売掛金管理の流れとは?管理の仕方やトラブルの対処法を解説!

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企業間取引では一般的には商材の納入と同時に支払いを求めるのではなく、1ヶ月分などをまとめて後で決済する掛け売りで取引されるのが大半です。そして、掛け売りで発生するのが「売掛金」です。

安定した経営を続けていくためには、売掛金を適切に管理していくことが重要な業務になります。この記事では売掛金の定義、売掛金管理の流れ、掛け売りのメリット・デメリット、売掛金にまつわるトラブルへの対処法などについて解説します。

売掛金とは


ここでは売掛金の概念を理解するために、売掛金の定義、売掛金の処理方法、売掛金の仕訳について解説します。

売掛金の定義

売掛金とは、商材を売り上げたものの、その代金を未だ回収しておらず、後日受け取れることになっている状態のお金のことです。企業間取引においては継続的に繰り返し同じ企業と取引をすることが多いことから、その都度決済していては余計な手間や手数料が何度もかかり非効率的です。
そこで、一定期間の取引をまとめて後日支払うとの約束の下に、掛け売りを行って売掛金として計上します。ただし、売掛金を未回収のまま放っておくと貸し倒れになって資金繰りが行き詰まったり、取引先企業の業績悪化によって焦げ付きとなったりする原因になります。

売掛金の処理方法

売掛金は次のような流れで処理します。

(1)売掛金が発生したら、取引を記録するための伝票である振替伝票に仕訳を記入した後に、売掛金を管理するための補助簿である売掛金元帳に転記する。
(2)売掛金が入金されたら、現金が増加した取引として入金伝票に仕訳を記入した後に、上述の売掛金元帳に転記する。入金の期日は取引先の都合に合わせることもあるため、取引先ごとに入金の有無を確認する日を設定する。入金が確認でき次第、売掛金の入金消し込みを行う。
(3)1ヶ月などの所定の期間を過ぎたら売掛金の残高を確認する。売掛金残高一覧表を用いて残高は合っているか、漏れはないかを確認していく。
(4)期末になったら売掛金の残高を流動資産として貸借対照表に記載する。

売掛金管理の流れ


売掛金は、売掛金台帳を作成したうえで未回収債権を把握するという流れで行います。以下にそれぞれについて解説します。

売掛金台帳の作成

売掛金の管理は、エクセルなどの表計算ソフトで売掛金台帳を作成して行うのが一般的に用いられている方法です。売掛金台帳は会社ごとに独自に作成することもあれば、インターネット上で入手できるテンプレートを用いることもあります。入力する項目は、請求年月日、売上金額、当月発生売掛額、取引先会社名、繰越残高、入金予定日、入金日、当月入金額などです。

売上金額の項には、請求書や納品書などの取引書類に記載されている金額を漏れなく入力します。金額に漏れや間違いがあると、税務調査の際に指摘されるため注意が必要です。入金日は入金がある都度に記入し、未入金の取引については空欄のままで構いません。入金予定日が過ぎても空欄になっているものは、未回収案件として別途対応します。
このように売掛金台帳を作成して管理することにより、売上と代金回収の現況を把握が可能となります。

未回収債権の把握

日々の管理では、どの債権が未回収になっているか、不足している売掛金はいくらか、どのくらい遅延しているかを把握し、未回収の内容をしっかりと特定することが大切です。前述した売掛金台帳に入金日と当月入金額を記入していけば、売掛金の過不足や遅延による未回収債権を見ていくことが可能です。遅延している売掛金があれば取引先会社名、遅延している売掛金の金額、遅延期間を売掛金台帳から洗い出します。

これらが特定できたら、未回収債権が発生している取引先との窓口である営業部門の担当者に連絡し、入金が遅延している理由の調査を依頼します。場合によっては督促状の発送や内容証明郵便の発送が必要になるため、早急なアクションが必要です。

