象品目である旨を「※」などの記号を使用して明確にし、「※は軽減税率対象であることを示します」と記載しましょう。

税率ごとに区分して合計した税込対価の額
取引金額の小計と合計、売上が課税対象の場合は消費税も記載します。軽減税率の対象品目がある場合には、税率ごとに合計した請求額(税込)も併せて記載する必要があります。税込合計金額は、主に記入面の左上に記載するのが慣例です。

書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
請求先の名称や担当者氏名を記載します。略称等は使用せずに正式名称を用い、敬称も正しく記入します。
さらに、業種や業態により異なりますが、「請求書番号」や「振込先と振込手数料の負担」「支払い期限」なども記載します。

請求書番号
通し番号などを記載することで、管理・保存やトラブル発生時の対応などがスムーズになります。

振込先
振込先の金融機関名・支店名、口座番号、口座の種類、口座名義人を記載します。記入に不備あると支払いができないため、正確な情報を記入するようにします。

支払い期限
支払い期限は一方的に設定するとトラブルの元となるため、取引先とあらかじめ協議したうえで合意した日付を記載しましょう。

金額の書き方

請求書の書き方に決まりはありませんが、取引先で誤解が起きないように明記しなければなりません。特に金額については慎重に扱い、記入する金額が不正に操作されることを防ぐ目的で、金額の前に「¥」や「金」、後に「円」や「-」を記入します。「¥」と「円」は、「¥」を用いる場合には金額の後に「-」を記入し、円を用いる場合は金額の前に「金」を記入して使い分けます。そして、金額を3桁ごとに「,」で区切ります。

作成にあたって必要なもの

請求書は手書きまたはPCで作成します。手書きとPCで作成・印刷したもの、どちらであっても証明書としての効力に差が出ることはありません。また、紙媒体ではなく、PDFファイルなどで作成してメールで送付しても同じ効力を持ちます。ただし、PDFファイルで提供する場合、取引先によっては正式に作成された文書の証明として「電子印鑑」の使用が求められることがあります。

作成時には、記載項目が印刷済みの市販のもの、表計算ソフトや文書作成ソフトのテンプレート、そして会計システムに備わっている請求書作成機能のいずれかを用いるのが一般的です。印刷したものを郵送で送付する方法がよく用いられますが、手間とコストがかかる点はデメリットといえます。請求書は継続的に発行する場合が多く、またペーパーレス化が推進される昨今は、メール送付やクラウド上でのデータ共有に移行した方が業務負担が軽減できるでしょう。

軽減税率との関係性

2019年10月に消費税が8%から10%へと増税され、同時に消費税軽減税率制度が施行されました。軽減税率制度とは、「酒類・外食を除く飲食料品」などの消費税を8%に据え置く制度で、品目により税率が異なるために区分した会計処理が必要です。そのため、請求書においても様式が変更され、1つの書類内に2つの税率が同時に存在しています。
先述した記載項目における「取引内容(軽減税率の対照品目である旨)」「税率ごとに区分して合計した税込対価の額」は、軽減税率制度に対応した「区分請求書等保存方式」によるものです。そして、この方式は経過措置として採用された様式で、2023年10月1日からは「インボイス方式」へと変更する必要があります。インボイス方式については後ほど詳しくご紹介します。

個人事業主やフリーランスの場合の請求書の書き方


個人で請求書を作成する時には特に注意すべき項目があります。法人との違いについても触れながら詳しくご紹介します。

注意して記載する必要がある項目

個人事業主によっては請求書を作成する日時が締日より前になる場合も多く、発行日に作成日を記載したり、空白にしておいたりすることもあるようです。しかし、発行日を適切に記載することは正常な入金には欠かせない要素の1つであることから、取引先に確認を取ったうえで、両者で認識の齟齬が生じない日付を記載しましょう。

法人との書き方の違い

個人と法人で請求書に記載する内容に違いはありません。ただし、法人によっては受け取り可能な請求書の書き方を定めているケースも見受けられます。先述したとおり、名前の記載に押印がなければ受け付けない法人は少なくありません。請求書の取り扱いに厳格な決まりがある法人の場合、あらかじめ請求書の書き方について確認すると良いでしょう。

