売掛金管理のポイントとは?売掛金台帳や管理方法なども解説

請求業務

Facebook にシェア
Pocket


企業間で取引を行う際は商品やサービスを納入した時点では代金を受け取らず、後日まとめて支払ってもらう「掛け取引」が一般的な取引形態です。掛け取引は信用取引とも言い、掛け取引で発生する売掛金は勘定科目の1つとして注意深い管理が要求されます。
売掛金の未回収が度重なれば資金繰りに詰まってしまい、経営の根幹にもかかわる重大なトラブルに発展してしまいます。この記事では売上金管理のポイント、売掛金の管理方法、未回収時の原因と回収方法などについて解説します。

売掛金元帳とは


売掛金を管理するには売掛金元帳を用います。ここでは売掛金元帳の記載項目と、売上台帳との違いについて解説します。

記載項目

売掛金元帳は、取引の発生順に取引先ごとに取引内容を記録し、売掛金を管理するために用いられる会計帳簿の1つです。売掛金元帳は、売掛帳あるいは得意先元帳と呼ばれることもあります。総勘定元帳における売掛金勘定の内訳明細という位置付けにあり、補助簿のうち補助元帳の1つとして取り扱われます。実際の記載項目は以下の通りです。

・取引があった日付
・取引した商品の名称
・商品の個数
・商品の単価
・商品の個数と単価を掛けた売上金額
・売掛金を回収した場合の受入金額
・当該時点での売掛金残高

売上台帳との違い

売掛金元帳では売掛金に関する情報のみを記載します。売上の中で売掛金に絞って作成する帳簿書類のため、売掛金の詳細を把握するのに適した書類です。売掛金元帳を作成するのに適したシーンとしては、代金を現金で受け取るのではなく、請求書を発行して振込などで受け取る取引が向いています。

一方売上台帳は、その名の通り売上にかかわる情報を集計して作成する帳簿です。売上台帳では売上日付、販売した商品やサービスの内容、売上数、売上単価、売上金額、売上合計など売上の明細を記録していきます。売上台帳を作成するのに適したシーンとしては、飲食店や小売店などのように現金で商売をしているのが中心で、不特定多数の人と取引を行う取引が向いています。

売掛金管理の流れとポイント


ここでは、売掛金管理の流れとポイントについて順を追って解説します。

請求書発行

売上を上げたことを確認し、帳簿に計上したら請求書を発行します。請求書を発行するタイミングはあらかじめ決められた締め日に合わせますが、新規に取引を開始する場合は営業部門を通して認識をすり合わせる必要があります。その際、支払期日直前に請求書が届くと取引先が支払いの準備ができていないこともあるため、遅くとも支払期日の2週間~3週間前には届くように締め日を設定しましょう。

請求書のフォーマットは自社のものを使用するのが一般的ですが、取引先によっては独自のフォーマットが指定されている場合もあります。また、取引によっては取引の都度に個別に請求する場合や、請求書の発行を待たずに契約をもって売上を計上する場合もあるため、事前に個々の取引先の要望をまとめておくとスムーズに処理できます。

代金回収

商品やサービスを売り上げたとしても、代金の回収まで確実に行わなければ利益を上げたとは言えません。

売掛金の代金回収方法の中で多く用いられるのは銀行振込です。自社で複数の振込先を持っている場合は、どの取引先がどの振込口座に入金することになっているのかを確認しておいて入金に備えます。また、クレジットカード決済、手形、小切手などの別の支払い方法を用いている場合もあることから、取引先ごとの入金方法の把握も欠かせません。

入金確認

入金の確認にはいくつかの方法がありますが、最も手っ取り早いのはインターネットバンキングです。インターネットバンキングであれば、入金されると同時にリアルタイムで取引内容の表示が更新されるため、何度でも入金情報が確認できるのが便利な点と言えます。

なお、入金が確認されたら、どの取引の入金なのか、どの取引先からの入金か、請求書の金額と入金された金額は合っているか、入金された日はいつかといったことをチェックする必要があります。この作業は取引件数が多くなると煩雑になりますが、売掛金管理のためには欠かせない作業です。

入金消込

期日までに入金が確認できたら取引先会社名と振込名義人、及び売掛金と入金された金額が一致すれば入金消込を行います。入金消込は案件ごとに行うので手間がかかり、またミスが許されない重要な業務です。消し込み作業を経て問題なければ売掛金を帳簿上で現金貯金に仕訳します。