掛け売りのメリット


ここでは掛け売りのメリットを見ていきます。

業務を効率化できる

取引が発生するごとに代金を支払って決済してしまった方が、シンプルで楽ではないかと思われる方もいるかもしれません。しかし、企業間取引は個人がお店で買い物をするのとは異なり、請求書を発行して代金を振り込んでもらうのが一般的です。取引が発生するごとに決済しようとすると、請求書を発行した後に封筒に封入し、郵便で発送するという手間が毎度発生することになります。それに伴って、取引内容を取引が発生するたびに確認する必要も生じるため、多くの手間を要します。

一方、掛け売りであれば、あらかじめ取り決めておいた日にまとめて請求書を発行し、その後一定期間の請求書に対してまとめて支払うことにより、大幅に業務を効率化することが可能です。取引先が多くなればなるほど、業務効率向上の効果が大きくなるのは明らかです。

資金がなくても取引を行える

掛け売りをしない場合では自己保有資金の範囲内でしか取引できず、資金不足故に取引のチャンスを逃がすこともあり、またビジネスを拡大していこうとする際には障壁となります。

一方、掛け売りであれば自己保有資金以上の額の取引が可能です。例えば商材を仕入れて販売し、そこで得た売上金で仕入れた商材の支払いを行うというように取引のループを円滑に回すことが可能になります。

掛け売りのデメリット


ここでは、掛け売りのデメリットを見ていきます。

支払い遅延・貸し倒れリスクがある

掛け売りにおいて起こり得るリスクは、支払いの遅延や貸し倒れです。企業間取引で行われる掛け売りは正式な契約プロセスを経て行われる取引ですが、期日までに売掛金が支払われることを100%保証するものではありません。掛け売りはあくまでも売り手と買い手双方の信用で成り立っている仕組みであるため、取引先が業績不振に陥って支払い能力がなくなってしまうというリスクは常に存在します。

例えば、利益率10%の商品を掛け売りで取引して100万円の未回収代金が発生したとすると、利益になるはずだった100万円を補填するために1000万円の売上が必要となります。売上として会社に入ってくるはずだった100万円が1000万円分の損失に変わってしまうことから、未回収によるリスクは大変大きなものです。帳簿上は堅調に売上を上げていても、支払い遅延や貸し倒れの発生によって資金繰りが悪化し、倒産という致命的な影響に及ぶこともあり得ます。

与信管理等の業務が増える

支払い遅延・貸し倒れリスクを回避するためには、与信管理という取引先の信用度調査を行わなければなりません。支払い遅延・貸し倒れが頻繁に起きるようでは、与信管理にルーズな会社と見なされて、その風評で会社としての信用が落ちてしまう恐れもあります。さらには、取引条件が厳しくなったり、取引が打ち切られてしまったりという事態に発展することも否定できません。

しかしながら、厳しい与信基準の基に取引を行おうとすると、新規取引を行うためには多くの手間と時間を要し、与信管理にまつわる業務が増えてしまいます。また、定期的な見直しも必要となることから、企業は与信管理にかかるコストが見合っているか見極めながら管理体制を強化していくことが求められます。

売掛金にまつわるトラブルへの対処法


ここでは売掛金にまつわるトラブルの例を3つ挙げ、対処法を解説します。

売掛金が合わない場合の対処法

前月の売掛金残高が予定通り月末に入金され、売掛金の消し込みを行っていれば当月の売掛金は当月の請求額と一致しますが、実務においてはこれらの不一致は往々にして発生するものです。原因としては、売上の計上が漏れていた、消し込みを間違えていた、消費税の端数を処理する方法に差異があるなどが挙げられます。

消費税の端数が原因の時は、入金を処理する際に仮受け消費税として相殺して対処します。売掛金にも未収入金にも振り当てられない入金があった場合は、仮受け金として計上し、内容が確認できた後に売掛金へ振り替えて、計上または取引先に返金するなどの処理を行います。

売掛金回収が遅れている場合の対処法

まずすべきことは、取引先がどのような理由で入金が遅れているのかを明確に把握することです。なぜなら、その理由如何で対処方法が変わってくるためです。取引先の経営状態が悪化したわけでもなく単に経理処理上のミスが原因なら、故意に支払いを遅らせているわけではないため、心配することはありません。取引先に未払いになっている旨を伝えればスムーズに入金されるでしょう。