個人事業主が請求書を発行する際の注意点


ここからは、請求書における源泉所得税と消費税についてご紹介します。

源泉徴収税の有無の確認

個人事業主が注意すべきは、源泉所得税が徴収されているケースです。源泉徴収の対象となる特定の職業では、仕事の発注側があらかじめ所得税を請求額から天引きしている場合があります。

もし税額を記載していなかったとしても、納税の義務がある取引先は徴収税を計算して請求金額から差し引かなければなりません。支払い側の源泉徴収は義務であり、徴収漏れがあると源泉徴収義務違反に問われます。
請求書への記載は義務ではないものの、トラブルを防止するためにも源泉徴収税額が記載されているかどうか確認しておきましょう。

消費税の請求と書き方

前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合、課税事業者として消費税を申告・納税する義務が生じます。売上高が1,000万円以下の事業者は消費税納付が免除され、免税事業者と呼ばれます。あくまでも免除であり、免税事業者であっても取引先から消費税を請求することが可能です。これは、取引先が免税事業者への支払いであっても仕入れ控除対象とすることが可能なためです。

請求書に消費税を記載する方法は2つあり、税抜金額10,000円、消費税率8%の場合でそれぞれご紹介します。

1.税抜金額と消費税を分ける記載
本体価格10,000円 消費税額800円 合計10,800円

2.税込金額に内消費税を記載
合計10,800円(内消費税800円)

請求書の新しい方式「インボイス制度」について


2023年10月から導入が予定されているインボイス制度(適格請求書保存方式)は、仕入税額控除の新方式です。軽減税率の導入をきっかけに、新制度では従来の請求書とは取り扱いが異なる点がいくつも存在しています。

インボイス制度とは

インボイス制度は、所定の要件が記載された請求書を発行・保管するための制度です。請求書や納品書を作成して交付する際には、いつ・誰から・何を購入し、その合計額と消費税がいくらかを計算して明記して「適格請求書」として保管しなければなりません。これは仕入税額控除を受ける際に必須となるため、個人事業主から法事まで適格請求書への対応準備が求められています。

導入の背景

これまで指定されることがなかった請求書上での税額や税率の記載方法ですが、2019年10月1日の増税以降、複数存在する税率に対応することが必要になりました。制度の導入目的は、「消費税額の正確な把握」「正しい税率の確認」「不正とミスの防止」によって消費税納税の透明性を確保するためとされています。

得られる効果

インボイス制度導入によって得られる効果は、課税事業者と免税事業者で異なります。

課税事業者が得られる効果
課税事業者は新制度導入後も引き続き消費税の支払い義務が生じるため、適格請求書発行事業者の登録が必要です。このとき、新制度に対応した請求書管理と会計システムも用意しなければなりません。
そして、取引先が課税事業者登録を行うかどうかを確認します。これは新制度では免税事業者との取引が仕入税額控除の対象外になるためです。これにより、免税事業者との取引をできる限り避け、課税事業者との取引を優先することが予想されています。

免税事業者が得られる効果
新制度導入後も課税売上高が1,000万円を超えなければ、消費税納税義務は免除されます。しかし、発生した消費税に関しては控除が受けられなくなるため、消費税の負担が生じることを理由に、課税事業者は免税事業者との取引を減らす可能性があります。

インボイス制度に対応するための事前準備

新制度で仕入税額控除を受けるためには、交付された適格請求書の保存が必要です。一方で、適格請求書を発行した側も写しを保存しなければなりません。適格請求書は、税務署で適格請求書発行事業者として登録を行った事業者のみ発行が可能です。
制度に対応するにはまず、適格請求書発行事業者の登録を行い、要件を満たした適格請求書を発行できる環境を整備する必要があります。

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まとめ

請求書は、記載項目に不備があったり、請求漏れがあったりすると資金繰りが悪化して経営に悪影響を及ぼす恐れがあります。
また、請求業務は導入が予定されているインボイス制度など、適宜法令への対応も求められるため、すべて人の手でミスなく対応していくのは難しいものです。
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監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。
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