売掛金と入金額が一致せず消し込みができないといった問題が発生した場合は、問題の内容について社内で情報共有したうえで個別の対応が必要です。対応方法については、経理担当者と営業担当者のどちらが行うのか事前に取り決めておくとスムーズに対応ができます。

売掛金の管理方法


売掛金の管理方法としては、エクセルを活用する方法と会計システムを活用する方法の2つがあります。以下にそれぞれについて解説します。

エクセルを活用する

エクセルを活用して売掛金を管理するには、売掛金管理表をエクセルで起こして、取引先の売掛金データを入力して管理していく方法があります。個々の売掛金データの入力方法としては手作業で行うか、あるいは効率的に済ませるなら既存のシステムからCSV形式でデータを取り込むことも可能です。

売掛金管理表に記載すべき項目は、請求日、取引先会社名、売掛金額(売上額)、入金方法、入金期日などです。取引先の件数が多い場合は、判別番号を振り、番号を入力すると取引先ごとの売掛金が表示されるように関数を組むといいでしょう。売掛金管理表はできればエクセル上で1シートに収まるようにし、常に最新の情報が反映されるようにしておけば、経理部門だけでなく営業部門や幹部への説明資料にも役立てることができます。

会計システムを活用する

エクセルよりも効率的に売掛金を管理する方法として、会計システムがあります。多くの会計システムでは得意先元帳を利用することができ、取引先ごとの入出金の状況を把握することが可能です。

近年普及しているクラウド型の会計システムでは、入出金を記帳すればそれがそのままシームレスに売掛金管理につながり、売掛金と入金のマッチングまで処理する機能を備えたものもあります。しかしながら、会計システムは売掛金管理を主目的として作成されたものではないため、補完的にエクセルを併用している企業が多いのが現状です。

未回収が発生した場合に考えられる要因


未回収が発生した場合に考えられる要因はいくつかあります。以下に具体例を挙げて解説します。

ミスによって支払いが遅延している

未回収発生時にまず確認したいのが、自社の経理担当者がケアレスミスで請求するのを忘れていたり、営業担当者が先方に請求書を渡すのをつい忘れたりしていないかということです。社内に何も問題ないことが確認できたら、取引先の担当者に連絡してなぜ支払いが遅れているのかを問い合わせます。

取引先の経営状態に何も問題がなく、経理処理上のミスで支払いが遅れているなら、故意に支払いを拒んでいるわけではないので心配することはありません。取引先の担当者が支払いそのものや支払期限を失念していることも往々にしてあり得るので、電話やメールでその旨を確認する程度の対応で十分でしょう。

相手側に支払う余力がない

相手側が支払う意思を示しているものの、入金が期日を過ぎてから支払いがなされることが度々ある場合や、電話やメールで入金の督促をした後の対応が遅く中々入金されないといった場合は注意が必要です。このような場合は、相手側が資金繰りに行き詰まって代金を支払う余力がなくなってきているという懸念を強く抱いておく必要があります。

ここで確実に確認すべき点は、資金繰りに行き詰まっているのは一時的なものなのか、それとも会社の存亡にかかわる致命的な状況にあるのかということです。近い将来には支払えるようになることが見込めるなら、いつまで待てばいいのか、分割なら支払えるのかといったことを相手の状況を慎重に見極めつつ対応を検討します。

支払う意思が見られない

支払い遅延で最悪のケースは、相手側に支払う意思が見られない場合です。難癖をつけて支払いを渋ったり、開き直って支払わなかったりするケースも考えられます。
現在支払うだけのお金がないのか、今後もお金が入ってくる見込みがないのか、お金が入ってくれば支払う意思はあるのかといったことまで踏み込んで考えることも必要です。最悪のシナリオとして、取引先が倒産したり破産したりして売掛金の回収ができなくなり、貸し倒れになることも想定しておかなければなりません。

未回収になった場合の回収方法


ここからは、未回収が発生した場合の回収方法を解説します。

内容証明郵便を送る

電話をしても出てくれなかったり、催促状を普通郵便で送ったりしても反応を得られず、そのままでは売掛金の回収が難しいと思われる場合は、最初のステップとして内容証明郵便を送ります。内容証明郵便とは、どのような内容の文章を・誰が・誰宛てに・いつ送って・いつ届いたかを郵便局が証明してくれる制度です。証明は差出人が提出した謄本に基づきます。

法的に何かを強制する効力はありませんが、受け取った側に心理的な圧迫感を与えることが可能です。また、時効によって売掛金が消滅することを防いだり、訴訟に発展した際に売掛金未回収を示す証拠として用いたりできます。内容証明郵便の書き方は特に決まったものはなく、誰に、なぜ、何を要求するのかが明確に書かれていれば問題ありません。

