2022年1月に改正電子帳簿保存法が施行されました。
2023年末までの猶予期間に実際に何をしなければならないのかを徹底解説します。
電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿・書類を紙媒体ではなく電子データで保存を認める法律です。 1988年に制定され、正式名称「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」と言います。「真実性」および「可視性」の確保を行うことで、紙の保存に代えて電子データで保存することができるようになっています。国税関係帳簿書類の保管の負担軽減を目的としており、ペーパーレス化の促進によるバックオフィス業務の効率化やデータ管理の徹底による内部統制の強化が期待できます。
施行当初は、作成段階から電子データで書類のみを保存対象としており、受け取った紙を自社でスキャンして作成したデータは認められないなど、ルールがかなり細かく電子保存を進める企業は多くありませんでした。しかし2005年のe-文書法の施行に伴い、請求書などをはじめとする証憑書類は、スキャナで取り込んだデータも保存可能となり、2017年にはスマートフォンでの撮影による電子保存も認められるなど、時代の流れや社会の変化に応じて規制緩和が続いています。
>> 電子帳簿保存法の概要|国税庁
>> 電子帳簿保存法の改正について

電子帳簿保存法に対応するには、社内でどのような取引を行っているかの把握が必要です。取引している帳票はどのような種類があるか、受け取り方法は紙なのか電子データなのか、保存方法はどうしているかなどを整理しましょう。その上で帳票類の紙での取引を減らしていき、対応を進めていきましょう。

要件として電子データにはタイムスタンプを付与する必要があります。タイムスタンプを取引先か自社で付与するのかによって、運用方法が異なりますので注意しましょう。もしタイムスタンプが付与できない場合は訂正削除の防止に関する事務処理規程を定めることによって電子データを保存することが可能です。

電子データは証憑管理システムに保存するか、自社サーバーへの保存となります。電子帳簿保存法では「日付」「金額」「取引先」での検索機能が必要になるため、サーバー保存の場合、フォルダ内のファイル名の命名ルールを分かりやすくするなどして検索できるようにする必要があります。しかし時間が掛かるため証憑管理システムを利用することをおすすめします。

現状は電子データで受け取った請求書を印刷して経理に渡し紙で保存するケースが多いかもしれません。しかし電子帳簿保存法では電子データで保存する必要があるので受け取りの際のフローを見直す必要があります。また、合わせて請求書を発行する際も紙と比べて発行の手間と時間が削減できるのでフローの見直しをおすすめします。

事務処理規程を作成する場合、国税庁が公開している例を参考に、業務フローや既存システムなどに合わせて運用できるものを作成しましょう。
国税庁|各種規程等のサンプルはこちら

要件に合った運用を行うためには社員だけでなく取引先にも周知する必要があります。社員には事務処理規程をもとに電子取引に関するルールを説明します。取引先には、紙で請求書などの帳票類を受け取っている場合、紙で送らないようにお願いしましょう。

電子帳簿保存法の改正により、紙で受領した請求書等についても、スキャナやスマートフォンで読み取り、同法のスキャナ保存要件を満たして電子データとして保存すれば、紙の原本は保管不要(廃棄可)となります。

読み取りデータをアップロードし、タイムスタンプの付与が必要です。改ざん防止措置機能があるシステムをご利用であれば、タイムスタンプ付与は不要です。保存に関しては「日付」「金額」「取引先」での検索機能が必要になるため、サーバー保存の場合、フォルダ内のファイル名の命名ルールを分かりやすくするなどして検索できるようにする必要があります。

証憑管理システムを利用して、スキャン後の電子データで稟議や承認を行ったり、紙で行っていた業務を電子化していきましょう。スキャナ保存制度を活用し、徐々に紙で行っている業務を変えていきましょう。

既存の業務フローを考慮の上、電子帳簿保存法の要件を満たすシステムの導入を検討しましょう。導入しない場合、タイムスタンプ付与をどうするかや保存場所をどうするかといった悩みから解放されます。

事務処理規程を作成する場合、国税庁が公開している例を参考に、業務フローや既存システムなどに合わせて運用できるものを作成しましょう。
国税庁|各種規程等のサンプルはこちら

要件に合った運用を行うためには、関係者全員にスキャナ保存に関するルールの説明を行った上でしっかり合意形成を取り運用を始めましょう。
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