回収が難しいのは、支払う意思を持ちつつも、経営難で資金繰りに詰まって支払いが遅れている場合です。このような場合では、一時的に資金繰りに困っているだけなのか、それとも会社の存続の危機に瀕しているかを見極めるのが重要です。一時的なものであれば、いつ頃になれば支払えるのか、一括で支払うのが無理なら何分割なら支払えるのかといったことを取引先の経営見込みを見極めつつ慎重に検討します。

売掛金の時効を止めるための対処法

売掛金の支払いがなされないまま放っておくと時効が適用され、永久に代金が回収できなくなってしまうため注意が必要です。売掛金は、2020年4月以降に発生したものについては、支払期限から起算して5年で時効が成立します。売掛金の時効が成立するのを防ぐためには、時効中断措置もしくは時効更新措置を取れば、経過済みの時効期間のリセットが可能です。

時効中断措置もしくは時効更新措置を取るには、買い主に対して民事訴訟を起こす、裁判所を通して買い主に対する支払督促を行う、買い主に対して民事調停を申し立てるなどの方法があります。これらの法的手続きを踏むのが難しいという場合には、内容証明郵便で催告を行えば時効を6ヶ月間延長することが可能です。

売掛金管理の方法

売掛金を管理するにあたっては、エクセルを使うか会計システムを使う方法があります。
エクセルを使う場合は、売掛金管理表を作成して取引先ごとの売掛金データを入力していくのが標準的な手法です。個々の売掛金データを手作業で処理していくのが難しい場合は、総勘定元帳の売掛金勘定からデータをインポートするのがおすすめです。

エクセルよりも効率的に売掛金を管理したいなら、会計システムが適しています。大抵の会計システムでは総勘定元帳が利用でき、取引先ごとに入出金ステータスを把握することが可能です。最近のクラウド型の会計システムでは、記帳業務がそのままシームレスに売掛金管理につながっているものもあり、入金管理レポートという形で売掛金や未収入金を確認・管理することができます。

売掛金管理なら請求管理ロボにお任せ!

売掛金管理に課題を感じている方は、請求管理ロボの導入をご検討ください。請求管理ロボは売掛金回収のために必要な作業を自動化し、最大80%の大幅な省力化を実現します。請求書の発行・入金確認・消し込み・催促を自動で行う機能を有しており、またこれらのステータスを全社的に共有・管理することが可能です。売上や売掛金残高の状況は、ダッシュボードで直感的に把握することができます。

また、請求書送付先の名義と実際に振り込んだ方の名義が異なるようなイレギュラーな入金があった場合、一度紐づければ次回からは自動で処理され、個別に対応する必要がなくなります。入金時に消込が行われなかった売掛金については、翌月の請求書に反映して繰り越し請求ができ、柔軟な対応が可能です。

このように、売掛金管理業務を豊富な機能で効率化・省人化できる請求管理ロボは、経理担当の方の負担を大きく低減し、ひいては安定した経営を可能にする強力なクラウドシステムです。すでに確立されている請求フローをほぼ変えることなく請求を自動化できますので、導入と同時に皆様の業務を全面的にサポートいたします。

まとめ

売掛金を適切に管理して確実に回収していくことは、スムーズなキャッシュフローと健全な資金繰りには必須の業務です。そして、本記事で解説したように売掛金の発生と共に確実な処理をして間違いなく仕訳を行い、情報を常に最新の状態にしておくことが欠かせません。

取引先が増えれば増えるほど売掛金管理の重要度は増していきます。管理を怠っていては売掛金の回収が滞り、売上は上げているのに資金繰りが詰まって黒字倒産という事態にもなりかねません。そこで、売掛金の確実かつ効率的な管理方法をお探しなら、ぜひ請求管理ロボの導入をご検討ください。請求管理ロボはリアルタイムで売掛金の状況を把握できるシステムであり、次につながるアクションを取るための頼れるパートナーとなります。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。