買掛金と相殺する

売掛金の支払いが滞っている取引先に対して自社が買掛金(ツケ)がある場合は、双方の売掛金(債権)と買掛金(債務)を相殺して未回収の売掛金の負担を軽くする方法があります。

未回収金よりも未払いの買掛金の額が少ない場合は、全額回収することはできないデメリットがあるものの、損失を少なく抑えることはできます。ただし、取引先が倒産処理などの法的手続きに入っていると、相殺できる期間が法律で定められている場合もあるので注意が必要です。アクションが遅くなると相殺できなくなることもあるため、損失をできるだけ小さく抑えるには素早い対応が求められます。

債権譲渡してもらう

取引先が第三者に対して売掛金を持っている場合に利用できる未回収金の回収方法として、売掛金を譲渡してもらって回収する債権譲渡という方法があります。これは取引先が得ることになっていた売掛金(債権)を第三者に買い上げてもらうか、あるいは自社に移転させることで回収に充てるというものです。
これにより取引先から直接入金されなくても第三者からお金を支払うことになり、結果として売掛金を回収することが可能になります。債権譲渡を実施するには法的な知識が必要になるため、弁護士などに相談するといいでしょう。

法的手段に出る

上記の手段を講じても効果が見られない場合は、最終手段として法的手段に出ることになります。裁判所に介入してもらい、支払い督促、少額訴訟、通常訴訟などの対応を行います。

・支払い督促
簡易裁判所に申し立てて簡易裁判所の書記官名で支払い命令を債務者に送る制度です。一方的に手続きを進められるので、短期間かつ低コストで解決を図れることが期待できます。

・少額訴訟
請求金額が60万円以下の場合に利用できる制度です。通常訴訟に比べると申し立てにかかる費用が低く、また手続きに要する期間が短くて済み、審理は原則1日、判決は即日に言い渡されるのが通常です。

・通常訴訟
ここまでの対策を講じても解決できない場合は、通常訴訟に進みます。裁判費用の他に弁護士費用も必要となることから、それでも回収を見込める額に見合うのか、よく見極める必要があります。

請求管理ロボを導入して効率良く売掛金管理を行おう!

売掛金は企業間取引を行う際には必ず発生するものです。しかし、取引先企業が増える程管理が煩雑になるため、入金が集中する月末月初は負担の大きさに悲鳴を上げている経理担当の方も多いのではないでしょうか。

そんな悩みをお持ちなら「請求管理ロボ」にお任せください。請求管理ロボは売上と売掛金の管理を大幅に効率化するクラウドシステムです。請求管理ロボは取引先ごとの入金期日や売掛金残高など、把握すべき情報を見える化できるうえに、請求書発行から消し込み作業に至るまでの売掛金回収業務の自動化によって大幅な省力化を実現いたします。

消し込みは自動で行われ、取引先名と振込人名の名義が違って消し込みエラーが出た場合には、手動で請求書と入金の内容を見比べながら直感的に対応することが可能です。一度手動で突き合わせた入金消し込み情報は次回からは自動で処理され、個別に対応する必要はありません。また、消し込みが行われなかった売掛金は、自動的に翌月の請求書に反映されるため、処理漏れの心配もありません。売掛金のステータスは顧客別や期間別などでダッシュボード上で把握でき、迅速に次のアクションにつなげることができます。

まとめ

売掛金は未回収のままでは収益として成立せず、健全なキャッシュフローを維持するためにも適切な売掛金管理は欠かせません。本記事で解説したように、売掛金管理の流れとポイントを理解したうえで、未回収になっている売掛金に対しては適切な対応を取る必要があります。

また、売掛金回収が滞ることがないように、システムを利用して効率化・合理化を図ることも必要です。売掛金管理のシステム化ならぜひ「請求管理ロボ」の導入をご検討ください。請求管理ロボは売掛金の状況をリアルタイムで把握し、請求業務の自動化を可能にするシステムです。請求管理ロボは、多忙な経理担当の方の力強いパートナーとなります。ぜひお気軽にお問い合わせください。

監修
【監修】藤田 豪人 株式会社ROBOT PAYMENT 執行役員

2019年当社に入社、執行役員に就任。
当社に入社以前は株式会社カオナビにてコーポレート本部長、複数の情報IT企業にてCMOなどを歴任。
現在は、当社のフィナンシャルクラウド事業及びマーケティング全般を統括。